- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087714449
作品紹介・あらすじ
同じ大学に入学した妹と同居することになった「私」。久しぶりに会った妹は意図的に「私」を無視し続ける。写真部に入部した妹を追うように「私」も入部するが妹はやめてしまい、やがて奔放な生活を始める。しばらく家を空けていた妹は、戻るなり規則正しい生活を始めた。しかしある日、妹は荷物とともに姿を消してしまい…。中年主婦vs双子の悪魔を描いた第141回芥川賞候補作「いけにえ」を収録。
感想・レビュー・書評
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途中までは自意識過剰な女が人とは違うってことをがなりたてるような(表面は静を装いつつも)苦手な文章だと感じて(作者と作品の距離がなさ過ぎるタイプに感じた)、でもそれは実はこうだっんだっていうとあることに気づいてからは全部ひっくり返された。
純粋にすごい小説だと思いました。
そしてそのからくりに気付くまでは「なんか怖い」に支配されているのに気付いてからは、気付いたんだから本当はもっと怖いはずなのに何故か安心した。ほっとした。
「いけにえ」の方はやや肩透かし感が。「パトロネ」がすごかったからかなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
明け方に見る奇妙な夢みたい。
フィルムの外側をパトロネっていうんだね。
あれを手で弄んじゃうのはわかる。
今じゃ貴重品かな。 -
繊細なのかそれは演技なのか、若い女性特有のデリケートな潔癖感が強い。 …のかなぁ
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不思議なお話だったといえばそれまでですが。
「パトロネ」は、妹の存在を認識することで、自らの孤独を意識する姉が起こす行動が妙に人間臭く、興味深く読ませていただいたのですが、途中で急に大きく変わる展開により、自分自身と見つめあっているのか、幻想を視ているのか、よく分からなくなり、私のテンションはやや下がり気味に。ただ、後半の展開が現実だとすると、なかなか怖いと思います。
「いけにえ」は、自分の好きなものをしっかり持ってらっしゃる方のお話しで、私には、あまりグッとくるものは感じられませんでした。 -
「パトロネ」
「いけにえ」
2つの作品に共通しているなーと感じたのは、滑稽と言ってもいいくらいの寂しさ。
恥ずかしくなるくらいの独りよがり。
ちゃんと怖いし。
怖い絵を観た後みたいな気持。
すごいな。
美人だし。
彼女が美しいと思うものを知りたい。 -
パトロネとは、フィルムが収まっているあの小さな円筒形の缶のこと、だそうで。
やっぱり藤野先生作品は世界観も何もかもが不可解なんだよなあ・・・気持ち悪いんだよな、どっかが・・・。
どこまでが正気で誰までが現実なのか・・・。
分からない・・・皮膚病怖い…。 -
妹と同棲することになった主人公。
ある日妹は失踪し女の子が現れるーパトロネ
悪魔を見た主人公はその美術館で働くことにするーいけにえ
悪魔の末路が美しくて一番好きだった -
このひとの書く小説は不気味だ。気づいたら後ろに、隣にいるような不気味さを孕んでいる。
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表題作「パトロネ」は一風変わった幽霊譚。中盤過ぎまではイメージの拡大や推測の拡がりができて面白いのだが、その後は終わらせることに意識が向かってしまっているのか、減速してしまうのが残念。皮膚病と心情をリンクさせたのは上手い。イライラ感が伝わってくる。パトロネって何かと思ったがアレだったのね。オジサンはパトローネと習いました。
「いけにえ」は普通さ凡庸さに潜在する執着や狂気といった感じ。普通のオバサンの普通の美術鑑賞がツボにはまる面白さ。美術なんて分からないと言いつつもその観賞力はただ者では無い。コミカルな文章だがこの後の作品と比べるとまだ硬い感じがする。言葉の選び方がまだこなれていないからかな。こういう話は大好き。 -
怖い!加速する怖さがたまらない。