鼻に挟み撃ち 他三編

  • 集英社
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本棚登録 : 119
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715552

作品紹介・あらすじ

御茶ノ水駅で、マスク男が奇妙な演説を始める。それをじっと聴いているひとりの男。ふたりにはそれぞれ理由があった。第150回芥川賞候補作となった表題作と、斜め上を行く不思議な3つの短編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作の『鼻に挟み撃ち 』
    カーキ色のコットンパンツ、白いボタンダウンシャツ、黒いカーディガン、紫色の薄いダウン、を着た「わたし」はその服装からしてせいこうさんそのものだな、と思っていたけれど、途中のパニック障害だった告白によってそれは確信をもって示されていく。私小説とも言える現実とリンクした世界、またはエッセイ的なリアリティの中、ゴーゴリの『鼻』『外套』や後藤明生の『挟み撃ち』が絡まりあって、いつの間にか虚構の新御茶ノ水駅前に立たされてる。
    どこまでが本当? どこからが虚構?

    戦争法案が可決し、憲法も改正されるような空気、遠くでテロが起こり、報復と称した大量殺戮が許容され、でもまだ本当には日本で戦争は起こらないだろう、と何となく目を逸らして目の前の平和だけを見ようとする雰囲気。そっか、私たちの鼻も失われてるのかもしれない。国会で起きてること、世界で起きてることはテレビや新聞の向こうにあるお話。どこまでが虚構か分からない。

  • ★零個
    どうすればこんだけ面白くない本が書けるんだ!と思うほど面白く無い本です。
    途中でもう読みたくない!と激しく思ったので、そうしました(・・;)。
    なので感想を書く資格は無いかも知れませんが、どうかくれぐれも皆様もお気をつけ下さいませ、という思いだけでこれ書いています。
    すまぬm(__)m

  • 文学

  • 2018/7/24購入
    2018/7/28読了

  • 御茶ノ水で奇妙な演説をするマスク男と、それを隠れて聴く男。彼らにはそうしなければならない理由があった…。いとうせいこうにしか書けない、可笑しくて哀しい、人生4つ分のふしぎ。

    作者はときどきTVで見かけるものの、あまり私の印象には残っていない。表題作は、読む人が読めばかなりゲイジュツ性が高いのだろとは思うけれど、どうも私の好みとは合わなかった。
    (C)

  • 読了

  • 読み終わった、と言っても、表題作のみの読了。でも他作品は読むつもりがないので文字通り読了。面白く読んだのだけれども、この、ちょっと鼻白む感じはなんだろう。

  • いとうせいこうさんが好きだ。
    パフォーマンスが好きだ。
    https://www.youtube.com/watch?v=gK9QZbzR3XE (音がでます)
    考え方が好きだ。
    http://www.thefuturetimes.jp/archive/no04/ito/
    詞が好きだ。
    https://www.youtube.com/watch?v=folGLMekk9Q (音がでます)

    こんなにいとうせいこうさんのことが好きで、尊敬すらしている。だけど、この本はよく理解できなかった。
    『鼻に挟み撃ち』の語り手はいとうせいこうさん自身ということなのか、フィクションのなかのいとうさんなのか。何が言いたいのか。やべーよ全然わからねえよ!という感じだった。無念。

  • 前衛的過ぎてわたしには楽しみきれませんでした。せいこうさんの頭の中どうなっているのだろう…。表題作に触発されて、ゴーゴリの『外套』は読んでみたくなりました。こういう連鎖はとてもありがたい。

  • 芥川賞候補の表題作を含めて4篇。
    不思議な4篇だったなー。不思議だけど読んじゃうねぇ。

    「今井さん」はテープ起こしの人の話。
    裏側にいる人の、自我がゆっくりと表に染み出してくるようなお話。
    狂気に近いものがあると思うのだけど、そこまでではないのかなって。
    繰り返し繰り返し人の声を聞いている内に、自分がその人のような気持ちになってくるのかしら、とか思う。対象と自分の境目がだんだんと消えていく。

    「私が描いた人は」は、ふわふわと頭の足りないような男と、それを近くで見ている男。
    全然、捉えどころがない。羨ましいのかな。
    見ている男の目線にある彼は不思議と眩しい。
    描くことで彼を捉えようとしたように思ったけど、それでもきっと理解はできなかったのだろうな。

    「鼻に挟み撃ち」は芥川賞候補。
    確かに芥川賞、って雰囲気のする話だった。
    男の演説と、彼の鼻の一人歩き。
    ゴーゴリが下地にあるのでちゃんと読んでいた方がこの雰囲気をよく味わえたのだろうなー
    私はざっくりとしか知らなかったので、そこれへん教養がなくて駄目だな、と思いました。

    「フラッシュ」は、ドラッグと女と男とフラッシュモブの話。あと書くこと。
    男は女が書くフラッシュモブの話から逃れられない。
    続きが気になって気になってずっと読んでしまう。
    人が書くものってなんであんなに気になるんだろうなぁ。
    そこらへんが不思議。小説もそうだけど、人の持つ物語はとても強い引力を持っている。

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著者プロフィール

1961年生まれ。編集者を経て、作家、クリエイターとして、活字・映像・音楽・テレビ・舞台など、様々な分野で活躍。1988年、小説『ノーライフキング』(河出文庫)で作家デビュー。『ボタニカル・ライフ―植物生活―』(新潮文庫)で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』(河出文庫)で第35回野間文芸新人賞を受賞。近著に『「国境なき医師団」になろう!』(講談社現代新書)など。

「2020年 『ど忘れ書道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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