マスカレード・ホテル

著者 : 東野圭吾
  • 集英社 (2011年9月9日発売)
3.84
  • (756)
  • (1587)
  • (973)
  • (142)
  • (18)
  • 本棚登録 :8331
  • レビュー :1255
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714142

作品紹介・あらすじ

不可解な連続殺人事件の次の犯行現場は、超一流ホテル。容疑者も、ターゲットも不明。事件解決のため、一人の男が選ばれた。完璧に化けろ。決して見破られるな。

マスカレード・ホテルの感想・レビュー・書評

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  • 連続殺人犯が現場に残していった
    不規則な数字の羅列。

    これを何とか解読すると、
    どうやら次の殺人は
    ここ『ホテル・コルテシア東京』で起こるらしい。

    だが
    予告があるならしめたもの♪
    刑事達はホテルマンと化して
    客の一人一人に睨みを利かせていれば
    殺人を未然に防ぐ事ができる。

    ドアボーイ、ハウスキーパー、フロント業務…

    あらゆる所に配置された多数の刑事達と
    監視カメラで、犯人逮捕も時間の問題?!

    と、思いきや
    そう簡単に事は運ばなかった。

    ホテルを利用する全ての客を疑い、
    射る様な眼光で睨みをきかせる刑事の前に
    ホテルを利用する全ての客を信頼し、
    全身全霊で守ろうとするホテルウーマンがいたからだ。

    手は出すな、
    言葉遣いには気をつけろ、
    客には絶対、さ、か、ら、う、な。

    いやはやなんともやりにくいったら。
    更に
    ホテルには実に様々な怪しい人々が次々とやってくる。

    果たして犯人は、
    いつ、
    いかなる方法で、
    誰を殺そうとしているのか?
    そして
    一体誰なのか?!

    ホテル側のプロフェッシナル。

    刑事側のプロフェッショナル。
    相反するこの二人が歩み寄るとき、
    犯人の実像がぼんやりと浮かんでくる…

    とにかく面白すぎて、頁を捲る手が止まらなかった一冊。

  • 都内で起きた3件の殺人事件。
    相互に関連の見いだせないこれらの事件だったが、それぞれに残されていた謎のメモから、連続殺人事件が疑われる。
    捜査員らは、事件の発生を未然に防ぐため、4件目の事件が起きると指定された高級ホテルに、ホテルマンに扮しての大がかりな潜入捜査を開始する。
    捜査員の新田は、フロントに配され、フロントクラークの山岸尚美に指導を受けることになる。
    二人はホテルマンと警察の考え方や立場の違いから衝突を繰り返しながら、徐々に互いを認め合い、事件の真相に近づいていくのだが…

    これ面白かったです。
    事件の謎を解く過程もだけれど、それよりも高級ホテルのホテルマンたちのサービス精神、プロ意識たるや…!
    理不尽な言いがかりをつけたり横柄な態度をとる困ったお客さんに対しても、感謝をこめたもてなしを。ここまでするか、という徹底ぶりです。
    私むりむり!こんな客に(「客ではなくお客様、です」と尚美に怒られるけど)、頭下げて謝ったり腹立ちを隠して微笑むとか絶対むりむり!
    と心底驚愕しながらも、尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。
    普段、高級ホテルに泊まる機会なんてないけれど、分不相応に泊まったり食事をしたりするときに見かけるホテルマンってかっこいいですもんね。
    そういえば、某一流ホテルでは、お客様が間違って捨てた場合のために、客室のごみ箱内のゴミを、1日はそのまま保管するのだとか。
    「間違えてゴミ箱に捨てちゃって!」…そんな問い合わせが日常茶飯事に起こるとも思えないのに、そういう普段目につかないところのサービスこそ、一流の一流たる所以なのだろうなぁ。

