左目に映る星

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 239
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715491

作品紹介・あらすじ

小学生の時に出会った少年は、彼女にとって完璧な存在だった…。過去を引きずったまま大人になった早季子と、あまりに純粋なアイドルオタク・宮内との恋の行方は──。第37回すばる文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 前から気になっていたので借りてみました。なんか…こう…内容が私にとっては若すぎかな…と思った。これ10~30代だったら、もっと入り込めたと思う。奥田さんが描く特有の寂しさ、孤独の共有の仕方や、人と人のつながり方、その距離感がとても好きだと感じました。理解してもらった時に決壊しそうになるところや一人で走り出してしまいそうな感じ、若いからこそできる自分勝手さが素敵だな…と思いました。

    この作品はまったくSFではないけど、どこか宇宙っぽくって、つながりそうでつながれない人と人の間の空間はもしかしたら宇宙空間なのかな…と思えてしまいました。宇宙人っぽいというか。全然関係ないのに私の中で勝手に、リリコがLILICOさんになり小沢圭吾がオザケンになり、思い出したのが『ドルフィン・ソングを救え!』。なんでだろう。。。不思議でした。

    さすがに自分くらいの年齢になると「消えない虚像」に縛られることもなく、ああ、自分にもついこの間までに消せない虚像が存在していたな…と懐かしく思えるのでした。だからこそ若い子たちに読んでほしいと思える一冊です。目を瞑る癖をもっときれいに使うのかと思っていただけに少し勿体ない気がしました。

  • 自分の身体が抱える問題から、同じ痛みを抱く者を求める主人公。やっと分かりあえたと思った人はいつしか「ただの人」となり、絶望するのだけれどーー次に出会った人は、自分とはまるで正反対の男の人だった。
    価値観の共有、違うということをどのように受け止めるか、恋愛特有の誤解を喧嘩を交えながら、「違くても知っていけばいい」という人との関わり方を教えてくれる、優しい小説。

  • すばる文学賞受賞作品。片目だけ乱視という主人公。私自身も乱視(両目だが)なので作品に書いてある視界についてはなんとなくだが、理解はできる。片目を瞑り、世界を見る事によって精神状態を保つという発想が好き。この作者の考え方や物の見方というのが非常にさっぱりしていていい。所詮、人間というのは自分以外の人間を自分が作り上げた虚像で見ている気がする。

  • 主人公の早季子は小5の時に出会った吉住が忘れられない。
    自分の孤独感、疎外感を分かち合えるのは彼だけと頑なに信じて生きている。
    本当はそんな事ないのに。
    何かあった時に思い出す吉住の言葉は、過去の言葉ではなく、今の早季子にささやきかけて、彼女の行動を限定する。
    早季子にとっては救いの言葉でも、私には呪縛に思えた。
    だから、吉住と同じ癖を持つと知り、合コンの場で突然連絡先を教えてもらった宮内との出会いが少しずつ早季子の心に変化をもたらすのを、じれったくも微笑ましく感じた。
    人は確かに孤独なんだろう。
    誰とも本当に理解しあえないかもしれない。
    それでも、理解したい、相手のことを知りたいと思えることがとても素敵なことなんだと早季子が気づいてよかった。

  • 期待通りにいい作品だったな。
    タイトルからこれは面白そうと思った、第37回すばる新人賞。淡々と特筆するようなことは特にないのだけど、胸に刺さる箇所がちらほら。この作者は言葉選びのセンスがいい。それに加え空気感も良い、言葉運びがいい、句読点の打ち方もいい。雰囲気だけでいいと思える、そんな作品。
    左目に乱視があり、左右とでは世界が違うというのはよくわかる。わたしも幼い頃から左目に乱視がありよく右目瞑って世界観を試してたから。
    (そういうのもあってこの小説を好きと強く思ったのかも)
    ところどころ哲学的なんだよね。うーむ、とうなりたくなるような。アイドルも、昔の憧れのキミも同じ。
    ただアイドルオタクのファンの女を非処女だと許さない的なのはちょっと違和感。や、オタクの価値観知りませんが、ファンのアイドルが非処女だと許せないのは分かるけど、その場にいる女が非処女じゃないと許せないってのはなんという傲慢さ。そんなオタクいたら世界はおかしい、や、狂ってるやつだらけな世の中だからいてもおかしくないのか。

    まぁ兎にも角にも、個人的に次回作が楽しみな作家さんになりました。

  • 小学校の時に出会った同級生の左目だけで世界を見るという出来事から影響を受けて、大人になった今も右目をつぶる癖が抜けず、自分と世界の間に何か違和感がある早季子。アイドル、リリコの追っかけの宮内に出会うことで、変わっていく心情が丁寧に描かれていて、共感とは違うけれどすっと腑に落ちる感じでとても良かった。

  • 早季子には嫌だなと思うことがあったとき、右目を閉じる癖がある。それは乱視が入った左目だけで世界を見ると、いろんなものがぼやけて、ちょっとだけほっとできるから。――住吉が教えてくれたことだった。
    そんな住吉を忘れられないまま大人になった早季子は、自分や住吉と同じ癖を持つかもしれない宮内に興味を持つ。しかし宮内は女性アイドル・リリコの大ファンだった。

    読みやすい文章だったので一気読み。読後感もよい。
    偶像や虚像、人それぞれの価値観や、見える世界の違い。
    全部が全部わかるとは言えないけど、わからないとも思わない。
    そんなセリフがたくさんあって、読みながらいろいろ考えてしまった。

  • 孤独で誰にも理解されないと思っていた唯一の特別はまるで運命のように感じる。
    今はもう消えて無くなってしまったからこそ、
    あの頃の吉住くんは理想として上塗りされて強くなっていく。
    その救いは自分の心を癒やしてくれる側面もあるけど、いつからか呪いへと変化している。
    だけど、それを宮内のリリコと同じように虚像で自分を救っていたものだと認めることができたとき、わかりあえることよりも違っても会いたいと思えることが大事だと気づく。
    自分の孤独を分かりあうよりも強く会いたいと思うことはある。

  • 賞をとった作品らしいです。
    恋愛ものだけどちぐはぐなとことか面白かったです。

  • 小学生の時に好きだった男の子を忘れられないまま大人になった女の人の話。

    こじらせている。
    でもその気持ちが痛いほどにわかる人は多いのではないだろうか。
    好きになった人、叶わなかった恋、自分の中で神格化され、頭にこびりついて、そんなのはもはやある種の呪いのようなものである。

    11歳の彼は、もうどこにもいない。大人になった彼ですら別人なのだから。人は変わるし成長もする。
    わかっているのに抜け出せない、抜け出そうとすら思っていないのかもしれない呪い。

    主人公はこの先宮内と付き合い、彼のことを考えなくなる時期はあるのかもしれない。でもきっと、ふとした時に頭を過ぎることは無くならないんじゃないだろうか。一生。

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著者プロフィール

奥田亜希子

1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部卒業。2013年、「左目に映る星」ですばる文学賞を受賞しデビュー。『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』など著書多数。

「2020年 『愛の色いろ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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