おとぎのかけら 新釈西洋童話集

著者 :
  • 集英社
3.49
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本棚登録 : 593
レビュー : 123
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713701

作品紹介・あらすじ

シンデレラ、白雪姫、みにくいアヒルの子…耽美で鮮烈な現代版西洋童話、全7篇。

感想・レビュー・書評

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  • 七つの西洋童話をモチーフに現代風に紡いだ短編集。
    慣れ親しんだおとぎの国の遠い世界のお話は、確かに現実的でない。
    どこか安心して読めてしまう。そこがぬるい、と書かれる千早さんの紡いだお話たちの何と苛烈で容赦ないこと。
    冷ややかでぞくぞくした感覚なのだけど、一方で恐怖と絶望感がねっとり絡みつく生ぬるい嫌さもあってその相反する感覚が絶妙なのです。
    いつの間にかモチーフになった物語を忘れ、新たに息吹いたお話に夢中になってしまう。
    いやはや千早さんの紡ぐ世界は素敵。美しい装丁本の中に仕込まれた毒の味は大変美味でありました。

    「カドミウム・レッド」「凍りついた眼」が好み。この中では異色の「金の指輪」も良かった。
    「白梅虫」はぞわぞわ感が凄まじい。「アマリリス」のさやちゃんのエピソードはいいなぁ。
    毒々しさの中にも美しさだったり、恐怖だったり、救いようのない絶望感だったり、さまざまな味わいがあって堪能しました。

  • 読後感が良いかと云われれば首を傾げます。
    それでも好きだと思いました。

    表紙やタイトルがこんなに可愛らしいので、どんなに愛らしいお話だろうかとページを捲れば、歪んだ微笑や陰鬱な展開が広がっていて。
    闇が美しい。
    元来、お伽噺には戒めを込めた結末、理不尽と救いの無い悲劇が横行していた、と思い起こされます。
    それでもお伽噺という言葉には愛しさがあって、それは、この本に出てくる、身売りをする少女の蝋燭の炎を見つめる純粋な眼差しであったり、ほんの一握りの優しさから、と思うのです。
    やはり、美醜は一体であり、同居し得るのだと思います。

  • 『おとぎのかけら』 千早 茜    集英社

    「新釈西洋童話集」と副題にあるように、7つの有名な西洋童話を下敷きにした短篇集。
    勿論、物語の核となる部分やモチーフは有るのだが、時代は現代だし舞台も現代の日本である。そして一つづつの物語に「迷子のきまりーヘンゼルとグレーテル」、「カドミウム・レッドー白雪姫」、「金の指輪ーシンデレラ」の様に、どの話がどの古典童話を元にしているかが目次でわかる。そしてひとたびお伽話のかけらが作者の掌の中に握られると、開いた時には美しく、妖しく、毒々しい林檎の様に読むものの前に差し出される。一つだけ、少し気持ちが暖かくなるものがあったが、後はどれも不思議な美しさ懐かしさの中にぞっとする様な怖さを秘めていた。伝承され続けて来たわらべ歌や昔話には、世界各国共通する物があると言う。それらには、元々現実の世界の残酷さや理不尽さ、やり切れない人生を切り抜ける黒い知恵をも秘めているのだろうと思わせられる一冊だった。『本当は怖い◯◯』とか言う本よりも、エッセンスを抜き出して今風に料理されたこちらの方が何倍も怖いと思った。しみじみと美しい表紙を見ながら、またこの作家に心を持って行かれた、と嬉しい様な悔しい様な不思議な感覚が残った。

  •  初めての千早さんでした。文章にとても雰囲気がありました。
     彼女が現代風に解釈し、表現するとこうなるのですね。。。。好きな雰囲気です。
     おとぎばなしは語り継がれているだけあって、それぞれに不思議な力があります。そしてよく考えると、怖かったりグロテスクだったりしますね。

     それぞれの編が発するイメージは、おとぎばなしでのイメージそのままに、ブラックでグロテスクな世界でした。眼をそむけたくなる様な描写もありましたが、とても面白く読めました。
     最後の「アマリリス」の編は他とは印象が違ったけど、これも面白かった。

  • 結構薄暗い話が多かった。
    でもどんどん引き込まれる。
    文章巧い!
    私のお気に入りは、シンデレラの話。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「文章巧い!」
      不思議な感覚の文章書かれますよね!(この作品を読んだ訳ではなく、実は文庫化待ち)
      「魚神」が良かったので読んでみようと思って...
      「文章巧い!」
      不思議な感覚の文章書かれますよね!(この作品を読んだ訳ではなく、実は文庫化待ち)
      「魚神」が良かったので読んでみようと思っています。
      2012/10/17
  • 西洋の童話をモチーフにして、舞台を現代日本に移した短編集。

    小学生のときに流行った「本当は恐ろしいグリム童話」の世界の耽美な残酷さがすきだったことを思い出します。

    あの記憶からすると、今回はだいぶ陳腐な気がして残念でした…

    確かにあちこちに毒が散りばめられてはいるものの、
    深みがないので印象に残らないというか。

    モチーフとの関連もいまいち掴みにくかったし。

    お伽話イコール耽美なもの、というあたしの先入観が間違いなのはわかっているけども、

    しをんさんのオビに期待しすぎた感が否めません。

  • 西洋童話を新釈するという発想が面白い。
    好きだったのは
    金の指輪(シンデレラ)
    単純にハッピーエンドが好きなだけか。
    鵺の森(みにくいあひるの子)の
    堤くんの弱さも好き。

  • おとぎという単語と、少女趣味なジャケットに惹かれて手に取りました。
    じっとり絡む噎せ返るような匂いのする作品の数々は、確かにかけら。
    全く違う現代の話なのに、読んでいると「これは確かに」とモチーフが理解出来る。
    女子は強いね、どの話に出てきた女子も強い。
    歪で不格好で性的で美しい。散りばめられた毒に夢中になりました。

    『アマリリス』の真由は最後王子様が迎えに来たから、目を覚ますことが出来たんだと解釈した。
    特別じゃないから、それでも求めた王子様は来たから。だから目を覚ました(別れた)んだと。
    『迷子のきまり』『凍りついた眼』『カドミウム・レッド』は特に好き。

  • 2020.2.28

  • 童話モチーフのどろどろ話 一部ホラー

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2019年 『夜に啼く鳥は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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