おしまいのデート

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 3233
感想 : 571
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713893

作品紹介・あらすじ

この世はいろんな"デート"で溢れてる。待ち合わせが生み出すワクワクする気持ち、楽しいひととき、別れる時のちょっとした切なさ。

感想・レビュー・書評

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  • 親の離婚後、月に一度外で会うようになった孫とおじいちゃん、元不良の教え子と定年間近の老教師、などいろんな2人が最後のデートをする話の短編集

    いろんな形のお別れを描いているのに瀬尾まいこさんの作品らしさ全開で切ない別れのシーンのはずが心があったかくポカポカしてくる「切なポカポカ」短編が盛り沢山やった!

    「ランクアップ丼」上じいが大好きです!!!ちょうどオモウマイ店を今日観たからさらに2人の情景がリアルに浮かんで「上じぃぃぃ!!!」って心の中で叫んだ!!!

    短編集やからサッと読めて日頃の疲れた心にポッと陽を灯してくれる暖かい物語

  • 食べることが
    生きることの基本だと言い続けてきた瀬尾さん。

    彼女の小説は
    自分にとって
    「卵かけご飯」のようなものです。


    シンプルなんだけど
    何度でも
    また食べたくなる。

    ホッとひと息つける
    素朴なあたたかさを
    読むたびに味わえる作家の一人です。


    そしてこの短編集でまず惹かれたのは、
    卵かけご飯ならぬ
    玉子丼を扱った
    「ランクアップ丼」という話。


    半熟の玉子がつやつやした
    とろりと甘辛い旨味の玉子丼。


    初老の教師である上じいと
    母子家庭で育った
    ちょっと不良な高校生、三好くんとの
    玉子丼が繋ぐ
    ぎこちなくもあったかい会話が
    ホンマいい具合なのです。


    世代も環境も立場も
    すべて越えて
    玉子丼で繋がる固い絆。

    自分はそんないい先生とは巡り会えなかったけど、
    上じいのような職場の上司に
    何度も救われたことを思い出して
    自然と目頭が熱くなりました(>_<)



    他にも
    女子中学生とじいちゃんとの
    月イチのデート、

    高校生の少年同士の
    奇妙な初デート、

    捨て犬をシェアする
    少年とOLの
    夕闇のデート、

    新米保育士と園児の父親との
    デートまでの道のりなどなど、

    タイトル通り
    様々なデートの模様が収められた本作。


    デートに欠かせない
    ワクワク感と共に
    食事描写も楽しいのです。


    デートの計画を立てるのに欠かせない
    ソフトクリーム。


    切なくしょっぱい
    涙味の天丼。


    寒空の下、
    公園のベンチで食べる
    手作りのおにぎり。


    草むらの上で食べる酢豚とビスコと
    甘ったるいコーラ。


    ほら、
    好きな人と食べる食事の
    なんとも幸せな空気感が
    少しは伝わってきたでしょ?(笑)



    ファーストフードも
    コンビニ弁当も
    家族の食卓も
    食事は食事。


    だけど食事は
    作った人がそばにいて、
    目の前に同じものを食べてる人がいるだけで
    味が格段に違って思える。


    自分を育て
    自分を救ってくれるのは
    毎日の食事であり、

    好きな誰かと過ごす
    何気ないひとときであることを
    この小説は無意識に教えてくれる。


    恋も愛も年齢も性別もすべて越えた
    人と人との逢瀬を描きながら、

    あくまで人の心にフォーカスを当てた
    優しい作りに感動する、
    あったまるこな一冊です(^O^)

    • まろんさん
      丼もののごはんにじわっと滲みたおつゆみたいに
      瀬尾さんらしさがにじみ出ている本ですよね♪

      どれひとつとっても、ラブラブ♪な男女の普通のデー...
      丼もののごはんにじわっと滲みたおつゆみたいに
      瀬尾さんらしさがにじみ出ている本ですよね♪

      どれひとつとっても、ラブラブ♪な男女の普通のデートじゃないのだけれど
      そして、どこか切ない「おしまい」のデートなのだけれど
      でも、登場人物にとってはみんな新しい一歩につながる大切な経験になっていて
      ほんとに「あったまるこ」な本でした(*'-')フフ♪
      2012/12/10
    • 円軌道の外さん

      いつもたくさんコメント
      ありがとうございます!

      じわっと滲みたおつゆみたいって
      いやぁ〜
      まさに言い得て妙っスよね〜(笑)...

      いつもたくさんコメント
      ありがとうございます!

