永遠の故郷――夕映 (永遠の故郷)

  • 集英社 (2011年1月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784087713886

作品紹介・あらすじ

不世出の批評家による歌曲の考察、ついに完結。
「絶望的なまでに懐しい」シューベルトの歌曲の魅力。歌が生まれ戻っていくところを、5年にわたり考察し続けた著者が97歳にして到達した境地とは。音楽批評の金字塔、感動の最終章!

感想・レビュー・書評

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  • 2018年6月10日に紹介されました!

  • ベートーベンの「我、汝を愛す」に始まり、シューマンの「詩人の恋」。このハイネを芭蕉に喩える説明は、あまりにも的確という印象でした。そして何といってもシューベルト「冬の旅」をはじめとする多くの歌曲集。「日常的な世界から離れて、もう一つ上の高い-あるいはもう一つ下の深い-ところに連れていかれるような感じ」という表現はわかるような気がします。次々と続く暗い曲の中で11曲「春の夢」が、優しい仄白い光にたとえる美しい文章は秀逸だった。そしてそれがイ長調であるという説明との説得性も。(P174)。著者の英独仏語詩への造詣の深さと音楽が結びついたすごい本です。

  • 圧巻は最後の「菩提樹」。戦時の鬱々とした記憶と、トーマス・マンの「魔の山」と、どこまでも優しいシューベルトの「菩提樹」が、それこそこの木の幹のようにからまって一つの穏やかな文章になっているような。

  • 最後はシューベルトだった、そして、「冬の旅」の「菩提樹」。
    日本人にも超なじみの曲は、あまりにも深い思いがありすぎて
    今の私でも歌えない。
    『夜』『薄明』『真昼』と続いた最後の吉田先生の歌曲の世界。
    原詩と先生の訳を見ながら、自分でも訳してみるのが楽しい時間だった。
    どうか先生もいつまでもお元気で!

  • シューベルトに当てられている後半の7章を主に読む.「夜と夢」をとりあげた「シューベルトの歌(I)」,「春を信じて」,「水の上で歌う」をとりあげた「シューベルトの歌(II)」,そして最後の「菩提樹」が特に心に残る.百人一首の話を導入にしたり,「水の上で歌う」を聴いて論語の一節を思い浮かべたり,自由な精神の飛躍にうなる.それがまた音楽を非常に的確に映し出している.そして最後の「魔の山」にでてくる生と死をつなぐ「菩提樹」.
     氏の文章はいつもそうなのだけれど,言葉にしてしまうと非常にもっともなことなのだが,私のような凡人がうまく言葉で表現できないことをうまく言葉にしてしまう.そこに大きな共感が生まれる.「シューベルトの歌(I)」にワーグナーの旋律について言明について,「(私も彼のようにシューベルトの旋律について語りたかったのだが)、こういう想像の深みから出た言葉で語るのはワーグナーだけができたことである.」という文があるが、これを私は吉田秀和に当てはめたい.このように音楽を語れるのは彼だけができたことである.

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著者プロフィール

1913(大正2)年9月23日、東京日本橋に生まれる。東京大学文学部仏文科卒業。1946年、『音楽芸術』誌に「モーツァルト」を連載、評論活動を開始する。1948年、斎藤秀雄らと「子供のための音楽教室」を創設し初代室長に就任。1988年、水戸芸術館館長に就任。2006年、文化勲章受章。著書に『吉田秀和全集』全24巻(白水社)、『之を楽しむ者に如かず』(新潮社)、『永遠の故郷』(集英社)など多数。2012年5月22日、急性心不全により逝去。享年98。

「2025年 『音の世界のそのことを』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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