アポロンの嘲笑

著者 :
  • 集英社
3.20
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  • (9)
本棚登録 : 525
レビュー : 108
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715750

作品紹介・あらすじ

の報が飛び込んできたのは、東日本大震災から五日目のことだった。被害者は原発作業員の金城純一。被疑者の加瀬邦彦は口論の末、純一を刺したのだという。福島県石川警察署刑事課の仁科係長は移送を担うが、余震が起きた混乱に乗じて邦彦に逃げられてしまう。邦彦は、危険極まりない“ある場所"に向かっていた。仁科は、純一と邦彦の過去を探るうちに驚愕の真実にたどり着く。一体何が邦彦を動かしているのか。自らの命を懸けても守り抜きたいものとは何なのか。そして殺人事件の真相は――。
極限状態に置かれた人間の生き様を描く、異色の衝撃作!

感想・レビュー・書評

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  • なんと書いたらいいのか難しい
    私は両手を伸ばした範囲の中でしか考えられないし、思うことができないから
    だから馬鹿なことを勝手にして、自分だけ死んで
    人にケツを拭かせた男は嫌いだ

  • 当然面白かったけど、知ってる刑事のお話じゃないからか(笑) 最初はなかなか頭に入っていかなくて。

    いやしかし。カエル男の時も魔女は蘇るでも散々思ってるんだけど主人公がスーパーマンすぎwww

    大地震真っ只中。あの時震度3とか当たり前に何度もなんども揺れていた。脆くなった街や家を装備もなく歩いて無事であるはずがない。ましてや原発施設内は。だから主人公がなんのハプニングも困難もなく、怪我一つなく目的を達成してたらこれありえないwwと笑っただろう。

    でもあの怪我とか…犬との戦いとか…銃がかすったり、たどり着く前に脛を撃たれたりしてんのに止血だけで1キロとか普通に歩いたりして、えええ?!
    そんな状態でボロボロで朽ちかけた足場を伝ってプラスティック爆弾を揺れないように取り外し、揺れないように戻って外へ持ち出すとか…ちょっとな…
    中山さんは主人公を痛めつけるの本当好きだよな。

    だけど主人公でさえも特別ではなく、容赦なく命を奪ってくるあたりはいつも手に汗握る。

    大量被曝してるし最後はああなるしかないだろうなとは思ったけどその通りだった。
    そして仁科や加瀬が死んでしまった街の現状を目の当たりにするたびに、私もあの時の、津波が迫ってくる映像やだだっ広い荒野を思い出してた。


  • 「テミスの剣」に続いて2作目の中山作品。
    全く予期せぬ内容に衝撃を受け、一気に読んでしまいました。
    明白な殺人事件の犯人が素直に逮捕されたかと思ったら、まさかの逃亡。その真の理由がまさかの震災直後の福島の原発に関わるとは・・・
    東日本大震災と原発問題に直球を投げ込む、まるでノンフィクションのような内容に本当に衝撃を受けました。そこに人情的なエピソードが絡むミステリーを見事にかけ合わせたこの作品。もっと話題になっていてもいい作品だと思いました。

  • 久々に中山さんの作品。今回は東日本大震災と原発をテーマにした作品でした。面白かったんだけど、今までの作品とはちょっと一味違う雰囲気の作品じゃないかと思う。最後にどんでん返しがあると思いきやそれもなく、淡々と主人公の逃走劇を読まされてしまった感が強い。東日本大震災がいかに酷いか、原子力発電がいかに安易なものかはよくわかったけど、長々としすぎたのではと思った。少し、中だるみがあったが、最後に・・。などと期待したが何も起きることなく、何となく暗い終り方になってしまったのは中山さんらしくない作品だったように思う。

  • まだまだ東日本大震災からの復興が進まない今、
    この原発の題材を使った勇気と覚悟がすごい。
    原発内で働く人間側の視点で描かれている部分では、予想以上の現実に読むのを止めたくなる。
    伝えたいメッセージが強すぎて、ミステリーとしての評価はイマイチ。
    動機設定、事件設定に無理があったと感じる。
    原発問題を、娯楽として読みたい人はまだ居ないと思う。
    ミステリーではなくて、違う形で出すべきかなと・・・。

  • どんな内容か全く知らずに読み始め、東日本大震災時の福島を舞台にした小説だと分かり複雑な気分になりました。
    後半はフィクションの色が濃くなるとは言え、序盤の震災関連の描写は現実を擬えており、東日本大震災とくに福島第一原発の事故を小説のテーマにするのはいくらなんでも早すぎるのではないかと…。
    まあ小説の形をとった作者の原発への考えを表明する本だったのだと思いますが。

