淡雪記

  • 集英社 (2011年2月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784087713756

作品紹介・あらすじ

馳星周版『フランダースの犬』!
おぞましい出来事、忌まわしい現実、世界を呪いながら、それでもぼくは幸せだった。
有紀の写真を撮っている限り……。
函館・大沼で出会った青年と美少女。
強く惹かれあいながら、過酷な運命に追い詰められる――。
馳ノワールの新境地がここに結実した!

みんなの感想まとめ

テーマは、過酷な運命に翻弄されながらも、愛と絆を求める二人の物語です。主人公の三浦敦史と有紀は、函館・大沼で出会い、互いに惹かれ合いながらも、壮絶な過去や困難に直面します。特に、有紀の知的障害や敦史の...

感想・レビュー・書評

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  • 読み進めるに連れ、敦司の人間性に疑問を抱くようになり、義父に性的虐待を受けていた事がわかったあたりから哀れに思えてきた。
    ストーリーは、ドロドロしながらも、有紀の純粋さがそれをか掻き消していて、「二人でどこか遠くに逃げたらいいのに」と、二人を応援したくなる。
    だけど、クライマックスにさしかかるあたりから、私は敦司がなんて身勝手な人間だと思えてきて、だんだん、だんだんムカついてきました。特に最後、有紀を連れて逃げる場面ではそのムカつきが最高潮に達し、「そんな傷ついた体と状況で、有紀ちゃんを守れる分け訳がないやんっ」と、これは馳星周さんの小説だとわかっていながらも怒りにまみれ、それぐらいこの小説の世界に入り込んでいました。
    そしてラストシーンでは、その怒りは涙に変わっていました。
    敦司と有紀が、愛情ある両親の元に生まれ変わり、もう一度出会えますようにと、願って幕を閉じた、私の『淡雪記』でした。

  • いや、まあ、馳星周って、こういうロリエロものも書けるんだ。びっくりしました、感心しました。
    ラストもふたり抱き合って失血死という(馳星周にしては)ハッピーエンドだし爽やかな読後感。うん、中高生に勧めてもいいんじゃないかな。

  • 主人公が有紀と仲良くなり写真撮り始めるくらいまでは北海道の自然を彷彿させる描写などもあり良かったが、ヤクザ殺した後は暴力沙汰続きでした。

  • 二人は会うべくして会った。三浦敦史は壮絶な過去があり有紀は知的障害がある。その二人が惹かれ合い想像もつかない最期をむかえる。こうなる運命だったのか、、無理があるところもあったがこれはこれで面白かった。

  • 最高!

  •  馳星周「淡雪記(たんせつき)」、2011.2発行。北海道の函館近くの別荘が舞台。カメラ好きの三浦敦史21歳と、とても綺麗だけど心は子供で知的障害を持つ有紀の物語。全524頁。頑張って読み進めましたが、テンポがゆるくて122頁で失速しました。

  • 函館・大沼を舞台に、写真家の青年と妖精のような無垢な少女が出合い、恋に落ちる。

    少女と共に過ごせる時間を守るため、青年は襲い掛かってくる追手に立ち向かい、何とか乗り越える。ただ、そこに高揚感は全くなく、ただただ悲壮感だけが高まっていく。

    そして青年は少女と共に悲しい最期をとげる。

    青年は、義父との間に語れない過去を抱えており、遅かれ早かれひどい目にあっていたであろうことを考えると、この結末において、青年は救われたといえるのだろう。

  • 絶望から破滅へ

    人生の絶望の淵で出会った2人。破滅への道はいつもながらの馳ノワールだが、有紀と敦史の純愛が救い。帯にもあったが努力すれば夢は叶う、という言葉は作者が一番嫌悪する言葉だろう。この世には救われない魂も存在するのだ。作者は綺麗事を一切排除し、それを描き続けている

  • #読了。
    カメラマン志望の敦史は、北海道の別荘地で知的障害のある有紀と出会う。有紀はモデルになり、2人はどんどん接近していくが、共に人に話せなかった暗い過去が・・・
    馳さん得意のノワール小説だが、少々物足りず。2人が出会った後に守るため、というなら別だったような。

  • 終わりが見えてる愛って、純度が高くなる気がする。
    悪人で済まされてしまうだけの人の胸のうちにも、良心あれば愛もある。またその逆も。それが人間だと思う。
    二人とも死んじゃったけど、これはハッピーエンドなんじゃないかな。泣けた。

