残酷な王と悲しみの王妃

著者 :
  • 集英社
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713817

作品紹介・あらすじ

運命の支配か。宿命への挑戦か。アン・ブーリン、マルガリータ・テレサ、イワン雷帝etc.数百年の時を超え、王族たちの生々しい息遣いがここに甦る。『怖い絵』の著者がヨーロッパ王朝の光と影を辿る歴史読み物。

感想・レビュー・書評

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  • 第一章 メアリー・スチュアート

    第二章 マルガリータ・テレサ

    第三章 イワン雷帝の七人の妃

    第四章 ゾフィア・ドロテア

    第五章 アン・ブーリン

    主役はこんなところですが、登場人物はめっちゃくちゃ多いです。
    中野京子さんが系図や肖像画を載せてくださって
    大変わかりやすくなっていて、面白いです。

    表紙はマルガリータですが、マルガリータのページが一番少ないです。
    でもやはり表紙は彼女以外考えられませんよね。

    マルガリータについては中野京子さんの他の本でも
    また他の作家のかたの本でもさんざん読んできましたが
    この本で初めて知ったことがたくさんあります。

    たとえば「結婚後は幸せだったようです」
    という漠然とした話は今までも入ってきましたが
    具体的に書いてくださいました。
    それは読んでのお楽しみということで。

    今回は五章ということで、今までで一番いろいろなことが詳しく書かれていると思います。
    バルボラ(この本の裏表紙にいます)のことは悲しかったけど…。

    中野京子さんはきっとたくさんの情報を得ながら
    紙面の都合でどうしても多くを省かざるを得なくて
    こうして同じ人物を繰り返し書いても
    新しいことを少しずつ加えて書いているのだろうなと思いました。

    きっともっともっとたくさんのことをご存知なんだと思います。
    楽しみにしています。





    http://nagisa20080402.blog27.fc2.com/blog-entry-302.html

  • 血族への執着あな恐ろしや…
    ヨーロッパ史に登場する名門家にむくむくと興味が湧いてきました!
    ハプスブルク家、ブルボン家、イギリス王家へと積読はたまる一方です…

  • いやそんな、無茶苦茶な!残酷で非道。これ本当なんですか、ひえー。
    中野京子さんは2冊目、同じ人物が出てきたような、、歴史の細かい事は覚えられず。カタカナ名も苦手です。だけどおもしろかったです。
    怖い絵シリーズというのもあるそうなので、そちらも読んでみたいです。

  • 他著と重なるエピソードも多いが、まとめ方によって感じるところは違って大変面白い。

  • ハプスブルク家→マリーアントワネット→マリーアントワネットのヴァレンヌ逃亡と興味が広がって色々読んでいるうちに、ヴァレンヌ逃亡で中野京子氏を知った。
    とてもわかりやすくて面白かったので、今度は本書を読んでみたのだが、やはりわかりやすくて面白かった。

    興味があって色々読んでいても、私は覚えられないし詳しくもなっていないので、本書で取り上げられた人達のことは(表紙のベラスケスの絵以外は)全く知らない。
    特にロシアに関しては全く勉強したことがなく知識がないので、イワン雷帝にはびっくりだ。

    このように、好きではあるのに全然詳しくない私にも本当に面白く読めた。
    2も読んでみたい。

  • このシリーズ、最初に続編の2から読んでしまったけど、断然こちらの方が面白かった!
    もうこのシリーズはいいかな~と思いながら手にして読んだ所、中々面白いし引き込まれた。
    ちょっと嫌らしい言い方だけど、人の気を引く書き方が上手だと思う。
    まず、導入部にエリザベス一世とスコットランドの大使のやり取りが書かれていて、それを見るとその先が知りたくて次々と読んでしまう。

    この本には5話の王室、王と王妃のエピソードが描かれている。
    1章はスコットランド女王、メアリ・スチュアートについて。
    この話では王の存在が希薄で、タイトルの残酷な王・・・というよりはメアリ・スチュアート自身の不遜な態度が自らの悲劇を招いた事が描かれている。
    彼女は美人で、フランスじこみのエレガンスさを身に着けた魅力的な女性だったらしい。
    だけど、自分より容姿の劣るエリザベス女王、姑を見下していた。
    それが悲劇を生み、最後は斬首刑になるが、そこでも自分らしいファッションのこだわりを見せた事で最後の最後にさらなる悲劇を生むことにー。

