おしまいのデート

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713893

作品紹介・あらすじ

この世はいろんな"デート"で溢れてる。待ち合わせが生み出すワクワクする気持ち、楽しいひととき、別れる時のちょっとした切なさ。

感想・レビュー・書評

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  • 親の離婚後、月に一度外で会うようになった孫とおじいちゃん、元不良の教え子と定年間近の老教師、などいろんな2人が最後のデートをする話の短編集

    いろんな形のお別れを描いているのに瀬尾まいこさんの作品らしさ全開で切ない別れのシーンのはずが心があったかくポカポカしてくる「切なポカポカ」短編が盛り沢山やった!

    「ランクアップ丼」上じいが大好きです!!!ちょうどオモウマイ店を今日観たからさらに2人の情景がリアルに浮かんで「上じぃぃぃ!!!」って心の中で叫んだ!!!

    短編集やからサッと読めて日頃の疲れた心にポッと陽を灯してくれる暖かい物語

  • 食べることが
    生きることの基本だと言い続けてきた瀬尾さん。

    彼女の小説は
    自分にとって
    「卵かけご飯」のようなものです。


    シンプルなんだけど
    何度でも
    また食べたくなる。

    ホッとひと息つける
    素朴なあたたかさを
    読むたびに味わえる作家の一人です。


    そしてこの短編集でまず惹かれたのは、
    卵かけご飯ならぬ
    玉子丼を扱った
    「ランクアップ丼」という話。


    半熟の玉子がつやつやした
    とろりと甘辛い旨味の玉子丼。


    初老の教師である上じいと
    母子家庭で育った
    ちょっと不良な高校生、三好くんとの
    玉子丼が繋ぐ
    ぎこちなくもあったかい会話が
    ホンマいい具合なのです。


    世代も環境も立場も
    すべて越えて
    玉子丼で繋がる固い絆。

    自分はそんないい先生とは巡り会えなかったけど、
    上じいのような職場の上司に
    何度も救われたことを思い出して
    自然と目頭が熱くなりました(>_<)



    他にも
    女子中学生とじいちゃんとの
    月イチのデート、

    高校生の少年同士の
    奇妙な初デート、

    捨て犬をシェアする
    少年とOLの
    夕闇のデート、

    新米保育士と園児の父親との
    デートまでの道のりなどなど、

    タイトル通り
    様々なデートの模様が収められた本作。


    デートに欠かせない
    ワクワク感と共に
    食事描写も楽しいのです。


    デートの計画を立てるのに欠かせない
    ソフトクリーム。


    切なくしょっぱい
    涙味の天丼。


    寒空の下、
    公園のベンチで食べる
    手作りのおにぎり。


    草むらの上で食べる酢豚とビスコと
    甘ったるいコーラ。


    ほら、
    好きな人と食べる食事の
    なんとも幸せな空気感が
    少しは伝わってきたでしょ?(笑)



    ファーストフードも
    コンビニ弁当も
    家族の食卓も
    食事は食事。


    だけど食事は
    作った人がそばにいて、
    目の前に同じものを食べてる人がいるだけで
    味が格段に違って思える。


    自分を育て
    自分を救ってくれるのは
    毎日の食事であり、

    好きな誰かと過ごす
    何気ないひとときであることを
    この小説は無意識に教えてくれる。


    恋も愛も年齢も性別もすべて越えた
    人と人との逢瀬を描きながら、

    あくまで人の心にフォーカスを当てた
    優しい作りに感動する、
    あったまるこな一冊です(^O^)

    • まろんさん
      丼もののごはんにじわっと滲みたおつゆみたいに
      瀬尾さんらしさがにじみ出ている本ですよね♪

      どれひとつとっても、ラブラブ♪な男女の普通のデー...
      丼もののごはんにじわっと滲みたおつゆみたいに
      瀬尾さんらしさがにじみ出ている本ですよね♪

      どれひとつとっても、ラブラブ♪な男女の普通のデートじゃないのだけれど
      そして、どこか切ない「おしまい」のデートなのだけれど
      でも、登場人物にとってはみんな新しい一歩につながる大切な経験になっていて
      ほんとに「あったまるこ」な本でした(*'-')フフ♪
      2012/12/10
    • 円軌道の外さん

      いつもたくさんコメント
      ありがとうございます!

