箱庭図書館

著者 :
  • 集英社
3.70
  • (242)
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  • (83)
  • (11)
本棚登録 : 3805
レビュー : 569
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713862

作品紹介・あらすじ

少年が小説家になった理由。コンビニ強盗との奇妙な共同作業。ふたりぼっちの文芸部員の青くてイタいやりとり。謎の鍵にあう鍵穴をさがす冒険。ふと迷いこんだ子どもたちだけの夜の王国。雪の上の靴跡からはじまる不思議な出会い。集英社WEB文芸「RENZ ABURO」の人気企画「オツイチ小説再生工場」から生まれた6つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • なにが凄いって、この装幀!
    今年に入って読んだ本の中では、間違いなしのベスト1です。

    乙一さんが、6人の読者のボツ原稿をリメイクし、巧みに繋げた短編集。
    これにTwitter経由で『箱庭図書館』とタイトルをつけたゆーまさんという方も凄いけれど
    物語の内容と、このタイトルを、まるで身体にぴったり馴染んで
    水の抵抗さえなくしてしまうハイテク水着のように包み込む、装幀の素晴らしいこと!

    リメイク作品を繋げて書籍化するという大胆な試みを「実験」と捉えて
    無菌の実験室のような白い背景に、図形化された均一な文字が配置され、
    でもその文字のそれぞれに、エッシャーのだまし絵を思わせるような
    立体の空間がさりげなく繋がっていて。
    「乙一」の文字も無機質な図形に転換されて横から見ると、英語の「IN」と読めて
    まるで「この箱庭に入ってごらん」と呼びかけているかのよう。

    本文が印刷されている紙まで、単行本には珍しいほどの目に眩しい白で
    「おお、ここまで実験室のイメージを意識してるとは、すごいなぁ」
    とひたすら感心していたら、なんと6篇めが『ホワイト・ステップ』。
    無機的な実験室の白が、降り積もるやさしい雪の白さに一瞬で塗り替えられました。
    もう! 乙一さん、油断ならない作家です。

    テイストも癖も全くバラバラの6篇を、持ち味を損なわないよう
    愛すべきキャラクターとキーアイテムで魔法のように繋げて
    「ここはどうなってるの?」と細部まで覗いてみたくてたまらないような
    緻密な箱庭を作り上げてしまう。

    本の虫を自認する読者なら好きにならずにはいられない、
    本を読み耽っていて遭難しかける図書館員の潮音に会いに。
    「物語を紡ぐ町」文善寺町の小さな通りを散歩しに。
    降り積もった雪にかじかんだ指が綴る文字の、温かさを知るために。
    どうかあなたも、この箱庭図書館を訪れてください。

    • だいさん
      今回のレビューは冴え亘っていますね。
      >エッシャーのだまし絵
      の表現のごとく、言葉が回遊している。
      とても楽しいです。

      今回のN...
      今回のレビューは冴え亘っていますね。
      >エッシャーのだまし絵
      の表現のごとく、言葉が回遊している。
      とても楽しいです。

      今回のNo1は、
      「ハイテク水着」。
      本当は「ハイレグ」の方が好きですが…
      2013/03/15
    • まろんさん
      だいさん☆

      「ハイテク水着」が、そんなにお気に召したとは♪
      「ハイレグ」になってしまうと、
      本のカバーに切り込みを入れないといけなくなって...
      だいさん☆

      「ハイテク水着」が、そんなにお気に召したとは♪
      「ハイレグ」になってしまうと、
      本のカバーに切り込みを入れないといけなくなってしまいますね(笑)

      ボツ原稿をリメイクして繋げてしまうという実験が
      とても面白くて、乙一さんの遊び心と力量を感じる本でした(*'-')フフ♪
      2013/03/15
  • 読むまで知らなかったのだけれど、この本は読者からのボツ原稿をリメイクするという企画だったらしい。読者からという事は、様々な色、様々な書き方だったはずが見事に乙一さんらしいストーリーとなっている事に驚いた。
    同じ街、同じ登場人物を出す事によりファンタジー・ミステリー・青春物など一見バラバラな話に統一感を持たせ、短編集だけれど一つの物語のような気分にさせられるのも流石。
    どの話も面白かったが、最後の話が特に良かった。ホロリとくる…。

  • 乙一さんの小説を初めて読んだ。
    乙一さんの言葉紡ぎ、リズム感は結構好きかも、と感じた。

    のだが…

    「箱庭図書館」は、素人のボツ作品を募集し、乙一さんがリメイクしてできた作品でした。
    あとがきにも、元ネタを多く引用していたりするらしいので、乙一さんの良さなのか元作者さん良さなのかわからないなと。

    でも、おもしろかった。読んでいて気持ちがいい作品が多くありました。

    「小説家のつくり方」
    重度の活字中毒 潮音さんが登場。
    家族じゃないからエピソードが微笑ましい。こんな人がいたら飽きないだろうな。家族だったら…やっぱ大変かw

