洋子さんの本棚

  • 集英社
3.82
  • (17)
  • (32)
  • (27)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 380
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715910

作品紹介・あらすじ

人生50年。少女時代の思い出から踏みしめてきた女の踊り場、抱腹絶倒の人生の極意まで──。ともに読書家として知られる作家とエッセイストが、本と人生を名著とともに語り尽くす、実践的対話集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 岡山で生まれ育ち、高校卒業後に上京した同世代。
    子供のころから本が好き。
    文章を書くことを生業としている。
    …等々、いくつもの共通点を持つ2人の洋子さんが、それぞれ本を持ち寄り、語り合います。

    気軽に手に取ったのですが、読み始めてみるとずしりとした重みのある対談集でした。
    特に第2章「少女から大人になる」では、少女から大人になり、そして母となった洋子さんたちのお話を傾聴する思い。
    私も思春期を経験してきたはずなのですが、今思い返してみても本書で話題にされているような心の動きがあったのかどうか…ずいぶんぼんやりと思春期を過ごしてしまったような気がします…。
    これまで読んでこられた本がお二人の人生やものの見方に影響していることが伝わってきて、より奥行きのある対談に感じられました。

    巻末のおまけ対談では、お二人の茶目っけも垣間見えるのがすてき。
    「一夜をともにするとしたら誰がいい?」という質問にチャールズ皇太子と答える小川さんにきゅんとしてしまいました。

  • 私はお二人と同年代なので、「そうそう私もその本読んだわ-」と懐かしがれるかと思って読み出したが、いやいや、そんな安直な内容ではないのだった。さすがにもの書きのプロである方たちは違うなあというのがすぐにわかった。少女時代や中高生のころに読んできた本の厚みが違う。受け取る感受性が違う。感嘆するばかりであった。

    なんてみずみずしく、また深く、本を読む人たちなんだろう。様々な本について語られているが、自分も読んだことのあるものについて思いがけない視点があったり、未読のものはぜひ読んでみようと思ったり、とても興味深いブックガイドになっている。

    小川さんの書かれるものはどれもいいなあと思うが、特にお子さんにまつわるエッセイがすごく好きだ。子どもへの視線や態度がたいそう好ましく、共感することが多い。この対談でも随所で、お子さんが幼いときのことや、手元から離れていった後の思いについて語られていて、そこが一番心にしみた。

    小川さんは阪神の掛布が好き、というのは知っていたが、平松さんは殿山泰司のファンだそうだ。「あのこぼれるような色気にくらくら(笑)」だって。対する小川さんが「掛布は相当私も言いづらかったですけど、殿山泰司で救われました(笑)」と言ってて、笑った。

  • 平松洋子・小川洋子、W「洋子」が語る、本と人生。
    なんて深く豊かな読書体験!ずっしりと重い内容はすらすらとは読み進められなかったけど、その分じっくりと内容を噛みしめながらページを捲る喜びを味わえました。
    少女から大人まで…これまで出会ってきた思い出の本を持ち寄り、過去を辿りながら、新たに発見できることがある。もう金言満載で、引用したくなるお言葉がたくさんありました。
    「よく言われる話ですが、紙の本には物量を読みこなしているという感覚も覚えます。めくるうちに右の頁がだんだん増えていき、左のページは減っていく。手に持つ感触や厚みが変化していくところからも、何かを得ている実感がある。」
    電子書籍のよさも認めるけれど、紙の書籍のよさとはまさにそれ!あまりに当たり前すぎてうまく言葉にできなかったけど、これこそが本を手にする喜びだよなと改めて実感した次第である。
    少女時代の振り返りから始まり、多感な思春期、家を出てから…そして子供を産んで…。「右の頁」が増えていくたび、語られる内容も深く重くなっていく。2人のこれまでの歩みと、紹介される本の内容が溶けて混ざり合っていくような感覚に捉われた。実は平松さんは今回お初、小川さんも数冊しか著書を読んだことがなかったため、先入観なく彼女達の語りに耳を傾けられたので、受け取る情報量がとにかく多くて。だからこそひとつひとつのエピソード全てが新鮮であった。
    今回、改めてじっくり「アンネの日記」を読んでみたいと思ったし、「暗い旅」(倉橋由美子)「みちのくの人形たち」(深沢八郎)は、重厚な世界観に強く引き付けられた。お二人の幅広い読書体験に唸らされる一方、巻末の「人生問答」はユーモラスな面を垣間見ることができ、無茶振り~な質問にも予想外の返しをしてくれて(笑)楽しませていただきました。
    様々な味に満ちている読書対談集、実に読み返し甲斐があります。だけど図書館に返却しなければ…残念…。文庫化したら、もう一度手に取ってみたいな。

