我が家のヒミツ

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1266
レビュー : 201
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716252

作品紹介・あらすじ

どうやら自分たち夫婦には子供が出来そうにないと感じ始めた夫婦、実の父に会いに行く女子高生、母の急逝を機に実家暮らしを再開した息子…。人生が愛おしくなる、笑いと涙がつまった平成の家族小説。

感想・レビュー・書評

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  • 家シリーズ第3弾ですよね。

    どんな家族にも、大なり小なり人に言えないヒミツがある。

    ちょっぴりほろ苦くせつない人生の機微も、
    奥田さんならではのユーモアをまじえた軽快な文章で、全編楽しく読めました。

    あ、でも妊婦さんのお話がね、
    お腹の赤ちゃんのことばかり心配しちゃって…。
    妊婦さんじゃなければ、もっと楽しく読めたのになぁ。

    様々な問題があっても、根底には互いを思いやる家族愛があって。
    しみじみとしながらも、ほのぼのほっこり。
    やっぱり奥田英朗さん大好きです♪

  • 奥田英朗のソフトカバー 家日和、我が家の問題、に続く我が家モノ。
    面白くないわけがない。

    が、今回の面白さは爆笑系ではなく、じんわり温かく泣かせてくれる。
    どうやら子供ができそうにない妻、biological fatherにはじめて会う娘、そのへんにいくらでも転がっているハナシだろうが、ひとりひとりにとっては大きな困難、人生のハードルだ。
    とくに、出世競争に破れた男や 妻に先立たれた父 の話は 真に迫っていて もう滅茶苦茶に切ない。
    そんなのよくある話、みんな頑張ってるんだからお前も頑張れ、という励ましはもうたくさん。
    疲れた。
    とっても疲れた。
    そんな気持ちに、奥田氏の平易な言葉遣いがとても合う。
    通勤で混雑する駅のホームに備え付けたいくらいだ。

    ところで、文章の上手さは変わらない奥田氏だが、大きく変わってきたなぁと思うのが、メディア露出。
    かつて、伊良部シリーズなどが大評判だったころは検索しても いったいどういう方なのか?情報がとても少なかった。

    でも、今は写真はあるわ インタビューはあるわ、ファンとしては喜ばしい。

    今回の家シリーズは 妻の選挙出馬を応援するという体で、落ち目の作家が登場する。 
    以前にも、夫が作家として売れてしまって近所付き合いが難しくなってきた妻がマラソンに挑戦する というのがあった。
    どちらも双子の息子が登場する。
    もう大学生だそうだ。

    売れなくて困ってるなんてことはないだろう。
    けど、お子さんが大きくなってきて、メディアから家族を護る必要も小さくなった? と勝手に想像する。

  • それぞれの家のストーリー、短編6作品。

    最初の「虫歯とピアニスト」、続く「正雄の秋」までは、主婦の日常や、仕事人間だった中年オヤジの悲哀とかを書いた作品で、さらっと読めて通勤にピッタリね、、と思ってましたが。

    高校生の気持ちが揺れる「アンナの十二月」、オジサンたちを見て大人って良いなと思う「手紙に乗せて」の2作品は、ほっこり、じんわり、いいお話です。

    ここらで落ち着いて読もうかと思い、「妊婦と隣人」は少しだけドキドキ感を味わえて。
    最後の「妻と選挙」で家族っていいなー!と思わされ。。

    結局、一気に読んでしまいました。
    奥田英郎さんの作品は、こういう系が好きです。

  • 奥田さんの本は何冊かしか読んでませんが「家シリーズ」と「伊良部医師」のシリーズだけは完読です。
    で今作品。ほっこりうるうるでした。
    正直そういうテイストで来ると思ってなかったので、全編やられた感満載でした。確かに「我が家のヒミツ」です。

    どの話もジーンとするのですが「正雄の秋」と「手紙に乗せて」がたまりませんでした。

    特に「手紙に乗せて」は「こんなことあるわけないだろう」と思うものの、最初から涙が止まらない。どんなに年を重ねていても経験していないとわからない感情と言うのはあると思います。
    特に肉親を不意に喪う、配偶者を不意に喪う、ということの衝撃や空虚感などは想像しても経験しなければわかり得ない感情だと思います。そのことが、そして残された家族を思いやる気持ちが、夫・息子・娘それぞれの立場から細かく描写されていてぐっと迫りました。

    そして肉親でもわからない、同じ立場の者でないとわかり得ない感情というのがこの話の核です。
    息子や娘では夫や妻を亡くした者の気持ちはわからないでしょう。

    短編集なので人それぞれ思い入れのある話は違うでしょうけれども、この一冊は読んだ人の心を温めてくれると思います。

  •  奥田英朗さんの新刊は、『家日和』、『我が家の問題』に続く、家小説第3弾である。このシリーズは読後感がソフトで、読み応えという点では物足りないかもしれないが、家庭を持つ身には共感できる内容が多いのが特徴だ。

     「虫歯とピアニスト」。妻のちょっとした秘密の話かと思いきや、重いテーマがあった。同じ悩みを抱える夫婦は多いのではないか。夫の毅然とした態度は立派だが、なかなかここまでは言えないだろう。悪気はないだけに、難しいね。

     「正雄の秋」。出世競争でライバルに敗れた男。決まった人事はもう覆らないが、恨み言が口をつく。目をかけてくれた上司も、どこかよそよそしい。出世に疎い僕にはあまり共感できないが、ふとしたきっかけで見えなかった面が見えてくる。

     「アンナの十二月」。16歳になり、生みの父親の存在を知らされた少女。多感な時期に、気にするなというのは無理だ。しかも、母の前夫は、華やかな世界に生きていた…。僕がこの父の立場なら、やはり辛い。生みの親より育ての親と言い切れるか。