    「青春絶縁体」
    ぼっちが迷い込んだ文芸部でのお話。
    文芸部の中と外。2つの世界で別々だった2人が交差していく、すれ違っていく。
    青春です! 2人がかわいいよ〜。

    「ワンダーランド」
    ミステリーだ。軽く怖い。冷たいアスファルトの部屋に言葉がコツン、コツンと落ちてくる感じがした。
    サイコな感じも良かったです。

    「ホワイト・ステップ」
    この話、好き。
    ある雪の日の不思議な話。
    お互いが見えない別次元の2人が重なり巡り逢った。
    2人が希望を見つけて歩み出す。とてもやさしい気持ちになれるステキなお話。


    潮音さんを主人公にした話をもっと読みたくなった。

    乙一さんも気になる小説家になりました。

  • 乙一が、投稿者のボツ原稿をリメイクするという企画モノ。

    「青春絶縁体」の、ぼっち2人の空気感が好きでした。中田永一こと、白乙一らしいセンス。この口の悪さとか、たまらないです。

  • 読者からの投稿で没になったものを乙一さんがリメイクするという一風変わった作品。
    舞台は同じ町で起こるストーリーで全6編。
    「小説家の作り方」「コンビニ日和!」「青春絶縁体」「ワンダーランド」「王国の旗」「ホワイト・ステップ」

    どの話も軽いタッチでさらっと読めるけど、それ故に油断しているとオチでやられます。

    「ワンダーランド」が一番ミステリ色が強かったかな。最後にぞわ~っとします。
    「青春絶縁体」は学校で誰とも溶け込めず唯一話せるのは同じ部活の先輩だけ(部員2名)。
    でもその先輩も実はクラスではぼっちで…という切ないストーリー。
    乙一さんのこういう作品も結構好き。

  • ブクログで知って読みましたが、いかにも今風な作品でした。応募作品からピクアプした6作品をリメイクした短編集の形でリメイク段階で統一感も織り込まれていて単独の作者の短編集かと思えるくらいですね。私は初めての作者 乙一さんですが、なんと福岡の方とは! 作者名も装丁も本の作り方もアタラシサが伝わってくる秀逸な一冊でした。2011年の作品

  • 文善寺町という一つの町を舞台にしたオムニバス形式の一冊。ネットで一般募集した没原稿を乙一さんがリメイクするといった作品の短編集でした。それぞれ別の人が原作であり、設定や世界観が個性があり、そこに乙一さんのテイストが加わってすべての話に引き込まれました。
    中でもお気に入りなのが「ホワイト・ステップ」でした。物語の締めに舞台の町に少し焦点を強く当てて、雪上で登場人物がやりとりをする、少し涙腺にくる内容でした。

    ちなみに潮音さんが好きです

  • ひとりの図書館員の存在で点が線になる、「物語を紡ぐ町」——文善寺町ですれ違うストーリーにはわくわくしました。
    6つそれぞれがそれぞれに違った雰囲気を持っていたのも良かったです。その辺りのことは、あとがきを読んでなるほど納得。

    特に最後の『ホワイト・ステップ』がお気に入り。人にすすめたくなる一冊です。

  • デビュー作読んでこの人無理~と思ったのだけど、ホワイトとかブラックとかあるんですね。
    別名義の青春小説がとてもよかったので、ホワイト乙一さんも読んでみようと。

    ボツ小説の再生工場という本作のコンセプトは知っていてけど、
    バラバラの作品でここまでの連作短編にしてしまうとは
    やっぱりプロの書き手はすごいんだなぁと感心してしまいますな。
    お話しの中だけで完結しない、登場人物にも舞台の町にも
    過去があり未来があり同じ時や場所を共有しているたくさんの人がいて
    という全方向への広がりを感じられて、ちょっとハッとしました。

    「青春絶縁体」と「ホワイトステップ」がよい。
    タイトルがほんとに秀逸だなと思います。

  • 読者の作品を乙一がリメイクしたもの。すべてもとは違う作品だったのに、作品すべてがリンクしている。

    好きなのは「ワンダーランド」、「ホワイト・ステップ」。

    「ワンダーランド」は怖い終わり方をする。鍵が最後までどこの鍵かわからないけど、「王国の旗」でわかるようになっている。

    「ホワイト・ステップ」の主人公は乙一自身のような雰囲気がある。いい話。主人公の後をついて歩く描写がなるほどなと思った。

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著者プロフィール

乙一(おついち)
1978年福岡県生まれ。山白朝子(やましろ あさこ)、中田永一(なかた えいいち)の別名義で執筆する小説や、安達寛高(あだち ひろたか)という本名名義で脚本を記すこともある。
1996年に『夏と花火と私の死体』で、第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。
2003年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞受賞。2012年、『くちびるに歌を』(中田永一名義)で第61回小学館児童出版文化賞。
代表作として、映画化もされた本屋大賞ノミネート作『くちびるに歌を』のほか、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『失はれる物語』などがある。作品の多くが漫画化、映画化された。

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