少女は卒業しない

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714425

感想・レビュー・書評

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  • 高校の卒業式の日。
    女子の視点で語られる短編集。

    さわやかで切なく、痛みと悲しみもどこか甘やか。
    成長していく時期の女の子の気持ちを、細やかに、髪の動きや息づかいまでありあり感じるほど、丁寧に描いています。

    3月25日の卒業式。
    来年度からは合同になるため、廃校に。
    翌日には校舎の取り壊しが始まる前日という、特別に遅い日程になったのだ。

    「エンドロールが始まる」
    「作田さん、返却期限、また過ぎてますね」
    それがいつもの会話。
    図書室のカウンターにいる先生に、ほのかな思いを寄せている。
    これまでのことを思い出す最後の日…

    「屋上は青」
    幼なじみの尚輝と屋上に来ている孝子。
    待ち合わせのメールが来たので、卒業式をさぼることにしたのだ。
    地元の国立に進む真面目な孝子は、さぼるのは初めて。
    進学校で、ダンスの事務所に所属する尚輝は異色な存在。
    中退してしまったのだが…

    「在校生代表」
    長い送辞を読む亜弓。
    卒業式の催しで、照明をやっていた田所先輩に惹かれて、生徒会に参加。
    成績が悪いふりをして勉強を教わったり、重ねた月日…

    「寺田の足の甲はキャベツ」
    女バスの部長の後藤。
    男バスの寺田と付き合ってきたが…

    「四拍子をもう一度」
    卒業ライブで体育館にいる軽音部。
    ヴィジュアル系バンドの衣装が盗まれてしまい…?

    「ふたりの背景」
    帰国子女のあすかは、H組の正道くんと美術部に入る。
    クラスでは最初は仲の良かった女の子に無視されるようになり、浮いた存在だった。

    「夜明けの中心」
    卒業式も終わった夜、校舎に忍び込んだまなみ。
    これが最後と思って、駿によく作ってあげたお弁当を作った…

    それぞれ進路が分れていく高校生たち。
    校舎に幽霊が出るという噂をモチーフに。

    自分の高校時代には、こんな事は何もなかったな…とふと思いました。
    2012年3月発行。

  • 廃校が決まっている高校の、最後の卒業式。その一日を切り取ったお話しでした。

    出会いと別れ、未来への希望や不安、色々な感情が入り混じった気持ちを思い出しました。一言でいえば、青春だね〜としみじみ思ってしまう私は、おばさんですね。

    ”あたしは知ってる。ずっとこういう日々が続けばいいって思っている時点で、続かない、ってわかってること。”

    この文章が、青春時代の儚さをよく表現していて心に染みました。

    みんな、この短い学生生活で色々と経験して、大人になっていくんですね。

  • 校舎取り壊しが決まった高校の、最後の卒業式。どんな想いで「その日」を迎えるのか…それぞれの別れを描いた連作短編集は、1989年生まれの著者だからこそ描ける若々しさ、新鮮さに満ちている。同時に、自分も経験した「卒業」に対する寂しさ、新しいスタートに対する期待と不安、そんな色々な感情が入り混じった泣き笑いな3月を、懐かしく思い出した。
    出だしの数話は、まあ、普通の青春小説(ちょっとおセンチすぎるのは男子目線で描く女子だからか?)と思ってましたが、連作短編だからこその構成の巧さが徐々に引き立ち始め、卒業式当日にあちこちで起こっているドラマがどんどんつながっていき、いつの間にか夢中でページを繰っていた。
    そして、各話の起承転結の「転」が見事!!意外な展開に何度も驚かされた。若さゆえの悩みや迷いや痛みが丁寧に描かれ、若い女性作家が描く青春ものとも一味違う世界観。もっと彼の作品を読みたい、と思いました。
    たまたまなんだけど、3月に読めてよかった。

  • 廃校になる高校の最後の卒業式。

    伝えられなかった気持ちとか、言えなかった秘密とか。共学の青春。

  • 2014.01.26
    廃校が決定し学校を去ることになった少女たちのお話。
    名前は知っていたものの朝井さんの作品を読むのは初めてだったのですが、一つ目の「エンドロールが始まる」で引き込まれてそのまま一気に読了しました。こんなに読んでいて気持ちいい文章に出会うのは久しぶりな気がする。
    描写の一つ一つが繊細で美しい。情景が浮かぶとかそういうものではなく、本当に十代の女子高生特有の儚さとかそういったものが滲み出ていて美しかった。心情や台詞のチョイスもすばらしい。こんな美しくこの感情を場面を表せる言葉があったんだ、と何度も感心しました。
    全部好きだけど特に「エンドロールが始まる」「屋上は青」「ふたりの背景」が好き。