      じわっと滲みたおつゆみたいって
      いやぁ〜
      まさに言い得て妙っスよね〜(笑)...

      いつもたくさんコメント
      ありがとうございます!

      じわっと滲みたおつゆみたいって
      いやぁ〜
      まさに言い得て妙っスよね〜(笑)(^O^)


      自分の中では
      困った時の瀬尾さん頼みで(笑)

      嫌な気分の時や
      後味悪い小説を読んだ後なんかに
      無性に読みたくなるのが
      安心印の瀬尾さんなんスよね〜♪


      まろんさんの言うように
      普通じゃないデートばかりなんやけど、

      瀬尾さんの眼差しがあたたかいから
      どの人物にも共感できるし
      物語に入り込んじゃうんです。


      いろんなタイプの話を書ける作家もいいけど、
      甲本ヒロトや
      忌野清志郎や
      ストーンズなんかのように

      偉大なるワンパターンも
      実は難しくて
      スゴいことなんやって、
      瀬尾さんの作品読んでても思うんスよね。


      毎回あったかくて
      心地いい読後感をくれる作家って
      そうそういないと思うし(笑)

      そういう意味でも
      自分にとって
      オンリーワンな作家が
      瀬尾さんなんです(^_^)v


      2012/12/14
  • さらっと読める1冊。

    1つ目「おしまいのデート」孫とおじいちゃん
    2つ目「ランクアップ丼」先生と生徒
    3つ目「ファーストラブ」高校生男子同士
    4つ目「ドッグシェア」離婚OLと大学生男子
    5つ目「デートまでの道のり」保育士と園児

    恋人ではないけれど、大切な人同士の出会いと別れ。
    それを「デート」と表現されているのは素敵だなと思います。

    その人との時間が自分にとってどんな意味を持つのか。それはおしまいの時にようやく分かるものなのかもしれないな、と思いました。

  • 風変わりなデートをめぐる短編が5本入っています。
    さらりと読めて切ない後味。

    「おしまいのデート」
    月に一度、祖父と会うことになっている中学生の女の子。
    両親の離婚後に最初は父と会っていたのだが、父が再婚した後は、祖父が来るようになったのだ。
    それも事情が変わることに‥

    好評の「ランクアップ丼」は、高校生のときにケンカした後に声をかけてくれた教師の「上じい」と、一緒に玉子丼を食べる習慣になっていた男子。
    大人になり、天丼にランクアップしようと思っていたとき‥

    ただの同級生の男子から突然誘いを受けて戸惑う男子。
    深読みして内心焦ったりしつつ、一緒に遊ぶのは予想よりも楽しかった。
    大量のおにぎりを作って持って来たのは、お礼だという。
    妙に意識したところから、意外な友情が芽生えた。
    ところが‥?

    公園で見つけた犬を一緒に飼うことになる「ドッグシェア」
    バツイチ30代のOLが、生意気な男の子と知り合う。
    犬の飼い方など知らない様子で、中華料理などを置いていく男の子だったが‥

    「デートまでの道のり」
    園児と教諭の話。
    じつは園児の父と交際を始めているのだが、それを切り出すまでには男の子のことをよくわかるようになってからと慎重になっている。
    5歳の子供のほうは、子供なりにお見通し?

    人と人とのふれあいがほのかで、あたたかく、とぼけていて、ちょっと笑えて、じんわり来ます。

  • あっさり小1時間ほどで読めてしまった。
    いろんな形の出会いと別れを描いた短編が5つ、
    どれも心が温まるような瀬尾さんらしいやさしい余韻がありました。

    「おしまいのデート」も「ランクアップ丼」も、おじいちゃんがかっこいい。
    かっこいいじいちゃんってのはいいね。
    表紙の天丼が泣ける。

    広田くんと宝田くんの「ファーストラブ」がいちばん好きかなー。
    男の子ってかわいいよね。

    「ドッグシェア」と「デートまでの道のり」も、何気ない機微があたたかい。

    どの話も、ハッピーじゃないハッピーエンドがなんかいいなと思った。

  • 短編ですが、どのお話しも結局『あぁ、なるほど。だからおしまいのデートなのね』と納得してしまいました。
    題名からすると、それぞれのお話が男女の恋愛なのかと思っていたら、期待は見事に裏切られてしまいました。
    人と人のつながりについて、一話一話話の内容は違うのにしっかりと深く受け止めることができました。

