オーダーメイド殺人クラブ

  • 集英社 (2011年5月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (376ページ) / ISBN・EAN: 9784087714036

作品紹介・あらすじ

中学二年のふたりが計画する「悲劇」の行方
親の無理解、友人との関係に閉塞感を抱く「リア充」少女の小林アン。普通の中学生とは違う「特別な存在」となるために、同級生の「昆虫系」男子、徳川に自分が被害者となる殺人事件を依頼する。

感想・レビュー・書評

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  • 誰にもあかすことのできなかった趣味、少年Aたちの事件記事をスクラップする少女は中二病真っ最中でした。バスケ部の派手めな友達からは、ハブられたり仲直りしたりの油断できない関係が続くなか、普通の人間がヒエラルキーの支配を越え特別な存在になる方法は事件を起こす事。美しい人形の猟奇的な写真を何度も立読みしながら、これまでにないクリエイティブな死を夢想する。
    地味に目立たず群れて遊ぶ少年が捨てたネズミの死体を見たのがきっかけとなり「私を殺してくれない?」と依頼する。
    いとも簡単に引き受ける少年、どちらの闇も深そうです。
    辻村深月さんがどのように少女を葬るのか実は興味持っていました。私の思い込みかもしれませんが、辻村さんはとても愛情持って痛み苦しみ繊細に表現しキャラを活かすことのできる作家さんなので、殺しはできないって確信がありました。この作品のタイトルみた時、どんな感じでジタバタするのだろうってドキドキしながら見守ってました。思春期の男女の心理や友達間の微妙なバランス感覚の描写が秀逸だし展開も見事。
    黒歴史を葬りラスト10ページはウイニングランのように爽快で期待通りの展開に大満足でした。

    • かなさん
      しじみさん、こんばんは!
      私この作品読もうと思ってて
      積んでます(^-^;
      しじみさんのレビューのおかげで
      読むのが楽しみになってき...
      しじみさん、こんばんは!
      私この作品読もうと思ってて
      積んでます(^-^;
      しじみさんのレビューのおかげで
      読むのが楽しみになってきました!
      ただ、図書館本がどうしても先になっちゃうんで
      なかなか家の積んである作品が減っていかないんですけどね…。
      2023/11/25
    • つくねさん
      かなさん、こんにちは♪

      そうなんですよね。買うといつでも読めると安心してしまうので積読になっちゃいますね。
      図書館の本を優先しちゃい...
      かなさん、こんにちは♪

      そうなんですよね。買うといつでも読めると安心してしまうので積読になっちゃいますね。
      図書館の本を優先しちゃいますね。
      この作品、小林アンって14歳の少女視点で書いてあるのですが、クラスメイトの徳川勝利くんの男心にも注目ですよ。「殺」のところ「愛」とかに置換したらなんとなくいいかも(*'▽'*)
      2023/11/26
  • タイトルから想像していた話とは全然違って驚きました。この本は思春期の感情がとても繊細にかかれています。私も女子なので共感できるところもたくさんありました。
    思春期の女子はみんな共感できると思うのでおすすめです!

  •  思いの真っ直ぐさ。

    それに気づくのはその時ではなく、少し時間が経ってからなのかな。
     素敵な作品ですね。

    ほんと青春。

  • 伊集院光がラジオで名付けた「中二病」と呼ぶと矮小化した感じになってしまうが、自分の回りの極小さな世界で必死だった中学生時代を覚えているひとであれば、「あー、分かる」と思って読むのではないだろうか。

    どうか主人公の小林アンがホントに死んだりしませんように、と祈るような気持ちで読み進めた。

    X デー(嘱託殺人決行予定日)の前と後で、まったく空気感が異なる描き分け能力がすごい。まるで憑き物が落ちたような爽快感だ。

    昆虫系少年徳川勝利君が、超ヤバいやつ兼絵の才能溢れるやつ、という設定は、(元)リア充少女の小林アンといい関係になる(なりそうな感じで物語りが終わる)には、必要な設定なのだろうけど、絵の才能がなくても成立して欲しい関係性だった。

    P366
    自分の世界で手一杯で、人のことが見えず、人の話を聞かない、考えることと人をバカにすることだけ一人前で、隣にいる男子一人が抱えた事情にも気持ちにも気づけなかった、中二の小林アンに、教える。

  • 私はこの本でできてます。
    大好き。(愛の告白



    次読んだらレビューちゃんと書きます…。
    (再再再再読くらいになりますかねー…)

  • 仲間外れ、陰口、いじめ。学校での居場所がないアンが、同級生の徳川に「私を殺して」とお願いする。
    よくニュースで目にするありきたりな死に方ではなく、世間を劇的に騒がせる一大事件の計画を立てていく2人。
    クラス内で地味な存在扱いされる苦痛も、いつか自分は盛大な事件に命を捧げるのだと思うとどうにかやっていけた。 
    そして実行の当日、2人を待ち受ける結末は_。

