雲の王

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 211
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714555

感想・レビュー・書評

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  • 観天望気ということばがあるが、気象予報士のはるか以前よりその才に長けた人々が居た・・・。自然に翻弄される人々の中で、息づく力。描写に迫力もあり、気迫が伝わるのだが、ぜんたいに優しさが溢れてくる。

  • 気持ちが大きくなる。台風の目の中にこの身一つで入っていくなんてどんな気分?この空はつながっていて大きな自然の中、流れるときの中、私たちはそれぞれの生を生きる。大きな流れの中で生かされている。雲の動きの表現が豊か。文章も美しい。

  • 2014 1月

  • ワタシタチハ、雲。雲トハ、影

    【内容】
    気象現象を「見る」ことのできる一族の血をひいた女性の話。
    高層気象台に勤務する美晴は兄の手紙に誘われて息子ともども謎の旅に出るが、謎のまま終わる。しかし、どうやら風が見えるようになってしまった。
    そしてしだいに能力が開花していき、なんだか壮大な事態に巻き込まれてゆく。
    そして彼女はひとつの台風と向き合うことになる。

    【感想】
    雲が好きで、観天望気がちょっとした趣味だったりするので、引き込まれる出だし。
    ただ、いまひとつ盛り上がらない感じ。
    たぶん主人公のキャラのせい?なんだか怒って拒否してばっかなんやもん。
    雲好き人間ならもっとボーとしてなんでも受け入れる感じでないと。
    あと全体に展開が中途半端で途切れがちかも。常にもひとつ先まで進んでおいてほしい感じ。

    (2013年09月01日読了)

    簡単なリスト

    【アーチーボルト・ライラックウォーター】とある機関のボス。大富豪。善をなしたがっている。通称アーチー。
    【機関】LCI。ライラック・クリアウォーター・インスティテュート。アーチーの設立した機関。
    【喜里川】外番の郷を護る一族の末裔。がっしりした長身の青年。
    【雲】美晴に言わせれば、雲は空気中の水蒸気が目に見える水になったオアシス。雲のない空は砂漠。
    【黒木】気象研究所の研究官。なんとなく美晴は好感を持てない人物。「意味、わかんねえよ」が口癖?気象オタクが集まっている中でさらにオタクと呼ばれているヤツ。
    【高層気象台】美晴が勤めている。普通の気象台より高層を観測する。そういや昔、しんぶん赤旗で高層気象図が掲載されていたことがあっておもしろかったけど、いまでもあるのかなあ?
    【Gプロジェクト】美晴が参加することになったプロジェクト。Gはゲリラ豪雨のG。
    【世界樹】世界樹は雲か。なるほどそういう見方もできるか。
    【外番】謎の役職?気象台に対するアドバイザー?
    【高崎】美晴の上司。誰にでも丁寧な言葉をつかう。
    【南雲楓大/ふうた】美晴の息子。6年生。少年野球チームの正捕手。植物に詳しい。
    【南雲美晴】主人公。雲を愛してやまない人。高層気象台で気象観測してる。息子は楓大。匂いで雨を当てる。ボクも匂いと皮膚感覚でけっこうよく当てることができる同タイプ。
    【南雲由宇/なぐも・ゆう】美晴の兄。各地を放浪していて現在行方不明。
    【ピッピ】インドシナの少女。語学の天才。
    【ユキ】謎の老婆二人の片割れ。丁寧な言葉遣いの方。
    【リク】謎の老婆二人の片割れ。口の悪い方。

  • 気象の変化を読み取る能力をもつ美晴とその息子楓大は、自分たちが『雲』という一族であることを知る。人々に災いをなす台風を制御するために、その不思議な能力を発揮させようとする美晴の兄やアーチーたちの組織。こんな能力をもつ人もいるかも知れないなと思わせる気象ファンタジー小説。

  • 295/23

  • 子供の頃、ふと見上げた空に聳立していた入道雲。ただただ圧倒され、同時に強く憧憬した。
    この本を読んでいると、そんな子供の頃の感覚がよみがえってきた。本の中の描写が意図せず記憶とリンクして、雲や空にまつわる自分の記憶がひどく鮮明なことに驚いた。

    雲みたいだ本だ。力強さと繊細さ、やさしさと烈しさが同居している。扁平雲、並雲から雄大雲、そして雲の王たる積乱雲へ。スケールアップしていく物語の面白さもそう。一気に読み終えた。

  • 思わず空を見上げたくなるようなファンタジー。
    後半もう少し盛り上がってほしかった。

  • 働くお母さん、小学生の子持ちが主人公で、実は気象の流れが目に見える能力がある。という設定は、表現もおもしろかった。
    著者が気象予報士なだけあって、知識は細かい。
    ゲリラ豪雨の予測をするために、今までだと5km×5kmのマス目単位でしか見られなかったけど、これではゲリラ豪雨は局所的であるために見つけられない。最近の技術では2.5km×2.5kmで、Xバンドレーダーを使って帯域を変えて、発生のメカニズムから、予報→告知につなげて、異常気象から災害を予防する……というあたりの知識も細かく書かれている。
    この話を日経ビジネスオンラインで記事として読んだときはおもしろかったけど、説明役の気象オタク黒木のキャラクターが入れ込めないものだったので、このあたりの説明は書かれているシーンが、まったくおもしろくなく、興味も引かない。これは主人公美晴からの視点だから、だろうな。ここらへんもったいない。
    気象の知識の話もおもしろいのだけれど……

    兄所属団体の目的や立ち位置、やりたいことがすっきりしない。
    美晴の目的が、主人公として据えるには等身大過ぎて、色々なことから逃避するようで、入れ込めない。
    著者の書き方がちょっと私には合わない。
    ラストもうーん……解決した気がしないし……で、気象関係で雲の話などを楽しむ部分の本としてオススメ。

  • 気象の専門用語とか理解しきれなくても十分、わくわく読めました
    竜が見えたら…雲を眺めるたびに思い出しそう

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著者プロフィール

1964年兵庫県明石市生まれ、千葉県千葉市育ち。文筆家。東京大学教養学部卒業。日本テレビ勤務中、1995年『クジラを捕って、考えた』でノンフィクション作家としてデビュー。退社後、1998年『夏のロケット』で小説家デビュー。小説に『せちやん 星を聴く人』『銀河のワールドカップ』『算数宇宙の冒険』『ギャングエイジ』『雲の王』『12月の夏休み』など。ノンフィクションに『PTA再活用論』『動物園にできること』『ペンギン、日本人と出会う』『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』など、著書多数。現在、ナショナル ジオグラフィック日本版および日経ビジネスオンラインのウェブサイトで「・研究室・に行ってみた。」を連載中。

「2020年 『「色のふしぎ」と不思議な社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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