      じわっと滲みたおつゆみたいって
      いやぁ〜
      まさに言い得て妙っスよね〜(笑)(^O^)


      自分の中では
      困った時の瀬尾さん頼みで(笑)

      嫌な気分の時や
      後味悪い小説を読んだ後なんかに
      無性に読みたくなるのが
      安心印の瀬尾さんなんスよね〜♪


      まろんさんの言うように
      普通じゃないデートばかりなんやけど、

      瀬尾さんの眼差しがあたたかいから
      どの人物にも共感できるし
      物語に入り込んじゃうんです。


      いろんなタイプの話を書ける作家もいいけど、
      甲本ヒロトや
      忌野清志郎や
      ストーンズなんかのように

      偉大なるワンパターンも
      実は難しくて
      スゴいことなんやって、
      瀬尾さんの作品読んでても思うんスよね。


      毎回あったかくて
      心地いい読後感をくれる作家って
      そうそういないと思うし(笑)

      そういう意味でも
      自分にとって
      オンリーワンな作家が
      瀬尾さんなんです(^_^)v


      2012/12/14
  • さらっと読める1冊。

    1つ目「おしまいのデート」孫とおじいちゃん
    2つ目「ランクアップ丼」先生と生徒
    3つ目「ファーストラブ」高校生男子同士
    4つ目「ドッグシェア」離婚OLと大学生男子
    5つ目「デートまでの道のり」保育士と園児

    恋人ではないけれど、大切な人同士の出会いと別れ。
    それを「デート」と表現されているのは素敵だなと思います。

    その人との時間が自分にとってどんな意味を持つのか。それはおしまいの時にようやく分かるものなのかもしれないな、と思いました。

  • 風変わりなデートをめぐる短編が5本入っています。
    さらりと読めて切ない後味。

    「おしまいのデート」
    月に一度、祖父と会うことになっている中学生の女の子。
    両親の離婚後に最初は父と会っていたのだが、父が再婚した後は、祖父が来るようになったのだ。
    それも事情が変わることに‥

    好評の「ランクアップ丼」は、高校生のときにケンカした後に声をかけてくれた教師の「上じい」と、一緒に玉子丼を食べる習慣になっていた男子。
    大人になり、天丼にランクアップしようと思っていたとき‥

    ただの同級生の男子から突然誘いを受けて戸惑う男子。
    深読みして内心焦ったりしつつ、一緒に遊ぶのは予想よりも楽しかった。
    大量のおにぎりを作って持って来たのは、お礼だという。
    妙に意識したところから、意外な友情が芽生えた。
    ところが‥?

    公園で見つけた犬を一緒に飼うことになる「ドッグシェア」
    バツイチ30代のOLが、生意気な男の子と知り合う。
    犬の飼い方など知らない様子で、中華料理などを置いていく男の子だったが‥

    「デートまでの道のり」
    園児と教諭の話。
    じつは園児の父と交際を始めているのだが、それを切り出すまでには男の子のことをよくわかるようになってからと慎重になっている。
    5歳の子供のほうは、子供なりにお見通し?

    人と人とのふれあいがほのかで、あたたかく、とぼけていて、ちょっと笑えて、じんわり来ます。

  • 瀬尾さんの作品は、人との関係を、食で取り結ぶことが多いけれど、この本の短編にも人と人とをつなぐ食事が出てくる。
    満腹になると、幸せ中枢が刺激されるっていうけれど、誰かと美味しいものを食べればそれだけで、けっこう単純に幸せになれちゃうもんやねんなぁと改めて思った。

    5編の中で、とりわけ印象的だったのが『ランクアップ丼』。

    なんちゃって不良で、学校さぼったり喧嘩をしたり、悪さをするたびに
    「まあ、三好。玉子丼でも食って、腹膨らまそうか」
    と誘ってくる上田先生、通称上じい。
    とろりとした玉子、玉子と甘いだしが絡んだふっくらしたご飯…。
    お腹をすかせてイライラしている生徒に、甘辛くてつやつやとした、あつあつの玉子丼を。
    玉子とねぎだけのシンプルな料理だけれど、これ以上の贅沢はない。

    卒業後は、給料日のたびに上じいに玉子丼をご馳走するようになった三好くん。
    「俺が結婚しても、子どもが生まれても、みんなにホモやって言われても、借りや貸しやとか面倒なこと言わんと、こうやって一緒に玉子丼食おうな」
    なんて、こっぱずかしいことを言い、上じいは素直に頷く。
    あと1回、ランクアップした天丼をご馳走すれば、全部借りは返すことになっていて、上じいが言うであろう言葉を思い浮かべながらうきうきして出向いていく。
    でもそこに上じいはやって来なくて…。

    幸福な食卓での衝撃が忘れられず、多少身構えながら読み始め、読みながら「あぁこれはヤバイかもしれない」とまで思っていたのに、、、

    わぁぁん、上じいいいいー!!