    人間、いつ立場が変わるやら、状況が変わるやら分からない。
    絶頂の時にある時こそ、慎重に事を運ばねばならないと思わされる逸話だった。

    2章の王妃はスペインのマルガリータ・テレサ。
    当時としても流行おくれな古い格式、あまりに濃い血縁結婚・・・そんなスペイン王朝で育った彼女のはかない一生が描かれている。
    この章では彼女自身は平凡な女性なのに周囲が特異で、そんな彼女の肖像画を描いたベラスケスの筆の方に興味を惹かれた。
    ちなみにこの本の表紙は彼女の幼い頃のもの。
    愛らしいこの少女がたった数年で、平凡な容姿になりつつあるのを素晴らしい筆で描いている。
    それが興味深く、この章では何度も紹介されている絵を眺めてしまった。

    3章はロシアのイワン雷帝と7人の妻について。
    ここで紹介される妻はほとんど顔や生年が分かっていない。
    当時のロシアの夫婦の様子ー夫から妻に対するDVなど当たり前で、妻はただ子供を産む道具にすぎない事や、それに輪をかけて、残虐な上に絶対服従の権力をもつ王の妻となる悲劇が描かれている。

    4章は、ドイツのゾフィア・ドロテアについて。
    人生の3分の2を幽閉されなくなった女王。
    嫁ぐ前から婚家と自分の出自に因縁があると知っていた彼女は嫁ぐ前から嫌がっていた。
    もともと身分の低い出の彼女は結婚してから孤立無援、宮廷内で軽んじ続けられた。

    最後の話は、ヘンリー八世王妃アン・ブーリン。
    歴史上は悪女として知られる女性だが、そこにはどうしようもない事情がからんでいた・・・というのがこれを見ると分かる。
    手に入らないと余計に欲しがる子供のような王と、それを手練手管で手なずけて何とか自分の命をつなげようとする女性。
    手に入ればすぐに飽きてしまう・・・そんな男性の残酷さと計算高い立ち回った女性の、女性ならではの感情的な様子とそれによって堕ちていく様子が印象的だった。

    こういう話はただ王の残虐さや女性の悲劇的な部分だけを露悪的に描いていたのではただただ下世話な印象になる。
    本当の事を書いてあるのかどうか分からない週刊誌を読んだような印象になってしまう。
    でも、この本は客観性やちゃんとした印象を受ける。
    それは作者の文章力にもよると思う。
    歴史について詳しい人が読めば、こんな事は知ってるという事ばかりだろうけど、私は名前しか知らないという人物がほとんどで、読んでいて興味深かった。
    本に載っている肖像画の数々も見ていて楽しめた。

  • ヨーロッパの王族たちは同じ名前が多いし近親結婚もしているので、勉強してもすぐ混乱してしがちです。しかし、中野京子さんの読ませる文才と絵画との関連付けや強烈なエピソードで、歴史を見てきたように新鮮に印象に残りました。また、この本の構成も章ごとに近い年代、関連性を持たせて書かれているので、同じ位の時期に別の国で何が行われていたのか、また、誰と誰とか繋がっているのかが良く分かり、歴史を立体的に捉えられる点で良い構成だと思いました。

  • ヨーロッパにおける王と妃、その生涯を
    史実に基づいてわかりやすく解説。
    スコットランド女王メアリー・スチュアート
    ローマ帝国皇帝レオポルト一世皇妃マルガリータ・テレサ
    ロシア初代ツァーリ、イワン雷帝の七人の妃
    イングランド王ジョージ一世の妻ゾフィア・ドロテア
    エリザベス一世の生母アン・ブーリン

    「怖い絵」が面白かったのでこちらも読んでみました。
    とても興味深かった…
    このあたりのヨーロッパの歴史勉強してみようかな…

    個人的に一番印象に残ったのは
    ロシア雷帝かな…
    もう狂気としか言いようがないのに
    それを止められない地位と情勢…
    「女房を殴れば殴るほどスープが美味しくなる」
    という諺があったって…なんだそりゃ!
    それでも最初の妃アナスターシャが若くして不審死
    しなければ歴史も変わっていたのかもしれない…

    ただ、日本の歴史でも一族似た名前をつけるので
    覚えににくくて困るのに
    全く同じ名前をつけたりするもんだから
    分かりやすいように配慮して書いてくれてるけど
    なにがなんだかわからなくなる…
    (ゾフィア・ドロテアとか)

  • <閲覧スタッフより>
    絵画と歴史を重ねて読み解く1冊。ヨーロッパ王室の残酷で悲しい歴史物語。登場人物が同名ばかりでややこしいですが、顔つきの家系図を見ながら読んでいくと分かりやすいです。
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    所在記号:288.493||ナカ||2
    資料番号:10252158
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  • 毎回、同じ様な事が書かれてるのに目新しさを感じる。
    絵画好きには堪らない作品。しかも当時の歴史にも学べる、一石二鳥も三鳥も得した気分。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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