  • まさにこの本が主人公の写真に等しい。この構図と
    被写体が決まった時点で失敗は薄いけど、それを
    ここまで高めたのは筆者のレタッチ能力なのでは

  • タイトルに惹かれて、手に取った。冒頭はほんわかとした恋愛小説のような滑り出し。最終的には、『フランダースの犬』であり、タランティーノがシナリオを書いた映画『トゥルー・ロマンス』のようでもあり、存分に楽しむことができた。映像的であるが、実際にドラマ化するのは難しいだろう。ヒロインの有紀にぴったりはまる女優が思い浮かばないからだ。

  •  前半は、馳の作品と知らなければ気づかないほど、抒情的でオーソドックスな純愛小説のようであった。世間から隔絶した感のある真冬の道南は大沼にある別荘地。もちろん人がほとんどいない別荘地から、見上げる蝦夷駒ヶ岳。大沼のハクチョウたち。四季、道南でも仕事をしていたぼくは、この地域にも土地勘がふんだんにあって、今でもその土地の風のにおい、雪のきらめき、星の冷たい輝きなどなどを、懐かしむことができる。

     不思議な符号だな、と思ったのが、この正月アナログにとうとう見切りをつけてデジタル一眼レフを買い込んだこと。カメラを持ち歩いて北海道を写し込んでゆく楽しみに心を奪われていた正月休みであったこと。そして本書の主人公がデジタル一眼レフにすべてを注ぎ込んで、大沼の野性を切り取り続けていることである。本を読み始めた当初から、ああ、これはちょうどよいときに読むことができたな、と思った。昔はカメラマニアは暗室を家の中に設けて、その中で自分で現像を愉しんだものだが、今では、パソコンに取り込んだ画像データをレタッチソフトで調整して、プリンターで出力する作業に切り替わっている。

     後に写真家になった中学時代の友人の家で、敢えてモノクロで撮ったフィルムを現像し、カメラの露光ばかりではなく、フィルムの感度や焼きつけの深度によっても、写真はいろいろな風にアウトプットされるのだと知って、赤い光の中で驚かされた記憶がよみがえる。光と影だけでなされる魔術の世界だった。

     そんないわばカメラ小説のようなスタートから次第に、写す対象として出会ってしまう知的障害者の美少女との恋愛へと、物語は移行する。最後は、ようやく馳ならではのノワールとなって、壮絶な暴力で幕を閉じてゆくのだが、全体が人気のない大自然の中での一人称文体であるだけに、どの作品よりもリリシズムの感じられる、美しい作品である。

     少し前に『沈黙の森』で軽井沢の別荘地を舞台にしたスリラーを書いているが、そこに重なる部分が本書には残る。既視感(デジャヴ)を感じさせないでもない。

     最近、練度を増してきた馳星周である。もうすっかり身を任せることのできる小説世界を構築してくれるようになった。元は自分に近いところで一緒に酒を飲み、呻きあっていた坂東齢人という二十代の若者が、ここまで切れ味のある作家になってしまうとは。ますます遠ざかる友人の背中をぼくは眩しげに見つめなおすばかりである。

  • 昔にみたドラマ、「聖者たちの行進」を思い出した。
    有希が可愛そう・・・・

    大人の欲望やエゴで傷つく子供がどれほどいるんだろう・・・
    せつなくなるお話。

  • 覚悟を決めた少年と、悲惨な生活を送り続けた少女とのストーリー。

    馳さんの作品の中でもロマンチックで良かったです。

  • ☆☆$$著者らしさが戻ってきたが、$$往年のらしさは半減。$$別荘の話しが多すぎる・・・。

  • 裏切りの薄い作品。
    男性向けにわざとなのかもしれないけど、洋服に関しての説明が残念。
    真っ赤とか、白のエナメルのコート、バブル?ぽいダサさ。
    専門用語使わなくても、襟とかシルエットとか
    一言入れて貰いたかった。

  • やけくそな少年が清らかな少女と出会う話。暗黒展開は相変わらずですが、文体がちょっと違うような気がします。
    なんだかんだいって、この人はロマンティストなんだろなと思う。

  • イケメン先輩からお勧め頂いた本。

    ラストの展開は壮絶。

  • 僕の人格形成に影響を与えた「不夜城」の著者「馳星周」の著作はだいたい読んでいます。なかなか「不夜城」を超える作品が出てこない・・・。けど小説の世界に入り込むことで自分では体験できないことを疑似体験できるのは醍醐味だと思います。特に馳さんが作り出す暗黒の世界はすごい。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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