国道沿いのファミレス

著者 :
  • 集英社
3.59
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本棚登録 : 367
レビュー : 83
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713923

作品紹介・あらすじ

仕事上のトラブルで左遷され、6年半ぶりに帰郷した善幸。一見静かな町では、親友、家族、恋人、そして勤務先のファミレスでも、一筋縄ではいかない人間関係が…。
現代をリアルにすくう青春小説。第23回小説すばる新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 爽やかな青春小説かと思いきや、けっこうどろどろ。
    どうしようもない境遇や忘れたい過去に縛られて、どうしようもないことをうだうだ悩む人たちには、あんまり感情移入できなかったし、えーそれないわってくだりがあったりしたけど、しっくりこないなりにも割とおもしろかったかな。
    最後はちょっと強引過ぎたけど、ハッピーエンドなのは悪くないです。
    極端な例で恋愛や人生を語ってるけど、不変の真理が透けて見えて、自分に正直に生きることや人に優しくすることの難しさをなんてことない様にに悩むとこや、ちょっとした心の迷いがいいなぁと思いました。

    ユキが何でそんなにもてるのかよく分からないけど、シンゴと吉田さんカップルがよかった。

  • p176のラストの方
    『親は選べないけれど、親とどうやって付き合っていくかは決められる。父親は父親、僕は僕。もう大人なんだから、そうならないといけない』
    一番心に残ったのはここです。

    家庭環境が悪いと何もかもを親のせいにしたくなる。その方が楽だから。
    そこから脱却するとなると、今度は悪いことを全部自分のせいにしなくてはいけない。でも自分の人格の大部分を築いてきたであろう家庭環境は、事実として悪いんだよ。そこを責めずに自分を責めなくちゃいけない事態に、なかなか勇気が無くて踏み込めないんだよね。
    理不尽な感じはいつだって付きまとう。だって自分が全部悪くてこうなってるわけじゃないんだもん。
    でもそうも言ってられない。

    主人公は25歳。学生じゃないし、あれこれかばってもらえる新入社員でもない。このタイミングは、自立とか親の呪縛からの卒業とか、そういうことを考えるのにぴったりな時期だと思います。まさにベストな年齢。

    シンゴとシンゴママ(茜)の関係、それを見守る商店街の人の温かさに心がいっぱいになりました。
    主人公はちょっとヤりすぎな感じもしたけど。
    あと実のお父さんと○兄弟な関係…アヤは可哀想だけどお別れもやむなしだと思いました。

    余談ですけど、これを読む前日に桜庭一樹さんの「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」を読んだばかりでした。
    この本の前に読んでいたのも家庭環境が悪い高校生のお話し。
    中高校生が主人公だと立場が弱すぎて、このお話の主人公のように自立できないあたりつらいよなぁーと思いました。

  • +++
    第23回小説すばる新人賞受賞作
    仕事上のトラブルで左遷され、6年半ぶりに帰郷した善幸。一見静かな町では、親友、家族、恋人、そして勤務先のファミレスでも、一筋縄ではいかない人間関係が・・・。現代をリアルにすくう青春小説。
    +++

    これが現代をリアルにすくっているとしたら、現代って一体なんなのだ、と思わなくもないが、現代に生きる人間も多様なのだから、こんな現代もあるかもしれないということで一応納得する。主人公のチェーン店のファミレス社員・佐藤善幸も、その父も、善幸の恋人の綾も、その他の登場人物たちも、ほとんどが、なにに対しても行き当たりばったりの「なんとなく」な印象なのが、ものすごくもやもやしてしまう。シンゴ(とその恋人の吉田さん)が辛うじて、総崩れになるのを食い止めているように思われる。ラスト近くになってようやく、善幸の芯にわずかな力を感じられるようになったのがせめてもである。何気ない日常が興味深く読めるのは、やはり人物ありきなのかもしれないと思わされた一冊でもある。

  • 25歳。左遷で生まれ育った街へと飛ばされた青年
    幼馴染や新しい恋
    職場のファミレスの仲間たち

    結構重い題材も含んでいるけれど
    読後感は何故か爽やかという・・・・

    どこにでもいそうだけど、いとおしい若者を描くのが
    本当にうまいなという感想です

  • 図書館でブラウジング中になんとなく手に取りました。
    優しいけど残酷で、でも、“やさしい”物語でした。

    とある風評被害で、久々に地元(北関東)に戻ってきた主人公、
    サラリーマンの悲哀さを感じさせるスタートですが、、

    でもそれは、全てを上っ面の付き合いで済ませてきた自業自得でもあって、
    その辺りを淡々とした筆致であらわしていて、スッと入っていけました。

    青春というには少しトウが立っていますが、さらっと読了。
    ん、決め手になるのは、、価値観の親和性なんですかね~、、なんて。

  • 第23回小説すばる新人賞受賞作。面白かったー。主人公やとりまく人々に現代の抱える問題を絶妙に投影されてて、かつそれが小説らしく昇華された上で物語になっている。タンタンと物語が語られる中に登場人物の思いがこもってるのもよかったー。

  • 第23回小説すばる新人賞受賞作です。
    登場人物がそれぞれに個性的で、ちょこちょこ笑っちゃいました。「男と女」について色々考えさせられます。なお個人的には店長に憧れます。

  • 畑野さんのすばる新人賞受賞作。実家がある地方に左遷されたファミリーレストラン社員の善幸の視点で物語が進む。倦怠感漂う地方都市の雰囲気や足が向かなかった実家への距離の背景が次第に綴られる。中盤まではどの人物の輪郭もぼんやりで、展開も低温熟成のよう。途中から次第にそれぞれが抱える辛い生い立ちや背景が明らかにされ、登場人物たちが際立ち始める。大事にされたかった、傍に居てほしかった親への想いは、満たされない時にその人間の存在の不確実さや不安定さに繋がる。最後のストーカー話は「消えない月」の源流かな?

  • ちょっと前にファミレスの酷い実態みたいな本を読んだがここはゆるそう。

  • 複雑な家族関係のユキと、これまた複雑な家族関係の幼なじみのシンゴ。

    複雑過ぎるけど結局丸く収まる。

    なんかがとにかくすごかった(笑)

    2018.2.15 読了

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年『国道沿いのファミレス』で第23回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。13年に『海の見える街』が、14年に『南部芸能事務所』がそれぞれ吉川英治文学新人賞候補となる。ほかの著書に『夏のバスプール』『感情8号線』『罪のあとさき』『タイムマシンでは、行けない明日』『家と庭』『消えない月』『シネマコンプレックス』『大人になったら、』などがある。

「2018年 『水槽の中』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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