赤と白

著者 :
  • 集英社
3.23
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本棚登録 : 237
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715019

感想・レビュー・書評

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  • 表紙とタイトルで借りてきた初読み作家さんですが面白かったです。

    第19回日本ホラー小説大賞読者賞、第25回小説すばる新人賞のW受賞。だけど貴志さんの「青い炎」「黒い家」っぽく、これがホラーなのか?という疑問が…。サイコパスぽいというか、母親も子供たちもみんな人格障害なのでは…?と思った。

    叔父の老後や介護のために、または臓器のスペアのために生まれてきた子、愛されていない母から憎しみや嫉妬の対象でしかない子。親を恐怖で支配する子。弥子、小柚子、百香と京香、苺実。苺実が一番こわかったです。

    北国の白黒の刺激のない世界に閉じ込められて、それでも春が来ると希望だけを頼りに、過酷な冬を乗り切る…。わかるよ、その行き場のない冬の閉塞感。(ほんと年を取るごとに冬が苦痛になっていく)その閉塞感が停電の夜に一斉にはじける。

    双子ネタのホラーかと思っていました。中高生がすぐに荒い言葉を使う気持ちは、こんな心境なのかなって思った。個人的には辻井君がストーカーになるのか?と思っていたので、違ったりして空振りも多かったけど、他の作品も読んでみたい作家さんの一人になりそうな予感!


    表紙が二極思考⇒「赤」と「白」
    赤は血、白は雪。
    混ぜるとピンク⇒苺実っぽいイメージ。

  • 彼女のデビュー作といってもいいこの一冊。
    上手くて驚いた。
    リズム感があって読みやすい。
    ページをめくりたくなる展開と緊張感。

    冒頭に事件記事があって身構えた。
    おっと、もしかしてこわい?と。
    辻村さんをどことなく思いだし、読み進める。

    青春まっただなかな高校生たちが
    進路や恋愛といったことがら以外に抱える重いもの。
    それぞれも本当に重い。
    親友のように見えても話すべきことを話せない。
    そしてその荷物はどんどん重くなる。

    そうして冒頭の記事を忘れたころに
    その記事を思い出させられる。

    ラストは意外にあっさりめなので
    濃い闇のなかに沈みきることはなく
    読後、思ったより楽になる。

    それにしてもマイミ・・・コワイ・・・
    本当にいそうでコワイ。
    母親が娘に逆らえないとか
    人の携帯に届くメールを自分のところに転送されるようにするとか
    人の家のポストから郵便物をもってきてあけるとか
    諸々。
    罪悪感のなさがなによりコワイ。
    あなた以外にも人はいて、みんな心があるんだよ。
    あなたとおなじように。

  • 再読

    新潟の雪深い町で暮らす高校生の小柚子と弥子。
    明るく振る舞う陰で、二人はそれぞれの事情を抱えていた。
    そんな時、小学生の頃に転校していた友人・京香が現れ…。


    物語の冒頭には、ある事件を追った新聞記事が載っている。
    不可思議で衝撃的な内容…。
    どうしてこうなったのか…。心を鷲掴みにされた。
    一転、第一章からは、雪国で暮らす女子高校生の何気ない日常が綴られている。
    一見どこにでもいる様な親友の伊奈小柚子と青木弥子。
    明るく振る舞っているが、それぞれが密かに胸に抱えているものがある。
    心に潜む暗い感情や辛い現実…。
    親友だけど、お互いに抱えているものを打ち明けられない二人。
    自分なりに不安定ながらバランスを取り日々を過ごしてる危うさが垣間見える。
    そんな二人の間に京香と苺実が入って来た事で…。
    些細な行き違いや、誤解…。
    苺実の狂気が小柚子に…。
    密やかな狂気が少しずつ膨らんでゆく…。
    狂気が狂気を読んで狂おしい。

    思春期特有の狭い狭い世界
    自分の見える世界がこの世の全て
    友人にすら、悩みや苦しみを話せない悲しさ
    些細な誤解やすれ違いから戻る事の出来ない脆さ
    不安定な心の動きが苦しいくらい丁寧に描かれていた。
    登場する親が、大人が皆酷い…。

    冒頭の新聞記事が結末なんだと予想出来
    どうして、そうなったのか知りたくて一気に読んだ。
    重苦しい内容だけど勢いがあって読み易かった。

  • 新潟の長い冬の中の学校だったり、家庭での話。
    よくある設定ちゃ設定なんですが、
    冬の雪の情景描写が、雪の降らない所に住むわたしにもすごく伝わりました。
    雪の圧倒的閉鎖感っていうのが高校生の狭い世界と家庭に閉じ込められているかんじがひしひしと感じた。
    悲しくて、温度がすごく低い小説だけど、読ませる力をもった良い小説。
    冬のあとには必ず春がくるという当たり前のことを、なんかすごくいいなあと思ってしまった。

  • 田舎の閉塞感を気候をメインに語っているあたりと小柚子の音楽の趣味とか京香の映画の趣味とか何かと純文くささ垣間見えて好きな感じだったんだけど、結末、小柚子にだけ厳しすぎないか?