  • 僕が平松洋子さんを知ったのは、小川洋子さんがホストをされる日曜日のFM番組で「野蛮な読書」が紹介されたのがきっかけ。
    二人の洋子さん。年齢も近く、岡山の同郷。主婦と文筆業を両立され、書評のお仕事も多いと共通することが多い。

    子供の頃からの愛読書を数冊ずつ披露しながら対談。軽い読み物として選んだけれど、母と娘の確執や性の目覚めと、オジサンさんは遠慮したほうがよかったかなと思う本音の話も語られる。「海を感じるとき」のように母から独立が性愛と関係するのがチョット不思議。それぐらいの勢いが必要ということかな。お二人が一人暮らしを始めたとき下宿に来たお母様は泣かれたと同じようなエピソード。逆に平松さんはお嬢さんが留学した時に泣いたそう。世の母たちの気持ちは強いんだね。結婚のときは巣立ちとは認識しないのかな。

    郷土のお祝い料理など子供のころの記憶やお子さんたちのことなど、作家の意外な一面を知る。小説書かないで、どうでもいいブログを読むとか理想の男性が掛布や殿山泰司とか、面白い話も満載。お二人の波長がピッタリ合って、素敵な対談になってます。
    読んだ本もあったけれど、あれ、自分は何を読んでたんだ、と冷や汗。

    この本、妻か長女に渡しても良いのかな。思案中。

    「トムは真夜中の庭で」「インド夜想曲」は読んでみようと思っている。

  • 同じ名前、同年代、岡山出身、という偶然が重なる本好きの小説家と文筆家の本についての対談集。私よりも少し年下ではあるが、同年代でどのような読書生活を送ってきたのか興味があり読んだ。やはり二人とも読書好きというだけあって、子ども頃から様々なジャンルの本に触れていることに驚かされた。読んだことのある本もあるが、マイナーな本も多かった。「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」など興味を持てた本を読んでみようと思う。
    巻末に本とは直接関係ないテーマで対談が掲載されているが、両人とも人々に注目される
    仕事をしているにもかかわらず、子育てをしたり日常で毎日ウォーキングやランニングをしているなど、普通の生活をしていることを知り、親近感も持てた。

  • 面白かった。少し世代が違うから、読んできた本が違うかなという印象だったけど、母と娘との関係性などについては同じだー、と共感しながら興味深く読んだ。
    小川さんが旅嫌いというエピソードなども面白かった。「とにかく私、旅が大嫌いなんです。」「家にじーっといるのが好きなんです。旅に出るのは、本当にやむを得ない場合だけです」(p114)
    読みたい本メモ:山口文憲『香港 旅の雑学ノート』、宮本輝『錦繡』、アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』、ポール・オースター『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』、深沢七郎『みちのくの人形たち』、山田太一『月日の残像』

    p53
    小川 私も非常に反抗期がきつくて…(中略)。母親の理想とする親子関係と娘が心惹かれるものが根本的に違っていたんでしょうね。たとえば編み物していると「教えて教えて」と私が寄っていって、ふたりで「ここ、ちょっと間違えてるわよ」とやるのが母の理想。現実の娘は編み物なんて楽しくも何ともない(苦笑)。どうしてこの人たちは本を読まないのだろう。どうしてうちには『熱帯魚の飼い方』と『家庭の医学』しかないのか。

    p73 (キャスリン・ハリソン『キス』をめぐって)
    平松 血のつながりというのは、ある意味、そのくらい強固で、どこまでもついてくる課題なのかもしれない。私自身、この年になっても、まだその問題は終わっていないんだなと感じています。

  • 二人の洋子さんのキャラのすみわけ、さらに意地悪くマウントの取り合いを味わう。カーヴァーの未読短編集「頼むから静かにしてくれ」と深沢七郎「みちのくの人形たち」を購入。

  • ふたりの洋子さんの読書遍歴から、巻末質問あれこれまで、このお二人やから醸し出されるこの空気感。

  • 2017.11/30 似たような感性を持つ作家が、それぞれ気になる本をあげ、語り尽くす。とても深く興味深い。何冊も図書館予約のカートに入れてしまう。

  • 二人の洋子さんが、人生を幾つかに区分けして、その時期に読んでいた本を語り合う対談集。
    愛した本を語ることは、己をさらけ出すことだなと改めて思う。
    お二人の選ぶ表現の一つ一つもとても良かった。
    単なる読書案内ではなく、生きることへの真摯な思いに触れられる。
    また読み返したい。

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

洋子さんの本棚のその他の作品

小川洋子の作品

洋子さんの本棚を本棚に登録しているひと

ツイートする