ニューカルマ

  • 集英社 (2016年1月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784087716429

作品紹介・あらすじ

大手企業の関連会社に勤務するユウキ。リストラ騒動で将来への不安が募る中、救いを求めたのはネットワークビジネスだった。成功と転落を経験し、仕事も友人も失った彼が決断した最終手段とは……。

みんなの感想まとめ

テーマは、ネットワークビジネスの現実とその影響を描いた物語で、主人公のユウキが直面する破滅と再生のサイクルが印象的です。彼はリストラの不安からネットワークビジネスに手を出し、成功と失敗を繰り返しながら...

感想・レビュー・書評

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  • マルチにどっぷりはまっていくのがリアルで読んでいて怖くなった。
    なんだかなー。
    過去に自分も知り合ったばかりの子に突然そんな話をされてドン引きした覚えが。
    友達になれるかなと思っていただけに、あーこういう目的だったのかと思った時、すごく傷ついた。
    主人公も様々な人に強引な勧誘をして周りから疎まれたけど、当事者の心境はどうなんだろう?と思った。

  • いわゆるネズミ講というものと、マルチ商法、ネットワークビジネスというものは厳密には違うのかもしれませんが、基本的にどちらも関わりたくないとみんな思っている所は同じかと思います。
    それでも世の中からは無くならないし、本当に大成功している人もいるので夢を実現している人も沢山居るんでしょうね。
    そんな商売から抜け出せなくなってしまった男の物語ですが、なかなかゾッとするハッピーエンドともバッドエンドともつかないエンディングがいいです。

  •  ねずみ講という言葉は知っていました。今はネット・ワークビジネスというそうです。
     詐欺でしかないお金儲けを正当化する社会は、詐欺師でしかない自分自身を正当化する「あわれ」な人間をつくりだすようですが、そのとき人は自分が詐欺師であることには気づけない、あるいは、だんだん忘れていくのでしょうか。
     作家が目を付けたのは、実は、そこらあたりに転がっている「現実」なのだそうですが、そのことが老人には衝撃的でした。作品は単純ですが、作りごとではないリアルが漂っているのは現実の社会が、すでにこんな社会になっているからなのでしょうか。なんだか、笑い事ではありませんね。
     ブログにもうだうだ書いてます。
      https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202111060000/

  • 個人的には読みやすくてよかった
    世の中にあるネタで自分が手を出すつもりもない世界の話ですが面白かった

  • 一流企業の関連会社に勤めていた主人公が、リストラを契機にマルチ商法に手を染め、暗黒面に堕ちていく様をリアルに描きます。

    一度目の破綻で懲りたかと思いきや、二度目、三度目と、まさにナチュラルボーンな詐欺師っぷりを発揮する主人公。生きる軸がしっかりしていないから、承認欲求を満たしてくれる方にそのまま流されてしまう。

    生きる目的とは、幸せの定義とは。カルト宗教にハマる人間にも通じる自己正当化。関わる人物のそれぞれの善悪は、立場によって変わってしまう脆さ。世の中の当たり前って一体なんでしょうね。

    前作「狭小邸宅」も後味の悪さを存分に味わうことになりましたが、今作も読んでいて非常に胸糞が悪くなります(苦笑)。

    主人公にとってはハッピーエンドになりそうな幕の下ろし方でしたが、これを良しとすることは、私には出来ず、モヤモヤが残りました。

  • 主人公ユウキの設定はありがち。
    自尊心を満たし、自己肯定感が高まり、大金が入ると脳内がトロトロに溶けるくらいに高揚する。
    誰だってそうだろう。

