おとぎのかけら 新釈西洋童話集

著者 :
  • 集英社
3.45
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本棚登録 : 798
感想 : 142
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713701

作品紹介・あらすじ

シンデレラ、白雪姫、みにくいアヒルの子…耽美で鮮烈な現代版西洋童話、全7篇。

感想・レビュー・書評

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  • 普遍的なものになるように編集者の方に選んでもらった西洋童話を、現代に生きる人の感覚や価値観で描いてみたいと思って書いたそうです。
    西洋童話は、本当は恐ろしいと聞いたことがありましたが、千早さんなりの解釈で紡がれた7話もすっと背筋が凍る話がありました。
    人間の持っている悪意、優しさ、美しさ、醜さ…をすごく感じられる本でした。

  • 童話をモチーフにした七つのお話。

    どこか知らない所に来てしまったような
    二度と元いた場所に戻れないような
    何かが歪んでいるような

    そんな不安な気持ちにさせられる独特な
    雰囲気の短編集です。

  • おとぎ話7話を現代の個人レベルで書いた作品。
    おとぎ話のイメージに反して、残酷だったり結末が悲しかったり、妙にリアルで怖い。…あれ?主人公が違うのか?なんて展開もあり。可愛らしいカバーに騙されてはいけない。

  • 西洋童話を現代風にアレンジした短編集。
    どの作品も不気味さと残酷さがあってざわざわする。
    救いのある物語もあれば、そうでないものも。
    世の中綺麗事だけじゃどうにもならないという現実を突きつけられた感じ。
    表紙のかわいらしさとのギャップがすごい。

  • 現代版おとぎ話なかんじ。

    初めて読む作家さんだったけど、人の気持ちの描き方ががかなり的を得ていてすごいと思った。
    ただ、的を得て過ぎているからかどの話の主人公たちも不気味に感じた。

    なんでだろう、、悪い人たちではないのになんだか闇を纏っているような、踏み込み過ぎてはいけない雰囲気をとても感じた。

    全部が重めの話なわけではないが、この世界観は一気読みするには気持ちが疲れてしまい残念ながら途中で断念、、、
    別の作品を読んでるときの小休止として楽しむ感じの作品かなと思った。

  • なんだか不気味な短編集でした〜

  • 西洋の童話を現代の日本に落とし込んだ短編集。
    ほとんどの話がバッドエンド。怪しい空気感が終始続いていて、よくないことが起こる気配に期待しながら読んだ。そして期待はまったく裏切られることはなかった。

    マッチ売りの少女をモチーフにした『凍りついた眼』が抜群によかった。風俗店で働かされる少女と、それを覗き穴から見つめ続ける男の話。
    彼自身が性行為をしたいわけではなく、別の男性客が鋏で少女を怖がらせる様子を見て興奮し続ける。度を超えた行為の結果、少女は死ぬほどの傷を負った。瀕死の少女の眼を見た彼は、自分が求めていたものを知る。

    人間のいやらしい部分が全面に押し出されていて、どの話も素晴らしかった。千早茜さんの小説を続けて読んでいるが、この本が今のところ個人的ベスト。

  • 七つの西洋童話をモチーフに現代風に紡いだ短編集。
    慣れ親しんだおとぎの国の遠い世界のお話は、確かに現実的でない。
    どこか安心して読めてしまう。そこがぬるい、と書かれる千早さんの紡いだお話たちの何と苛烈で容赦ないこと。
    冷ややかでぞくぞくした感覚なのだけど、一方で恐怖と絶望感がねっとり絡みつく生ぬるい嫌さもあってその相反する感覚が絶妙なのです。
    いつの間にかモチーフになった物語を忘れ、新たに息吹いたお話に夢中になってしまう。
    いやはや千早さんの紡ぐ世界は素敵。美しい装丁本の中に仕込まれた毒の味は大変美味でありました。

    「カドミウム・レッド」「凍りついた眼」が好み。この中では異色の「金の指輪」も良かった。
    「白梅虫」はぞわぞわ感が凄まじい。「アマリリス」のさやちゃんのエピソードはいいなぁ。
    毒々しさの中にも美しさだったり、恐怖だったり、救いようのない絶望感だったり、さまざまな味わいがあって堪能しました。

  • 本当は怖いグリム童話?みたいな?

  • 「母親から育児放棄されかけている幼い兄と妹は、花火大会の夜にデパートでわざと迷子になる。公園で出会った女に連れて行かれたマンションで待っていたのは、甘いケーキと、そして…(迷子のきまり ヘンゼルとグレーテル)。「白雪姫」「シンデレラ」「みにくいアヒルの子」など誰もが知る西洋童話をモチーフに泉鏡花文学賞受賞作家が紡いだ、美しくも恐ろしい七編を収録した短編集。」

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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