白ゆき姫殺人事件

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714593

作品紹介・あらすじ

「あの事件の犯人、隣の課の城野さんらしいよ…」美女OLが惨殺された不可解な事件を巡り、一人の女に疑惑の目が集まった。噂が噂を増幅する。果たして彼女は残忍な魔女なのか、それとも──。

感想・レビュー・書評

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  • すごかった。いろいろな人の目線でどんどん物語が展開されていったし、資料によってより分かりやすくなった。まるで本当にあった事件のドキュンメタリーを見ているような気分になった。

  • おもしろかったぁ。続きが気になってドンドン読めました。理由は、わからなかったけど、容疑者扱いされている子は、犯人ではなくあの子が犯人なんじゃ!?の予想は、当たりました!
    映画の方も観たことがないので借りて観てみようと思います。

  • 2021/08/09読了
    #湊かなえ作品

    本人から聞くより他人から間接的に
    聞いた方が説得力がある。
    と、よく耳にするがまさにそんな作品。
    印象や妄想、噂によって殺人の容疑者に
    仕立て上げられる人間の心理。
    全編が記者との会話だけで構成された
    異色の小説。

  • 湊かなえらしい作品。
    OL殺人事件を巡って報道が過熱、疑われた女性の実名がネットに流れてしまう。

    「白ゆき」という化粧石けんがヒットした会社に勤めるOLの遺体が、雑木林で発見された。
    色白美人と評判の高かった三木典子。
    同期で同じ課に二人配属された城野美姫は化粧気もなく、目立たない外見。
    上司には差別扱いされていたが、城野は淡々とした態度だった。
    ところが城野が得意の料理でお弁当を作ってあげていた篠山係長も、美人の三木にあっさり取られてしまったらしい。
    篠山係長は、城野とは恋人ではなかったと証言するのだが?

    城野が欠勤を続けたところから容疑がかかり、噂が広まっていく。
    新聞記者の赤星は、二人を知る人にインタビューを重ね、城野の出身地までも取材に行く。
    学生時代には天然記念物のテンちゃんというあだ名だったという城野。
    村では妙な噂が‥?

    一人称のお喋りでそれぞれ違った見方が語られ、ぐいぐい引き込まれます。
    この作者いつもの調子で、殺されたほうも性格があまり良くないとだんだんわかってくるため、案外軽い読み心地。
    この性格は身近にいてほしくないけど、ちょっと笑えます。
    普通に週刊誌の見出しを読む程度の意地悪さというか。おっと、こちらも影響されて辛口になってしまってるかも?
    この前に読んだ「母性」の濃さと比べてしまうせいかな。

    マンマローというツイッターのようなSNSの書き込みや、週刊誌の記事が、参考資料として最後にまとめてあげられています。
    これが今の時代らしい新機軸。
    それでなるほどとわかる部分もあるんだけど、すごい新事実とかではないので~ちょっと読むのが面倒くさい。
    これをもう少し減らして犯行にいたる事情など別な部分を書き込むか、中盤からばらして少しずつ紹介したほうがよかったように思えますね。

  • 怖い。
    『白ゆき姫殺人事件』というタイトルから小人が推理するメルヘンなミステリーを想像していた。
    表紙がちょっと怖いなと思っていたのに…。そっちが正解だった。

    湊かなえさんの本を読むのは初めて。
    簡単には休憩させてくれない文章だと思った。仕事中続きが気になって気になって…。
    証言と関連資料を交互に読む構成はとても面白かった。
    週刊誌に対して嫌な印象が増してしまったけれど。

    「しぐれ谷OL殺人事件」の犯人像の取材で語られるのは、バラバラな人物像。
    読んでいるだけで気分が悪くなるような悪口も、明らかに浅はかな決めつけも、心からの親愛の気持ちもあった。
    そうしてそれらが週刊誌の記事にまとめられた時にこんなにもねじ曲げられるなんて。
    ただただ怖い。気持ち悪い。

    「殺人事件」、「容疑者」という言葉に乗っかって証言をする人達。
    言葉を歪める記者。
    当事者の言葉をいったい誰が聞いてくれるのか。
    彼女が失ったものを考えると怒りがこみ上げてくる。

  • 湊さんは、やはり普通のミステリー作家とは違う。巻末に関連資料として週刊誌の記事、新聞記事、ブログなどによる謎解きと言った趣向を凝らしている。ささいな事からおきる殺人事件を堪能してください。

  • 人気の白ゆき石鹸の会社に勤める
    白雪の様な綺麗な肌をした美しい女性三木典子
    彼女は刃物で十数か所刺され灯油をかけて焼かれていた。
    不可解な殺人事件を巡り同僚の地味な女性城野美姫に疑惑の目が集まった。

    同僚・同級生・家族・故郷の近所の人々…。
    彼女の関係者がそれぞれ彼女が犯人との前提で無責任に証言し
    週刊誌の記者は、その証言の内容の真偽も確かめもせず、
    都合よく編集しセンセーショナルに雑誌に掲載する。
    また、SNSでは匿名を良い事に好き勝手に盛り上がる。

    噂に翻弄される人々…犯人が噂や第三者から見た印象でドンドン作られていく…。
    その怖さに震えました。

    『白ゆき姫』の様な女性は確かに存在する
    大好きな物・大切な物を真似たり奪ったり…。女って怖い

    『自分の記憶で作られる過去と
    他人の記憶で作られる過去は
    正しいのはどちらなのでしょう。』

    この言葉に全てが表れている…。
    どんなにか彼女は深く深く傷付いたはず、過去の人間関係が崩壊するはず…。
    これから、彼女はどのように乗り越えて生きていけるのだろう…。
    やはり、気持ちは重く重くなってしまいました。

  • 『あの子にだけは、自分の1番大切なものを教えちゃだめよ。』
    悪意を持った苦手な人に対して、距離感をもてている時はまだ自分を保てる。自分の趣味だとか、好きなものに没頭して自分だけの世界を保つことができるから。
    でも、自分の世界が侵略された場合は自分を保つことが苦しくなって難しくなっていくんだろうな。。

    お気に入りのブランドやアーティストを、あたかも自分が1番先に目をつけてた。自分が1番大好きなブランド。って感じで常に身につけられて実際に自分に対して鼻で笑われるような態度を取られたら、
    自分の心の一部をむしり取られたような感覚を覚えると思う。
    悪意は悪意だと思う。

    『自分の記憶の中の自分と、他人の記憶の中の自分。どっちが本当のわたしなんだろう。』
    この言葉が、この本の投げかけた最大の問題だと思う。

  • 面白かった。本編とSNSや雑誌記事等を交互に読ませるのも新しい。

  • 構成が見事。引き込まれて、文句無しに面白い。私たちが生きている現実社会もこうなんだろうと思う。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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