共喰い

著者 : 田中慎弥
  • 集英社 (2012年1月27日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714470

作品紹介

欲望は、すべて水に還る。少年たちの愛の行方と血のいとなみ。川辺の町で起こる、逃げ場のない血と性の濃密な物語を描いた表題作と、死にゆく者と育ってゆく者が織りなす太古からの日々の営みを丁寧に描いた「第三紀層の魚」を収録。第146回(平成23年度下半期)芥川賞受賞作。

共喰いの感想・レビュー・書評

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  • パフォーマンス的話題につられて購入したクチです。(笑)
    その話題の「共喰い」と、「第三紀層の魚」の2編を所収。
    「共喰い」は、セックスのときに快楽を深めるために女を殴る父親からの血の継承に困惑する高校生の主人公の葛藤を描く。内容はあまりにも生々しくセンセーショナル的な感じがするが、エロスとタナトスの対比やエディプスコンプレックスの発露など、むしろクラシカルな主題であるともいえる。その生々しい表現と父親の行為に感じる嫌悪感がこの作品の醍醐味であると思うが、どうせならその嫌悪感をもう少し主人公の葛藤として深めても良かったような気がする。ところどころに挿入される情景の比喩は、もう少し柔らかい表現にならないものか。ラストは悲劇的だが、全てが流され業のリセットを予感させてくれる。
    「第三紀層の魚」は小学四年生の主人公を視点(支点)に、曾祖父と祖母、そして母の世代間交流をぎこちなくも暖かく描いた作品。おむつの付け替えや、釣りの話などなかなかこだわりのある話が面白かった。少年の海での釣りは、この小説の背景色としてのよい彩りを感じさせてくれる。
    両小説とも、「海」「川」「雨」など水の描写を効果的に取り入れていて、小説のテーマの基底として見事な役割を果たしている。特に「共喰い」で水に飲み込まれるシーンは全体の暗喩として象徴的なものになっている。
    持ってけー!(笑)

  • 重厚でどろどろした素的な文章だった。理由はわからないけれど、3回くらい鳥肌がたった。芥川賞受賞の会見で強気な発言してたので、どうなんだろうとおもったけれど、強気な発言してるだけはあるな、とおもった。長編も読んでみたい。

  • 2012年(平成24年)、第146回芥川賞受賞

  • 一気には読み終えたけど、この作品を自分のなかでどう受け止めたらいいのか、最後まで、見いだせなかった…
    話題にもだっからよんでみたけど、描写がリアルだった、としか表現できないなぁ。

  • 父と母を性で描く

    高校生の息子からはこうみえてるのか人間

    音がない小説

  • 方言と自然描写が良い。川の使い方も上手だなぁと後半思ったけど前半で「割れ目」と明かしてるあたりが余計にまっすぐで好感を持てた。選評も読んだけど宮本輝さんが評価してないのは意外。
    私は読んですぐ宮本輝さんの「道頓堀川」を思い浮かべた。

  • 千種を襲った父の弁明があまりに理不尽であほくさく、しかし現実の世界でもこういうことあるのかもなと思える後味の悪さ。くだらない男としなやかな女というこの物語は、ちょっとまともを自認する男にとっては優越感を感じられる居心地の良い世界だと感じた。
    文藝春秋に収録されたものを飛行機の中で読む。

  • そうかって感じ。

  • 表題作を文藝春秋で読了。女性に暴力を振るう描写は見てられなかった。なんかずっともやもやしたものが心の底で渦巻いている感じ。これは著者の筆力にしてやられたということなのか…。思わず最後の展開は目を剥いてしまった。文章は上手いんだろうけど、他の作品を読みたい気分になれないのは何でだろう。負のパワーが強すぎるのかな。2012/138

  • 芥川賞『共喰い』『第三紀層の魚』所収。◆『共喰い』は、中上健次・宮本輝を想起させたが、物語性・抒情性に不足。『第三紀層の魚』の方が丁寧で好み。◆共通するのは「無力で何もできない子どもの自分」。父系に由来する劣悪な・みじめな・かわいそうな環境の中、「子ども」である自分は受け入れることしかできず耐えたまま生きている。そして母親が、そんな閉塞した変わらない環境=胎嚢を破り、新しい世界に主人公を送り出して作品は終わる。母によって生み直された主人公はその後どう生きるのか…“その後”の作品が書かれるのなら見届けたい。◆主人公は私では考えられないくらい、よく「耐えて」いる。作者は実は優しい人なのだろうと思った。【2013/01/05】

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