- 集英社 (2013年2月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784087714975
作品紹介・あらすじ
母として、女として深川でしなやかに生きる
蝦夷松前藩家老の夫を亡くし、行商をしながら深川で一人暮らしをするお絹。定廻り同心の勝田をはじめ町の人々と親交を深めて、行方不明の息子探しに協力してもらうが、様々な事件に巻き込まれ…。
感想・レビュー・書評
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糸車
2016.08発行。大活字版。
物語の発端は、蝦夷松前藩一万石の家老・日野市次郎が、江戸藩邸で藩士・村上清蔵に斬られ、命の危険を感じた息子・日野勇馬が、藩邸を出て町中で身を潜めます。江戸からの飛脚で夫が死に、息子の消息が分からないことを知らされた母・お絹は、単身松前から江戸へ出て来ます。
お絹は、江戸深川の裏店で住み、息子を探すため小間物の行商をし、奉行所定廻り同心持田の探索を心の支えに、深川で知り合った人達との人情を大切に生きて行きます。
この物語は、お絹が江戸深川で母として息子勇馬を思い、女として町方同心の持田を想う波乱にとんだ生き方を書いたものです。
【読後】
江戸深川の裏店の生活が、よく分かるよに書かれています。お絹が、持田に勇馬のことを「母親に女の匂いを嗅ぐのがいやなんですよ」とさらりと言うくだりは、おぅーと思いました。さすがに女性の作家らしい書き方です。
【音読】
音読用に大活字版の「誰でも文庫 43 糸車」①と➁を借りて来ました。
定本は、集英社「糸車」です。登録は、集英社「糸車」で行います。
2021.02.28~03.09マデ、音読で読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
行方不明になった息子を探すため、松前藩から江戸に出てきて、小間物商いをしながら暮らすお絹。武家の母親だけれど、町人として人情を大切に暮らしていく。息子が見つかってからは、かなりつじつま合わせというか、駆け足という気がした。武士の世界はややこしい。
おいねと長吉の二人が、自分の思いをあけすけに言うところや、思いのままに行動するけれど人情があるところが武士の世界とは全く違っておもしろい。
なぜ糸車なのか、もひとつ理解できなかった。 -
「小説すばる」に掲載された6章の単行本化。
松前藩主道広が不行跡のために幕府から謹慎処分を受けたことにかかわって、藩邸内で家老が暗殺され、その息子が行方不明になった。
家老の妻の絹は江戸へ出て来て、長屋を借り小間物の行商をしながら息子の行方を探すうち、深川に暮らす様々な人々と出会い、支えられる。
息子勇馬は松前藩の探索を逃れ、蔭間(男娼)に身を落として潜んでいたが、絹に思いを寄せる町奉行所の同心持田によって救われ、かくまわれる。
松前藩の奥州梁川移封で勇馬が召し抱えられることになり、持田からの養子の誘いと求婚を断り、母子は梁川へ赴く。「糸車」は絹が養蚕の内職をして、生糸を繰るところから取っているのだろうが、人生の「糸車」が巡ることの象徴なのだろう。
ところどころ突拍子もない展開になっている感じもするが、封建道徳に縛られない強い女性の生き方を描いていていて、すがすがしい。 -
江戸の下町の情緒溢れる、特に、街並みが鮮やかに、人々の暮らしが濃やかに描かれている。
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蝦夷松前藩出身の30代後半の女性を扱った物語。
当時の情報としてはそれほど多くなかっただろうに、
現代の地方出身者の心境も織り交ぜてか
よく心の動きがえがけていると思いました。
そして、この著者ならではの、
一筋縄でいかない男女の行く末をちょっとせつなくも
あたたかく描いています。
物語なんだから、もうちょっと希望や夢みたいな
結末を期待するのですが、
でもこの時代の人もこんなに思い通りにならない人生を
生ききっていたのだと想像すると元気にもなります。 -
宇江佐先生は松前藩を書いた作品がありますね
藩の動乱に巻き込まれた一人の寡婦が必死に
活きる様が共感を覚えます -
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やはり、話の展開に疑問を覚えること多々…
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図書館で借りました。
ストーリーそのものより、江戸時代の人々の生活の描写などが鮮やかで楽しかった。 -
江戸情緒あふれる物語に、陰間の登場する展開は面白い。
悲しい結末でも、読後は爽やか。 -
【収録作品】切り貼りの月/青梅雨/釣忍/疑惑/秋明菊/糸車
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松前藩家臣で命を失くした夫と、同行していた行方不明の息子を
探すべく江戸へ出てきた『お絹』
武士の妻でありながら、小間物行商をしながら、生活していく中で
かかわっていく人間源模様とその一生
さらっと読める1冊 -
L
松前藩家老の妻女が、江戸での小間物行商と裏店での暮らしで得たもの。
残念ながら泣き所の深い話はないがほのぼのが満載。しかし辻占いはいただけない。先が見えたようで残念感漂う。占いになにか伏線あったかな、ほかの作品でも。
北原亞以子さんが亡くなられて深い情緒溢れるしっとり江戸を描ける宇江佐さんに今後さらなるご活躍を願わずにはいられない。 -
宇江佐真理は松前の移封と柿崎将監について、繰り返し語りたいのだな。
いや、もちろん今作もお見事なお点前でした。 -
もうちょっと息子のエピソード掘り下げてもいいかなと。
あと、主人公が報われないわりには幸せそうで、読後はさわやか。 -
今まで読んだ宇江佐さん史上、一番大人で艶っぽい感じだった。
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宇江佐真理の作品