  • 世の中的にかなり遅れて「桐島部活」を読んで、ものすごくいいと思って、立て続けに4冊読んで、『うわぁ、これもすごい』と思った。
    桐島部活が「高校というビミョーな世界のなかで、それなりに生きていくための細かな戦い」だとすれば、こっちは「高校という限られた時空間のなかで、ふつうの女子が発露する大切な想い」という感じ。
    連作短編形式で、卒業式というビッグイベントをからめた恋バナ(や別れや友情とか)なんだけど、どれも『人を想うこと』がものすごく丁寧に描かれている。
    なんでこんなにグッときちゃうんだろうと考えてみた。
    おそらく「こんな話がホントにあったらステキだなぁ」ということかな。
    自分の高校時代を思い出してみると、実は結構つらいことやイヤなこともいっぱいあったんだよね。でも、たまに、ものすごく「いいこと」もあったわけで。まあ、「一勝九敗」くらいなんだけど、その一勝に価値があったりして。
    ちなみに「だって席替えって、大学行ったらもうないんだぜ」ていう男子のセリフがあるんだけど、席替えはホントにワクワク・ドキドキするイベントだった。

  • 翌日取り壊される校舎、
    最後の卒業式当日の少女達の
    キラキラした7つの話。

    印象に残ったのは下記の2つの話。

    「四拍子をもう一度」
    聞かせたい 聞かせたくない
    みんなに知って欲しい 自分だけが知っていたい
    発信源は同じ感情なのに。面白い。

    「ふたりの背景」
    この本の中で一番好きな話。
    「何で?」って言われると、答えられないけど。


    「少女は卒業しない」
    素敵なタイトル。
    読んでみたいって思わせる、良いタイトル考えるよなぁ。


    (図書館)

  • 個人的に好きだった
    「エンドロールが始まる」はあの切なさか好きです

    少女の片思いの人は先生…
    先生には大切な人がいる
    無理だとわかっていても、抑えられない気持ち

    卒業式に、先生に思いを伝えた
    …しかしそれは過去形だった。

    それなら、先生を困らせずに、自分の気持ちを伝えられたからだろう

    なんともいえない切なさがいいですね

  • 「好きでした。過去形にして無理やりせりふを終わらせればやっと、エンドロールが始まってくれる。」
    「エンドロールが始まる」より

    良かった。
    こういう小説を読みたかったんだなぁ、とつくづく思わせてくれた1冊だった。

    翌日には廃校になる高校の卒業式。
    その日の少女たちの思いやことば。
    どれもこれもキュンとなるものばかりだった。

    私の高校時代はこんなキュンとなることはなかったけど、
    今この本を読むことで、高校時代がキュンとしたものに少し上塗りされた気がする。

    私は特に最初の「エンドロールが始まる」にノックアウト。
    こういう奥ゆかしい恋、片思いがしたかったなぁ、なんて思ったりもする。

    やはり、朝井リョウくんの物語、好きです。
    これからも読んでいきたいのでありました。

    【10/14読了・初読・市立図書館】

  • +++
    今日、わたしはさよならする。図書室の先生と。退学してしまった幼馴染と。生徒会の先輩と。部内公認で付き合ってるアイツと。放課後の音楽室と。ただひとり心許せる友達と。そして、ずっと抱えてきたこの想いと―。廃校が決まった地方の高校、最後の卒業式。少女たちが迎える、7つの別れと旅立ちの物語。恋愛、友情、将来の夢、後悔、成長、希望―。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。
    +++
    「エンドロールが始まる」 「屋上は青」 「在校生代表」 「寺田の足の甲はキャベツ」 「四拍子をもう一度」 「ふたりの背景」 「夜明けの中心」
    +++

    いつもの年よりも遅い卒業式。なぜなら母校は廃校になり、翌日には取り壊されることになっているからだ。学校がなくなったからといって、思い出までが消えてなくなるわけではないし、同級生や後輩たちと二度と会えなくなるわけではないが、普通の卒業式にはない感傷がそこにはきっとあるのだと思う。そしてその揺れが、少女たちのなかに、力となって蓄えられ、卒業式当日に外に向かって放たれたのだという気がする。少女たちは弱くて強い。特に恋する少女はいつの時代でも無敵である。報われても報われなくても、こんなにきらきらと輝く時代はほかにないだろう。きっと少女は少女から卒業しないのだ。いろんな涙がまじりあう一冊である。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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