御不浄バトル

著者 :
  • 集英社
2.65
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本棚登録 : 144
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713596

作品紹介・あらすじ

彼はどうして退職するのか?新卒の"僕"が入社したのは、高額教材を売る悪徳会社だった。苛酷な労働と精神的負担で営業部員は半年で辞めていく。事務職の"僕"は無難に仕事をこなし2年目に。楽しみは、毎朝駅ビルのトイレの個室でくつろぐこと。素性不明なトイレの常連メンバー達と、静かな個室争奪戦を繰り広げる毎日。しかし、1本の電話がきっかけで、平和な日常が崩れだす。限界に達した"僕"は、ついに退職を決意するが…!?(『御不浄バトル』)。彼はどうして退職させないのか?三十路のギャル男系雑誌編集者・サカタは、"デキるビジネスマン"目指して日々奮闘中!(『荒野のサクセス』)。ブラック会社で働く青年たちの、奇妙な挑戦と闘いの記録。

感想・レビュー・書評

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  • とある芸能人の多目的トイレでの不倫が話題になり、ネットサーフィンしてたら目に留まった小説。
    時節ものということで(笑)

    朝、駅ビルトイレの個室を奪い合う男たちの熾烈なバトルが執拗に繰り返される笑

    主人公の渡辺(渡部ではない)は、高額教材を売る悪徳会社(でブラック企業)に就職したが、大卒なので営業はやらされず事務職としてなんとか生き延びている。
    彼女もいるし、給料もそこそこで問題ないのだが、朝や仕事の合間に現実から逃避して、トイレで用を足したり、ご飯食べたり、マスターベーションしたりして寛ぐことが楽しみ。そんなしょうもない渡辺の哀しい姿を描いた、くだらない小説。

    渡辺が人として壊れていることと、トイレバトルがやたら反復されるところが相まって、なんとなくブレット・イーストン・エリスの「アメリカン・サイコ」を彷彿させた。あんなに怖くないけど。

    あまりだらだらせず、スパっと終わるところがいい。
    結末も冷ややかに笑えていい。

    収録された短編の「荒野のアクセス」もよい。
    羽田さんの小説、僕は結構好きです。

    さて、この小説で描かれているのはたった10数年前のことだけど、まだ駅ビルとか商業施設でのウォシュレットの普及率は低かったことが窺える。
    今はどこの駅ビルでもウォシュレットはマストになってることを考えると、なんだかんだで世の中は少しずつだけど豊かになっているなぁ…と。
    そんなことを実感した。

  • トイレで物は食べちゃ駄目

    ってな事で、羽田圭介の『御不浄バトル』

    初めて羽田さんの本読んだけど、この本は失敗したかな。

    クッソ下らなくて、締まりが無い垂れ流しのウ○コみたいじゃった

    短編2編じゃったがどちらも残糞感満載な内容でしたw
    スクラップ・アンド・ビルドは読んでみたい

    2017年57冊目

  • 子供向けの教材販売の会社に入社したものの
    1年ほどでブラックだということに気づき始めた渡辺。

    出社前にトイレで用を足すのを習慣として
    トイレの常連たちの観察をする日々。

    次第に会社都合の退職を望むようになり
    悪徳商売やパワハラの証拠を掴もうと決意する。

    自分を守るための奮闘が
    次第に会社の組織の一員として働いていることに気づかず
    だんだんトイレで用を足すだけにとどまらず
    食事や自慰までもをするようになった彼の行動。