    主人公の小学校時代からの親友タケシは違う。
    身体的ハンデをものともせず、市議会議員から市長にまでなるが、偉ぶることなく心根は変わらない。

    ユウキはネットワークビジネスに入り込むことで、本来の漢字の名前「武田優希」にとして描かれる。

    タケシはユウキにとっても、武田優希から見てもカタカナのタケシのまま。
    まっとうな世界にいる人間だからだ。

    事件のあと一年経って主人公は商材を仕入れて中国から帰国。

    ラスト一行、主人公はタケシに電話をかける。
    行動からは武田優希。打って変わった天気からはユウキ。どちらにも思える。

    電話をしたのはユウキなのか、武田優希なのか。

  • マルチ商法、ネットワークビジネスの話。主人公は二度もマルチ商法に手を染め、最終的に自分でマルチ商法の会社を設立する。そのためにわざわざ中国まで1年間出向き、中国語もマスターするなんて、初めの頃の主人公に比べ、行動力が格段にアップしている。それほどまでに深く洗脳されており、重症だ。これは小説だが、この主人公が私の身内ではなくてよかった。ただ、現在進行形でこのビジネスに没頭している元友人を思い出す。マルチ商法は友人を失う。何より驚いたのは、この本を読もうと準備をしていた当日に、喫茶店にて団体に声をかけられ、彼らに某A団体のイベントに招待されたことだ…こんなことまで引き寄せてしまうだなんて思ってもいなかった。日頃の言動や思想には注意しよう。

  • 新庄耕さんの経歴はなかなか面白いです。
    京都出身で、大学(慶応)時代の彼女がネットワークビジネスをやっていた。
    就職(リクルート)したが一年半で退職。そのときたくさんネットワークビジネスから声がかかる。
    いろいろな経験(沖縄でヒモ生活とか!)したあと、すばる文学賞を受賞、この作品は単行本二冊目。
    期待しています!

    彼はこの小説を書くにあたってネットワークビジネスについてたくさんの情報を参考にしたそうです。
    私は読みながら「A社そのもの」と思いました。
    なぜなら私はかつてA社の会員だったから。
    友だちの紹介で入り、更新はせず、期限内でやめました。
    だから会費は全額返ってきました。

    その友人は良い人ですし、私自身A社の製品は気に入っているんです。
    やめてしまったのは「面倒くさかったから」かな。
    毎年会費を払うほど続けたくはなかったし、「思いついたときに買いに行けるというほうが気楽でいいなあ」って。

    ただ、実は当時、その友人以外からも複数声がかかってきて、不快な思いもしました。
    彼女たちのそういう行動がA社のイメージを悪くしているのだと思います。
    ↓こういうトピもあります。
    http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=19435976&comm_id=8433&page=all
    トピ主さんと、そこに書かれている数人がそこの会員と思われます。

    ところで、この本について。
    最初の会社については凄く面白かったけど、
    二社目、三社目になると、なんかよくわからない。

    結局ネットワークビジネスは、彼(主人公)の天職だったということか?
    「詐欺師は延々と詐欺の仕事をしてしまう」みたいなことか?
    ダメ男や麻薬にはまってしまうみたいな、やめたいけどやめられないみたいな??

  • ネットワークビジネスが全て「悪」ということはないと思うが、そういうイメージが強い。この主人公は、ネットワークビジネスの魔手に何度か嵌まりながらも、その肯定的側面や可能性を信じ打ち込むことで自身の成長に繋げている。この人の未来がどうなっていくのかとても興味がある。

  • 努力しないのにプライドだけ高く、人の役に立ちたい若者がマルチにハマっていく話。
    給料が減ったことをきっかけに、副収入目当てで始めるのがなんかリアルで怖い。
    2回目の友人からの「まだやってんの?」発言には読みながら笑ってしまったが、これで笑ってる私は冷たいんだろうか。
    ラストは自分でマルチを立ち上げ、友人に報告の電話を掛けたところで終わっていたけど、おそらく友人の返事は「まだやってんの?」であろう。笑える。
    マルチに勧誘されたことはないけど、宗教と同じなんだろうと思う。信じるものは救われる。利益を生み出せば。儚い夢だなぁ。