    机の引き出しの中を親に勝手に見られた時の絶望感や
    クラス内のヒエラルキーに敏感で、最下層にいる自分にコンプレックスを抱きながらも一歩引いたところから周りを見下す傲慢さ。
    特別な存在になりたいとあがきながら、でも結局は何者にもなれない、学校と家が全ての世界で生きている中学生によくある厨二病的な脳内が解像度高く描かれている。
    自分にも思い当たる節があって黒歴史を掘り起こされた気持ちだが、それぞれの登場人物の必死で幼くて健気な感じにどこかほっこりした。
    只中にいると複雑で残酷に見える人間関係が、傍観者からしてみるとここまで馬鹿馬鹿しくて小さなことなのかと思わせてくれる。
    結末も予想していたよりはハッピーエンドで良かった。

  • この頃が一番人生でつらい時期なのでは、と改めて思いました。

    自分たちでは何もできない。
    大人に認めてほしいけどそれを伝えたいと思う自分に苛立つ。
    学校”という狭い世界にしか自分の価値を考えられない。

    読んでいて当時の私をなぞっているような気持ちでした。今なら"バカバカしい”と思えるようなことでもあの頃は人生を揺るがす一大事だったと思い出します。


    この物語は、中学二年生の男女がそれぞれの闇を晴らすため殺人事件を考えていく物語です。
    もう少し物語のテンポが良かったらなと思いましたm(*_ _)m

  • 中2のリア充!?女子、アンがクラスの冴えない昆虫系男子、徳川に「私を殺して...」と殺人を依頼するお話し。女子同士のドロドロな感じが初めは、読んでいて辛かったけど学校では、全く話さないアンと徳川がひっそりと会って殺人計画の相談をしている時は、恐ろしいことを話しているのになんか2人の会話が笑えました。
    後半は、涙が止まらず最後は、とっても爽快感のあるお話しでした。

  • 評価が分かれそうな作品だなぁと思いました

    辻村深月さんの猟奇的な部分が強く出てたように感じます
    ぐいぐい引き込まれるとかってわけでは正直なかったんですけど、これ着地どうするの?ってのが気になって一気に読んでました
    ただなんかこう大人な着地だったかも
    もっと振り切っても良かったなぁ
    編集者の人になにか言われたんかな(邪推)

    澁澤龍彦、自分もちょうど中学生の頃読んだなあ
    背徳感?みたいなのを感じるのが良かったんだろうなあ
    遠い昔をちょっとだけ思い出したました

  • 2020/02/27読了
    #このミス作品12冊目

    なかなか振り切ったストーリーだが
    それでもリアルさが伝わった。
    とりあえず女の子って面倒くせー。

  • ただの死にたい願望と殺したい願望の少女少年の物語ではなかった。
    少年A候補・徳川の気持が分かった時、彼の気持や苦しみ、切なさがどどどって一気に伝わってきた。切なかった。
    この本は徳川の視点を分かった上で、もう一度読みたい。

  • 徳川はずっと、どんな気持ちでこの事件に協力していたのだろう。猫の件だって河瀬の事だって、本当は。ずっと、アンに気付かれなかった想いを、彼はどんな風に抱え込んでいたのだろう。読み終えた後で、そればかりをひたすら考えた。この、何とも言い表しがたい彼の想いごとすべて抱きしめたい。
    死のうと、殺そうとしていて立てていた計画だったのに、互いが互いの生きる理由になるなんて。でも、長い時間がかかったけれど、徳川は徳川のやり方で約束を果たしたんだって、考えていいよね?これからだ、これからまた2人はうんざりするような長い時間を紡いでいくのだろう。あの頃とは違う小林アンと、徳川勝利と。それがどうしようもなく、愛しい。殺せないのなら、死ねないのなら、生きるしかないんだ。

  • 忘れたい黒歴史をつきつけられるような本。
    前半はドロドロした女社会にうんざりしたけど、斜に構えて自分は特別だと信じてる主人公がだんだん現実に染まっていくところがとてもリアルでよかった。読後感もすがすがしい。
    あと欠点がない人がほぼいないところもよかった。(河瀬を除く。たまにいるな、顔が良くて性格もいい男の子‥)
    忘れた頃にまた読みたい。

  •  死に漠然と憧れることって、たしかにある。生命エネルギーがあふれてこぼれそうな中学生のころは特にそうだ。リア充女子の小林アンが、死に憧れたのは、今に危険がないからなんだろうな。命に危険がないからこそ、現実から程遠い死に憧れたりするんだろう。そのことに、アンは気づくべきだと思う。母親のこと、ぼろっかすに言う前に。親いないと、中学生は生きられないのに。ただ、私も中学生のときはアンと似たり寄ったりの考えしかしてなかったから、アンのこと悪くいえない・・・

     「私のこと殺してくれない?」と頼まれた徳川勝利が、「いいの?」と即答したのは驚いた。「本気か?」と思ったけど、本気じゃなかった。徳川くんはアンのこと好きだったのか。普通の男の子だ。表現の仕方が独特なだけの。徳川くん目線で話が進んでいたら全然作風が変わっていたんだろうな。