    となってしまいました。
    上じいのとぼけた応答が好きで、三好くんとずっと玉子丼食べていてほしかった。

    そのほかのお話もそれぞれに温かくて、寒い冬の日に、ほっこりとした気持ちにさせてもらった。

  • あっさり小1時間ほどで読めてしまった。
    いろんな形の出会いと別れを描いた短編が5つ、
    どれも心が温まるような瀬尾さんらしいやさしい余韻がありました。

    「おしまいのデート」も「ランクアップ丼」も、おじいちゃんがかっこいい。
    かっこいいじいちゃんってのはいいね。
    表紙の天丼が泣ける。

    広田くんと宝田くんの「ファーストラブ」がいちばん好きかなー。
    男の子ってかわいいよね。

    「ドッグシェア」と「デートまでの道のり」も、何気ない機微があたたかい。

    どの話も、ハッピーじゃないハッピーエンドがなんかいいなと思った。

  • 短編ですが、どのお話しも結局『あぁ、なるほど。だからおしまいのデートなのね』と納得してしまいました。
    題名からすると、それぞれのお話が男女の恋愛なのかと思っていたら、期待は見事に裏切られてしまいました。
    人と人のつながりについて、一話一話話の内容は違うのにしっかりと深く受け止めることができました。

  • 題名から勝手に、恋人同士の別れ話かなと思っていましたが、なるほどそうきたか。色んな『おしまいのデート』が詰まってました。

    特に2話目の『ランクアップ丼』のお話が素敵だったし、ジーンと泣けました。

  • 5編の短編集。
    デートと一口にいってもその組み合わせは色々で。
    ちょっとせつない「ランクアップ丼」
    ちょっとした(?)勘違いでドキドキさせる「ファーストラブ」
    未来の家族の姿が想像できて微笑ましい「デートまでの道のり」等々。
    瀬尾さんも好きな作家さんのひとり。
    瀬尾さんの本は、ほんわか優しい気持ちになれるのがうれしい。

    • 円軌道の外さん

      いつも沢山の花丸ポチとコメントありがとうございます!

      実は先週、住み慣れた大阪を離れて
      この歳にして花の都、大東京へ上京したばか...

      いつも沢山の花丸ポチとコメントありがとうございます!

      実は先週、住み慣れた大阪を離れて
      この歳にして花の都、大東京へ上京したばかりなので
      なんやかんやバタバタとしておりまして
      お返事遅れてしまいました(汗)(‥;)


      瀬尾さん、自分も大好きな作家です!
      半分は優しさでできてるバファリンと同じく(笑)
      瀬尾さんの作品の8割方は
      優しさと希望でできてるように思います。

      だからなのか
      定期的に無性に読みたくなる時期があって
      そろそろ、瀬尾さん切れやなっと思うと
      ダッシュで本屋に向かい、
      今の症状に合う一冊を吟味することとなります(笑)

      あっ、 『わたしの小さな古本屋~倉敷「蟲文庫」に 流れるやさしい時間』にコメントありがとうございました!

      そちらにも返事書いているので
      また良かったら読んでみてくださいね。

      ではではー、
      また面白い小説のレビュー
      楽しみにしてます(^o^)


      2014/09/07
    • azu-azumyさん
      円軌道の外さん
      いつも花丸ありがとうございます!
      私も瀬尾さんは大好きな作家さんの一人です。
      バファリンと同じ~(笑)
      ほんと、そう...
      円軌道の外さん
      いつも花丸ありがとうございます!
      私も瀬尾さんは大好きな作家さんの一人です。
      バファリンと同じ~(笑)
      ほんと、そうですよね。
      ちょっと心が風邪をひきそうなときに読むといっぱつで治る~、みたいな^^

      『わたしの小さな古本屋~倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間』に素敵なお返事をありがとうございました!
      私も新しい扉をどんどん開いていきたいです!
      円軌道の外さんおススメの本、がんがん読ませてもらいますね。
      と言いつつも、バンコクではなかなか読みたい本が手に入らない(正確には値段が高すぎて手が出ない…)のが悲しいところで…

      はい!
      私は大阪出身です^^
      2014/10/06
  •  この爽やかさはすばらしい。心が軽くなる。
    久しぶりに瀬尾さんの本を読んで、「やっぱり本を読むときは、心の状態や体調も影響するなあ」と思った。
    エンターテイメント性抜群の作品はドキドキハラハラして、どんどん読みたくなるけれど
    疲れているときなど心が重くなってくることがある。

     久しぶりにすごく心に響いた一冊。
    (2011年3月27日)

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著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお・まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』で作家デビュー。05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、08年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞、19年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』など著書多数。唯一無二の、爽やかで感動的な作風が愛されている。

「2022年 『掬えば手には』 で使われていた紹介文から引用しています。」

瀬尾まいこの作品

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