春、戻る

著者 :
  • 集英社
3.79
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本棚登録 : 2728
感想 : 421
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715484

作品紹介・あらすじ

結婚を控えたある日、私の前に兄と名乗る青年が現れた。明らかに年下の「お兄さん」は、私の結婚にあれこれ口出しを始めて…。人生で一番大切なことを教えてくれる、ハートフルウェディング・ストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 少し不思議な物語。途中までファンタジーかなと思って読んでいたが、しっかりと現実の物語だった。能天気に見えるお兄さんだけど、きっと色々な壁を乗り越えてきたんだろうな。温かい気持ちになれるお話だった。

  • 結婚を目前にしたある日、突然12歳年下の兄が現れた!
    12歳年下の兄って何よ?しかも初対面?
    瀬尾まいこが初のミステリーに挑戦したのかと思いつつ、その奇想天外な設定にあっと言う間に惹きこまれてしまった。

    いやいや、それはあり得ない。そんな簡単に家に上げちゃだめでしょ。
    ストーカーかもしれないでしょう。
    と、一人つっこみながら読み進めるが不思議と拒否感もなく。
    やはり瀬尾さんならではの自然で温かい文章力があるからだろう。
    これが他の作家が同じ設定で書いたとしてもこうは行かないはず。
    瀬尾さん読むと心が洗われますね。
    間違いない!

    それにしても私の住んでいるところが田舎のせいなのか、この本に出てくるような団子が置いてある和菓子屋がめっきり減っているのは気のせいだろうか。
    今の季節だと定番の饅頭などに加えて桜餅や柏餅は売っている。
    でも団子がない。なぜ?
    団子を売る和菓子屋は遠くまで足を伸ばすか、団子屋と看板を上げる店に行くしかない。
    団子も桜餅も大福もぜーんぶ一緒に買いたいのにと思うのは私だけだろうか。

  • ★3.5

    36歳で結婚を間近に控えたある日、さくらの前に兄と名乗る青年が現れた。
    一回りも年下の「お兄さん」は、さくらの結婚にあれこれと口出しを始めて…。

    ある日突然見知らぬ、明らかに年下の青年がお兄さだと現れたら、
    私はどうするだろう…気持ちが悪くて拒絶してしまいそう…。
    でも、お兄さんのキャラクターが不器用だけど、明るく一生懸命。
    さくらの事を一生懸命世話をやく様子から、優しさが十分過ぎる程伝わってくる。
    さくらがお兄さんを徐々に受け入れていくのもわかる気がした。
    また、婚約者の山田さんが突然現れた年下のお兄さんに疑問も持たずに、
    大らかに丁寧に接するのとっても好感が持てた。

    そろそろ結婚した方がいいのかもしれない。
    そう思った時に紹介され、特別素敵な事は何もなく、
    こんなものだろうという感覚で進んできた…。
    でも、本当にそれでいいのだろうかと思っていたが、
    お兄さんの登場のお陰で、さくらが山田さんの事を好きだって認識できたの良かった。

    お兄さんってだれだろうって予想するもの楽しかったです。
    何となく読めちゃったけどね(*'-'*)エヘヘ
    登場人物がみんなとっても良い人で、悪意を持った人が一人もいなくて
    ほのぼのとして良かったなぁ。
    瀬尾さんの紡ぐ文章は温かい。
    じんわり温かくて、その暖かさで泣けてくる。
    心温まるお話で、読後感もとっても良かった。
    山田さんとだったら、とっても幸せな結婚生活を送れるんだろうなぁ。

    思い描いたとおりに生きなくたって、自分が幸せだと感じる事が一番だ
    この言葉から心に響きました。

  • 瀬尾まいこさんが伝える「幸せ」は、私にとっても「幸せ」です。

    「お兄様がお待ちですよ」と声をかけられる。
    (私にお兄さん? 誰?)
    不信感募りつつ面会したのは、年下の男だった。

    そんなお兄さんと結婚を間近に控えた妹が過ごした短い季節。
    おかしな、おかしい、笑みが溢れる、幸せへの足取りが聴こえてくる物語でした。

    瀬尾まいこさんの小説は全部読んでいます。
    とても自然体に読み進めることができます、気持よく。

    今回もとても気持ちよく読み進め、読み終えて和みました。
    幸せな気持ちが増えた気がする。

    一番好きな季節は?と聞かれると、迷わず「春」と応える。
    「春」は「冬」があるから「春」。
    日差しがやわらかく、桜がさらに優しさを伝えてくれる。
    出会いと別れの季節の「春」。
    新年よりもキラキラする。前を向いていこうとする機会をもらえる。
    だから「春」が好き。