  • この世はいろんなデートで溢れてる。待ち合わせが生み出すワクワクする気持ち、楽しいひととき、別れる時のちょっとした切なさ。

    5篇の短編集。私は「ランクアップ丼」が好きです。心が温まりほろっとしました。

  • 別れ〜新しい出発を描いた5つの短編集です。「ランクアップ丼」が一番良かったです。上じい(高校の先生)と三好君。悪さをして、生徒指導室に呼ばれた後、上じいのおごりで、2人で食べる玉子丼。三好君が高校を卒業して、就職すると、給料日に、今度は彼が、上じいにおごる玉子丼。2人の会話も漫才みたいにおもしろくて、でも最後は…。鼻のあたりがツンとして、涙が出ました。でも最後は、悲しく終わるのではなく、すごくさわやかな終わりかたでした。ランクアップした天丼を食べる時は、いつも胸が苦しくて、さびしくて、せつない。早く、おいしく天丼を食べられるといいなぁ、と思いました。

  • 題名から勝手に、恋人同士の別れ話かなと思っていましたが、なるほどそうきたか。色んな『おしまいのデート』が詰まってました。

    特に2話目の『ランクアップ丼』のお話が素敵だったし、ジーンと泣けました。

  • 5編の短編集。
    デートと一口にいってもその組み合わせは色々で。
    ちょっとせつない「ランクアップ丼」
    ちょっとした(?)勘違いでドキドキさせる「ファーストラブ」
    未来の家族の姿が想像できて微笑ましい「デートまでの道のり」等々。
    瀬尾さんも好きな作家さんのひとり。
    瀬尾さんの本は、ほんわか優しい気持ちになれるのがうれしい。

    • 円軌道の外さん

      いつも沢山の花丸ポチとコメントありがとうございます!

      実は先週、住み慣れた大阪を離れて
      この歳にして花の都、大東京へ上京したばか...

      いつも沢山の花丸ポチとコメントありがとうございます!

      実は先週、住み慣れた大阪を離れて
      この歳にして花の都、大東京へ上京したばかりなので
      なんやかんやバタバタとしておりまして
      お返事遅れてしまいました(汗)(‥;)


      瀬尾さん、自分も大好きな作家です!
      半分は優しさでできてるバファリンと同じく(笑)
      瀬尾さんの作品の8割方は
      優しさと希望でできてるように思います。

      だからなのか
      定期的に無性に読みたくなる時期があって
      そろそろ、瀬尾さん切れやなっと思うと
      ダッシュで本屋に向かい、
      今の症状に合う一冊を吟味することとなります(笑)

      あっ、 『わたしの小さな古本屋~倉敷「蟲文庫」に 流れるやさしい時間』にコメントありがとうございました!

      そちらにも返事書いているので
      また良かったら読んでみてくださいね。

      ではではー、
      また面白い小説のレビュー
      楽しみにしてます(^o^)


      2014/09/07
    • azu-azumyさん
      円軌道の外さん
      いつも花丸ありがとうございます!
      私も瀬尾さんは大好きな作家さんの一人です。
      バファリンと同じ~(笑)
      ほんと、そう...
      円軌道の外さん
      いつも花丸ありがとうございます!
      私も瀬尾さんは大好きな作家さんの一人です。
      バファリンと同じ~(笑)
      ほんと、そうですよね。
      ちょっと心が風邪をひきそうなときに読むといっぱつで治る~、みたいな^^

      『わたしの小さな古本屋~倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間』に素敵なお返事をありがとうございました!
      私も新しい扉をどんどん開いていきたいです!
      円軌道の外さんおススメの本、がんがん読ませてもらいますね。
      と言いつつも、バンコクではなかなか読みたい本が手に入らない(正確には値段が高すぎて手が出ない…)のが悲しいところで…

      はい!
      私は大阪出身です^^
      2014/10/06
  •  この爽やかさはすばらしい。心が軽くなる。
    久しぶりに瀬尾さんの本を読んで、「やっぱり本を読むときは、心の状態や体調も影響するなあ」と思った。
    エンターテイメント性抜群の作品はドキドキハラハラして、どんどん読みたくなるけれど
    疲れているときなど心が重くなってくることがある。

     久しぶりにすごく心に響いた一冊。
    (2011年3月27日)