    他方、「お客様がルール」のホテルマンとは対極にいる、「あいつが怪しいかも」が基本の警察官。
    新田は、最初は山岸の厳しい指導に反発を覚えるも、こちらのプロ意識も負けてはいません。
    「縁の下の力持ちは嫌だ、でも悪を逃がすのは、もっと嫌だ」
    プライドが高くて素直でないけれど、頭のキレと随所での機転は相当なもので。
    まぁ、少々?口が軽すぎるのが難ですが(笑)。

    事件の動機が、あの話とそうつながるとは思わず、伏線の回収も見事で、東野さんはやっぱり裏切らないなぁ!と思った一冊でした。
    最近は加賀さんものをよく読んでいたのだけれど、また、ちょっと危なっかしいところのある新田くんの事件簿が読みたいです。

    • マリモさん
      こちらこそいつもありがとうございます^^
      kumakuma10さんの本棚を見て、読みたいなぁというもの参考にさせてもらっています。

      ホテル業界で悪戦苦闘しながら、本業の方でも活躍する新田さんかっこよかったです。山岸さんとのかけあいも見どころですよね。
      ガリレオシリーズが科学事件簿なら、新田さんの方は、潜入事件簿という形で続いていくといいですね~。
      まぁ、そんな頻繁に潜入捜査はないかもしれませんが…(笑)。
      2013/03/11
  • えー、図書館にだいぶ前から予約を入れてようやく借りられたのが昨年の12月。と思っていたが、発刊自体が昨年9月ですね。ということは、3ヶ月後に借りられたんだ。
    何故だろう? 発行前に予約を入れたのだったかな?
    ま、それはともかくとして、かなり面白く読んだ記憶があります。
    ただし、細部はすでに忘却の彼方。
    これも「麒麟の翼」同様、装丁が素晴らしい。さすが大御所、日本推理作家協会理事長にもなると、出版社も装丁に並々ならぬ気合を入れるようだ。
    ぱっと見、仮面舞踏会を連想させる表紙です。
    確かにこの舞台となる高級ホテルには、様々な人間が出入りする。
    表面上はともかく、その人たちの本当の姿は誰も知らない。つまり、みんな仮面を被っている。
    あっ、やっぱりそうなんだ。今ウィキで調べたら「マスカレード」って「仮面舞踏会」という意味なんだね。
    主人公は、女性ながら優秀なフロントスタッフとして、どんなに我儘でも、どんな理不尽なことを要求する客にも「お客様第一主義」を錦の御旗として掲げ、一所懸命に接する山岸尚美。
    この子のキャラがなかなか魅力的。
    何があっても自分の果たすべき役割をこなそうという健気な姿勢にただただ好感を抱きます。
    次々に起こる連続殺人事件(ま、続いて起こらなければ連続殺人事件とは言いませんが)。
    で、次なる殺人はこの「ホテル・コルテシア東京」で起こると警察は推測し、このホテルに捜査員をホテルマンに扮して常駐させることを決断。
    まず、これが面白いですね。
    普通に考えたら、普段怖いものなしの刑事や警察官が、常に低姿勢で客に接しなければならないホテルマンになど、なれるわけないもの。
    素がついつい出ちゃうから、すぐにばれます。
    「おい、早く吐いて楽になれよ」とか「お前、警察をなめてんのか!!」などと常々おっしゃる刑事の方々が、「誠に申しわけありません。以後気をつけます」とか「何卒、この件に関してはご容赦ください」なーんて台詞や前方45度の角度のお辞儀なんて、絶対言えないし、できません。
    ニュースで、警察が「山口組一斉捜索」などという映像が流れることがあるじゃないですか。あれ見たとき、はっきり言って、どちらがやくざのお方でどちらが警察のお方なのか見分けつきません。
    みんな強面の顔してるから。
    でも、その無理な設定での人間模様を描いてるからこそ、この小説は面白いんですね。
    特に、健気な山岸さんと、若い新田刑事の掛け合い漫才が。
    もちろんミステリーとしての伏線は色々張られているのですが、人間群像小説として読んでもいいような気がします。

