お伊勢ものがたり 親子三代道中記

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 121
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715309

作品紹介・あらすじ

母は人生でやり残したことを叶えるため。娘は二条城在番の夫へ密書を届けるため。孫は嫁入り前の思い出作りのため。それぞれの思いを抱え、頼りない御師・久松の案内で伊勢への旅がはじまる。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代の人にとって、なぜお伊勢参りが一生の願いだったのか。 なるほどね~~、これは楽しいわ!(#^.^#)と納得できる筋運びで、お伊勢までの道中を私もゆっくり同行させてもらいました。(#^.^#).


    武家の女三代、まつ、香矢、雪乃、そして御師と呼ばれるお伊勢参りのガイドさん、久松。

    気難しい姑や女遊びの匂い漂わせる夫、という鬱屈を持つ香矢の目線で物語は進みます。
    武家の窮屈な暮らしから離れて、ガイド付きの旅行、しかも途中、元巾着切りの女、何やらわけありらしい老武士、抜け参りのやんちゃな男の子と白犬、などが道連れになるは、土地の名物はもれなく久松が調達してくれるは、(しかも久松は新米ゆえにかなり笑わせてくれる&ひやひやする失敗を!)とくれば、読んでいて楽しくないはずがない。

    で、伊勢に着いてからがまた、なんというか極楽のような接待が待っているという、そっか、ここも含めてのお伊勢参りなのね、と。

    でも、一番面白いのは、香矢が雪乃には母親であるけれど、まつには娘である、という、まぁ、当たり前ではあるのですが、その立場で心持ちが全く違ってしまう、という、うんうん、覚えがあるよ!と。

    香矢が、なぜ母上は自分の考えていることをなんでもお見通しなのだろう、と不思議がるのですが、
    それは母親だから当然、という流れで書かれていたのに、実は・・・なんていう種明かしもあったりして、そこを拾い読みしながら再読する楽しみもありました。(#^.^#)

    物見遊山が目的だけではなく、香矢が背中にしょった密書の内容は?
    雪乃の縁談はどうなるの?
    久松は最後までこの三人をご案内できるの?
    そして、香矢と夫の夫婦仲は修復可能なの?

    といった縦糸も巧みに張られて、サクサク楽しむことができました。

  • 武家の隠居 まつは、お伊勢まいりを思い立ち嫁に行った娘の香矢と孫娘の雪乃を連れ伊勢に旅立つが、案内役の御師の久松は見習いで頼りなく波瀾の旅が続く。香矢が抱える密書や旅の途中で出会う人々との交流を通して、3人が江戸で抱えていた様々な思いに道が見えてくる展開。ほのぼのとした道中でキャラたちに合ったユーモラスな読み味に密書や敵討ちなども絡んでくるがこれはちょっと弱い。所々で成長した思いなどは面白いけど、全体としてピリッとせず各エピソードが淡々としすぎてあまり盛り上がりがない。ラストは粋で良いな。

  • 旅は道連れ世は情け。
    次から次へと色んなことが起きすぎ。
    オチはどうなんだろう。
    妻が密書として持って行く意味はあったのか。
    電話がないにしても飛脚でも良かった気が。

  • 祖母、母、娘。武家の親子三代で行く伊勢道中記。

    彼女達を案内するのは、頼りない見習い御師の若者で、初っ端から波乱含みです。
    旅を通しての成長や、母子の抱える思い等・・、道中の様々な出来事と共に、笑いあり涙ありのハートウォーミングな仕上がりとなっております。

  • 読んで心の温かくなる話でした。

  • 数々の出会いと別れ。

    まるでRPG。

    親子3人と案内人から構成される4人パーティーが、
    わけありの旅人と出会って、ともに旅をし、
    ミッションをクリアしていく・・・・
    みたいな。

    思わぬ展開。
    また最初のページにもどりたくなる。

  • 青春と読書2012年10月号〜2013年9月号連載。2013年9月刊。武家の母、娘、祖母と御師見習のお伊勢参りの道中記。江戸人情もの。楽しい設定で、すらすら読めましたが、盛り上がりに欠けます。

  • 伊勢にいきたくなる

  • L

    この作家作品を多く読んだわけではないのだが良作。伊勢参りの話も過去にいくつか読んだけれど、伊勢参りに固執した内容ではなくて、武家の妻女が女だけ(案内者はいる)で旅に出すには伊勢参りをさせるしかなかったから。と思われ。
    母娘の珍道中モノかと思いきや、途中から軽いものから重いものまでウイットに富んでいて、挙げ句の果てにはなぜか泣ける。
    こんな武家の妻女がこんな旅したっていいじゃん的な気持ちで終われる。
    最後まで読むと最初の序章に立ち戻って読み直してしまうのがツボ。
    女流作家でこの雰囲気だせるのは数人しか知らなかったのでいい拾い物をした気分。

  • まあまあ肩の凝らない本でした。

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著者プロフィール

東京生まれ。フリーランスライターの傍ら小説執筆を開始、2005年「い草の花」で九州さが大衆文学賞を受賞。08年には『一朝の夢』で松本清張賞を受賞し、単行本デビューする。以後、時代小説の旗手として多くの読者の支持を得る。15年刊行の『ヨイ豊』で直木賞候補となり注目を集める。近著に『葵の月』『五弁の秋花』『北斎まんだら』など。

「2023年 『三年長屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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