  • 5つのデートに関する短編集。
    デートといっても恋愛要素があるわけではなく 人と人との繋がりが書かれていて、どのお話もほっこりしてて温かい。
    「おしまいのデート」って題名をみると、どんな終わり方を書いてるのかな~悲しい終わり方かな?と想像したけど、そうではなく「おしまいのデート」の後には 必ず始まりに続いていて さらに温かい気持ちにさせてくれます。瀬尾さんだ~!!って感じの作品でした。

    • まろんさん
      この本、ほんとに瀬尾さんならではの、素敵なデートばかりでした。
      表紙と扉絵に、5つの物語に出てくる
      天丼とか、灯台とか、おばあちゃん犬とか、...
      この本、ほんとに瀬尾さんならではの、素敵なデートばかりでした。
      表紙と扉絵に、5つの物語に出てくる
      天丼とか、灯台とか、おばあちゃん犬とか、おにぎりとか、公園とかが
      きちんと全部描かれているところもうれしかったです♪
      2012/08/03
    • 永遠ニ馨ルさん
      はじめまして。
      フォローありがとうございますのお礼を兼ねて、ポチっと♪
      瀬尾さんの作品はどれも、とても温かですよね。
      こちらはタイトルからち...
      はじめまして。
      フォローありがとうございますのお礼を兼ねて、ポチっと♪
      瀬尾さんの作品はどれも、とても温かですよね。
      こちらはタイトルからちょっと寂しげな印象で、繙くのを躊躇しちゃう気持ち、わかります。
      けれど、
      「必ず始まりに続いていて さらに温かい気持ちにさせてくれます。」
      というお言葉に激しく頷いています。
      2012/08/17
  • 今日でこんな風に会うのは最後だ。

    そんな書き出しで始まったら
    誰もが恋の終わりを連想しそうなものだけれど、
    なんとこの「おしまいのデート」のお相手は、おじいちゃん!

    しかも、その種明かしは、ドキドキしながらページを捲った
    2ページめの1行目で明かされるという周到さ!
    もう、冒頭から瀬尾さんらしいお茶目な仕掛けに
    「ヤラレタ!」と呟きながらも、うれしさがこみ上げてしまう。

    離婚した母の再婚を機に、月1度のおじいちゃんとのデートに
    終止符を打つことになる彗子には
    新しく弟になる実の小さな小さな傘のお迎えがあり、

    孤食の極みとも言える状態を、店で一番安いメニューの
    玉子丼を並んで食べることで救ってくれた恩師、上じいとの
    予期せぬ別れに呆然とする三好には
    「決死の玉子丼」のために薬を飲んでいた上じいとの思い出と
    不承不承ながらもデートより上じいとの玉子丼を優先する
    困った彼氏を、ちゃんと送り出してくれる彼女が待っていて、

    小さな誤解からとはいえ、たいして親しくもないクラスメートと
    最初で最後の、男同士の奇妙なデートをすることになった広田には
    「好きとか嫌いとか関係なく胸は動く」と思えた冬の1日と
    「でもさ、また風呂は行こうよ」という柔らかな約束が残り、

    公園に捨てられたおばあちゃん犬ポチリンを
    奇しくも一緒に世話することになったOL久永には
    ポチリンを見送った後にも、
    「また、何かシェアしよう」と屈託なく語りかける内村君との
    恋人でもなく友達とも言えない、ほんわかした繋がりが生まれて。。。

    4つの「おしまいのデート」の結末は
    行き止まりや切り立った崖のような場所ではなくて
    必ずその先にやさしく明るい風景が透けて見えている。

    そして、最後の物語が、「おしまいのデート」ではなく
    子持ちの彼と、その息子カンちゃんとの
    3人での楽しいデートを目指してがんばる祥子先生を描いた
    「デートまでの道のり」。

    「おしまい」と名付けておいて、始まりを描いてしまう、
    瀬尾さんに最初から最後まで
    「やられっぱなし♪」の素敵な本でした。

    • まろんさん
      まっき~♪さん☆
      こちらこそ、コメントうれしいです!ありがとうございます♪

      「ランクアップ丼」、私もぽろぽろ泣きました。
      あれを読んだせい...
      まっき~♪さん☆
      こちらこそ、コメントうれしいです!ありがとうございます♪

      「ランクアップ丼」、私もぽろぽろ泣きました。
      あれを読んだせいで、なぜか天丼より玉子丼がご馳走に見えてしまう今日この頃です。

      「ファーストラブ」は、タイトルのつけ方が秀逸ですよね!
      あの男同士のデートに、「ファーストラブ」って(笑)
      私こそまっき~♪さんのレビュー、楽しみにしてますので、どんどん書いてくださいね!

