修羅走る 関ヶ原

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 165
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715712

作品紹介・あらすじ

天下を二分する決戦を前に、石田三成の元に使いが来る。小早川秀秋が裏切りそうだという。三成が取った方策は──。急逝した著者が遺した、関ヶ原の一日だけを描いた、血で血を洗う戦国合戦群像劇。

感想・レビュー・書評

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  • 天下分け目の関ヶ原の合戦の話。普通、関ヶ原というと老獪な家康が巧妙に三成を追い込んでいく布石から入っていくが、この本は関ヶ原前夜と当日だけ各々の武将の心情や行動の詳細が描かれているという、かなり割り切った展開。確かにタイトル通り、修羅と化した武士を全面に押している。これが著者の遺作らしく、本当に死と隣り合わせで書いた気迫が伝わって来そうだ。

  • よく知られている関ヶ原合戦にのみ焦点をあて、個々の武将達の想い、生き様を見事なまでの臨時感で表現しており、見事としかいいようがない。
    石田三成と対立しているとはいえ、自分の首を差し出してまでも、豊臣家の行末を福島正則に託そうとしたその想い。
    それぞれの様々な想いが戦場にこだましていく。

  • 最初はよくある関ヶ原かーと思ってたけど、後半は面白かった。究極の選択を迫られた時に人の本質って出るんだなー。。

  • 4

  • ・武者は高慢なほどの矜持をもっていなければ戦えない。天地を動かすほどの自負がなければ、とてものこと、修羅の戦場に飛び込んでいくことはできない。しかし、高慢過ぎると、戦況を見誤り、おのれの立っている場所を見失い、命を落とすことになる―大谷吉継
    ・貴意のとおり、拙者に人望なきこと、返す返すも口惜しく候―石田三成

  • 大谷吉継のお話が読みたい、と借りてきました。山本兼一さんの作品は初めて読みます。本の分厚さに少し怯みましたが、読み始めるとそれは杞憂で、すごく読みやすくて面白かったです。様々な戦国武将たちの視点で描かれる関ヶ原の戦いに惹きつけられました。目当ての大谷吉継は少しだけでしたが、静かな強さと達観に、改めて好きだなと思います。戦いでは、幸いも不幸も紙一重。これまで読んできた、戦国時代の武将たちの印象は変わらずでしたが、密度のある時間でした。読み応えがありました。面白かったです。山本さんの作品をもっと読みたいです。ご冥福をお祈り申し上げます。

  • 関ケ原の戦をリアルに描いた小説。人物一人ずつの戦闘の情景を切り取って書き連ねるという形がユニーク。最初は面食らったが、人物の心情や戦闘の描写がリアルで非常にライブ感があり、目の前で舞台を魅せられているようで最後まで引き込まれ、一気に読み終えた。

    作者が描写したのは、両軍が極めて微妙に拮抗したバランスの上で開戦し、薄氷を踏むようにして家康がやっとのことで制したという背景と、それぞれの人物がいかなる理由と事情で豊臣、徳川それぞれの側につくことにし、戦局が動く中で、それがどう変化していったか。

    400年前の日本人がどれだけ現代の我々と違うのかわからないが、人それぞれに性格があり、器量の大小がある。あのような大戦の中でも、それらが縦横に交錯しあい、結果は生まれる。現代の企業組織の中で人に動かされ、人を動かした経験をついつい思い出した。

    豊臣対徳川ではなく石田治部対徳川家康。天に従うか、人に従うか。義を全うするか、力に巻かれるか。生きるか死ぬか。どちらをどう選ぶのか。歴史が繰り返すことはないが、それぞれの人物ごとに切り取って描く形式は、読者をたらればの世界に誘い、人は思うようにならぬものというじれったさに最後まで付き合わされる。面白かった。

  • 本作は「1日」の中で色々な指揮官が次々と視点人物となって登場し、その多数の“縦糸”を、石田三成麾下の武士で、特に命令を受けて他陣を訪ねることになった兄弟の動きという“横糸”で繋いで織り成した物語となっている。
    或いは、名の知られた作中人物が、多少「定番的?」な感じであったり、視点人物が次々と変わるような感じに好き嫌いは分かれるのかもしれない…が、<関ケ原合戦>を“追体験”しているような気がしてくる小説だ…愉しく読めた!!

  • 関ヶ原の合戦に参戦した各武将の視点で心の葛藤や戦況を各章毎にまとめリレーをしながら話が進む。関ヶ原の合戦ものを読むのは久し振りだが、何時も思うのが、加藤清正、福島正則などの豊臣恩顧の武将は、その後のときがわ時代を見てどう思ったのだろうか興味深い。

  • すごく長い長編でしたが、内容的には少し
    一般的な徳川家康が悪者で、石田三成にたいしての
    判官贔屓的な内容でした。そのためあまり興味が
    深くなるような話ではないような気がしました。
    その中でも、細かな描写、特に個人個人の戦闘や
    命を落とすときの描写は迫力がありました。

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著者プロフィール

歴史・時代小説作家。1956年京都生まれ。同志社大学文学部を卒業後、出版社勤務を経てフリーのライターとなる。88年「信長を撃つ」で作家デビュー。99年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞、2001年『火天の城』で松本清張賞、09年『利休にたずねよ』で第140回直木賞を受賞。

「2022年 『夫婦商売 時代小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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