緋の天空

  • 集英社 (2014年8月26日発売)
3.13
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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784087715682

作品紹介・あらすじ

奈良時代。父・藤原不比等(ふじわらのふひと)から「闇を払う光となれ」と光明子(こうみょうし)の名を授かった一人の少女は、やがて聖武天皇の妃に。女として、母として、皇后として、苦難の日々を凜と歩んだ生涯に魅せられる歴史長編。

みんなの感想まとめ

歴史の激動の中で、光明皇后の生涯を描いた物語は、彼女の強い意志や信仰がどのように国家を支えていったのかを鮮やかに浮かび上がらせます。奈良時代の背景には、仏教が国家安泰のための重要な役割を果たしていたこ...

感想・レビュー・書評

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  •  最初は時代が古く、なじみにくい気がしましたが、「光明子」の娘時代の話になってから、とって読みやすくなりました。
     天皇をめぐる権力争い、その中を光となって生き抜いた「光明子」の物語。
    今、女天皇が話題に上ることも多くなっていますが、日本の歴史の中で、こんなに女帝がいたことを初めて知りました。
     穏やかな世を望んで、立太子した女帝、むごい権力争いなんてみたくないから、今の世の次の皇太子も女性でいいんじゃないか?と思います。

  • 光明皇后を主人公に激動の天平にトライしました。ただ、人物の造型が浅く平板なできです。鎮護国家を目指した聖武天皇の苦悩と決断、藤三娘とサインした光明子のプライド。長屋王は単なる野心家でしょうか?あの時代に名を残した人物にも聡明さや奥深さがあります。天平は興味深い時代なので、人気の葉室さんの進境を期待しています。

  • 本書は、光明皇后の生涯を描いた物語である。夫である聖武天皇は東大寺の大仏建立で知られるが、その背景には皇后の強い意志があったとされる。

    現代において、仏教は初詣や葬儀といった生活習慣の一部として受け止められている。しかし奈良時代において仏教は、単なる信仰ではなく「鎮護国家」のための装置であった。国家の安泰や社会の安寧を支える、いわば当時の“最先端技術”として位置づけられていたのである。そのため仏教は国家の庇護を受け、僧侶もまた体制の一部として組み込まれていた。

    同時にこの時代、日本は律令国家として中央集権体制を確立しようとしていた。その中心にいたのが、藤原不比等であり、彼は光明皇后の父でもある。

    華やかな天平文化の裏側で、現実は苛烈であった。政変、飢饉、災害、そして天然痘の流行――人々は常に不安と隣り合わせに生きていた。そうした時代だからこそ、仏教への帰依は切実なものであったのだろう。

    その中で光明皇后が行ったのが、貧者救済のための悲田院、医療施設である施薬院の設置である。国家仏教の理念を、具体的な「施し」として体現した存在であったと言える。

    本書は、そうした時代の中で、信仰と政治の狭間に立ちながら、人々を救おうとした一人の女性の姿を描き出している。

  • 2022.03.01
    「美しき国」を目指す心持ちに現在があるように感じる。
    いつの世もどの国にもこのような争いがある。しかし、トップ君臨が長すぎると「良い国」にはならない。芯は通すも権力に溺れないと言うことだろう。

  • 奈良って、歴史の中で個性的な香りがすると思っています。
    人物で善悪が変わるところが歴史の醍醐味というのか、人間が欲や葛藤渦巻く中にいる感覚、それがいい塩梅で表現されていると感じました。
    また歴史は女性の活躍ってどうしても制限されるというのか、価値観が違うから突出してこないというのか。
    その中でも武将の妻とは違う女性像というのもおもしろい。

  • 聖武天皇の后、光明皇后。
    人名の読みが難しい。全編に渡ってルビが欲しかった。
    子供時代が長くて、いつの間にやら皇后になって、長屋王の変、たくさん人が死んで、年齢が分からないまま、大仏建立。娘が天皇に。
    最後は駆け足。あまり面白くなかった。

  • 光明子は膳夫が好きなんだけど、同い年の、のちに帝になる首皇子の妻になってずっと国のために帝を支えた。
    (ケータイで膳夫ってすぐに変換出たことがびっくり笑)

    膳夫のお父さんの、長屋王とその仲間の唐鬼が手ごわくて、光明子の父の不比等が亡くなった後、藤原氏は光明子の知恵などでなんとか乗り切りつつも長屋王に押され気味になる。
    光明子に男の子が生まれたところで蠱毒を光明子にしかけた罪で長屋王が自殺に追い込まれ、その父と共に家族共々亡び去る。
    とにかく膳夫が素敵アンド悲しい。

    私が好きなのは、首皇子(聖武天皇)の前に帝になった氷高皇女。けだかい!かっこいい!