      2012/07/01
    • 円軌道の外さん

      玉子丼とか
      捨てられたおばあちゃん犬とか
      自分のツボを突きまくる
      キーワードがヤバいっス(>_<)


      ああ〜っ!!
      ま...

      玉子丼とか
      捨てられたおばあちゃん犬とか
      自分のツボを突きまくる
      キーワードがヤバいっス(>_<)


      ああ〜っ!!
      まろんさんの罪つくりぃ〜(笑)

      読みたい
      読みたい
      読みたぁぁ〜い!!
      って
      叫びたいくらい、
      気になってきたやないですかぁ〜(ToT)


      デートって響きが
      もはや懐かしいけど(笑)

      男女限らず
      好きな人と食べる料理や
      食べている空間そのものが好きな自分にとっては
      もうタイトルからして
      好きな世界観なんで、

      読む前から
      お気に入りの小説になるんやろなぁ〜って
      今からワクワクしてます(笑)♪

      2012/07/04
    • まろんさん
      円軌道の外さん☆

      出汁の匂いがふわ~んと漂ってきそうな玉子丼、
      しかもそれを食べるシチュエーションがまた良くて
      ほんとに瀬尾さんらしい素敵...
      円軌道の外さん☆

      出汁の匂いがふわ~んと漂ってきそうな玉子丼、
      しかもそれを食べるシチュエーションがまた良くて
      ほんとに瀬尾さんらしい素敵な作品です。

      表紙カバーの、表には見えない見返し部分に
      おばあちゃん犬のポチリンが
      ちょこんと顔を出していて、そんなところも
      お話の雰囲気ととても合っているので、
      もし文庫になっても、おなじ装丁だといいなぁ。。。。

      2012/07/05
  • 短編集で読みやすかった。
    なんとなく話のオチは分かったけど、ランクアップ丼が1番好きだった。先生の優しいがいいし、ちゃんと関係を大事にしている生徒が良い。

  • 瀬尾まいこさんの本に出てくる人は、誰もがあたたかくて魅力的だなぁ。

    短編小説だけど、あっという間にそれぞれの世界に入っていった。特にランクアップ丼は、心の深いところまで触れてきて涙が止まらなかった。

    素敵な本に出会えて感謝。

  • いろんなおしまいのデート短編集

    瀬尾まいこさんの物語は何気ない日常を切り取りましたよって顔で近付いてくるけどぜんぜん日常からはみ出している
    そして現実の人間の感情ってのは複雑でそんなに簡単には解き明かせないんだよって言ってる気がする
    そんなことは分かってるつもりだ
    だけど物語の中でくらいもっと単純でいいジャマイカ(唐突なオヤジギャグ)

  • やさしくてかなしくてあたたかくてしあわせで、あぁ、瀬尾まいこだなぁ。最初から最後までじーんとしてしまった。特に『ランクアップ丼』がよかったなぁ。上じいの笑う顔を想像して満たされた気分になりました。『デートまでの道のり』の祥子先生はあまり好きになれないけどカンちゃんがかわいくてきゅんとしたなぁ。

  • 瀬尾ワールド全開な一冊。
    大切な人との大切な時間。ずっと続いて欲しいと願っているのに、なんとも簡単におしまいはやってくる。そして、終わってしまって初めて気づく、その人の存在の大きさに。
    好きなのは「ランクアップ丼」と「ファーストデート」。
    優しい気持ちさせられる本でした。

  • おじいちゃんと孫の「おしまいのデート」、男子高校生ふたりの「ファースト・ラブ」、上じいと元教え子の「ランクアップ丼」、バツイチ三十路女性と若い男の子の「ドッグ・シェア」、保育園の先生と園児の男の子の「デートまでの道のり」。
    どれも瀬尾さんらしくほわほわとあたたかいお話でした。犬にビスコはあかん気もしますが…

    「ランクアップ丼」のエセ不良くんが好きー。玉子の優しい味がお話に合っていてさすが卵マイスター(「卵の緒」から。勝手に命名)の瀬尾さん。

    「ファースト・ラブ」のふたりの歩み寄り方も器用なんだか不器用なんだか分からなくて好き。男の子って可愛いなー。

  • おしまいのデート、最後の晩餐にまつわる短編集。
    それぞれ短いけれど、優しくてあたたかい話ばかり。ランクアップ丼はちょっと泣いた。卵丼食べたーい!!

