少女は卒業しない

著者 :
  • 集英社
3.75
  • (144)
  • (299)
  • (220)
  • (37)
  • (8)
本棚登録 : 1916
レビュー : 355
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714425

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 朝井リョウくん、初めて読みきった。
    実はしばらく前に「もう一度生まれる」を図書館で借りたとき、
    1つ目の話を読んだところで進まなくなり、期限切れで返却したのだった。
    20代の司書さんから、
    「うーん、朝井さん、高校生や大学生の世代の人たちにはずいぶん共感を得ていて、
    人気なんですけどね・・・。」
    と残念そうに言われて、
    あらら、高校生からかなり時間が経ってしまった私にはキビシイのかな?と思いつつも、
    今度こそ!と手に取ってみた。

    「もう一度生まれる」もそうだったけれど、タイトルと表紙に惹かれる。
    前を一心に見つめ、自分の意志で選んで進んでいく女の子を想像させた。


    廃校が決まった高校の卒業式の日に起こる7つの物語。


    大勢に流されたり、その中にいっそ飛び込んでしまった方が楽な時もありそうなものだけれど、特有の「潔さ」と「青さ」を持った少女たち。
    恋心や後悔、今まで言えなかったことに向き合い、節目となる1日に足あとを残す。
    普段なら見逃してしまいそうな些細なことがらも一つひとつ掬いあげて、
    きらきらと光の中に浮かび上がらせる。
    そんな描写が、同世代の人たちの気分を表しているのだろう。

    一番印象に残ったのは、「四拍子をもう一度」
    好きな男の子の一番魅力的なところを、みんなに知ってもらいたいと考える女の子と
    自分だけが知っている秘密にしておきたい女の子。

    正直なところ、私は後者でしたね。
    特に「一見・・・なんだけれど、実はこんなに・・・なんだよ!」みたいなのが、
    かなり好きだったのを思い出した。
    今は、むしろミーハーに「あの人のこんな素敵なところを最初に見つけたのは私!」と
    おしゃべりする方が楽しいのは、「恋」から遠く離れた証拠でしょう。

    そして、第6話に登場する"The long and winding road"
    めちゃくちゃ懐かしい。
    高2の文化祭でクラスで映画(ビデオ)を撮ったときのBGM。
    結局大成功と言えない結果になったことを思い出し、ちくんと胸の奥が痛む。

    甘美でほろ苦い。
    涙を流しても、優しい風が吹いて頬を乾かす。
    まっすぐすぎて、咽喉の奥がひりひりする。
    照れくさく苦笑いする。

    高校という閉じられた世界の中に存在する、
    そこでしか味わえない気持ちや情景を切り取って表現するのが上手い人だなと思った。
    自分自身が全く同じ気持ちを持てなくても、
    たぶん同じ空間の誰かが感じていただろうと想像できる。
    空気が伝わってくる1冊だった。

  • 朝井リョウさんの本は【桐島、部活やめるってよ】に続いて2冊目。
    実はこの【桐島、部活やめるってよ】の私の身勝手評価は☆☆2つ。
    そんなわけでこの本を手にするときにはほんの少しためらいがあったりして・・・(笑)。

    今年で廃校になる高校。
    最後の卒業式は3月25日。
    その最後の日を巡る連作短編集。
    最後の日だからこそ勇気を振り絞る少女あり、未来に一歩踏み出す少女あり、思い出と決別する少女あり。
    最後の「夜明けの中心」はまさに胸キュンで、すっかり女子高生の気分でした(汗)。

    史上最年少の直木賞作家である朝井リョウさんは1989年生まれの24歳。
    そんな彼が描く世界。
    今まさに女子高生だったらツボだったと思うけれど…
    なんせン十年も昔に女子高生を卒業していますから…
    それでも読んでるうちに女子高生のころを懐かしく思い出したりしていました。
    たまにはこんな世界に浸るのも悪くない!
    なんて、上から目線で失礼しました(笑)。

  • 廃校が決まっている高校の、最後の卒業式。その一日を切り取ったお話しでした。

    出会いと別れ、未来への希望や不安、色々な感情が入り混じった気持ちを思い出しました。一言でいえば、青春だね〜としみじみ思ってしまう私は、おばさんですね。

    ”あたしは知ってる。ずっとこういう日々が続けばいいって思っている時点で、続かない、ってわかってること。”

    この文章が、青春時代の儚さをよく表現していて心に染みました。

    みんな、この短い学生生活で色々と経験して、大人になっていくんですね。

  • 翌日取り壊される校舎、
    最後の卒業式当日の少女達の
    キラキラした7つの話。

    印象に残ったのは下記の2つの話。

    「四拍子をもう一度」
    聞かせたい 聞かせたくない
    みんなに知って欲しい 自分だけが知っていたい
    発信源は同じ感情なのに。面白い。

    「ふたりの背景」
    この本の中で一番好きな話。
    「何で?」って言われると、答えられないけど。


    「少女は卒業しない」
    素敵なタイトル。
    読んでみたいって思わせる、良いタイトル考えるよなぁ。


    (図書館)