    湊かなえの「贖罪」を薄めた感じ。

    まぁそれなりに楽しみました。

  • 雪国の地方都市の閉塞感とそれぞれの家庭の事情を抱えた高校生、小柚子と弥子。どんどん積もっていく心の痛みの澱が、ある日停電と同時に爆発する。最後一気に加速する暗い予感に、どうしようもないやり切れなさを感じた。

  • 日本ホラー小説大賞読者賞と小説すばる新人賞の
    ダブル受賞作。
    (*ご指摘により今作がダブル受賞ではなく
    この作家さんがダブル受賞! という事でした。)
    とはいえ、ホラーの要素はほとんどなく
    (*なのでホラー要素が今作になくて当然なのでした^^;)
    若干の疑問は残りますがある意味、バッドエンドが
    分かっていながらジワジワと少女達が向かわざるを
    得なかった過程が悲しくも苦しい作品。

    新潟の深い雪の街で暮らす女子高生達。主人公の
    「小柚子」と「弥子」。仲良く明るく暮らす日々の中にも
    それぞれが抱える苦痛や過去が少しづつ...降り積もる雪の様に
    閉塞感を伴いながらに、ささいなきっかけで歪み、悲劇へと
    流れていく...。

    もう自分の年齢では今作に登場する少女達の
    感情の機微や揺れ動く繊細な心情、家庭環境と
    自己とのバランスの取り方は正直分からないし、
    はたして今作がリアルな女子高生の姿でもあるのか
    分かりませんが、作品におけるこの白く、重い
    雪に閉ざされ、友人関係に縛られ、家庭環境に
    囚われた中で静かに破綻する姿を、一気に
    読まされてしまったのは確かです。

    ダブル受賞おめでとうございます。

    • mametarou77さん
      初めまして、かと思いますがレビューいつも楽しく拝見させていただいています。

      日本ホラー小説大賞読者賞は『ホーンテッド・キャンパス』で、
      帯...
      初めまして、かと思いますがレビューいつも楽しく拝見させていただいています。

      日本ホラー小説大賞読者賞は『ホーンテッド・キャンパス』で、
      帯の文句はすばる新人賞を『赤と白』で、ホラー小説大賞読者賞を『ホーンテッド・キャンパス』で受賞した大型新人、という宣伝かと思います。

      殆ど一気読みしてしまいましたが、新人さんらしからぬ表現力ですし、
      『ホーンテッド・キャンパス』の方は、全く別のテイストに仕上がっていますので、機会があれば手に取ってはと思います。
      2013/03/14
    • neon_booksさん
      mametarou77さま
      コメントありがとうございます。
      しかも間違いをご指摘頂きまして、
      ありがとうございます!
      今作がダブル受賞ではな...
      mametarou77さま
      コメントありがとうございます。
      しかも間違いをご指摘頂きまして、
      ありがとうございます!
      今作がダブル受賞ではなく、その両方を
      受賞した新人作家さん...という事なのですね^^;
      お恥ずかしい勘違いでした。
      ホラー文庫の方も是非読もうと思ってました!
      ありがとうございます^^
      2013/03/14
  • 女子高校生が主人公になっている本を読み通した事がなかった。
    女の子っぽさに疲れるからだ。でもこれは違った。
    地方都市で、危ういバランスの中で暮らしてきた2人の少女が道を違え、狂いが加速していく。 その姿がなんとも不気味で、恐ろしいんだけど、とても“自然”に描かれている。
    いつしか後戻りできないところまで追いつめられ、崩壊していく様がすごくリアル。
    みんな病んでいて、救いがない。 時折描かれる主人公の心の動きが唯一の息抜き。
    ≪わたしがもし誰かを殺すとしたら。 それは―。≫
    この一文に色んなものが凝縮されている気がする。
    タイトルもなるほどだ。

  • 重い。最後までひたすら重い。それなのに、ページをめくる手が止まらない。

    表向き明るく振舞っているけれど、家庭に問題を抱える小柚子と弥子。仲がいいからこそ打ち明けられず、それ故にすれ違っていく2人。親友にとって自分が一番でなければ許せない、あの年頃特有の傲慢さ。あー、何か分かる気がすると、そこだけは共感できる。

    とにかくどうしようもない親しか出てこない。病気の兄に臓器提供させるため、叔父の世話をさせるためにつくられた子供って何だ。
    そして嫉妬と狂気に満ちた苺実。
    ミステリーでもホラーでもないけど、地味に恐い話だった。

  • 文学

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年、『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。瑞々しいキャラクターと読みやすい文章で読者モニターから高い支持を得る。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。

「2020年 『ホーンテッド・キャンパス 最後の七不思議』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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