団地の女学生

著者 :
  • 集英社
3.56
  • (5)
  • (22)
  • (19)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 107
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713398

作品紹介・あらすじ

あの女の凋落を私こそが見届けなければ!切なく愛しい「昭和の生き残りたち」桜草団地の住人たちが大暴走。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 朝日新聞の書評欄で見つけたホン
    著者がゲイだとかNOKKOと中学校の同級生だとか
    ノイズに邪魔されつつ読了
    団地住民としてオモシロかったです
    2編あって
    「爪を噛む女」
    団地の現在、
    高齢世帯の暮らしをあてにする
    単身の美弥が介護ヘルパとして未だ住まう
    言い得て妙
    同じ団地住民の同級生がシンガーソングライターとして
    華々しくデビュー
    落ちぶれて未だ団地に住む美弥にちょくちょくアクセスしてくる
    団地住民として
    高齢世帯をお客さんとする仕事への正義感と
    団地を出て行った同級生に対する嫉妬と毒づきなど
    バラバラな気持ちが交互に出て来て
    割と気持ちが悪の主人公なんだけど
    浄化されてく出来事が多い
    団地に悪人は似合わないようです
    「団地の女学生」
    こっちは高齢の女性が
    埼玉の団地から出身地の高崎へ
    墓参りと幼なじみの様子を伺いに
    ワンデイトリップする話
    お供に、仕事で忙しい実の娘ではなく
    隣に住む無職のぽっちゃりゲイ40歳ミノちゃん
    世話好きを連れて
    団地の懐の深さがあらわれるサクヒン
    高齢者とかアラフォー女性とか
    描き方が無理なく上手で驚きます

  • 「爪を噛む女」の主人公の心の叫びに共感。でも、あたしは、あんなに影響を受ける友人もいないような……

  • 中編ふたつが収録された一冊。
    どちらも老朽化した団地を舞台に、そこで暮らす人々や関わりのある人を描いている。

    こんなはずじゃなかった。成功した幼馴染みに猛烈に嫉妬する独身女の語りから始まり、ヘルパーなしには生活もままならない独居老人やその家族の姿がありのままに晒される。
    けれども、他人に見せている顔がその人の本質とは限らない。
    仕事用の顔は勿論のこと、正気を失ったからこそ見えた顔、本人も意識していない顔、歳とともに身に付いた顔…。
    そんなものが詰め込まれ、何とも言えない不思議な心持ちになる作品でした。

  • 「爪を噛む女」「団地の女学生」の2話。
    爪を噛む女:美弥 (ヘルパー)の心理描写がすごいと思った。美弥の気持ちがよく分かるということは、私自身が爪を噛む女なのだろう。

  • タイトルに惹かれて。

  •  2010発表、伏見憲明著。団地で介護の仕事をする主人公の、有名歌手になったかつての友達Miiyaへの嫉妬「爪を噛む女」。老女瑛子が、隣に住む中年男性ミノちゃんと故郷を訪れる「団地の女学生」。
     表紙を見てもっとポップな小説なのかと思っていたが、全くそんなことはなかった。どちらも実に純文っぽい文体で、皮肉とユーモアを絡みつかせ、辛辣な現実が露骨に描かれている。
     特に「爪を噛む女」は、男である著者がどうやって書いたのか感心するほど、嫉妬する女の心理描写がリアルだ。読んでいると本当に主人公は嫌な女だなと思いつつも、何となく同意できてしまう部分もあり、それがまた余計に後味が悪い。
     「団地の女学生」の方も、取り残されてしまった老人の寂しさがよく描写できていると思う。また、ミノちゃんの掴みどころのない気持ち悪さが、ほどよくパンチになっている。ただ一点だけ若干気になるのは、途中まで瑛子寄りの三者視点で書かれていた文章が、不意にミノちゃん寄りに変わる部分。「ミノちゃんの」といった呼称で書かれているので瑛子が彼のことを観察しているのか思ったら、そうではない。完全に神の視点である。節が変わってそうなるのなら納得できるが、こうも平然と書かれてしまうとちょっと無神経だなと感じる。

  • 団地を舞台に繰り広げられる人間模様。
    個人的には表題「団地の女学生」が一番面白かった。
    団地って、秋の夕暮って感じだな・・・と思った。

    狭い空間での人間関係は密で、団地を舞台にした小説は魅力的だ。

  • 40代中年太めの男性ミノちゃんと、老年の女性瑛子のちょっとした遠出。瑛子が学生時代自分を好いていてくれた男性に、約60年ぶりに会おうと思い、遠方に出向くに対し、ミノちゃんは掲示板でその場限りにセックスできる男性を探す。こちらは『魔女の息子』のように、中年のゲイの男性と、老年の女性が出てくるが、もう一つ収録されている「爪を噛む女」は、これがまた女性の嫉妬の話で意外だった。同級生を見下し、自分が面倒を見てあげていると思っていたが、その同級生はスターとなり、しかも学生時代自分のことを実は慕ってくれているわけではなかった。しかも結局、美弥の学生時代からの1人相撲だったっていうのが、すごく切ない。でも、どちらの話も、「人は人、自分は自分」スタイルで終わり、読後感は良い。瑛子もミノちゃんがゲイと知って驚くが、ミノちゃんに嫌悪感を抱くわけでもなく、昔の固定観念ゆえに「親がミノちゃんの育て方を間違ったのか?」と思ったりもしたようだが、結局は「不思議ねぇ」というふうに、ミノちゃんを思う。老人もアラフォーもゲ男女関係なく、そしてゲイも書けてしまう伏見さんは、すごく人間観察がうまいのでは。

