七人の敵がいる

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713565

作品紹介・あらすじ

PTA、学童、教師、夫に姑、我が子まで。上司より、取引先より手強いモンスターが次から次へと現れる!?困惑、当惑、そして笑いと涙の痛快PTAエンターテインメント!ワーキングママ、専業主婦に、育児パパ、そして未来の子持ち候補たち必読小説。

感想・レビュー・書評

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  • こういう痛快なお話、大好物です!

    主人公陽子はバリバリのキャリアウーマン。息子が小学校に入学するとPTA活動、自治会、スポーツ少年団‥‥に巻き込まれていきます。ただでさえ仕事と家事で忙しいのに、入会するかどうかは任意のはずなのに。正直な陽子は「無理!」と宣言し、その結果みんなから白い目で見られどんどん嫌われていきます‥‥
    子育て経験のある女性なら「はいはい、あるある」「そんな人いるいる」のエピソードのオンパレード!陽子の怒りはごもっともなのです!でも途中で陽子は気付く「私はバカなのか?」と。それは、一般的な主婦、母親がどんなに頭が良いか、要領良くやっているか(いい意味で!)を表している言葉だと思います。世の主婦たち、母親たちに「あなたたちってすごい!毎日ものすごく頑張ってる!」という称賛のあふれた一冊だと思いました。
    でも、この本を読んでいて爽快な気持ちになるのは、私たちがいつも言いたいけど言えない言葉「やってらんねーよ!」を陽子がはっきり言ってくれるからだと思います。その結果、陽子は白い目で見られてしまうのだけど、本当はみんなが言いたい言葉を代弁してくれている。そして陽子は正直なだけで、決して意地悪ではないので最終的には周りには仲間が増えている。
    陽子のようになりたいと思う人はなかなかいないと思うけど、陽子がご近所にいてくれたら!とは誰もが思うはず!
    本当にスカッとする一冊です。世の主婦たち母親たちに、そして夫たちにも読んでもらいたい。奥さんはこんなに毎日頑張っているんだよ!

  • 主人公の山田陽子がまさに「ブルドーザー女」で、
    疑問に思ったらどんな会合・相手だろうと臆せず質問!
    思ったことをズバズバ言う!!
    もちろんたくさんの敵を作りながら、周りから関わりたくない人認定された他のママさん達とともに闘う姿が気持ちいい!

    妙に納得してしまったのは、第四章『夫もたいがい、敵である』。
    タイトルだけで笑ってしまう。
    第二章『義母家族は敵である』に出てくる「だが、古今東西、男が身内に対して使う「大丈夫」が、本当に大丈夫であった例などないのだと、まもなく陽子は痛感することになる。(P72)」なんて、赤べこのように頷く妻たちは多いのでは?!

    笑えて、元気をもらえる一冊だったけど、同時に怖くなった。

    娘が4月から入学するので、担任、PTA、クラス会、学童、子供会に戦々恐々。
    陽子のような保護者がいるのか?!
    いやいや上條のような会長が待ち構えているのか?!
    私は陽子がいたら全力で応援したいし、むしろ陽子になりたいくらいだけど、
    子供への影響を考えて、心の中で全力応援になるかな。あぁ弱虫。

    七人の敵がいる、されど八人の仲間有り
    敵にしておくのが惜しい人を仲間にしたい。

  •  やり手のワーキングウーマンで一児の母・陽子が主人公。仕事と子育てに奔走する陽子の前に立ちはだかる強敵との闘いを描く。
     7章からなり、各章で陽子が自分の敵だと認識する相手が異なる。

         * * * * *

     義務教育団体のPTA活動および組織について一石を投じる内容でした。

     保育園や学童保育は基本的に働く保護者のための機関なので、保護者組織の活動にもある程度配慮があります。

     しかしこれが、小中学校での活動となると異質です。そんなことまで!?と思えるような業務までこなさなければいけないことが少なくない。(もちろん地域によって違いはあるでしょうが)

     そりゃしないよりはした方が学校の、ひいては子どもたちのためになるでしょう。前例踏襲が好きな学校組織もそれまでと同レベルの活動を当然のように期待してきます。

     でもシングル家庭やフルタイムでの共働き家庭が激増する現代。時間の遣り繰りが難しい保護者が多くなるのは自明の理です。

     なのに十年一日のごとく、至れり尽くせりの奉仕活動を美徳とする風潮が根強くあるようです。そして組織内で力を持つ人間は、それを金科玉条として守ろうとしたりします。
     一般の保護者の中にはモヤモヤした気持ちを抱く人が少なくないけれど、そんな人たちの業務のスリム化を願う声は届かないのです。

