小説フランス革命 (10)

  • 集英社 (2013年3月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784087715033

作品紹介・あらすじ

フランス革命の全貌を描くシリーズ、後半へ
ジャコバン派議員たちの精神的支柱であったマラが暗殺された。背景にジロンド派の陰謀を見るロペスピエールらは、マリー・アントワネットの処刑後、次々とジロンド派議員たちを断頭台へ送る。

みんなの感想まとめ

フランス革命の激動の中で、権力の移り変わりとその影響を深く掘り下げた作品は、ジャコバン派が台頭し、ジロンド派が敗北する様子を描いています。マリー・アントワネットの処刑はあっさりと描かれ、彼女の最期は歴...

感想・レビュー・書評

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  •  ジロンド派が政争に敗れて、ジャコバン派が権力を手にしてゆく。マリーアントワネットもギロチンにかけられるが、そのシーンはあっさりとしている。牢屋に長くとらわれていた王族の最期は、悲劇ではあるけど、今さら歴史の流れの中ではあまり大きな意味はないということか。それよりはジロンド派の中心自分物の一人であるロラン夫人の処刑風景の方が細かに描かれている。
     マラの暗殺をきっかけにロベスピエールらによる恐怖政治が始まるが、どちらかというとロベスピエールは祭り上げられたという印象。それは今まで思っていたのとは少し違った。

  • エベールの巻。 自由、平等を叫びながら、何か社会主義的な、国家主義、全体主義的な流れ。極端にブレる中ではこれらは一つの流れ、紙一重のよう。

  • 口を開けば下ネタのエベールに閉口したのと、肝心の恐怖政治宣言のところでひっかかってしまい、読むのに最も時間がかかった第10巻。1793年5月末日から12月15日(共和暦第2年霜月25日)、約半年の間にジロンド派議員20数名にロラン夫人にマリー・アントワネットも処刑されてしまった。新選組よりも多くスターリンよりは少ない(スターリンは桁違い)。いよいよロベスピエールが権力を掌握…したはずなのだが10冊も読みながらいまだに彼がよくわからない。周囲の人を描くことで浮き彫りにする作戦なのかと思ったりもしたけど全然実像が見えてこない。前に出てきたかと思うとまた人の後ろに隠れてしまう。ミラボー、タレイラン、デムーラン、マラ、ダントン、ルイ16世、ロラン夫人、そして嫌いだけどエベール。彼らには中身を感じるのに、ロベスピエールだけどうしても人間としての実在感がわいてこない。
    サン=キュロットら民衆を率いるエベールが前巻に続いて大活躍だが、この巻のもう一人の主役はサン・ジュストだ。ロベスピエールの姿が見えにくいのはサン・ジュストが彼を隠すから。でも隠しているサン・ジュストもリアリティが薄い。彼の考えや話すことが人間の欲とか幸せに基づいてないからかもしれない。彼の演説は私には響かない。
    サン・ジュストとルバが前線に行っていたのは知らなかった。若い2人が地方都市でパキパキ働く様は狂乱のパリで口を動かしてるよりもよっぽど生産的だ、まぁ処刑される人が増える事を生産的というのはどうかと思うけど。現場感が大事だと痛感した。
    最も心を打たれたのはロラン夫人の処刑の場面。私は彼女が現実を見なかった馬鹿な女とは思わない。夢を見て野心を抱いて何が悪いのか。生き残ろうとした彼女の努力は男たちの建前主義につぶされてしまった。それでもギロチンにかけられる最後の最後まで希望を捨てなかったロラン夫人は美しいと思う。そしてその数日後に自殺した夫のロランも切ないと思う。
    エベールは無政府主義まで行ってしまったのではないかと思う。脱キリスト教運動の流れで理性の祭典が行われ、自由の女神の誕生につながると思われるエピソードは大変興味深かった。しかしエベールが理性って(爆笑)。

  •  「粛清の嵐」という題名から、きっとギロチンでの死刑が嵐のように執行されるんだろうな?
    と思っていましたが、それを行ったのは、ロベスピエール率いるジャコバン派だとばかり思っていました。
    まさか、『デュシエーヌの親爺』であるエベールが先頭に立って、粛清をしていくとは驚きでした。
     蜂起したサン・キョロットのゲラゲラと笑う赤い壁。
    想像するだけで怖い。
    何も知らないという事が余計に恐怖を呼ぶ。
     しかし、エベールもいつまでも勝ち組ではいられないと思う。
     今後のさらなるギロチンの嵐が怖い。

