- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087715798
作品紹介・あらすじ
大学の研究室に置かれた、あやしい“タイムマシン"。美歩は、中学生の自分にある大切なことを伝えるため、半信半疑で乗り込むが…(「過去ミライ」)。ほか全7編、注目の若手実力派が贈る青春SF短編集。
感想・レビュー・書評
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「熱いイシ」と「恋人ロボット」が良かった。
「熱いイシ」
長い付き合いで、最近相手の気持ちがはっきり分からない。もう自分の事は好きじゃないんだろうな、別れようかなと思ってるところで起きる単純で純粋な反応。良かった。
もう自分の事は好きじゃないんだろうなって思うところが切なかった
「恋人ロボット」
最近、みんなロボットを自分の恋人にしている。自分の思う通りの事しかしないロボット。確かにいいかもしれないけど、予定調和ばかりじゃ楽しくないんじゃないだろうか。でも癒しにはなるかも詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロボットやタイムマシン、超能力など盛りだくさんの7つの短編連作集。
1編が30ページ程でどれも読みやすく、あっという間に読了。
「友達バッヂ」が一番好きだった。サトシがちゃんと大切な事に気付いてくれてよかった。
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相手の気持ちがわからなくなることって、あるよね。でも冷静になって考えると、わかるほうが特殊だよね。その、わかる、一瞬の話しなのかな。
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わーーー!
なんか楽しかった!!
タイムマシンとか超能力とか出てきて
非現実的?と思いきや、
登場人物は結構等身大の普通に
近くにいそうな人物だったりカップルだったり。
このカップル達がなんとなく可愛くてとても和んだ。
短編集だけど、繋がっている部分もあり
そこがまた読んでいて面白い。
外国にテレポーテーションする能力は、
一番欲しい能力かもしれないなぁ。 -
冒頭───
分厚い灰色の雲が空を覆い、霧吹きで吹いたような細かい雨が町中を濡らしていく。今年は平年より三年早く梅雨入りした。今朝のニュースでそう言っていた。
校舎の中に入っても、まだ雨に降られていると感じるくらい、湿気が充満している。床のタイルも、コンクリートの柱も、うっすらと水気を帯びている。いつもは研究室から声が漏れてくるのに、静かだ。どこか遠くから微かに声が聞こえるが、雨に吸い込まれていく。いつもとは違う金属のようなにおいがする。階段を上がる足音の響きが鈍い。
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畑野智美のSF短編集。
超能力者と思われるような人が出現したり、タイムマシンの完成がもうそこまで来ているというような近未来の時代設定。
瞬間移動できる能力を持った女子。
人間並みに進化した家庭ロボット。
時間を自由に操れる力を持った中学生。
南米から持ちかえった惚れ薬。
等々、それぞれ一篇一篇は短いのだが、ほんわかとした味のある作品集だ。
畑野智美、こんな作品も書くんだね。
ダリ風の装丁がかなり洒落ているのだが、この装画を描いたのがお笑いコンビの「キングコング」の西野だと知ってびっくり。
人は見かけによらぬ才能を持っているものだ。 -
タイムマシンに、恋人ロボット、惚れグスリや友達バッジ。
近未来を舞台に、ちょっぴり不思議で、だけどどこか懐かしい、そんな気持ちにさせる7つの短編集。
初めて読む畑野さん。
SFなんだけど、懐かしい。少しドラえもん的要素を感じる、心温まる物語でした。
おもしろいのは、タイムマシンとか、恋人ロボットなんていう少し近未来的なアイテムが登場しても、私たちは恋人や友達のことで悩んだり、あたたかい気持ちになったりしていて、そこはどこか未来の全然知らない世界の話ではなくて、少しだけ未来の、だけど今と地続きの世界がここにはあるということ。
ちょっぴりめんどくさいタイプの子ながら、美歩ちゃんとあゆむ君の恋の物語が好き。
なんだかんだ言いつつ相思相愛で、なんだかいいなぁなんてきゅんとする。
そして、素敵な表紙はキングコングの西野さんが書かれたもの。
偶然お二人の対談を読んだのですが、畑野さんは以前にも何度か西野さんにサインを貰ったことがある関係のよう。
お互いを認識していて、西野さんも、「よし、畑野さんのために、この本にぴったりな挿絵を」なんて風に描かれているのが伝わってきて、こんなところでも心がふんわりします。いいお話でした。 -
「タイムマシンでは行けない明日」のラストシーンの謎を知りたくて、その前編である本書を読んだ。残念ながら、謎は解けなかったが、この平沼昇一が存在する微妙に科学技術が発展したパラレル現代というべき世界、つまり「タイムマシンでは行けない明日」の世界が、著者の中で、その前編である本書から確固たるものとして出来上がっていることに驚いた。前作である本書の中に、登場人物やその来歴がすべて頭出しされていて、次作でその世界が大々的に披露されていると言ったらいいだろうか。出版順に読めば、後から「こういうことだったのか」と思う仕掛けが満載だ。また、自分のように、逆順で読んでみても、「ああなるほど」と思うことがいっぱいある。とにかく、この物語の世界は、この2作で完結ではなく、まだまだ広がるのではないか、という予感がするし、是非読みたい。著者の今後の執筆に大いに期待する。