  • 卒業と共に廃校となる3年間通いつめた校舎。そこには、高校生ならではの別れや始まりがあり、甘酸っぱい青春やほろ苦い思い出があった。
    高校生活には短い期間の中でたくさんのイベントが凝縮されていて、社会に出てからのそれとは比べ物にならないほど濃密である。それらを女子高生の瑞々しい恋心と共に記したような本書を読み進める中で、今ひとつ高校生の心情に立つことができなかったのは、自分が男性だということと、それだけ年を取ってしまったということだろう。
    “ふたりの背景”と“夜明けの中心”は印象的だった。“ふたりの背景”にはハッとさせられる言葉がたくさんあり、人との関わりについて考えさせられてしまったし、“夜明けの中心”では、2人の前に進もうとする姿に思わず涙が出そうになった。

  •  卒業式。学校全体が浮き足立っていて、別れというものに慣れていない生徒たちは不自然に明るい。たった1日のその儀式を境に、どこにも所属していない不安定な存在になってしまう。

     そんな卒業式の1日を描いた連作短編。舞台は廃校が決まり、翌日には校舎が解体されてしまう学校。ある意味、在校生もみんな卒業を迎えるという設定である。
     まずは何よりもその描写に心奪われる。みずみずしくて色鮮やかで、まるで絵画のよう。
     内容は甘酸っぱさ100億%の恋愛が中心。送辞で告白なんて死にたくなりそう。そんなリア充ばかりでうんざりしたが、卒業式ってだけで特別な気がして暖かい目で読める。
     
     「屋上は青」のこの言葉が印象的だ。
     何が幸せで、誰が正しいかなんてわからない。
     羨ましいと思い続けてた人が、自分のことを羨んでいることって時々ある。卑屈にならず、謙虚でいるために。そして自分にできることをできる人になるために、忘れてはならない感情だと思う。

  • 高校の合併により、校舎が取り壊される前日に行われる卒業式。

    図書館にいる先生に叶わぬ恋をしていた作田。
    自分の夢に確実に近づいている尚輝と寂しさを覚える孝子。

    生徒会長の田所が好きで、バスケ部と生徒会で奮闘した亜弓の送辞。
    バスケ部の寺田と後藤は、卒業するにあたりそれぞれの道を決断するとき。
    卒業終わりに行われるライブで起きたハプニングと森崎をめぐる恋心。

    帰国子女でクラスに馴染めなかったあすかと特別クラスの正道の純粋な心。
    学校で不慮の事故で亡くなった駿を追悼するために、卒業後に忍び込んだ香川とまなみ。

    ふたりの背景で、あすかに嫌がらせする里香を描こうとした正道が
    僕の目に、あなたは映らなかった、と言って里香の向こう側にいた明日かを描いたのがよかった。
    里香といつもつるんでいる真紀子が、それに対して、そのままでいいと思うと言ったのも印象的。

    共通するものは卒業だけど、これが桐島になったら桐島部活やめるってよみたいになるんだね似てる。

    少女たちは一体なにから卒業しないのであろうか。

    リア充すぎて読んでいて時々、わあああぁぁあああぁっぁあぁl1!!ってなりそうな衝動に襲われる)^o^(

  • 明日取り壊しになる高校の最後の卒業式・・・。

    卒業式の一日が7人の女子からの目線で描かれる。

    「エンドロールが始まる」図書館で好きな人が読んだ本を読むのっていいですね。
    「屋上は青」自分にないものに憧れてそれで不安になるけど、それでも応援したい、好きな人ならなおさら。
    「在校生代表」・・・この後の亜弓と田所先輩がどうなったのか気になる(笑)。
    「ふたりの背景」・・・未来に向けての約束って素敵ですね。

    爽やかでホロリとする7編。
    卒業おめでとう、がんばれみんな!!って言ってあげたくなる本でした。

  • 卒業式、東棟、告白。3つのワードで繋がった短編集。

    「エンドロールがはじまる」と「ふたりの背景」がよかったです。

    すきです。じゃなくて、すきでした。ってなんかいいな。
    いや、ほんとはちゃんとすきって言えたらいいんだけど。
    すきでした、なんて言うまっすぐな片想いって、青春って感じ。

  • 良かった。デビュー作「桐島…」よりソフトで淡い。文章に気負いが少なくなった感じがした。卒業式というひとつの区切りで高校生の恋をきれいに描いた短編集。実際はこんなことないんだろうけど男子校出身としては憧憬を抱く。表紙も◎。
    「屋上は青」「在校生代表」が秀逸。「夜明けの中心」はイマイチ。恋人・友の死というお決まりのプロットなのでこの1話はないほうがよかった。

著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

少女は卒業しないのその他の作品

朝井リョウの作品

ツイートする