    あと相馬市などを三陸に含めるのは違和感があります。

    そして小説の内容も邦彦が少年漫画の主人公さながらの無敵さでなんとも…。

  • 冒頭───

    「まったく、何だってこんな間の悪い時に------」
     普段の半分しか人のいない刑事部屋で仁科忠臣は一人愚痴った。
     福島県警石川警察署刑事課に<管内に殺人事件発生>の報が飛び込んできたのは三月十六日午後十一時四十五分のことだった。現場は石川郡平田村、殺害されたのは世帯主金城和明の長男純一、三十歳。近隣住民の報せを聞いて駆けつけた平田駐在所の巡査によって、既に被疑者は確保されているという。

    平成二十三年三月十一日、東日本大震災が発生。
    日本はパニックに陥り、それから数日の間、様々な災厄が降りかかった。
    なかでも、福島第一原発の“メルトダウン”は日本中を驚愕させ、恐怖のどん底に陥れた。
    そのさなかに発生した福島県での殺人事件。
    それは単に人間一人が殺されたという殺人ではなく、日本の屋台骨を揺るがす可能性を孕んでいた事件だった。

    東日本大震災を扱ったパニックサスペンス作品はまだ少ない。
    それは、震災がまだ復興のさなかであり、腫れ物に触るような扱いをせざるを得ず、小説として描きにくいというところがあるからだろう。

    でも、この作品は震災を軽く扱うわけでもなく、逆に震災で肉親を失ったばかりの刑事を登場させることで、物語に厚みを出している。

    被疑者の逃走。追いかける刑事。被疑者は何故逃げたのか?どこへ向かおうとしているのか?その理由は何なのか?
    多くの疑問を読者に提示しながら、物語はスピード感に満ち、スリリングに進んでいく。
    中山七里氏のこれまで作品は、ともすると仰々しい日本語表現が多用され、なかなか物語に入りづらかったのだが、この文章は安定していて、サクサク読み進められた。
    日本語表現の腕を上げましたなあ、七里さん。

    後半、被疑者の逃走の目的、殺人を犯した理由などが明らかにされるにつれ、器の大きな作品だと思った。
    ただ、最後の被疑者の行動などで、やや齟齬が感じられた。
    詰めが弱かった点は否めない。
    だって、水銀傾斜スイッチが傾けば爆破するということだが、途中での建屋の壊滅的な描写を読んでいると、すでにスイッチが作動していても全然不思議じゃないと思ってしまったのだけれど------。
    四分の三まではとても面白く読めたのだが、最後の最後で、がっかり。
    うーん、残念だ。

  • ミステリーとしてより、福島第一原発の事故記録として評価すべきなのだろう。ここに書かれたことは決して公式発表には成り得ないだろうけど。そのためにもこの作品が細く長く読み継がれるといいんだけどね。

  • 加瀬が歩んで来た人生と最期に悔しくてたまらなかった(T^T)震災、原発、被災者、殺人事件、テロ・・・と読み応えありました!「幸福な時間が巡ってきても、すぐに過酷な方に追いやられる」それでも、護るべき者の為に使命を全うする加瀬·····やるせないです。原発に関して如何に自分が無知なんだと今更ながら思い、本書を読んだ後に直ぐに調べてみました。何かあった時、本当に国・政府って逃げに走るよな・・・て、つくづく思った。そんな風に色々と考えさせられる一冊でした。

  • リアリティがある福島の原発の原発描写。でも登場人物たちのセリフはちょっとクサすぎる。

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著者プロフィール

中山 七里 (なかやま しちり)
1961年生まれ、岐阜県出身。男性。幼少の頃から読書が趣味で、高校時代から執筆を開始。花園大学文学部国文学科在学中に江戸川乱歩賞に応募したこともあった。
就職後は執筆から離れていたが、島田荘司を生で見た体験から執筆活動を再開。2009年、第8回『このミステリーがすごい!』大賞で『さよならドビュッシー』と『災厄の季節』の2作が最終選考にダブルエントリーされ、前者で大賞を獲得して48歳で小説家デビュー。後者も、「読みたい!」との声が続出したため、『連続殺人鬼カエル男』と改題し、2011年に文庫本として出版される事となった。
代表作に『さよならドビュッシー』などの「岬洋介シリーズ」、『贖罪の奏鳴曲』にはじまる「御子柴礼司シリーズ」。多くの作品が映画・テレビドラマ化されている。

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