    人に出会い、時を重ねていくことはすばらしいと改めて感じました。

  • 瀬尾まいこさんの本は、いつもどれもとても優しい。
    少しずつ大切に読みたいし、核心に触れそうになるとまだ知りたくないとも思うのに、読み始めるともう読むことを止められません。
    ぐっときて、ほろりとする。
    素敵なお話でした。

  • 結婚を目前に控えたさくらの前に突然現れた謎の青年
    それも兄だと名乗っている
    さくらが36歳、青年は12歳も年下なのに兄???
    その上、やたらさくらについて詳しい

    押しかけ女房のようにグイグイさくらの生活に入ってくる青年は
    何者?
    宇宙からやってきたのかなと思ったりしたが、瀬尾さんはそういう類の本は書かないよなと思い直す

    さくらも記憶を手繰り寄せ、青年のことを思い出そうとするが、もう少しという時になって、開きそうな記憶の扉がパタンと閉じてしまう

    結局青年が何者だったのかは、読んでからのお楽しみにということで・・・

    さくらの婚約者の山田さんがとてもいい
    今どき???のお見合いで知り合った二人、燃えるような相手への想いはないが、静かに見守り、包み込んでくれる懐の深さ
    お見合いならではの、ぎこちない遠慮がちな距離感を保ちながらも二人が、少しずつ愛を深めていくことが、微笑ましくこちらまでが嬉しくなった

    山田さんがでっかい身体で大福を作っている姿の描写は、私の中でクマのプーさんに置き換えられていた

    誰も悪い人が出てこないほっこりハートウォーミングストーリー
    まさしく瀬尾ワールドだった

  • 結婚を控えた主人公さくらのもとに現れた「お兄さん」をきっかけに、固く閉じた過去の記憶がゆっくりとほどけて柔らかな木漏れ日に包まれるような物語

    謎のお兄さんの正体が分からないまま物語が進行していくのでモヤモヤする反面、きっとあの頃に関係してるんだろうなぁと朧げながら見え隠れする記憶の欠片。
    そのじれったさが心地よくついついページを捲る手が早くなってしまった。

    瀬尾まいこさんの作品はどれも温かくて優しい。
    「思い描いたとおりに生きなくたって、自分が幸せだと感じられることが一番」

    過去の辛く思い出したくない記憶でさえも、時間が経てば見えてくることだってある。その場の景色や、人との出会いや繋がりからも、気づけることがきっとある。

    就職や結婚や退職など人生の転機を迎える時、そっと背中を押してくれるような温かくて優しい作品でした。

  • 流れるまま結婚を決めたさくらの元に、12才年下の兄が現れた。身元不明ながら兄と関わるうちに苦い過去に変化が。

  • 結婚を間近に控えた主人公さくらの前に突然現れた謎の青年。
    さくらより12歳も年下なのに“自分はさくらのおにいさんだ”と告げる。
    訳が分からず曖昧な関係のまま、おにいさんのペースに乗せられ、二人の奇妙な形での交流が始まる。
    何度か会ううちに、おにいさんの行動や言葉から、微かに引っ掛かりのあったさくらの封印していた過去がぼんやりと浮かび始める。

    おにいさん?
    12歳年下のおにいさん?
    さくらからは彼が誰か思い出せないのに、何故かおにいさんはさくらの性格や趣味などを正確に知っている。
    いったいこの人は?

    久々に瀬尾まいこを読んだ。
    相変わらずのハートウォーミングストーリー。
    心が荒んでいるときに読むと、気持ちがほっこりします。
    他人に対して優しくなれる一冊。
    瀬尾まいこワールド、健在です。

  • 36歳のさくらのもとに突然、12歳年下の
    自称「兄」が現れた。
    兄は、さくらのことをよく知っており
    もうすぐ結婚することまで知ってる。
    この「兄」は一体何者なの?

    という所から始まり、さくらも、なんだかんだ
    兄のことを受け入れていく。
    さくらの結婚相手の団子屋さんも、
    実の妹のすみれも、兄を受け入れていく。
    その姿がなんだか、ほんわかしたよー。

    そして、さくらの教員時代の記憶。
    その記憶に「兄」が結び付いていた。
    この教員時代の話に涙してしまった…(。´Д⊂)
    いや、ホントはそんなに泣きポイントないんだけど…
    「わかる、わかる!!!!」ってなってしまったー笑
    瀬尾まいこさんって、元中学校の国語教師だったんだね。
    さくらの教員時代の話がリアルだったので
    納得です!!

    ほっこりしたし、和菓子が美味しそうだし、
    春に読みたくなる本だったよー!!

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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