    閑話休題:
    このホテルはどこをモデルにしてるのかなあ、とずっと考えながら読んでいたのだが、調べると、日本橋の、というより東京シティエアターミナルのと言ったほうが分りやすいロイヤルパークホテルだそうだ。ふーむ、あそこか。
    こう言っては失礼だが、いまひとつ垢抜けないホテルだった気がしたが、辺鄙なところにあるからなんだな。逆に言えば落ち着いた感のするホテルと言ってもいいけれど。
    20階にある「鉄板焼すみだ」のお昼のランチ(当たり前だ)ブッフェを食べたなあ。確か日曜日だったけど、がらがらだったような記憶が……。でも、そういえば何処かのレストランか日本料理屋が、ミシュランの星をもらっていたような気も。まあ、そんなどうでもいい話は別にして。

    多くの人間が始終出入りするホテル。現われる人間全員が怪しく見えます。こういう展開だとまず思うのは、最も犯人とは思えない人間が、そうだったりしますよね。これ以上書くとネタバレになるので、終わり。
    いくつか「こんなのあるかなあ?」「ええ? そんなことで」とか疑問に思う部分もあったような気がしますが、総合点で捉えて、このブクログに来る前に作っていた個人的な読書記録の評価では4.5を付けていました。

    • koshoujiさん
      東野圭吾ファンにお知らせ!!
      彼の最新作『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は3月28日発売です。
      「ブクログ」には既に60人以上の方が登録している……。
      図書館派の方々は、早めにご予約を!!
      自分のレビューにこんなコメント書いて、誰か気づくのでしょうか?
      しかも自分自身は昨年12月に予約入れてるし(笑)。
      2012/03/16
    • honaoさん
      koshoujiさんのレビューを拝見し、私も読みたくなって、先日(3月18日)に某市立図書館に予約しました。今日現在552人待ちです。東野圭吾恐るべし!気長に楽しみに待っています。

      ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
      間違いました。元のコメント削除してしまいました。本当は修正したかったのです。
      私が図書館予約したのは「マスカレード・ホテル」のことです…と言いたかっただけなのです。度々すみません。
      2012/03/28
    • あやちゃんさん
      koshouji様。
      コメントお知らせありがとうございました。(遅くなりすみません)
      『ナミヤ雑貨店の奇蹟』図書館に予約していて、本日やっと読むことができました。
      勝手ながら少し悲しくなったので星5はつけないのですが、思うことがいっぱいあったので
      またレビューを作成中です。
      東野さんいいですよね。(次のもまだ予約中です。)
      2012/09/29
  • ずいぶんと読んでいなかった東野さん。やっぱり読みやすくって面白かった。
    4つの事件が絡まりあうトリック的なものには、なかなか頭が付いて行かず、実は山岸さんが狙われていた事に驚き。
    ホテルでの潜入捜査って実際あるのかな。
    ホテルマンに徐々になりきって行く新田さん。
    きっと刑事としては怖い人なんだろうけど、山岸さんにいつもリードされてる感が面白い。その後の2人も気になります。

  • 重厚なハードカバーの表紙。
    超高級ホテルで起きる殺人事件。
    なんといっても著者が今や不動の人気を誇る東野圭吾。

    これで期待するなという方が難しい。
    これは絶対にハードカバーで読まなければと、鼻息荒く本作を購入!!


    が……しかし。

    読み進めれば読み進めるほど

    あれ……?
    おかしいな……
    私の感性が変わってしまったのか?

