- Amazon.co.jp ・本 (690ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087715323
感想・レビュー・書評
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前半は軽快に、前作より面白いと思いながら読みました。
中盤やや中弛み、家庭を省みないところからやや不穏さは漂っていました。
後半様々な真相が明らかになりつつもどれもあまり気分の良い結末ではなく、最終盤の夫婦の問題にはあまりにもビックリなのと、ストーリーに必要だったか?
三郎くんあまりにもお人好しすぎますよ!
玉の輿サラリーマン探偵から玉の輿もサラリーマンも取れた三郎くんが次作でどのように展開するか、次作まで読んで今後を検討しよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
杉村三郎シリーズ
相変わらず、事件に巻き込まれがちの三郎さん。
今回はバスジャックに遭遇!被害者の一人となってしまう。
バスジャックは加害者のおじいさんが自殺して終結
したかに思えたけれども、
被害者一人一人に犯人のおじいさんと口約束した慰謝料が届いたことで・・・。
このシリーズ人間のくらい部分を掘り下げてくるので、
面白いんだけど、ちょっとしんどい。
悪徳商法や慰謝料、お金が絡むと
人間の暗黒面がでちゃうよね。
純粋も時に悪となりえたり、
優しさゆえに悪となってしまったり、
愛するがゆえに悪となっていったり、
まさかの菜穂子さんまであんな悪が潜んでいたなんて。
三郎さんと菜穂子さんでも
家の格式差の壁はこえられなかったのか・・・悲しい。
森閣下の部下は最後までクソだったな。
心底悪いやつではないかもしれないけど、クソだ。
会長は本当に紳士でかっこよい。
ちょっと娘に甘いところも自分で認め。
自分の非も認められる人、そして決断できる人。
森閣下も終焉は残念でしたが、
やはりトップクラスの人は、会長もそうだけれど
なにか違うよ -
宮部みゆきの長編。杉村三郎シリーズ。
ドラマ化されていた第一話をたまたま視聴し、続きが気になって購入。当時、宮部みゆき先生はそれ程沢山読めていなかったが、導入部分が魅力的で引き込まれた。
推理小説というよりも、今後続いていく杉村三郎の生き方の分岐点であり、作中の事件も人間の社会で生きていく中での嫌らしさの様なものを描写している。
星3はあくまでミステリーとして読んでしまったからで、実は小説としては読みやすい。
宮部みゆきは人物描写、物語の構成が上手いので引き込まれるので、『模倣犯』の様な衝撃作を期待して読んでしまうともったいない。(僕は当時、宮部みゆきのミステリーを幾つか読んでからだったので、知識が少なかった。)
後々杉村三郎シリーズは比較的好印象で読み進めており、おそらく分岐となったこの作品にも愛着がある事は間違いないのだろう。 -
昨年末に単行本化された、宮部みゆきさんの小説です。図書館で半年以上待ってやっと順番が回ってきました。大部(600ページ以上)で、読むのにも時間がかかりましたが、この1週間楽しい思いをさせていただきました。
この本を通して感じたのは、昔は個人の力では大したことはできませんが、今はネットの力を利用することで凄い復讐ができることがわかりました。
著者の宮部さんは、一時期世間を騒がせた豊田商事事件や、ネットワークビジネスの被害者のことを詳しく調べられているようですね。ネットワークビジネスの会員にも勝ち組と負け組みがいることが書かれていて驚きました。
ネットワークビジネスが破綻した場合、当局に捕まるのは上層部の経営者のみ、会員で良い思いをしていた(会員間で融資をして儲けていた)人は、お咎めなしだと思います。この本では、この部分がお話のポイントになっていました。
当然、この本はフィクションであり、本の最後はその旨が記されていますが、私はある程度の事実に基づいて書かれていると感じています。この本を通して、それらのビジネスの裏が垣間見えたように思いました。
2014年10月20日作成 -
前の読んだ本とよく似ていた、宮部みゆきの本は好きだが バスハイジャック事件から始まる謎が明るみに出るまで次々に起こる出来事自分の考え方、生き方、考えさせられる少し疲れる気がした。
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本作では、非常に乱暴に分けると、二人の「人間」が描かれています。
1.戦後日本の復興期を生き、地方から都会へと移動してきた人間。
2.名門一家の庇護下を離れ、娘婿から単身へと変化していく人間。
1の人物造形に関しては、著者本人も自認しているように、松本清張の影響が如実に感じられます。
2の人物造形に関しては、私立探偵という孤高の存在を創造していくには必要な作業であったのでしょう。
ネタばれにならないように本書について述べようとすると、これ以上のことを言える力量が私にはないです。
いずれにしても、前々作『誰か』および前作『名もなき毒』につづいて、会社員でありながら私立探偵のようでもある杉村三郎の魅力を伝える作品であることは確かです。
ただし個人的には、会社員小説などの仕事小説に関心があることから、私立探偵のような主人公があくまで会社員であることが重要です。
そして、上記2作と本作は、仕事と家庭の両面を描こうとしている稀有な会社員小説であることから、これらシリーズ作品をあえて順位付けすると以下のようになります。
今作 < 前作 < 前々作 -
杉村三郎シリーズ三作目。導入部で、バスジャックに遭遇したときに何を考えていたか、と問われて何も考えていなかった、と回想するシーンを読み、二作目を読んでから時間が経っていたため「前作にそんな事件起こったっけ、嘘つき女性の話じゃなかったけ」「これ三作目じゃなくて四作目?」としばし混乱してしまいました。時系列をずらして書かれていただけとわかったときはちょっと気が抜けてしまいました。そのせいもあってか、イマイチ乗り切れず、そして扱われている題材がいわゆるねずみ講でどこの誰でもひっかかってしまいそうな、作中で言うところの”入り口は被害者でも出口は加害者”、というやりきれない種類の悪行だし、すっきりしない気持ちで、でも宮部さんの文章なのでどんどん読み進む。中盤を過ぎ雲行きは怪しくなるばかり、そしてバスジャックを起こした動機もイマイチぴんと来ない、終盤にはかなしい出来事と杉村家に問題が起こるし、、、
その割には事件にまつわる不明な点は不明なまま残されていて、不完全燃焼。退職した杉村が私立探偵業につくかも、という予告めいたものもあったので、四作目にもこの事件の謎は引き継がれるのかもしれません(図書室蔵書)。 -
ちょっと盛り込みすぎな印象。もう少しコンパクトにしてもらったほうが良かったかなって感じ。
とりあえず、最後の毒が、強烈すぎました。
『こんなわたしでも人を傷つけることができる』
いや、出来るって。杉村に同情してしまいました…。
次も読むけど、おそらく小説の雰囲気はがらっと変わる気がします。杉村のキャラは好きなんで、まだ読みます。