  • フランス革命を代表する小道具、ギロチンが象徴する恐怖政治がいよいよはじまった第10巻。ジロンド派議員たちにマリー・アントワネット、ルイ・フィリップ、ロラン夫人、まともな裁判を受けることなく、断頭される。そんなドサクサついでにマラまで暗殺される。革命に携わった人材が次々と失われる中、ロベスピエール、ダントン、デムーランら革命初期からの数少ない生き残りは、さすがに度が過ぎると危機感を募らせる。

    しかし、革命に多少の犠牲はやむを得ないと、恐怖政治を肯定するのが、エベールとサン・ジュスト。エベールは下ネタを放言しながら、王族もキリスト教もくそったれだと罵り、死刑乱発に大賛成。サン・ジュストは師であるロベスピエールへ恐怖政治こそが革命の成功だと叱咤し、対外戦争の軍司令官として強力なリーダーシップを発揮する。

    タイプの違う2人だが、家族も財産も求めず、大量の犠牲を強いてでも、革命を成功させることに生涯を捧げている点では一致している。

    それにしても、史実とはいえ、登場人物が減る一方で、新キャラクターが登場せず、寂しい小説になってきた。結局、フランス革命のエンディングは人材が尽きてしまうことなのだ。その点、英雄があふれ出る中国史とは異なる。

  • 人、殺し過ぎ。

  • いよいよこのシリーズもクライマックスに近づいてきた感じです。恐怖政治という言葉は、第三者がつけた言葉かと思ってたんですが、それを実行していた当事者達が使っていた言葉だってのを初めて知りました。

  • 第10巻は、煽られた庶民が議会を飲み込み、恐怖政治が始まる様子が描かれる。暴君を生み出す原因の一つは、煽られた大衆の熱狂であることが多い。ナチスや戦前の日本もそうだったか?いや、身近なところでは、近年の日本の選挙でもそんな傾向が見られないか?

    それにしても、フランス革命というのはほんの数年のうちに、右へ左へと激しく揺れ動き、外国との戦争も絡んで、社会を大混乱に陥れた期間だったのだと知って驚く。教科書で語られるように、旧態依然とした絶対王政を倒した民衆革命、というような単純なものでは決してない。

    あと2巻で本シリーズも終了。いよいよクライマックスが近い。

  • 革命の天使サン•ジュストが恐怖政治を推進し、次から次へと断頭台の露と消えていく。ベルバラの佳境シーンが次々現れ、行き着くとこまで行きついた革命が終わりを迎える日も近くなり。
    しかし、こうなってしまうと逃げたもん勝ちですな。意識や義務感の強い人間は皆死に、最後はタレイラン辺りが総取りと。そういやタレイランは何やってるんだろう?

  • 「一にして不可分の共和国」という理想だけに固まった未熟な革命家たちが政権担当者であるとの当事者意識も十分ないままに「恐怖政治」へと突き進んでいきます。あの高邁な人権宣言を打ち立てたフランス革命がこれほどまでの殺戮に手を染めるとは…「自由よ、汝の名の下にいかに多くの罪がなされることか」

  • 史実として結果は分かっているとはいえ、とうとう恐怖政治が始まった。ロラン夫人をはじめとするジロンド派も粛清され、次はエベール派が消えていく。サン・ジュストの自信過剰さが目についてきて、少しイライラ。まぁそれも、もう少しの辛抱か。
    著者はこの壮大な物語をどこに落ち着かせようとしているのか。そこが一番気になるところ。

  • マラーの暗殺から一気に恐怖政治へ転回

     1793年7月13日、ジャン=ポール・マラーはジロンド支持者のシャルロット・コルデーに暗殺されるが、この予期せぬ凶行を契機にして無風状態にあった国民公会のジャコバン党、というよりはロベスピエールを長とする公安委員会が、血が血を呼ぶ粛清の嵐を巻き起こす。

    超過激派の若き革命家サン・ジュストに激しく突き上げられた日和見主義者のロベスピエールは、心乱れながらも恐怖政治を断行、元フランス王妃マリー・アントワネット、ジロンド党の議員たちやその強力な後ろ盾であったロラン夫人などを次々にギロチンの血祭りに上げてゆく。

    「おお自由よ、そなたの名のもとにいかに多くの罪が犯されたことか」という彼女の遺言はあまりにも有名だが、革命の大義という美名の元に革命を肯定する多くの自由の徒も次々に殺されてゆき、それが「自由・平等・博愛」を標榜した大革命の自己崩壊という結果をもたらすのである。