    いや、面白いんだよ。面白いのは面白い。
    好きな人はすごく好きだと思う。

    高級ホテルに関する取材も相当徹底的にされたんだろうなあと想像できる。

    登場人物も魅力的で、正義感溢れる少々血気盛んなイケメン刑事と、男性顔負けの優秀な美人ホテルウーマンとのコンビが共に事件に立ち向かうというなんともミステリ好き読者の心をくすぐるような設定。

    それなのに。
    このモヤ~っとした感じはどうしたことでしょう。

    私はこの美人ホテルウーマンが好きになれなかった。
    率直に言えば嫌い。

    山岸尚美さん。
    気が強く、自分の意思がはっきりしていて
    そりゃあもうお客様のことを第一に考えて
    一歩先二歩先三歩先の展開まで早く読み
    自身の多忙な業務に加えて、警察の捜査でも
    その頭の良さを生かして難事件を解決する手助けをして大活躍、
    もうほんと文句のつけようのないヒロイン。

    美しくて聡明で仕事ができて思慮深くていじらしくて、しかも女性的な儚さ、可憐さのようなものもあって男女共に好かれるようなキャラクター。ていうか、好かれないとおかしいよね?山岸尚美を嫌いになる人なんているわけがないよね、ね?という感じ。
    (私の勝手すぎるイメージですが)

    一方新田さんも、男らしくて警察官としての責任感に満ちており、事件解決のためにホテルマンに完璧に成りすまし、捜査にも全力をかける。
    ヒロインと最初は反発しながらも協力し合って、お互い徐々に惹かれあっていき……まあなんてドラマティック、な展開。

    この作品、ものすごーーーーく映像化を意識している気がする。
    もう映像が頭に浮かびましたもん。
    すでにある程度キャスティングが決まっているのか?
    と思ってしまうほど。そのまま脚本にできそうです。

    山岸さん、すんごい上から目線に感じた。
    超一流ホテルの超一流フロントクラークだからって
    ちょっとプライド高すぎな気が。

    上司にホテルでの捜査のことを告げられ、
    刑事のアシスタントになってくれないかと頼まれた時も

    「つまり、社会において女というのは男のアシスタント役だから、ということですか」

    といきなり食って掛かったような態度で挑む。

    こういうこと言うと男尊女卑と取られちゃうかもしれないけれど、すぐこうやって「女は男の補佐役でしかないのか、ふざけんな!」みたいに言い出す女って、同じ女でもあんまり好きになれない。

    男ばかりの現場でやたらと目立ちたがろうとする女って苦手。
    私は紅一点という言葉が好きではない。

    だってこういう女に限って、
    いざというとき女の部分を出してきたりするイメージがあるから。
    もちろん全員が全員という意味ではありませんが。
    女だからってナメんな!とか言うくせに
    女なんだからもっと大切にしてよ!!みたいな。

    そりゃすごいとは思うよ。尊敬するよ。逞しいよ。
    でも、男の現場は男に任せておけばいい場合もあるのではないかと。
    こういう意見は間違っているのかもしれないけれど。
    決して男尊女卑しているわけじゃないですよ。

    そしてプライドがエベレスト並みに高い山岸さんは
    これからパートナーとなる新田に向かって早速
    挨拶の言葉に皮肉を混ぜるというジャブをかまします。
    一流ホテルウーマンが初対面の人にそんな態度とるか?

    「これから人にものを教えてもらうのにその態度はないだろう」
    ってアンタ(山岸尚美)、自分がどんだけエライ立場にいると思っているんだ。

    多忙極める超一流フロントクラークの
    わたくしの手を煩わせでもしたら
    タダじゃおかないわよ!!とでも言わんばかり。

    新田も新田で、最初はあくまで捜査が第一目的なのでやる気な~い態度。

    「ホテルマンになるっつったって俺はあくまで警察としての任務が大事でホテルの仕事はホテル側がやるんだから、髪型や歩き方なんかはどうでもいいっしょ~」
    (というニュアンスに感じる)

    って、お前それでもやり手のエリートか!!
    反抗期の男子中高生やないんやで!?

    エラそーにスカす前に、シャツの第一ボタンくらい留めろ!!
    と開始早々ツッコミまくり。


    が、しかし、その後はお互いの刑事としてホテルウーマンとしてそれぞれのプロ意識に敬意が芽生えはじめ、呼吸も揃ってきたころにまた新たな感情が芽生え始めるんですね。

    男女がコンビを組むとなれば
    やがて恋愛関係に発展していくのは自然なことで。

    こういう王道の凸凹美男美女コンビが描きたかったのでしょうか。
    なんだが恋愛要素を入れたことで安っぽくなっているような気がしてしまいます。


    しかも、そのやり取りが中高生みたいでまたなんとも……。
    レビューとか見ていると、この2人の掛け合いが良いっていう意見が
    わりと多かったので、好きな人は好きなんだろうと思いました

    一応成人した男女で、しかもお互い堅い仕事に就いているのだから
    最初はもっと遠慮がちに控えめな感じで

    「よろしくおねがいします」
    「ええ、どうも」

    みたいな出会いが自然じゃないかと思うんですが
    社会人同士のくせに最初からつんけんし合うとか、
    お互い気になっているけど素直になれない思春期の男女かよ!!
    と、またツッコミを入れずにはいられない。

    このいけ好かないコンビは一旦置いといて
    オオッ!?と思わず目が輝いたのが能勢さんの存在。
    まさに「能ある鷹は爪を隠す」という諺を体現したような刑事・能勢さん。

    能勢さんはすごく良いキャラクターだと思う。
    能勢さんを新田さんのちゃんとしたパートナーにした方が面白かったと思うなあ。
    同じような意見、アマゾンのレビューにもありましたし。

    能勢さんという良いキャラ登場させているのに、
    なぜこっちをメインパートナーにしない!?

    刑事同士なら極秘情報を交換してもおかしくないし
    物語もスムーズに進むだろうに。

    正反対の目的を持つ刑事とホテルマンがコンビを組んでしまったがゆえに
    色々ツッコまざるを得ない部分が生じてしまったのでは?
    まあそのコンビがこの物語のミソなわけで
    それを言い出したら元も子もないのですが……。

    新田さん、山岸さんに極秘事項ベラベラ喋りすぎ。
    アンタそれでもプロ意識もつ敏腕刑事なのか!?
    秘密という秘密を美人で気を許している人だからってペラペラと……

    山岸さんも、ホテルマンなのにエラそうに捜査にがんがん首突っ込んでくるのが
    見ていてすごくイライラした。新田だって、最初はそういうところイライラするって言っていたはずなのに、いつのまにか指示を仰ぐように山岸さんを頼りにし始めるからもうついていけない。素人に推理させるのが敏腕刑事なのか。

    正しい読者目線で言えば

    さすが山岸さんはホテルのことを第一に考えている!!
    自分も忙しいのに、プライベートな事件を削ってでも捜査の役に立とうと奮闘している!
    なんてすばらしい女性なのだ!すこし弱そうな女性らしいところも守ってやりたい!!
    さすがだ、ホテルで働く人間の鑑だ!山岸尚美バンザイ!!!あんたは最高のヒロインだ!となるところなのでしょうが
    私みたいなひねくれまくっている読者目線では
    「素人がいちいち口出ししてくんな!!」
    と思ってしまった。

    そしてついにイライラしながらも読み進めていた
    私の理性がブチ切れるシーンが来る。
    もちろん原因は山岸尚美。

    重要な捜査に参加させてもらえず蚊帳の外に追い出され、
    自分の手柄も横取りされてしまったことで、深く落ち込み失望する新田のことを

    「はっそんなことで落ち込んでんの?馬鹿じゃないの、くっだらねー」
    (実際の文章とはやや異なる)」

    というような暴言で一蹴。

    え……いきなりなにその口調
    どうした?美人ホテルウーマンご乱心か?
    自分が手柄を立てたいと思うことのなにがそんなにおかしいわけ?
    どこが馬鹿げているわけ?むしろ刑事として当然のことじゃないの?
    あんた、超一流ホテルウーマンだよね?
    人をおもてなしする職業だよね?

    長いこと一緒に過ごして苦楽を共にしている新田に対してどうして
    そんな暴言を吐くのか。意味がわからない。
    照れ隠しだとしても乱暴すぎる。思いやりの欠片もない。
    甘えんな、とかいうけど、どこが甘えてるんだよと言いたい。
    新田は一人で葛藤してんだ!一応パートナーのお前がどうしてわからないんだ。

    しかもこんな暴言吐いたくせに、能勢に指摘されて
    新田に対する淡い恋心に気づき始めたような態度も癪に障った。
    いやほんと、この女何がしたいの!?

    だからと言って新田のことも味方する気にはなれなかった。
    刑事としては素晴らしいと思うけど

    最初のやる気ない態度、そして上から目線。
    山岸尚美にきつく何か言われているときに
    キッと目を見開いた表情が美人だなあ……なんてことを考えている奴。
    客を見ても「あれは美人だからストーカーがいそうだ」とか
    これがブスだったらストーカーの心配はナシってことかい

    能勢刑事を主人公にして、ヒロインがホテルの超ベテランのやり手おばちゃんフロントクラークとかならめっちゃ食い付いて読んだと思う。
    恋愛要素なんてそもそもいらないし。
    フロントクラークじゃなくていっそ掃除のおばちゃんでもいい。

    新田の能勢さんに対する態度にも腹が立った。
    最初は見た目だけで判断して、愚鈍そうな男だとかすごいバカにしてる。
    まあ後々能勢さんの能力に気づいて尊敬し始めるんですが
    エリートのくせに人を小馬鹿にしたようなその態度はなんなのかと問いたい。
    山岸も新田も一流エリートのわりには所々ツメが甘すぎるぞ!!

    若かりし新田と教育実習生のエピソードも、新田の好感度をさらに低くした。
    高校生の時の話とはいえ
    「新田、性格悪っ!!」としか思わなかった。
    しかもその教師の章が長いわ内容もむかつくわで読んでいる間中イライラ。

    この教育実習生だった教師も相当根に持つタイプっていうか、
    ここまで執着してきたら怖い。
    絶対こんなやつ教師向いてない!!
    それなのに新田刑事。
    「今からでも教師の道は遅くないですよ。頑張ってください」
    という超きれいごとを言って終わり。なんだそれ!!
    本当にこの人と、そして生徒のことを思ったら
    即刻教師の道は諦めさせるべきだと思う。
    新田さんのキャラがブレているような気がしてならない。

    結局すべてのエピソードは一応伏線にはなっているし
    意味がないことはないんだけど、一つ一つのエピソードが長すぎると思う。

    ラストもなあ……50ページくらいで解決する事件なら
    今までの約410ページは一体……と少し拍子抜け。
    膨大なページ数に中身が見合っていない気がしてしまった。

    一番大事な、犯人を突き止める終盤のシーンはなんと、
    正義のヒーロー新田さんが美しきヒロイン山岸さんを生命の危機から救うというもの。色んな意味で仰天させられました。
    東野圭吾さんって、こんな作風でしたっけ?
    最後にヒーローが登場して、悪者をやっつけてお姫様を助けるって、そんな話を書くような方だったのでしょうか。
    別に否定しているわけではないです。しかし勝手ながら、がっかりしたことは否めません。好みの問題です。
    そして2人のこれからの淡い恋物語を連想させるようなラストシーンで物語は締めくくられます。
    めでたしめでたし。
    最近の東野圭吾さんはなんだか、メディア寄りの作風になっているのかなと思います。
    ガリレオの続編に、原作にはいなかった内海薫を登場させていますが
    嬉しい読者もいるのでしょうけれど、私は湯川先生と草薙刑事のコンビが好きだったので
    あまり嬉しく思っていません。原作は原作のままで書いてほしかったというのが正直な気持ちです。
    なので最近出版された東野圭吾さんの著書は、あまり読む気になれません。

    山岸尚美のことを登場人物も著者もやたらとホメまくりますが
    (美人、すごい女性、ホテルマンの鑑などなど)

    いや言っていることはわかるけど、彼女がすごいかどうかは
    こっちが決めるからそんな押し付けがましく何回も言わんといて!!