  • 恋人同士ではない人たちのさまざまな最後のデートのお話。最後という機会が生む、温かいちょっとした奇跡的な変化が心地よいです。

  • 読みやすくおもしろかった。

    特に良かったのは、二番目の「ランクアップ丼」。
    ひょうひょうとした上じい先生と三好君の玉子丼を食べての会話、上じい先生のアドバイスで就職の方向性が決まり、徐々に仕事に働きがいを感じる三好君。最後の展開には驚いたが、お互いがいつしか支えあいとなっていたこと、上じい先生に出会えた三好君は幸せ者だなと思った。

  • 5つのデートのお話。
    恋人同士のデートの話ではなく、人と人との深い関係性の話。私はランクアップ丼が好き。

  • ランクアップ丼、よかった。たまご丼が食べたくなってなあ。
    瀬尾さんの書く文章って、サバサバしていながらドキッとすることが書いてあっていいなあ。

  • この世にはいろんな "デート " で溢れてる

    祖父と孫 元不良の教え子と老教師 同じクラスの男子同士
    捨て犬をシェアして育てる OLと大学生 など

    どれもほっこり、ニンマリ そして、最後にはホロリとさせる
    短編集
    何と言っても、読みやすい

    私的に一番気に入ったのは、「 ランクアップ丼 」
    母子家庭でいつも腹を空かせている不良の男子高校生 三好に担任でもない隣のクラスの定年間際の教師 上じいが問題を起こす度に玉子丼をご馳走する その数なんと21回
    そして、何とか就職し、稼げるようになった三好は??

    玉子丼の描写が何とも美味しそうで、今日のお昼は玉子丼にしようかなと思ったりした

    そして、最後には、涙が・・・

  • 表題作を含む短編集。優しい、温かい1冊。

    おじいちゃんと孫。男子と男子。
    捨て犬をシェアする男女。
    先生と教え子。

    デートのおしまいは、
    切なかったたり、悲しかったりするけれど
    おしまいは新しいことの始まり。

    わたしも、いろんなデートしたいな(^^♪
    と、思わせる一冊。

    さてと、誰とデートするかねぇ

  • 瀬尾さんの本の中で一番好きかも
    個人的には、ランクアップ丼がお気に入り。

    他人との触れあいを、デートと表してわたしを優しい気持ちにさせてくれる。

    どんな時間も、とても大切な時間
    ハートマークがつかなくっても
    涙を流す時がきても、

    戻ることができない、ひとつのデートなのだ。

  • 「ランクアップ丼」は、ジーンときたし、「ファーストラブ」は、ちょっと笑えてしまったし、「デートまでの道のり」は、前向きな気持ちに。
    どれも読後感がいい。そしてどの話も、キーになる食べ物が。
    ありふれたものばかりだが、物語を素敵に彩っている。

  • どれもステキなデートだと思いました。読んでいるとなんだか優しい気持ちになりますね☆

    中でもランクアップ丼では、優しい気持ちと一緒に涙もあふれましたー!

  • 5つの短編を収録。上機嫌でスイスイ読み進み半日で読了。5つめの話の設定(語り手が保育士の女性で、母親を亡くしてシングルファーザーに育てられている園児のその父親と交際中で、園児との距離を縮めたくてヤキモキしている)に少し引き気味になったものの、全体的には大変満足して読了。少年少女とおじいさんおばあさんが好きなので、ニコニコしながら読みました。漁師だったおじいさんが、地球は丸いと学校で習ったという孫娘に、なんだ又聞きの情報か(自分は漁船に乗りながら自分の目で見て実感したもんね)と、まだまだだな若輩者め、とバッサリダメ出しする感じがとても好きでした。実感するとか体感するとかは、とても重要。
    それにしても、ブクログユーザーのみなさんの感想を読んでみると、かなりの頻度であまり好きではない言葉「ほっこり」が使われていて、もはやかなり広く使われるようになってしまったのだな、と思い知り、この本とはちょっと離れたところで、やれやれという気持ちになってしまいました。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

瀬尾まいこの作品

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