ホテルローヤル

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714920

感想・レビュー・書評

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  • 退廃を文字で感じられるので悪くはなかった。
    後味がふんわり悪くなれるという利点がある。

  • ひとつひとつの話が哀愁があり楽しめた。特にミコおばあさんの話が心に染みた。

  • 興味深い、けど苦手

  • とあるラブホテルを巡る連作。ひとつひとつが哀しく切ない物語。特にミコお婆さんの話が心に沁みた。

  • 湿原を見下ろす丘の上のラブホテル、ホテルローヤルを巡る人々の連作集。ラブホテルという独特の裏舞台には、享楽的で物悲しい雰囲気が立ち込めます。桜木さんの描く女の生き様は、いつも悲しい。読んで苦しくなるのは身につまされるからでしょうか。人の人生、どう転がるか分かりません。自分の将来がミコのようにならないとは誰も保障できません。不幸に見える彼女たちが決して自身を不幸ぶらず、日々を淡々と生きているのが健気で悲しいのです。

  • 9か月待ってやっと手もとに届きました。
    あっという間に読みました。

    7つの短編集。
    すべて『ホテルローヤル』という名のラヴホテルでつながっています。

    いえ、ひとつだけ、まったく登場しない話があります。
    それは「読者の皆さん、気づいたかな?」
    ということなんだと思います!

    すごく面白いですよ。
    全部読み終わってから、もう一度振り返りましたから。

    お話としては、『本日開店』が一番面白かった、というかすごい感情移入しました。
    これだけが書下ろしだから、桜木紫野さんの腕が上がったと見ました。

  • 北海道にあるホテルローヤルを舞台にした短編集。

    ローヤルが廃れた廃墟となった現在から、ローヤル設立の逸話までが、時代を逆走しながら綴られます。
    舞台がラブホテルのためか、暗く陰鬱な話が多いのですが、読後感はどれも悪くなく、性的な描写も嫌味なく読めました。

    貧しい暮らしだけど、年を重ねた夫に気持ちが寄り添う妻の話、バブルバスと、3人の子を育て上げた働き者のミコの話、星を見ていたが良かったです。

  • 星を見ていた
    が、ジワっとしみこんだ。

    なぜか?

    ミコへの母の教えが
    なんだか、悲しい。

    それが、人間の本質なのかもと、思われることもやるせない。

    もう少し私が若ければ
    別のところに心惹かれたと思う。

    こういうことにひっかかるのも、
    私の‘今の影響か。

  • ラブホテル「ホテルローヤル」に絡む時々連作の短編集。
    ・シャッターチャンス
    平凡な主人公と付き合う、昔の栄光を忘れられない痛い男が裸の投稿写真を撮らせろと。
    最後、男の「お互いの実家に」云々はどういうこと?写真を撮らせてくれたから本気じゃないけどご褒美的な言葉?
    嫌な気持ち。でも分かる。自己評価が低いからこの程度の男。

    ・本日開店
    お寺の奥さんが体でお布施をいただく。
    住職の、繊細だけど何もできないダメさ加減。佐野の汚さ。そして見目麗しくない主人公の自己評価の低さ。読んでて悲しくなってくる。

    ・えっち屋
    ホテルオーナーの一人娘で、現在唯一の経営者である主人公とアダルトグッズ営業マンとのやりとり。
    潔い主人公と真面目な営業マン。最後、主人公の寂しさが伝わる。

    ・バブルバス
    生活に疲弊した五十代カップルがホテルローヤルでご休憩。きっつい。想像するのもつらい。でも愛がある。うーん。

    ・せんせぇ
    妻が上司と二十年に渡り不倫し続けてる、高校教師の主人公。主人公の生徒で、親に捨てられた、バカで不潔な女子高生との珍道中。主人公のきつい言葉や女子高生の時々クールなセリフのバランス、遣り取りがすごい好きだった。一番好きな話。

    ・星を見ていた
    物心ついたときから必死に働き続けるもずっと貧しい、ホテルローヤルで働く六十才の主人公。彼女がつらい思いをすると周りの人間を優しくする。初めて思う『どこかでゆっくりと休みたい…』つらすぎる。

    ・ギフト
    ホテルローヤル初代社長の話。ダメすぎる。社長の奥さんのかわいい時代の話、最初に読みたかったなあ。

  • 行間を楽しめる本。

    芥川賞・直木賞受賞のニュースで「実家がラブホテルを経営しており、そこを題材に~」というところを耳にしてちょっと印象深かった本。

    以前は芥川賞候補読み比べ、などしていたのですが、最近は受賞から数年おいて、気になった作家・作品を読むようにしております。鳩の街だ玉の井だと読んでいて、

    その流れを現代に持ってきた場合はこのテーマがぴんときた、という感じでしょうか。

    読んでて芥川かな、と思ってたら直木賞でした。
    凄い、行間を読ませる人だなと思いました。

    「ホテルローヤル」というもう廃墟になったホテルにまつわる話が出てくるんだけど、ローヤルが出てこない話もあって、でもこの先ローヤルにいくんじゃないか、ってこちらの想像力をかき立てる終わり方をしていて非常に魅力的でした。

    個人的には掃除をするパートのおばちゃんの話がぞくぞくするほど怖かった。

    母親の教えを全てだと思って、まるで人形のような、能面のような人生を歩む人。
    時代のせいなのか?どうなのか?家族の気持ちもつかもうとせず、離れていく子供もいるけど、それでもこの人は幸せなのかな。

    不幸だと思う回路を塞がれているような気がするので、不幸ということに自分が気づかなければ、それはそれで幸せな一生、になるんだろう。
    自分の人生を評価するのは自分。そのように思わせる、気づきの短編となりました。この人苦手なんだけどね。でも、新たな視点を頂きました。

    この方の、他の小説も思わず読みたくなりました。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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