  • 三浦しをん「本屋さんで待ち合わせ」より。表紙の絵が変だけど、意外と面白かった。2編入ってるけど、最初の「爪を噛む女」が断然良かった。表題作は団地に住むおばあさんが隣の40代のゲイと一緒に実家に戻るお話。途中急にゲイの語りが差し込まれるのが嫌。携帯の出会い系でさくさくと旅先の一夜の相手を決めてしまうことと、60年ぶりの幼馴染との再会が同時に起こってるって、現代はすごいなと思ってしまう。多種多様になったのだ。で、最初の爪…は、非常に身に迫る。38歳独身女性。やっぱ仕事があって良かったなと思う。私のおひとり様を支えるのは、経済力に他ならない。立派な中年となった息子とその嫁にたかられる内海香代さんはほんとに気の毒だ。こんな親不孝者は死ねばいいと思う。虐待じゃないか。ヘルパーさんはこういう人たちをたくさん見てるんだろうな。友達だった人が有名人になるって今のとこ私にはないけど、こういう複雑な気持ちになるんだろうな。

  • 団地 というモチーフには、不思議にそそられる。

    「ふつうの人」「ふつうの家族」が住むのに一番心地よい形態を
    戦後、何もない状態から、色々な賢い人たちが「頭」で考えて
    作ってきた居住形態。それが団地。
    それまでの歴史上、「都市」は作られることはあっても、それは
    経済活動(農工業や士業も含むよ)に密接に連携したものであって、
    ただ住むための場所 ってのはあまりなかったんじゃないかなと
    思う。行動より概念が先行してできた場所 のファーストモデル?
    そしてファーストモデルは、スタンダードになり、オールドモデル
    になってしまった。すたれはじめるの、早くないだろうか?

    そしてこの話は、題名通り、大規模な団地が舞台。
    荒川沿いの埼玉県、コンクリートの大規模集合住宅で、
    住民の高齢化が進んでいて、地域の貧富差が少なさそう って
    ことから、草加あたりがモデルかな~と想像しながら読んでゆく。
    --------------------
    1話目「爪を噛む女」
    美弥はホームヘルパーで生計を立てる、38歳の独身女性。3歳か
    らずっと団地で育ち、今もそこで母と暮らしている。かつての
    団地友達で、中学生の頃いつも一緒にいた、同級生の都と15年
    ぶりに再会するところから、話は始まる。
    都は、自分より学力も音楽の才能も、美貌もちょっと下だったのに
    ある日、時代を象徴するトップシンガーになってしまった。
    都を音楽に誘ったのは自分。才能があって美人だったのは自分だ
    ったはずなのに、気づけば毎日、老人の世話。
    美弥は、再開した都に嫉妬と羨望と愛情の入り混じった複雑な
    思いを抱えながら、都の挙動を見守り、かつてのようにコント
    ロールしようとする…

    美弥の行き場のない葛藤、桐野夏生の「グロテスク」を彷彿と
    します。ま、美弥の方が何だかんだ言って働いているし、周囲の
    老人のこともちゃんと人扱いしているので、黒さは淡くて読み手の
    ダメージも少ないです。
    周囲の老人たちも、口の悪い元演劇青年や、天使のように尽くす母
    など、いそうなキャラクターがしっかり描かれていて、読み応えが
    ありました。

    主題を二つぶちこんでしまったのは、好き嫌いあると思いますが
    団地はもう、概念ではなく、人のくらすただの「場」なんだなと
    感じるお話です。隣のことをよく知っていても、口を出さない。
    そして30年一緒なら、放っておいてもコミュニティが生まれる。
    団地に限らず、当たり前なんじゃないかと。
    --------------------
    2話目「団地の女学生」
    80代の瑛子が、長らく帰っていない故郷、高崎へ一泊二日の「帰省」。
    お伴は隣の部屋に住む、独身40代のミュージシャン崩れの実ちゃん。

    瑛子の回想は、本当にこんな生き方をしてきた女性はごまんといるん
    だろうなと思わせる回想。実ちゃんの、何も考えていない風な生き方
    も、すごく普通にいそうな感じがする。
    --------------------
    部屋が変わると住人も変わり、ドラマの内容も変わる。
    そして一人ひとりの生活そのものは、他人から見ればドラマ。
    --------------------

全31件中 1 - 10件を表示

プロフィール

1963年生。作家、ゲイバーのママ。慶応義塾大学法学部政治学科卒。1991 年に『プライベート・ゲイ・ライフ』にてゲイであることをカミングアウトし、90 年代のゲイ・ムーブメントに大きな影響を与える。2003年に『魔女の息子』で第40回文藝賞を受賞して小説家としてもデビュー。2013年、新宿二丁目にゲイ・ミックス・バー「A DayIn The Life」を開店。2017年、ウェブマガジン「アデイonline」を開始。

伏見憲明の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
中島 京子
三浦 しをん
村上 春樹
川上 未映子
赤染 晶子
湊 かなえ
有川 浩
村上 春樹
湊 かなえ
絲山 秋子
桜木 紫乃
瀬尾 まいこ
夏川 草介
伊坂 幸太郎
川上 未映子
湊 かなえ
吉田 修一
万城目 学
村上 春樹
沼田 まほかる
角田 光代
貴志 祐介
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする