貴族探偵対女探偵

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715354

作品紹介・あらすじ

「貴族探偵」を名乗る謎の男が活躍する、本格ミステリーシリーズ第2弾! 今回は新米女探偵・高徳愛香が、すべてにおいて型破りな「貴族探偵」と対決! 期待を裏切らない傑作トリックの5編収録。

感想・レビュー・書評

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  • まさかの貴族探偵の続編。なんと女探偵こと高徳愛香が主人公の本作。大技も炸裂する、麻耶雄嵩らしい?連作短編集。

    「白きを見れば」
    とある証拠に納得できないとか強引だとかそんなものは麻耶作品には通用しません。解決したらいいのです。貴族探偵の登場の仕方といい、最高のスタートダッシュを決める。

    「色に出でにけり」
    本作の趣向がわかります。苦笑い…
    タオルに関する謎の解決が目から鱗。動機も納得。ただ、犯人はそれでいいのか…〇〇〇〇だけだぞ。

    「むべ山風を」
    ややわかりづらいのが残念。手がかりの選択が秀逸。

    「幣もとりあへず」
    本作一押し。歓喜してしまうほどのトリックの妙。
    これは騙されること確実。跳躍した推理に読者も登場人物もタジタジ。

    「なほあまりある」
    非常に全うな?推理。女探偵の成長。なんてことはない。貴族探偵の掌で踊らされているだけだ。

    ドラマ化です。貴族探偵を含め、何作か実写化不可能な気がしますが果たしてどうなるのか…

  • 『貴族探偵』の続編。連作短編集。
    著者らしい、少しブラックな物語。
    女探偵さんが、応援したくなる魅力的なキャラクターで好印象。
    最終話「なほあまりある」は、連作短編という形式を利用した、捻りのある結末が面白い。
    貴族探偵・女探偵・女探偵の師匠・貴族探偵の使用人の比較によって、「探偵」とは何かを問いかけて…いるのか?

  • 紅茶片手に読むのがちょうど良い
     推理をしない名探偵と女性探偵の推理対決を描きます。前作にも増して貴族探偵の意地の悪さが目立ち、空回りする愛香に同情したくなりますが、推理には疑問の残る点が多々見られるため、経験の浅い新米探偵らしさが出ています。対する貴族探偵も穴のない推理かというと案外そうでもなく、うまく丸め込んでいる印象を受けます。
     フォームにブレがないのはいいですが、同じ展開が続くのでやや単調な気がしました。そんな中、前作「こうもり」を彷彿とさせる「幣もとりあへず」は2度読み必至の仕掛けが施されています。最終話「なほあまりある」の締めくくりもなかなかです。

  •  労働なんて使用人にさせればよいのです。
     がっつりネタバレご注意を。

     麻耶くんがお仕事をしたというので、狩りの手を休めて読みましたとも。貴族探偵の第二弾。貴族探偵がどういう探偵であるのか、前作を読んで知っているし、その手法にも前作で驚いているのでそこ以外でどうやって話を回すのかしら、と思っておりました。
     短編が五つ、貴族探偵と、師匠を亡くしひとりで頑張ってる新米女探偵さんが出てきます。事件についてはそれぞれ短編ミステリらしい感じで、推理についても結構緻密だったなとは。一度出した結論を、さらにひっくり返すっていう流れを続けて書くのもきついもんがあると思う。
     二話目「色に出にけり」で被害者が占いのときにえらい動揺してたのがなんだかなーと違和感。名前を見てそんなに動揺するかね。あくまでも可能性が出てくるってだけのことじゃねぇかなって思うけど。
     四つ目「幣もとりあへず」本気で理解できてない。入れ替わり? え、どういうこと? 首かしげながら読んで、あとでざっと確認してみたけどやっぱり分からなかった。読解力に自信をなくした。 
     女探偵さんがことあるごとに引き合いに出す、亡き師の言葉がそれはもう人格者で、探偵の鏡のようなひとだったみたいで、なんもしない髭の貴族探偵と良い対比になってますね。髭、くそだね。個人的には依子お嬢様とメイドの田中さんがとても好みです。
     あとラスト、五つ目「なほあまりある」な。ほんと、そうくるか、って思ったね。ミステリ的なトリックもすんなり読めてこれが一番きれいにまとまってる気はした。四つとも女探偵さんが完敗してて、貴族探偵がそんなに好まれる性格でもないから、読者的にも彼女に肩入れするんだよ。せめて最後くらいは、と思いながら読む。でも麻耶くんだし、最後まで後味悪く、むしろ一番ひどい敗北を味あわせるんじゃねぇかと用心しながら読むわけだ。
     で、今回の女探偵さんの推理はとても理路整然としていて、感情に振り回されている様子もなく、また未完成の部分もない、いけるんじゃないかこれは、勝てるんじゃないか、と期待を膨らまさせ、ようやく勝てたぜ! と喜んだところでこのオチ。ひどい。あんまりだ。さすが麻耶雄嵩。すばらしい。
     抜粋、その五話目より。

    「ええ、警備関係を」
     嘘は吐いていないはずだ。
    「へえ、素晴らしいのね。社員の方って目から光線とか出すんでしょ」


     (´・ω`・)。oO(……ALS●K……?)

  • 探偵としての道を歩み始めたばかりの愛香が、行く先々で何故か出会ってしまう貴族探偵と推理対決することになる、というのが面白かった。愛香が感情豊かで、怒ったり落ち込んだりビックリしたり、とても好きなタイプのキャラクターだった。前作でもやられた!と思ったが、今回もまんまとやられたー!というお話があり、テレビドラマにもなっていると知りとても興味が湧いた。(でも近所ではレンタルしてなかったなあ)
    終わり方もとても良かった。オチがきれい。

  • 最初からわかっていたものの、やはり探偵の失敗を読み続けるのが辛い。
    愛香のイメージはガッツリドラマのままなので、キャンキャン吠えてる感じも痛々しいし。
    ただ貴族探偵のイメージはファンファンになってきた。
    読み進めるうちに、これはラストはけっこうな悲劇になるのでは?とドキドキしていたので、案外サラリと終わった印象。

  • 相変わらず、とぼけた髭探偵に振り回される女探偵。軽妙で、面白かった。

  • 第一弾より先にこちらを読むことになりました。
    謎の貴族探偵に鍛えられる(?)、ひとり立ち間もない探偵・高徳愛香の奮闘記。

    テレビドラマ化されているので、すでに犯人が分かっている事件もありますが、面白かったです。
    貴族さまがオトナな感じで、愛香は、見事に彼の手の上で転がされています。

    タイトルはすべて、百人一首に採られている歌の中の言葉のようです。

    『白きを見れば』
    友人の平野紗知が慰労のために、父親の所有する別荘「ガスコン荘」に招いてくれた。
    地下に「鬼隠しの井戸」というオカルティックなモノが存在するという。

    『色に出にけり』
    玉村依子は旧華族の家柄。
    恋人を何人も所有してはばからない自由奔放なお嬢様であり、愛香の修業時代の顧客であった。
    その玉村家の、安房の別荘で事件が起こり、依子から愛香に依頼がかかる。

    『むべ山風を』
    無難に事件を片付けたところで、もう一つ事件に遭遇!
    ティーカップがいっぱい。

    『幣もとりあえず』
    すっかりパワースポットにハマった友人の平野紗知に、座敷童子が出ると評判の温泉に誘われた愛香。
    あらすじはドラマで知っていたものの、叙述のトリックに引っ掛かりました。
    ちょっと、作者、混乱してるんじゃない?
    …と思ったところが、罠にかかった私でした。
    素晴しいですよ。

    『なほあまりある』
    高知の宿毛港からクルーザーで個人所有の島へ。
    実は、高額の報酬で、探偵としての愛香に依頼がかかったのだ。
    依頼人の住所も名前もデタラメだったが、愛香は受けて立つことにした。
    この話が一番面白かったです。
    一冊の最後を飾るにふさわしく、愛香にとっても良かった(良かった?)し、オチがサイコー。

  • さよなら神様とあやしいおじさんでちょっと敬遠していた麻耶先生だけどドラマが面白かったので読んだ。最後愛香ちゃん良かったねーと思っていたらラストでこの本の構造がわかって大変すっきり。麻耶先生の本はどうやら根が深いみたいでうかつなことは言えないけど、今回の本は楽しく読めた。

  • 内容紹介

    「貴族探偵」を名乗る謎の男が活躍する、本格ミステリーシリーズ第2弾! 
    今回は新米女探偵・高徳愛香が、すべてにおいて型破りな「貴族探偵」と対決! 期待を裏切らない傑作トリックの5編収録。(Amazonより)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    Amazonさん...
    内容紹介、雑っ

    で、これって私ここから読んでしまったのですが...
    この前に「貴族探偵」あるのね

    とりあえず目に付いたものを読んでしまった...

    確かに貴族探偵が貴族探偵であるがゆえのあれこれは語られなかったわ。
    知らずに読んだら誰が貴族探偵かすら分からないかも。

    でもまぁ、面白かった!
    4月期ドラマのHP見ると、女探偵高徳愛香も
    しっかり武井咲でキャスティングされてるし~。


    ...あ。
    ばれましたね。


    そう、4月期に嵐の相葉さんが主演されるドラマの原作でした!
    実はこの話があるまでこの本の存在を知りませんでした!


    まことに申し訳ない...
    ミステリファンとしてお恥ずかしい...


    読み始めた動機は大変に不純ですが、内容は前述したとおり面白かった!
    ...うん、でも、貴族探偵何してるのん?(笑)って感じですけど。


    いつどこで推理してるのか...
    それともしていないのかw


    名前や年齢のみならず、いろいろ不詳だわ~。
    それにいつも違う女性を連れているけど、ドラマでもその設定なのかな?


    でも貴族探偵一同VS女探偵って言う構図が
    コメディとしても際立ちそうで、ほんと楽しみ。


    武井咲さんの「くぅぅぅぅ~!悔しい!」みたいな演技も楽しみすぎるし。


    他のキャストさんも最高すぎるし...!
    (松重さん大好き)


    前に富豪刑事ってあったよね。深キョンの。
    あれっぽくぶっ飛んで貴族ぶりを楽しませて欲しいなぁ~。


    ...あれ。ミステリ部分の感想が出来てない。


    謎解き部分も大変興味深かったです!
    でも今回は女探偵と一緒に「えっ!?」みたいな謎解きを楽しめたかも。


    しかし女探偵さん...いつもいつも貴族探偵を犯人にしすぎw
    むしろそっちの方が無理あるよw


    読み逃した本来の「貴族探偵」も読みます!
    ドラマも楽しみです♡

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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