the SIX ザ・シックス

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 339
感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716023

作品紹介・あらすじ

予知能力で、あした起きることがわかってしまう少女、遠くの他人の声が頭に流れ込んでくる少年など、特殊な力を持った子供達を描く感動作。文庫『ラバーソウル』も注目を集める著者の久々の単行本。

感想・レビュー・書評

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  • こんな小説も書くのか。

    窮地に追いやられている子どもたちが各編の主役となる連作。

    共通点はただ一つ・・・。

    僕が特にインパクトが強かったのは④。

    鳥肌が立った。

    ヒッチコックの『鳥』を観たときの感触に似ている。

    いずれも逸品で、井上夢人作品には、やっぱり心底、魅せられてしまう。

    【あらすじ】(最初のみ)
    ①あした絵
    最初の三日間、小学二年生の遥香は、23歳でプータローの和真に目も合わせてくれなかった。

    ②鬼の声
    秋子は隣家から聞こえる声が虐待かもしれないと感じ、児童相談所に通報してきた。後ろめたい気持ちとともに。

    ③空気剃刀
    城址公園を歩き回ってもその男の子は見つからない。二年前に施設を抜け出し、現在学校に行っていれば五年生であるその少年が。

    ④虫あそび
    淳志が炎天下の中、目指しているのはあのオンボロ家に違いない。その目的は・・・。

    ⑤魔王の手
    午後10時過ぎに起こったガソリンスタンドの大爆発と炎上は2時間経ってようやく鎮火された。

    ⑥聖なる子
    記者の増山は、飛島に頼まれた気の進まない取材のため、軽い女子高生3人と向かい合っていた。

  • 岡嶋二人作品も、ソロになってからの井上夢人作品も、ずっとハイレベルで面白かっただけに、期待外れ感が大きい。6篇中1篇目を読み終えて、「あれ、おかしいな」、と思いつつ、連作ならではの最後に一捻りがあるのかな、と微かな望みを持ちながら、6篇目まで読み進めけど、期待は裏切られたまま終わりました。
    超能力に対する合理的な説明がない作品は、宮部みゆきの『龍は眠る』とかいろいろあるから、それはそれで許容範囲なんだけど、そういう前提の世界で起きるお話としては、腹落ちするスッキリする理屈が一本通ってて欲しいなあ。

  • 超能力を持った6人の少年少女たちが主人公の物語。
    それぞれが感じる孤独感や苦悩・置かれた状況に胸が痛む。でもそれぞれそばに理解のある大人がいてくれてホッとする。
    短編だからか物足りなさもあったので、グループ結成後の6人も読んでみたい。

  • 特殊な能力を持った子供たちの話。明日の予知が出来たり、虫を呼べたり、電気を発したり、空気で切れたり、と色んな能力を持つ子供達。その能力でこれからどんなこと出来るかな、と今後が楽しみになる。

  • とにかくもっと書いて欲しい。
    だってこんなにも面白いんだから。

    面白くて少し胸に来る一冊。
    読書は楽しいと思わせてくれる一冊。

  •  『the TEAM』という似たタイトルの連作短編集があったが、関連はないようだ。本作のテーマは、ずばり超能力。六人六様の能力を抱え、苦悩する少年少女たち。『魔法使いの弟子たち』というはるかに弾けた作品もあるが、これはこれで楽しめた。

     「あした絵」。引きこもる少女の相手を命じられたのは、ニートの青年だった。彼女が一心不乱に描く絵には、秘密があった…。タイトルからばればれですね。普通の大人なら取り合わない。「2人」を救った青年のお手柄に拍手を。

     「鬼の声」。虐待かもという通報を受けた児童相談所のスタッフが、登校していない少年を訪ねてみると…。こちらも何となく予想がつくタイトルか。露骨に厄介者扱いする学校に対し児童相談所に柔軟な同僚がいて、幸いだった。

     「空気剃刀」。もろバレじゃないか。能力に悩んだ末に児童養護施設を飛び出した少年。しかし、彼とて食べなければ生きられない。粘り強くコミュニケーションを試みるこの男性の正体は…。うまく折り合いをつけられるといいが。

     「虫あそび」。いじめに遭っている少年が、偶然ある少女と知り合った。彼が考えた、世にも恐ろしい復讐とは…バレバレですね。先の3人だって大変だが、この少女の能力は、日常生活を送る上で支障がありすぎる…。

     「魔王の手」。ガソリンスタンドの爆発事故現場にいた、記者らしき男性。不可解な爆発状況を探ってみると…。こりゃ、先ほどの少女と同じくらい、いやそれ以上に日常生活が困難か…。姉弟が平穏に暮らす手はないものか。

     「聖なる子」。第6の少女の能力は読んでください。細心の注意の下、6人の超能力者を集めて合宿が行われた。共通の悩みを持つ6人はすぐ打ち解ける。最後の大団円はすごいぞ。それぞれの能力を活用して打開を図る。この最強メンバーなら何でもできそうだ。それだけに、彼らが悪用されないことを願うばかりだ。

  • 連作短編集。ミステリー色は薄めでした。

  • サラサラ読める超能力エンタメ作品。
    面白かったけど、物足りない感じがするのは、読む前から作者の名前でハードルを上げすぎてるからだろうな。反省。

  • 特別な能力を持つ子供たちのお話。
    能力があるからこその孤独、疎外感。
    最後は、みんなの力をあわせて人を救うことができた。
    続きあったらいいのにな。

  • 超能力を持った子供たちの物語。宮部みゆきの作品でこんなのあったなと思い出した。その子ども版て感じ。

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著者プロフィール

昭和25年生まれ。昭和57年に徳山諄一との岡嶋二人名義で第28回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。平成4年に『ダレカガナカニイル……』(新潮社)で再デビューした。代表作に『ラバー・ソウル』(講談社)など。

「2020年 『平成ストライク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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