かたづの!

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  • 集英社
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レビュー : 123
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715705

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代唯一の女大名、祢々。彼女の一生を、一本の角が語る。角は、昔は祢々の友だちの羚羊であり、今は南部の秘宝の片角である。
    羚羊が祢々の中に入ってしゃべりだしたり、河童が出てきて薬をくれたり、絵に描かれたぺりかんがぺったんぺったん歩き出したり。ファンタジーの時代小説だった。
    面白かったのはやはり河童の話。頻繁に河童会議を開き、遠野に引っ越す際は胡瓜があるかを心配し、河童煎餅があると聞きびっくりする河童たちには、思わず笑ってしまう。

  • 1本頭の羚羊が語る遠野の歴史。カッパも登場する。そんな設定がおもしろい。

  • 南部藩、遠野などの血なまぐさい歴史と、それに翻弄されながらもしたたかに立ち向かう袮々。そういう歴史としての確かな面白さに加えて、羚羊の角、河童、ペリカンの経立等の確かな存在感と母娘の情愛などとても奥行きの深い物語だ。

  • 中島京子なので読んだだけなので、「かたづの!」が何の意味なのか、途中でやっと分かった次第。
    思ったよりも読むのに時間がかかった。

    やさしく書いてあるんだけど、もうちょっとくだけても良かったかな?

  • 語り手はなんと、一本角のカモシカ。しかも、死んだあとは角のみとなり、友とした南部藩の女傑、清心尼の心の支えとなったいわくつきの角である。
    幸せな日々から一転、夫を失い、さまざまなものを失い、血を流さずに戦い抜くことに生涯を捧げた女性の一生がカモシカの視点を通して優しく悲しく強く描かれている。
    南部藩という藩の名は知っていてもその歴史にはまるで疎く、こんなことがあったのかと興味深く読んだ。
    いわゆる歴史小説家、時代小説家が描いたのとは違う魅力にあふれた物語だ。
    人と人の血なまぐさく情けない権力争いが描かれる一方で、カモシカのまなざしは優しく、河童が遠野は河童の有名な地になるようなのにまさか河童がいないだなんて「まったく気が気でない」というくだりだとか、どこか愛らしいのがいい。

  • 一本角のカモシカの一人語りで、語られる
    東北の武家の姫の物語。
    時は戦国の終わり。
    悲惨な出来事も多いなか全体にユーモアがある。
    姫が「教養の限りを尽くして罵る」に至っては大笑いだった。
    生き物たちが混在してて、それが当たり前の世界。いいなあ。

  • 表紙の絵がとてもかわいらしかった。川辺孝乃進(河童)が清心様同様、キュート。

  • 南部藩については伊達政宗と敵対していた位のことしか知らなかったので、とても興味深かった。おそらく史実に沿ったものだと思われるが、そこに遠野という民話的なテイストが相まってちょっとホンワカとした内容になっている。
    遠野へ行ったら河童せんべいを買ってみよう。

  •  普通、羚羊の角は一対二本。ところが一本しかない羚羊がいた。お城の年若い奥方さまにかわいがられ、死したのち角を残して奥方さまのお守りになり、やがては伝来の秘宝「かたづの」と呼ばれるようになる。
     一角獣というと勇ましいようだが、じつはコンプレックスのかたまりで、たいそうな役に立つわけではない。この無力さがすばらしい。だからこそ、主人公の奥方・祢祢が輝くというもの。いや、ときどき、2度くらい、ちょっと活躍はするのだけれど。
     東北に実在したとある女大名の一代記。次々と祢祢へと襲いかかる不幸の連続に、息継ぎするひまもなく一気に読まされる。しかし、ただのエンタメには終わらせない。主人公・祢祢も、カタキ役の利直も、じつに複雑な人物として注意深く描かれている。そして、それを語るのは、無力な角のみの存在となった羚羊。この絶妙な距離感が、権謀術数×謀議謀略といった人間たちのおろかないとなみを、不思議に軽く、魅力的な読みものに昇華させているのだろうか。

  • 徳川の世が始まる少し前に八戸南部氏に生まれた姫“祢々”(後に出家し清心尼)の波乱に満ちた一生を、ずっと傍で見てきた“かたづの”(片角)が語るファンタジー大河ドラマ。

    こういう話は大好き。こういう語り口は大好き。祢々さんの気性やキャラクターが大好き。南部に伝わる伝説や、遠野の風物も興味深い。もちろん河童の発生から繁殖そして人との関わりも面白い。

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著者プロフィール

中島京子(なかじま きょうこ)
1964年東京都生まれの作家。『FUTON』でデビュー。著書に『小さいおうち』(直木賞)、『かたづの!』(河合隼雄物語賞・柴田錬三郎賞)、『長いお別れ』(中央公論文芸賞)等。2019年5月15日、新刊『夢見る帝国図書館』を刊行。

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