月は怒らない

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 457
レビュー : 91
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714159

感想・レビュー・書評

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  • 子供の時の深層心理で描いてた光景って覚えてないけどなんかしらあったんかなあ

  • 3人の男性との関係。
    なぜ この人たちは 彼女に 関心を抱くのか。
    最後には 納得しました。

  •  痴漢を取っ捕まえ、ホームの片隅で過剰なほどの暴力を奮った後、財布を奪い取り、後々足の着くクレジットカード類には目もくれず、現金だけを抜いて、被害に遭った女性に被害料と言って大方を差し出し、自分の手数料分も一部抜いて立ち去る男。職業は、悪質金融業者から過重債務処理を請け負うフリーランサー。
     『ヒート・アイランド』シリーズの登場人物と言ってもおかしくなさそうな男の登場に、垣根涼介、古巣のクライムノヴェル・ジャンルへUターンか、と思わず快哉を叫ぶ。『君たちに明日はない』シリーズ以降、いわゆる庶民派普通小説のジャンルに転向した感の強い垣根涼介、実は、残念ながら本作でも別にクライムやノワールに戻ったということではなかった。これは現代という都会を漂流する男女たちの運命の交錯と、彼らの生き方の模索、そして変化を描いたヒューマン・ノヴェルであったのだ。
     何故か天性の引力を持つ一人の女性を、男たちの視線で囲繞するように捉え表現しつつ、男たちも彼女を通して自分の人生に向かい合ってゆくという、簡単に言うとそんな構成だが、小説としてのストーリーテリングは、やはりこの作者の得手とするところ。奇妙な出会いや、それぞれの個性、劇中対話の癖の強さ、視点変化の醍醐味など、それぞれにプロの技巧として味わえる。
     冒頭で紹介した粗暴な男にしても、不遇な育ちの末に人嫌いとなり、図書館に逃げ込んでは、ヒューマンな小説を避け、ジム・トンプスンやジョゼ・ジョバンニ、アンドリュー・ヴァクスやジェイムズ・エルロイなどのノワールを己のものとして読み漁る(何故かどの作家もぼくの愛読作家であるよ)。彼の他に、迷える軽薄学生、ノンキャリアの交番巡査、元エリートのホームレス、記憶障害の老人。小説は猫の目のように視点を変えてある一人の女性を中心とした円を描いてゆく。
     ヒロイン、三谷恭子。市役所勤務。紺のスーツ。自転車通勤。地味なアパート住まい。顔立ちは特に目立たない。外食はせず手料理。趣味は部屋でジャズをかけることくらい。必要なこと以外は口にしない。謎の多い<ファム・ファタル>(<宿命の女>の意ですよ)的要素だけがともかく際立つ。
     男たちは何故、彼女に引き寄せられるのか? 振り幅の大きな派手なストーリー展開ではないが、アラブ産のナイフや免許証など、小道具の使い方も印象的だし、ヒロインの時々の決断が全体の舵を切ることにより、彼らの世界が波立つ辺りも不思議な情景だ。
     記憶障害の老人が及ぼす影響も強く、時に哲学的に偏るシーンなど小説としてどうかなと思うが、このこと自体、作者の最近の方向転換における模索や実験のようなものと思えば、興味が尽きない。次作『人生教習所』(現時点で未読)へと繋がるであろうこの作者の変化を、まずは追跡してみたいと思う。

  • 垣根作品にしては珍しく、インパクトも鮮明な主題もない中途半端な印象。登場人物の交錯も中途半端。

  • ウジウジや甘さとは違う路線だが、これも恋愛小説?
    まったくついていけない。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14308493.html

  • 不幸な幼少期、知らず知らずのうちに月を見ることで心の平静を保つことを習得していた。それゆえ誰かに依存しないで自分の人生を自分で引き受けて生きていく強さを身につけたのだろう。好きな人が自分の思い通りに動いてくれなくても、それをそのままに受け入れる強さが良かった。

  • あんまりピンとこなかった。恭子の魅力が私にはわからなかった。強く惹きつけられる何かを持っているんでしょうねぇ。

    たぶん3人の男性と同時につき合っちゃうっていうところが共感できなかったのかも。なーんだ結局言い寄られたらつきあっちゃうんだぁ。来るものは拒まずかいっ!と思ってしまいました。私はひねくれているんだろうか。

  • 特別面白いわけでも無いのに、胸を何かが掠める物語

  • 魅かれるのも納得させられるような、恭子、どんな過去があるか知りたいという願望だけで最期まで止まらなかった。

    それだけに曖昧な描写はやや拍子抜けだったが、
    3人の男の心情にひきつけられる。

    舞台が通ってた吉祥寺なのも生々しくていい。

  • タイトルの意味はつまりそういうことなのか。恭子という謎の女と三人の男。当初は恭子がいけ好かん女だと思っていたし、男たちはなんでこんな女に魅かれるんだと不思議でならなかったけど彼女にはそういう生き方しかできなかったのかなぁ。登場人物に好きになれるのが恭子が公園で会うおじいちゃんくらいしかいなかった…。垣根涼介の小説はアウトロー路線だからそれも魅力なんだろうけれど。2013/194

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著者プロフィール

垣根涼介(かきね・りょうすけ)
1966年、長崎県生まれ。筑波大学筑波大学第二学群人間学類卒。
2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞しデビュー。2004年『ワイルド・ソウル』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞、大藪春彦賞の史上初の三冠に輝き、2005年『君たちに明日はない』で第18回山本周五郎賞を受賞。2013年、初の歴史時代小説『光秀の定理』を発表、歴史時代小説『室町無頼』は第156回直木賞候補、第7回山田風太郎賞候補となり、第6回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。2018年、『信長の原理』で第9回山田風太郎賞候補作、そして第160回直木賞候補となる。

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