    しかし熱烈なカトリック教国とみえたフランスが、急速に基督教と教会から離脱して無宗教へとひた走り、「理性」の祭壇の前にぬかずくようになった時、いいしれぬ恐怖に慄いたのが他ならぬこの独裁者であったとは、まことに興味深い事実である。

    キリスト教の代わりに天皇教という目に見えぬ宗教が依然として猛威をふるい、天皇元首制なる虚妄の擬制を信奉する古式豊かな人々が羽ぶりをきかせている我らが変態帝国でこそ、このような「理性教」の存在理由があるというべきだろう。


    天皇を元首に祭り上げるその前によくご本人にお伺いしてご覧よ 蝶人

  • とにかく続きを早く読みたい

  • 表紙はエベールとロラン夫人~激昂派を掌握したエベールはジロンド派の十二委員会を廃止し,新聞の売り上げをサン・キュロットの日当に拠出して動員し,国民公会を包囲し,ジロンド派の追放を決議させた。この暴挙にロベスピエールの周りを固めるルバやサン・ジュストはデムーランでさえ,マキシミリアンに近づけさせない。ダントンは再婚して覇気が失われた様だ。マラがノルマンディー出身の元修道女に暗殺され,ノルマンディーが逃亡したジロンド派の根城であることから,暗殺はジロンド派の仕業と判断され,パリに拘束されていたジロンド派は裁判で有罪となり,断頭台に露と消えていった。絵ベールはマリー・アントワネットの裁判の証人に志願し,マリーも処刑される。ダントンは休暇と称して故郷のシャンパーニュに帰り,ロベスピエールはコンドリエ派に推されて公安委員会の委員となり,恐怖政治を強いられる。コンドリエ派は更に根回しを続けて,宣誓派聖職者に聖職放棄を宣言させ,キリスト教色の強いグレゴリウス暦を廃し,革命暦を制定し,キリスト教廃止を推し進める。これにはデムーランだけでなくロベスピエールも反対し,ロベスピエールがクローツの入れ知恵でやり込められる中,シャンパーニュからダントンがパリに戻る。デムーランはエベールに対抗すべき新聞『コンドリエ街の古株』を刊行する。地方では諸国の攻撃に軍の補給が間に合わず,アルザスに派遣されたサン・ジュストは不正を働く役人を排除し,ストラスブールのブルジョワを名指し課税し,ドイツ色を一掃するためにフランス語学校の設立を画策する~「フートル」(糞ったれ)はエベールの口癖。いいね。興が乗ってきた感じがするよ。マラの絵を描こうとするダヴィッドが死体を浴槽に戻し,垂れ下がった醜い舌を切り落とし,脱臼した腕を別の死体で補おうとする執念に感心する。それにしてもp303の革命暦・霧月だけにブリュメールというルビが振られていないのが納得いかない。伏線かな?と注意深く読んでいったが,謎は次巻『徳の政治』に持ち越しか?

  • いよいよ登場人物が減っていく第10巻目。

    新しい視点としてサン・ジュストが加わるが、本巻ではロベスピエール視点がないのはちょっと不満です。
    また、マラの死があっさり描かれているために、それをきっかけのジロンド派の滅亡への勢いに乗りきれませんでした。
    ただ、前々巻のルイ十六世視点に続いてロラン夫人視点の自らの死への章は、あの名言の出し方といい圧巻でした。
    ロベスピエール視点は旧友たちの死にとってあるようにも思え、哀しくて寂しいながらも次巻が待ち遠しいです。

  • 2013年60冊目

    啓蒙されていない人民が立ち上がる。モンターニュが依拠してきた人民が暴走する。

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著者プロフィール

佐藤 賢一(さとう・けんいち):1968年、山形県生まれ。東北大学大学院でフランス中世史を専攻する。1993年、「ジャガーになった男」で、小説すばる新人賞を受賞してデビュー。1999年、『王妃の離婚』で直木賞を受賞。2014年には『小説フランス革命」で毎日出版文化賞特別賞、2020年に『ナポレオン』全3巻で司馬遼太郎賞、2023年に『チャンバラ』で中央公論文芸賞を受賞した 。他の著書に『傭兵ピエール』『二人のガスコン』『オクシタニア』『女信長』『新徴組』『ラ・ミッション 軍事顧問ブリュネ』『遺訓』『最終飛行』など多数。

「2025年 『歴史小説のウソ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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