オーダーメイド殺人クラブ

著者 :
  • 集英社
3.81
  • (343)
  • (541)
  • (396)
  • (89)
  • (10)
本棚登録 : 3122
レビュー : 617
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714036

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  •  死に漠然と憧れることって、たしかにある。生命エネルギーがあふれてこぼれそうな中学生のころは特にそうだ。リア充女子の小林アンが、死に憧れたのは、今に危険がないからなんだろうな。命に危険がないからこそ、現実から程遠い死に憧れたりするんだろう。そのことに、アンは気づくべきだと思う。母親のこと、ぼろっかすに言う前に。親いないと、中学生は生きられないのに。ただ、私も中学生のときはアンと似たり寄ったりの考えしかしてなかったから、アンのこと悪くいえない・・・

     「私のこと殺してくれない?」と頼まれた徳川勝利が、「いいの?」と即答したのは驚いた。「本気か?」と思ったけど、本気じゃなかった。徳川くんはアンのこと好きだったのか。普通の男の子だ。表現の仕方が独特なだけの。徳川くん目線で話が進んでいたら全然作風が変わっていたんだろうな。

     女と男はこんなにも違うのか。少女Aと少年Aは、別世界の住人なんだろうなあ。そして、一線を越えられなかった少女と少年は、こうやって大人になっていくんだな。
     かつて私も感じた狂気に、大人になって再会できた気がした。なんだか懐かしくなった。

  • 一組の中学生カップルが、“死”に向かって進む一冊。
    一人は殺す側に、一人は殺される側に。

    変わっているのは、殺される側の女子が、
    “理想的な死”を演出してもらおうとの依頼をしている点。

    人々の記憶にいつまでも刻まれるような、
    そんな“死”を迎えたいとの想いに突き動かされて。

    さて最後、彼らは“死”をどのように迎えるのでしょうか。

    ハリネズミのような痛い青春の群像と、そう感じました。
    自分の時はここまで“死”を考えていなかったなぁ、とも。

    どこか冷めたような、それで熱いような、
    そんな人の描かれ方も含めて、なんとも辻村さんらしい、そんな一冊。

  • 死にたいと思えば思う程、まだ生きていたい自分に気づく。わたしはアン程強く死を夢想したことはないし、意識したこともない。でも、死にたいと思っていた時期が、わたしにもある。
    何か大きなきっかけがあったわけでもないけれど、今それなりに楽しく生きていて、前みたいに死にたくなることもなくなった。本当に死ななくて良かったと思う。そんな勇気は、わたしには全然ないんだろうけれど。
    今思えば小さなことだとしても、当時の自分にとっては大きくて、一生懸命だった。中二病だったとしても、馬鹿にしたくないな。あのとき死にたいくらい悩んだわたしがいて、今のわたしがいる。

  • 徳川はずっと、どんな気持ちでこの事件に協力していたのだろう。猫の件だって河瀬の事だって、本当は。ずっと、アンに気付かれなかった想いを、彼はどんな風に抱え込んでいたのだろう。読み終えた後で、そればかりをひたすら考えた。この、何とも言い表しがたい彼の想いごとすべて抱きしめたい。
    死のうと、殺そうとしていて立てていた計画だったのに、互いが互いの生きる理由になるなんて。でも、長い時間がかかったけれど、徳川は徳川のやり方で約束を果たしたんだって、考えていいよね?これからだ、これからまた2人はうんざりするような長い時間を紡いでいくのだろう。あの頃とは違う小林アンと、徳川勝利と。それがどうしようもなく、愛しい。殺せないのなら、死ねないのなら、生きるしかないんだ。

  • 思春期特有の相手を見下す感とか、同性異性の距離感とかをリアルに描いた上で、自分のテーマ、非日常をフルに生かした作品。若い感性を見事に書き切った作者には心から感動する。

  • 「これは悲劇の記憶である。」からはじまっていたことをラストで思い出した。
     ”すごい事件”の計画を書くノートのはじめに書いた言葉がそれだ。
    「記録じゃないのか」と訊かれるなど、記録と記憶の違いを読み手に印象付ける
    ところがうまい。
     現在進行形で起こっていたのかと思ったら、事件決行日のあと、
    月日はどんどん先へいき、大学入学前になる。
     そしてそれが現在、今。記憶だったのだ。

     中学生の心理描写に安っぽさも子供っぽさもなく、想像だと思わせられたりもしない。
     必死に流れていく中学生の日々が本物と変わらずそこにある。

     けれど、全体的にみるとなにかが足りなかった。
    寄り添えるものがなかったのかもしれない。
     

  • らしさ全開。辻村さんは特にとんがった10代女子を書くのが抜群に巧いと思う。
    まず題名からして物騒なことこの上なく、内容も不健全といってもいいかもしれないけども、世の中のことをわかってるつもりでわかっちゃいない中2の世界なんてこんなものだよなぁとリアルさも感じました。
    この話のように、物事が起きること、または起きないことはほんのちょっとの紙切れ一枚程度の差なのかもしれない。

    辻村さんに限らず、教室の中での力関係を「カースト制」という言い方をしている小説を最近よく見かけるけど、確かに言いえて妙なんだけど、そこまで認めたくない抵抗感があるなぁとモヤモヤします。

  • 男が読んでも分からん!!
    女子中学生の仲間外れってこんな激しいの??
    自殺のストーリーを作り上げてくのは面白かったし、ラストの中学生の中二病の思い出はよかったなぁ。

  • 流行りのように巻き起こる幼稚ないじめ。
    クラス内の格差社会。
    他人からの目を気にする自尊心。
    そして、反抗期。

    中学生である主人公の少女が、自分の環境から逃げ出し、
    ここではないどこかに行くため、
    また、自己顕示欲の一環としての「死」を渇望する姿が痛々しく、
    その痛々しさが、読者の記憶を揺さぶる。

    学校という小さな社会が世界のすべて
    と、捉えがちな中学生にとって、
    学校で起こった事は、逃げ場のない世界での出来事だろう。
    それゆえ、「死」への垣根を低くし、渇望してしまう心理が、
    痛いほど伝わる。


    ただ、

    世界は広い。
    今ある苦悩は、長くは続かない。
    どうしようもなく辛い状態に今あったとしても、
    きっと抜け出せる。
    そして、一歩一歩強くなれる。

    この本を最後まで読めば、そう思えるのではないだろうか。


    悩める小中高生に特に読んでほしい本。
    悩める小中高生を持つ親にも読んでほしい本。

  • 中学生の女の子の気持ちの動きは自分も経験したことがあるもので、とてもよくわかった。
    感動とは違うけれど、最後のアンと徳川のやり取りが印象的だった。絞り出したような徳川の言葉にぐっときた。

全617件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。
千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞をそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞など様々な賞を受賞。
他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。
昔からファンだった作品の映画シリーズ、2019年3月1日公開予定の『映画ドラえもん のび太の月面探査記』で映画初脚本を担当する。

オーダーメイド殺人クラブのその他の作品

辻村深月の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

オーダーメイド殺人クラブを本棚に登録しているひと

ツイートする