    新田さんと能勢さんがコンビだったら★5か★4だったかもしれない。
    トリックはとても面白かったし、ストーリーも良かった。
    なんだかんだぐいぐい引き込まれて読んだのは事実です。

    まだ言いたいことはあるような気がするけどとりあえず終わります。
    色々書いてしまいましたが、東野圭吾さんの大ファンであることに変わりはありません。大好きだから正直な気持ちを書きました。

    • もの知らずさん
      こんにちは。
      他人の気持ちを読み取らない人物ってすごいイライラしますよね。「そうじゃねぇだろうがよ!」とツッコみたくなります。

      ぼくも、「美女が出てきて恋仲に……」などという話はあまり好まないので、ブラウン神父とかミス・マープルみたいな、美女があまり出てこない(王道の)お話を少しずつ読んでいます(笑)

      腹を抱えて笑いました。最高!
      2015/04/19
    • 深雪美冬さん
      いつもコメントありがとうございます!
      こんなレビュー読んでいただけて有難い限りです。

      そうですよね。
      思いやりのないというか、思いやる気がないのか……。
      読んでいてイライラしてしまうんですよね。

      私もまったく同じです!
      美女と美男が集えばそこにはもう恋愛しか生まれないですもんね(笑)
      反発し合っているシーンとかも、なんか私から見ればイチャイチャしてるようにしか見えなくて……。

      「勝手にイチャついてろよ!フ―――ンッ!!」

      と本をぶん投げたくなってしまうのです。
      口が悪くてすみません。

      美男美女のコンビものは苦手です……。
      昔はそんなに腹立たなかったのになあ。

      是非おすすめの本とかあれば教えていただきたいです。

      腹抱えて笑えてもらえたなんて
      こんなに嬉しいことないです!!

      本当にありがとうございました。
      2015/04/22
  • 東野圭吾作品で最も好きなシリーズ。とにかく刑事・新田さんがイケメン。
    東野圭吾作品は魅力的なキャラクターが多い中、今回主人公のホテリア・山岸さん、刑事・新田さんはどちらかというと“ふつうの上”くらいのキャラクター。
    でもそれぞれがない部分を補いつつ、仮面をかぶるお客様(容疑者含む)達に翻弄されながらも事件を導き出す姿勢が凡人の私にとっても非常に魅力を感じる。
    +能勢という(芋洗坂係長)のようなキレ者?くせ者?もうまく絡んできてて、まったく飽きさせないストーリーです。

    高級ホテルの裏側やホスピタリティを十分に感じることが出来る読み応えのある1冊。

  • 帯や表紙から想像したものとは全然違っていた。
    もう少しスリリングなものを想像していたけど…。
    ホテルにはいろんなお客様がいて、そんなお客様にどうのように対応していくかというホテルマンの奮闘記。刑事はまず客を怪しんで見る。ホテルマンはまずお客様を信じて見る。
    刑事は常識(または自分)がルール、ホテルマンはお客様がルール。
    秘密・犯罪を暴きたい刑事、お客様を守りたいホテルマン。
    そんな二人がお互いの仕事に対する熱い思いをそばで感じ少しずつ理解し変わっていく…。
    次はどんな事件が待ち受けているのだろうか。