     女と男はこんなにも違うのか。少女Aと少年Aは、別世界の住人なんだろうなあ。そして、一線を越えられなかった少女と少年は、こうやって大人になっていくんだな。
     かつて私も感じた狂気に、大人になって再会できた気がした。なんだか懐かしくなった。

  • 殺され願望のリア充少女と少年A候補の昆虫系男子の物語。タイトルの通り、少女の殺され方について吟味するなかで中学生らしい胸糞悪い出来事が連続する。リカーシブルとか少女には向かない職業とかもそうだが、そもそもこの女子中学生ものは読み続けるのがめちゃくちゃしんどい。なかなか感情移入できないし、とにかく胸糞悪くて長い。勿論、予定調和のようですが、本作はハッピーエンドで終わるが、少年の立場から考えると、ああなるほどなぁと最後によくわかる仕掛けでした。やっとここで感情移入できました。よかったね。中学生の死に損ないは余生とか言っときながら、けろっと忘れちゃう感じ。それを皮肉った結末の小説、麻耶雄嵩でありましたね

  • バスケ部に所属し、リア充中学二年の小林アン
    赤毛のアンが好きでいかにも「赤毛のアン」的な家を作り出したママを
    美しいのに肩透かしで愚かな母親と思っている。
    学校では、友達にはぶかれカーストの底辺に…。
    アンには絶対に人に言えない自分が本当に好きな事がある。
    殺人事件や自殺や大量死の事故で悲惨で印象の強い新聞記事をスクラップしたり、
    頽廃的な人形の写真に心を奪われる…。
    何処かの中学生が自殺したり、事件に巻き込まれたり、或は殺人事件を起こしたり、
    そういうニュースを見ると、その子達に遅れているんじゃないかと、少し焦る…。
    普段は気にもとめない昆虫系男子(イケてない男子)徳川勝利の異様な行動を目にしてしまう…。
    衝動的に『自分を殺して欲しい』…。
    普通の中学生とは違う『特別な存在』となる為
    今迄になく、斬新で人々の記憶に残る…殺人事件を計画する二人…。

    辻村深月さんの 本大好きです。
    でもこの本は、何とも言えない嫌な気持ちになりました。
    途中で読むのをやめようか…とまで思ってしまった。
    アン自身も認めている中二病…女の子同士のややこしさ…。
    焦燥感・閉塞感・孤独感…良く伝わっては来ました。
    しかし、共感出来なかった。
    でも、ラストはとってもホッとした気持ちで読み終える事が出来ました。

  • 死にたいと思えば思う程、まだ生きていたい自分に気づく。わたしはアン程強く死を夢想したことはないし、意識したこともない。でも、死にたいと思っていた時期が、わたしにもある。
    何か大きなきっかけがあったわけでもないけれど、今それなりに楽しく生きていて、前みたいに死にたくなることもなくなった。本当に死ななくて良かったと思う。そんな勇気は、わたしには全然ないんだろうけれど。
    今思えば小さなことだとしても、当時の自分にとっては大きくて、一生懸命だった。中二病だったとしても、馬鹿にしたくないな。あのとき死にたいくらい悩んだわたしがいて、今のわたしがいる。

  • 狭い世界の中で必死になっているアンの姿がとてもリアルだし、中学生の頃特有の感覚もどこか懐かしさを感じた。女の子同士のいざこざの描写がリアルすぎて苦しかったけど、ラストに向けて徳川の気持ちが表現されてきてからは、なんだか気持ちよく読めた。最後は清々しい気持ちで本を閉じられました。

  • 「私のこと殺してくれない?」

    自分は人とは違う
    母親を、教師を、友人たちを内心馬鹿にし
    それでもそこから外れることを恐れ。
    死に強烈に惹かれる

    中学2年の男女がヒソカに練った殺人計画

    まぁようするに、強烈な中二病なんだけど
    ここまでガッツリ正面切って描かれると
    もはや「参りました」と言うしかない
     
    希望が覗いたラストが好き

  • 大好きです、この本。

    途中胸が苦しくなったり、
    どうなるかわからなくてハラハラしたり
    中学女子ならではのイザコザに共感したり
    嫌気がさしたり…
    辻村さんは、本当に女子同士のねちねちを描くのが
    すごく上手だと思う。絶妙。

    だけど、徳川が途中からかっこよく思えてきて。
    猫のくだりも、読みながら許せない…って思いながら、
    もしかしたらやったのは徳川じゃないのかもしれない
    とさえ思えてくる始末。

    本当は誰より純粋で優しいのかも。


    不器用な2人が、とても可愛く思えました。

    一見タイプはちがっても、趣味があったり、
    波長があう人っているものだけど、
    中学の時とかってそれを恥ずかしく思ったりし
    ちゃいがち。
    自分の本当に好きなものを隠してしまったり。

    でも、大人になるにつれてもっと生きやすくなるからね、これから2人で楽しいことたくさんあるよ、
    って2人に伝えてあげたいなぁ。


    ハッピーエンドで良かった♡


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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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