     PTA組織を見直そうという動きが、都市部を中心に広がりつつあると耳にします。
     しかしながら、組織改革を推し進めるには時間とエネルギーが必要です。けれど、そもそも改革を求める人たちにはその時間とエネルギーがないのです。

     陽子のような論理性と行動力を持ち、破壊と創造を可能にする救世主が現れないかぎり、旧態依然とした組織の活性化は難しいのだろうなと思いました。

  • バリバリのワーキングウーマンの陽子がPTAのお仕事に真向から立ち向かう。自分は陽子の真逆な立場でPTAに関わっていたが、あるあるの話が出てきて最初から最後までとても楽しめた。私の時代にも陽子みたいな女性がいたらな〜と想像が膨らむ。

  • 子供を持つということは、PTAや子供会、自治会と色々と関わってくる。そうそう!と関わってきた頃を懐かしんで読了。
    厄介なPTAも嫌と思えば煩わしいが、子供の親として一緒に勉強させて頂いたと思えば、楽しかったなと思う。
    陽子のズバズバ発言にヒヤヒヤさせられたりしたが、女性の目からは、男っぽい性格がスカッとしていて読んでいて気持ちよかった。しかし、「当然夫も敵である」には、笑った。
    「温かい愛情とほんの少しのねぎらいの言葉。それさえあれば、女は「家」を守り抜く、どんな勇敢な戦士にだってなれるのだ。」
    正にそうだから(笑)

  • 面白かった。すごく面白かった!私も今年PTA役員に選ばれ、月に2、3回は会議やなんやで学校に出掛けてるので、PTAの事もそうだけど働きながら子育てして家事もして…どうして女にばかり負担がかかりがちなのかという疑問や不満を陽子がズバズバ言ってくれちゃうのに共感しまくりな話だった。ハッキリ言い過ぎる陽子は敵を作りまくってたけど、私は応援派だな。

  • 学齢期の子を持つ親として、あ~そうそうこんな感じ、と思う場面が多々あり、非常にリアルに描かれていると思った。
    バリバリのキャリアウーマンの主人公・陽子は当初、「PTAなんてひまな専業主婦がやればいい」と考えていたが、PTA、自治会、スポ少など子育てに関わるいろんな組織での悪戦苦闘を重ねていくうちに少しずつ変わっていく。彼女が憤っているようなことは、おそらく兼業主婦だけでなく専業主婦でもそう思っている人が多い。

    PTAにしろ自治会にしろ、専業主婦家庭の多かった昔のままのやり方では、時代の流れに見合っていない。そのひずみに一番苦労しているのが働く母親なのだろう。働く父親には要求されないことが、働く母親には当然のごとく要求されているのもおかしい。
    一方、仕事をすれば高い能力を発揮するはずの人材が、家庭の事情のためやむなく仕事を辞め専業主婦になっている場合も多い。陽子はそういった人たちがいることを知り、彼女らを巻き込んでPTA元会長に思い切った提案をする。
    実際は子どもが卒業するまでなんとかやりすごせればと思う人が大半なので、こういった改革はなかなか実現しないのかもしれないが、この本を読んでPTA活動に関心を持ったり、自分と違う立場の人を思いやれたりするようになるといいなと思う。

    働く母親はもちろん、専業主婦、パート主婦、そして特に父親、いろんな立場の人が読むことをお勧めしたい。

  • 主人公の強い性格が爽快だった!
    園役員、PTA役員や町内会役員、嫁姑問題などをバッサバッサ切っていくのはモヤモヤする日々を吹き飛ばす。一気読み。
    子育て中の女性はほぼ共感できるのだろうけど、きっと夫やその他の人には評価されにくい内容だろうと思う。

  • バリバリ働くキャリアウーマンの話。
    本当の子供ではないが、育児とPTAに奮闘する姿を描く。陽子は確かに同性や異性からの反感は大きい。男性も敵に回してしまうほどの気丈っぷり。
    だけど、その歪んでいない真っ直ぐな正義感がいつの間にか周囲を助ける事になる。最初は専業主婦を馬鹿にして、下に見ていた陽子だが、徐々にその価値観が変わっていく。
    最後の上条会長とのエピローグが良かった。
    現代の働くお母さんに読んでもらいたい。
    何処かで聞いた話だな、と思っていたら真琴つばささん主演で少し前に昼ドラで放送されていました。

  • PTAに自治会、少年スポーツ団、どれもこれもすべて経験してきました。
    この数年間のあれやこれやが物語と共に思い出され、主人公の陽子さんと共に、憤ったり、凹んだり…。そして、スカッとさせてもらいました。
    本当に面倒くさい敵がいっぱいいるのは確かな現実。でも、「…八人の仲間有り」今日の敵を仲間にするのも自分次第なんだな…。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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