  • ホテルウーマンとしてのプロの仕事ぶりがよかった。
    ホテルの世界や考え方、警察の世界や考え方、それぞれの違和感を持ちながらも人間として信頼していく様子がよくわかった。
    生きていく中で出会うことのないタイプの人もたくさんいる。
    信じられない価値観の人もいる。
    ちょっとしたことが相手にとっては人生変えるほどの出来事になってしまう場合もあるんだなーとこわかった。
    ひとつの殺人事件を防ぐための話だけど、いろんなエピソードがあってどんどん読み進めてしまいました。
    犯人も意外な人物だったし、それが途中のエピソードとリンクしてる感じも大好きでした。
    東野圭吾さんの本は必ず読んだ後、なにかを気づかせてもらえるので好きです。

  • 「マスカレードホテル」
    東野圭吾


    とても凝った造り。物語の至る所に細工が施されている。その洗練された雰囲気はまるで、小説の舞台となる超一流の高級ホテルのようだ。

    小さな謎が幾重にも積み重なって、私たちを翻弄する。先が気になってどんどん読み進めていくうちにすっかり物語に入りこんでしまい、読み終えた後でやっと、あれとあれがあそこで繋がって…?と整理し出すのだけれど、それをやり出すとまた止まらなくなってしまう。

    ミステリー自体が面白いのはもちろん、登場人物たちのやりとりがまた良い。ミステリー小説なのに、細やかな心理描写に胸が熱くなる。個人的に気に入っているのはホテル総支配人の藤木。際立って目立つ存在ではないけれど、とても味のある役どころだ。実写化なら児玉清なんか合いそう。柔らかな物腰と、時折見せる秘密めいた瞳なんかぴったりだ。(もう叶わない配役だけれど。)

    そういう、ミステリー以外の部分もひっくるめて、全体の完成度がとても高い。当たり前だけど文章も上手で読み易いし、何よりすごく面白い。東野圭吾はこれが初めてだったけど、これはハマってしまうかも。


    以下、内容紹介

    待望の新ヒーロー誕生! 極上の長編ミステリ
    都内で起きた不可解な連続殺人事件。次の犯行現場は、超一流ホテル・コルテシア東京らしい。殺人を阻止するため、警察は潜入捜査を開始し・・・。
    1行たりとも読み飛ばせない、東野ミステリの最高峰。

  • 東京の架空の1流ホテル"ホテル・コルテシア東京"を舞台にしたミステリー。
    ホテルの裏側を描いたもの、で思いつくのは
    映画「有頂天ホテル」、
    あれも面白かったけれど
    この作品はリアルにホテルマンの仕事を描いている、
    気がする。
    ミステリーとしての面白さに加えて、
    普段垣間見ることさえできない特殊な職場の裏側を知ることが出来るのはすごくわくわくする体験である、と同時に実際にホテルで働いている人間が読んだらどう感じるのだろうという好奇心も湧く。
    また、私自身も以前サービスを提供する側にいたことがあるので、ヒロインの山岸尚美のお客様に対する姿勢には共感もするが、それ以上に脱帽する。
    ーお客様を快適な気分にさせることが第一なのです。ー
    わかっていてもマナーの悪いお客様に辟易してしまうものだと思ってしまうが1流ホテルともなると違うのか。
    こんなホテルに泊まってみたい。

    優等生的なヒロインに対し、
    もう1人の主役である新田は、刑事としては優秀で外見も並以上のようだが、自覚がある分傲慢で不遜な態度をとりがちな男。正直いけすかない。
    でも、いけすかないながらも正義感は人一倍で少々子供っぽい部分はあるけれど憎めない存在でもある。
    そんな新田が尚美とぶつかりながらも少しずつ変わっていく。
    また、尚美の方でも全く考え方、物の捉え方の違う新田と関わるうちにやっぱり少し変わっていっていく。

    恋愛的要素はほとんどないけれど、2人の間に信頼以外の何かが芽生えている予感を感じさせるところも良い。

    この物語の前日譚となる「マスカレード・イブ」も楽しみだけれど、続編も出ないかなぁと期待してしまう。
    ただ、その場合は舞台はきっとホテルではないよね
    それじゃ面白くないのかなぁ…

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