    読みやすくて、時代物色々見てきたと思うけど奈良がテーマなのは読んだことなかったので面白かった。
    さいごの大仏建立は、聖武天皇の偉業として知っていたことだけど、一冊読んでそこに行き着いた時、あぁ帝は本当に仏に助けを求めて、平和を願って、この事業に取り組んだんだなと思った。
    その前の全国的な疫病流行からの遷都続きの中で帝の気持ちがよく伝わってきた。

  • 初出 2012-14年「小説すばる」

    たぶん作者初の奈良朝もの。藤原不比等の娘で聖武天皇の皇后となった光明子の物語だが、作者らしい清々しい感動がない。

    十歳の光明子(当時は安宿媛)は藤原氏の繁栄を託され、母橘美千代のもとで首皇子(後の聖武天皇)と一緒に育てられていたが、不思議な術を使う弓削清人(後の道鏡)や長屋王の息子膳夫(かしわで)と出会う。

    平城京遷都後の当時は、持統天皇に擁立された元明天皇と、その娘元正天皇と女帝が続いていたが、皇位継承争いの中で、光明子は母から示された「この世を鎮め、穏やかならしむめるのは女人の力です。」という言葉を胸に刻んで、聖武天皇を守り、国を守る女性としての役割を自覚していく。

    藤原氏とその台頭を排除したい皇族政権の代表長屋王との対立が激化し、讒言を信じて長屋王一族を滅ぼした後悔から大仏建立へと向かう。

    長屋王に仕えていた中国人「唐鬼」によって復讐のために中国からもたらされた疫病は、藤原四兄弟を病死させたが、光明子は吉備真備や僧玄昉らと協力して唐鬼を焼き殺し、都を救う。

  • 天平時代の皇族、聖武天皇の妃光明子を中心にした物語 葉室麟にしては少し物足りないと感じた

  • この作者には珍しい感じの小説だった。光明皇后を主役に、子供時代から晩年までを描いた古代史小説。ファンタジーの要素もあり、堅いだけではないので読み易い。長屋王の変や藤原広嗣の乱、遷都、大仏建立など、激動の歴史の裏にあったであろう人間ドラマが想像できて、面白かった。

  • 登録番号:11463 分類番号:913.6ヒ

  • 2015.3.17

  • 光明子の一生を描いているが、道鏡が出てくるんですよ?その終焉まで描いて欲しかったなぁ。人間描写も歴史の描写も淡々として盛り上がりに欠ける。

  • 聖武天皇と光明子、長屋王の変の時代の話。
    光明子を主役に、書かれている
    歴史の本でしか出てこない人たちだけど、読んでるうちにその時代にタイムスリップしてしまう。
    よかった。

  • この時代の物語を読む時、苦労するのが名前の読み方。登場頻度の多い人物はまだしも、ちょいちょい登場の場合は前に戻って振り仮名の確認をするので読書スピードはあがりません(苦笑)。 藤原不比等の娘、聖武天皇の后、光明子。 その生き様に凛としたものを感じました。真実かどうかは別にして、その時代の息吹を感じられるから歴史小説は好きです。

  • この時代、面白そうなんだよなー。
    風俗とか系図とか、もう一寸真面目に調べてみたい。

    道鏡は悪役!ってイメージだったけど、意外な役回りでご登場。歴史の教科書では一、二行でしか語られない人物たちの業績再発見★てかんじ。 (๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

  • いくら歴史物でも、あまりにもあらすじを読んでいるような感じで、さらっとしすぎていた。光明子と膳夫の気持ちをもう少し膨らませてほしかった。

  • 「美貌の皇女」永井路子先生著の本が好きな私にとって、この光明子側からの本はどうかな…
    歴史にはいろんな解釈アリなのでどうこうは言えないのですが。
    この本は主に「長屋王の変」を描いたモノって割り切ることにします。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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