     「手紙に乗せて」。母が亡くなり、実家に戻ることにした息子。父はすっかりまいっていた。遺族の気持ちは、遺族にしかわからない。だから、そこに何が書かれていたのか、部長と父にしかわからない。先輩は先輩なりに、気遣っているのかもしれない。

     本作中では異色な「妊婦と隣人」。産休中で自宅にいる妻は、隣人が気になってしかたがない。夫はたしなめるが…。真相を知らない方が、彼女のためであり、生まれてくる子のためなのだろう。度胸のある子が生まれそうだ。

     最後に恒例の「妻と選挙」。作家の夫とその妻の物語も、第3弾を迎えた。どうやら夫の人気が落ち目らしいことが哀しいが、そんな中での妻の一大決心とは…タイトルでバレバレだが。家庭の転機でもあるし、作家としての転機になるか。

     やや重いネタもあるが、あくまでソフトなのが、このシリーズのいいところなのだろう。

  • ちょっとしたヒミツを抱える家族の様子を描いた短編集。
    タイトルからして、不倫だとか借金だとか、そういった秘密を抱えた家族の様子をちょっとコミカル要素を加えて書いたものかな~と予想したら全く違っていた。
    ヒミツというと背徳的な印象があるけど、ここに描かれたヒミツはほほえましいもの。
    読んでいて、読み終わって優しい気持ちになれた。

    「虫歯とピアニスト」
    主人公は不妊に悩む主婦。
    彼女の働く歯科に憧れていたピアニストの男性が患者として訪れてー。

     これは不倫だろ、どうせ・・・。このピアニストと主婦が・・・と思いながら読んでたらそんな話じゃなかった。
    そんなきわどさやスリルでなく、もっと心がゆったりするような話。
    いい感じに予想を裏切ってくれた。

    「正雄の秋」
    同期入社の男性に時期局長の内示があり、自分は閑職に追いやられる事になったサラリーマン。
    家族や周囲の人間はそんな彼に気を遣うが、そんな折、同期の男性の父親が亡くなり葬儀に出席することにー。

     最初は同期に先を越されて面白くない主人公だったけど、同期の男性の父親の葬儀に出席し気持ちが変わる。そんな心のうつりかわりが自然に描かれていた。人が素直になれる時ってこんな感じなんだろうな・・・と思う。

    「アンナの十二月」
    自分の父親が実は本当の父親でなく、血のつながった父親が別にいると知った16歳のアンナ。
    本当の父親は有名な演出家で、その暮らしぶりや仕事の様子を見て、アンナは育ての父親が格好悪いと思うようになる。

     主人公の友達がイイ子たちだな~と思った。こんなアドバイスをくれるような友達がいたらずい分人生が豊かになるだろうと思う。

    「手紙に乗せて」
    母親を亡くし、落ち込む父親を心配する主人公の男性。
    その事を知った上司が父親に分厚い手紙を書いて、父親に渡してほしいと言う。
     
     顔も見た事もない人間同士の心のふれあい・・・。最近なくなってきたようなこんな心のふれあいっていいな・・・と思った。長年生きていたら人の気持ちが分かるようになるってある。同じ痛みをもつ者ならなおさら・・・。私もこんな風に余裕のある中年、老年になりたいと思った。

    「妊婦と隣人」
    引っ越してきた隣人がほとんど外出しない事を不審に思う妊婦。
    彼女は夜中に外出する隣人夫婦の跡をつけてー。

     こんな話だと、ここまで隣人の事を気にするなんて、異常、ちょっと恐いな主人公の女性・・・と思いがちだけど、奥田さんの書く女性はひと味違う。
    お腹を蹴る胎児の様子が、想像すると微笑ましい。

    「妻と選挙」
    主人公は小説家の男性。
    ある日、彼の妻が選挙に立候補すると言い出す。
    最初は無関心だった彼だが、活動がうまくいかず落ち込む妻の様子に一役買う事にー。

     自分の柄でないような事も家族のためならやってしまう・・・そんな様子が自然に描かれていて良かった。長年連れ添った夫婦って、何だかんだあってもこうやってささえあって生きてるんだよな~って思う。

    どの話も秘密というほどの秘密でない事がテーマになっている。
    正に「秘密」でなく、「ヒミツ」と軽いカタカナ文字くらいな様子。
    だけど、そのヒミツに一喜一憂、真剣に生きている登場人物たちの様子が生き生きと描かれていて、見ていて心情が分かるな~とか、分からなくても応援したいような気持になる。
    こんな風に大げさな事やどんでん返しなんて入れなくてもちゃんと読ませてくれるのがすごいな・・・と思う。
    こういう小説が読みたかった。
    凝った構成や大きな事件なんてなくても登場人物がちゃんと描けていたらこうやってじっくり読めるんだよな~って思う。
    それにしても、書下ろしの小説は原稿料が出ないとは知らなかった。

  • 正雄の秋と手紙に乗せてがなんだか身に迫る感じで
    じんとした。
    しかしいまどきコップで盗聴できるかなあ・・?

  • 家シリーズ、3作目。
    どの話も よかった。
    あったかいなと思う。

    特に良かったのは 「アンナの十二月」
    それから「妻と選挙」

  • 奥田英朗さんの本、久しぶりに読んだ。
    奥田さんの文章は本当に上手だなぁと思う。
    心理描写、背景描写、人物の会話、それぞれのバランスがとても良い。
    短編集だから1日1話ずつ読もうと思ってたのに、一気に読了してしまった。

  • 歯医者の話は面白かった。他はふつう

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プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

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