春、戻る

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715484

感想・レビュー・書評

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  • 瀬尾まいこさんが伝える「幸せ」は、私にとっても「幸せ」です。

    「お兄様がお待ちですよ」と声をかけられる。
    (私にお兄さん? 誰?)
    不信感募りつつ面会したのは、年下の男だった。

    そんなお兄さんと結婚を間近に控えた妹が過ごした短い季節。
    おかしな、おかしい、笑みが溢れる、幸せへの足取りが聴こえてくる物語でした。

    瀬尾まいこさんの小説は全部読んでいます。
    とても自然体に読み進めることができます、気持よく。

    今回もとても気持ちよく読み進め、読み終えて和みました。
    幸せな気持ちが増えた気がする。

    一番好きな季節は?と聞かれると、迷わず「春」と応える。
    「春」は「冬」があるから「春」。
    日差しがやわらかく、桜がさらに優しさを伝えてくれる。
    出会いと別れの季節の「春」。
    新年よりもキラキラする。前を向いていこうとする機会をもらえる。
    だから「春」が好き。

    人に出会い、時を重ねていくことはすばらしいと改めて感じました。

  • 瀬尾まいこさんの本は、いつもどれもとても優しい。
    少しずつ大切に読みたいし、核心に触れそうになるとまだ知りたくないとも思うのに、読み始めるともう読むことを止められません。
    ぐっときて、ほろりとする。
    素敵なお話でした。

  • 結婚を間近に控えた主人公さくらの前に突然現れた謎の青年。
    さくらより12歳も年下なのに“自分はさくらのおにいさんだ”と告げる。
    訳が分からず曖昧な関係のまま、おにいさんのペースに乗せられ、二人の奇妙な形での交流が始まる。
    何度か会ううちに、おにいさんの行動や言葉から、微かに引っ掛かりのあったさくらの封印していた過去がぼんやりと浮かび始める。

    おにいさん?
    12歳年下のおにいさん?
    さくらからは彼が誰か思い出せないのに、何故かおにいさんはさくらの性格や趣味などを正確に知っている。
    いったいこの人は?

    久々に瀬尾まいこを読んだ。
    相変わらずのハートウォーミングストーリー。
    心が荒んでいるときに読むと、気持ちがほっこりします。
    他人に対して優しくなれる一冊。
    瀬尾まいこワールド、健在です。

  • 36歳のさくらのもとに突然、12歳年下の
    自称「兄」が現れた。
    兄は、さくらのことをよく知っており
    もうすぐ結婚することまで知ってる。
    この「兄」は一体何者なの?

    という所から始まり、さくらも、なんだかんだ
    兄のことを受け入れていく。
    さくらの結婚相手の団子屋さんも、
    実の妹のすみれも、兄を受け入れていく。
    その姿がなんだか、ほんわかしたよー。

    そして、さくらの教員時代の記憶。
    その記憶に「兄」が結び付いていた。
    この教員時代の話に涙してしまった…(。´Д⊂)
    いや、ホントはそんなに泣きポイントないんだけど…
    「わかる、わかる!!!!」ってなってしまったー笑
    瀬尾まいこさんって、元中学校の国語教師だったんだね。
    さくらの教員時代の話がリアルだったので
    納得です!!

    ほっこりしたし、和菓子が美味しそうだし、
    春に読みたくなる本だったよー!!

  • 結婚を控えたサクラの前に現れた謎の青年。
    正体不明で明らかに年下なのに、サクラの「お兄ちゃん」だと言う彼は一体何者?

    読後はとてもあたたかい気持ちになりました。

    「思い描いたように生きなくたっていい。自分が幸せだと感じることが一番なんだから。」
    こういう風に言ってくれる人が周りにいるということ。ずっと自分の味方でいてくれる人がいるということ。
    「描いていた道を降りてから、見つけたものはたくさんある」とサクラが思い、生きていけたのは、蓋をしていた過去にそういう優しい人たちの言葉があったからなのではないでしょうか。

    最後の章でサクラは「おにいさん」を「お兄さん」と呼ぶようになります。家族以外で自分の幸せをこんなに願い、見守ってくれる「家族のような」存在がいるという幸福。

    サクラとお兄さんとのやり取り、また、山田さんとのやりとりがなんだかいちいちほほえましくて、おかしくてほのぼのします。
    24歳児、サクラ大好きスーパーお兄さん。お兄さんの過去がなんだか気の毒なので、スピンオフ的小説が読みたかったり…(笑)
    山田さんもとてもよい人。

    相変わらず、ご飯を食べるシーンが素敵です。私もお兄さんのご飯が食べたいよ!
    あと、和菓子も食べたくなります!

  • 結婚を控えた主人公の前に突然見知らぬ年下の青年が現われ「兄」を自称する。
    ファンタジーかと思いきや、とても現実的な種明かしがされ物語はハッピーエンドで幕を閉じます。
    さくらがどんどん情緒豊かになっていき、和菓子屋の跡継ぎの山田さんがどんどん素敵に見えてきて、幸せってこんな感じでちょうどいいのかもって思える。
    思いやりが優しく温かい。

    きんぴらと葛餅が食べたい気分。

  • 不思議なテイストの物語です。
    自分でも封印してしまったつらい記憶が、何か月もかけて(見えないところで)癒されていって、
    最後に表面に浮かんできたときは自分がそれを受容できるようになっている。
    そういう心象風景を描くの、瀬尾さんとても上手い。素敵。

    2020/12/31

  • お兄さんの正体が気になって気になって、どんどん読み進めました。

    お兄さん、陽気で飄々としているのに、影のある過去が顔をのぞかせる引きつけられました。しかも年下!気になり過ぎる!!

    また、さくらと同年代なこともあって、思考に共感の嵐でした。教員時代の話もわかるなぁ。

  • 2019(R1)10/31-11/8

    “私”の前にいきなり現れた年下の若者。
    なのに、“私”のことを「妹」と呼ぶ。
    訝しみながらも若者と接していく中で、“私”自身のこれまでとこれからの生き方を優しく肯定していく物語。

    年下の若者が、なぜ“私”のことを「妹」と呼ぶのか。
    “私”自身の結婚について、なぜそうすんなりと事が運ぶのか。
    なぜ子どもとの接し方や同僚との軋轢に苦しんでいるのに、それを監督すべき校長先生に対して、なぜ何も否定的な感情を抱かないのか。

    …などなど、“私”の超お人よしな性格ゆえに、トントンと物語が進んでいきます。そのあたりにツッコミを入れたくなりつつも、
    「まいっか、それが瀬尾まいこの世界だし。」
    と、“私”ばりにお人よしな感じで読みました。

    あったか感満載、毒っ気0%のハート・ウォーミング・ストーリー、いかがでしょうか。

  • 読みやすい!!

    あっという間に読めました


    そしてお兄さんのファンになってしまいました



    さらっと読んで
    じんわりあったかくなる
    そんな話でした


    山田さんも大らかでとても好きです


    急に現れた年下の兄の話

著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

瀬尾まいこの作品

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