    読んだ後のもやもやした嫌な気持ちが
    これほど強く残ったのは久しぶり。

    現代ぽいけどさ。
    人生はゲームじゃないから、選択するときにふざけちゃいけないときもあるのかもしれない。

  • 現在、羽田圭介にはまっているので読んだ。
    前半は結構面白かったのだが、後半あまりストーリーに動きがなかった印象。

  • 『御不浄バトル』
    出勤前、駅ビル内の男子トイレの個室(大は二つしかない)を争う話、かと思いきや、渡辺が勤める通信教材販売会社はブラック企業の枠に収まりきらない違法な会社だった!
    経理の立場上、違法行為に関わることは少なかったが、ふとした電話対応から所長に目をつけられる渡辺。彼は「会社都合」退社になるべく、違法行為の証拠を集めつつ、やむを得ず明らかな犯罪にも加担してしまう。
    どうしようもないストレスを駅ビルのトイレでの排便、彼女との性行為、ネットへの書き込み、職場のトイレでのビニールダッチワイフを使った自慰(?)等々で紛らわせようとするが渡辺は少しずつ壊れていく。
    いよいよ会社に立ち入り調査が入り、集めた証拠を労働基準監督署に持ち込み、「会社都合」退職になれると喜ぶ渡辺だったが、テレビ報道には渡辺の電話対応の音声が使われている!
    渡辺は「会社都合」退職どころか、捕まりそう!
    彼女との明るい未来はなさそう!
    気持ちの良い排便は当分無理そう!

    『荒野のサクセス』
    朝の駅ビルで髪型をキメる似非ホスト風の男はファッション雑誌の編集者だった。
    ちょっと痛い感じで三十歳を迎えるけど、本人は痛いことに気づいてないから幸せそう!

    --------------------------------------

    トイレのおもしろ話かと思いきや、会社のお金を持ち逃げした社員を無理やりAVに出演させるところとか暗い部分も多くて、ブラック企業で働くことの意味を考えられる、絶妙なバランスのお話だったように思う。汚い描写が多かったけれどそれも含めてナイスバランス。

    ブラック企業に入りたいひとなんていない。
    だけどブラック企業は「悪い会社ですよ~」なんて正直な求人は出してないから、騙されて入社してしまうひとがいる。新卒で電信教育センターに入社した渡辺だって騙されただけだ。
    でも、実家の財政事情もあるし、再就職のことを考えると易々と退職も出来ない。
    排便に喜びを感じまくる渡辺はきっと追い込まれた精神状態だったんだと思う。排便とか睡眠って人間の一番の欲求だって聞くし。排便に喜びを見出すしかないような状況とでもいえばいいのか。

    自分の会社の悪事がバレるよう準備していたはずが、壊れた渡辺が自分から悪事を働いていくのはすごいオチのつけ方だった。
    木乃伊取りが木乃伊になるように、自分自身がクソになってしまった、という感じ。
    暗くて汚い話だけどこれは名作だと思う。

    『荒野のサクセス』はぜんぜん違う話かと思いきや、渡辺と同じトイレを利用する似非ホスト風の男の話だった。自分が痛い存在だと気づいていない、痛い三十歳の男。明日は我が身。

  • 豪快な1が出て記録に残したい
    けれど誰かがもし見てしまったら
    と思うと残せない
    んですよねえ

  • 適当な就活の末に
    悪徳商法会社に入社してしまった渡辺。
    会社都合退職獲得を目指して画策するが、果たして。。。

    「駅ビル地下、飲食店街奥の男子トイレで繰り広げられる
    個室の争奪戦」と
    「会社のある雑居ビル内の各階トイレでの行い」
    を軸に描かれていく。
    しかし、バトルを表する割には、その切迫感が薄い。
    本当のバトラーでは無いなぁ。

    他に、短編「荒野のサクセス」一編。(連)

    3+

    (市図)

  • トイレはいろんな使用方法がある大切な場所。渡辺くんはこれからトイレに頼らず居場所見つけてほしいなぁ。

  • 大便について詳しく書きすぎ

  • 正直肩透かしくらった感じである。


    トイレを舞台にもっと色々と発展するかと思ったが特に何も起こらなかった…

    ブラック企業というより悪徳企業の話としても中途半端。

    文章自体はテンポよくよめたが、テーマがよくなかったのか?

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著者プロフィール

1985年生まれ。2003年『黒冷水』で文藝賞を受賞しデビュー。「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞。『メタモルフォシス』『隠し事』『成功者K』『ポルシェ太郎』『滅私』他多数。

「2022年 『成功者K』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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