  • 社会や組織のあり方。
    何が正しいかたちなのか分からないが、大きな歪みを常に作り出すタイプの組織に何度でも絡め取られる、そこに吸い寄せられるという姿が描かれた作品。
    なかなか面白く読めました。

  • レビューはブログに書きました。
    https://dark-pla.net/?p=3710

  • 一度足を踏み入れたら抜け出せない。。。

  • ニューカルマ

    ネットワークビジネスとは人間関係を現金化する商売である
    2017年11月23日記述

    新庄耕氏による作品。
    2016年1月10日第1刷発行。
    初出は「小説すばる」2015年8月号~10月号。
    カバー写真の被写体は、モデルの鶴田裕也さん。

    1983年9月25日生まれ。京都府京都市出身。
    2浪して慶應義塾大学環境情報学部卒業、
    その後リクルートに2008年に入社するも1年で退社。
    ITベンチャーや肉体労働など職を転々とし、
    沖縄でヒモ生活を送りながら2012年、デビュー作「狭小邸宅」を書き上げた異色の経歴。
    「狭小邸宅」で第36回すばる文学賞を受賞
    本作ニューカルマが2冊目の単行本となる。

    新庄耕 略歴
    1983   京都市生まれ
    世田谷、広島市を経て、川崎市へ
    1994 少年サッカーの神奈川県代表として全国大会に出場
    1999 渋谷・新宿のクラブに入り浸る
    中華料理店、ガソリンスタンド、造園、居酒屋でアルバイト
    2002 新宿ゴールデン街に通い始める
    2004 慶應義塾大学環境情報学部入学
    当時付き合っていた女性にネットワークビジネスに勧誘される
    2008 リクルート入社 リクナビの法人営業に
    2009 リクルート退社 ITベンチャー、集配センター、翻訳会社など、職を転々とする
    2010 沖縄で「狭小邸宅」執筆
    2012 「狭小邸宅」ですばる文学賞受賞

    本書はいわゆるマルチ商法に関して取り上げた本だ。
    ネットワークビジネスと称しているけれどもピラミッド型の組織をつくり子会員を作る形はどれも似たようなものだ。
    ねずみ講とは違い違法では無いと説明があるが本質的な所はほぼ同じではないだろうか。

    主人公竹田優希は友人からの誘い、また地元仙台での同級生タケシへの劣等感など様々な要因でネットワークビジネスに入る。
    当初は全く相手にされず友人関係、会社の人間関係を失っていく様は典型的な所ではある。
    ただ前作狭小住宅でもそうだが、どん底からの成功というパターンは新庄耕作品の特徴なのだろうか。
    今回はそれが2度起こるのが特徴。
    どの業界もそうだけどだいたい同じ業界って狭いもんやねと。
    本当にそれほどいい商品なら普通に販売してみてはどうなのかと。
    ドンキホーテやスーパー、百貨店でも販売すれば良い。
    今ならネット通販もあるAmazonでも売れば良い。
    それが無いというのはやはり違和感を覚えずにはいられない。
    また豊かになる為には働く必要がある。
    しかしリストラやパラーハラスメントに苦しみ続けながら働くのとこのネットワークビジネスである種のフリーのように働くのでは同じ時間でもストレスに雲泥の差があるのは事実だ。
    難しい問題ではある。

    印象に残った部分を紹介してみると
    「すごいんだよっ、すごいの。俺の話なんか聞かなくていいから、明日ちょっとだけ時間もらえない? ネットワークビジネスの話とか一切なし。
    アメリカからすごい人が来てて、会えることになったんだよ。ね、すごいの本当に」

    「今の会社の給料とは別に、百万円入ってきたらいいと思いませんか」

    「前回のブームが四年前だったんですけど、そのブームにうまく乗っかった人は、今では月に百万円ほどの収入を得ています。今がチャンスなんですよ。今しかないんです、来年じゃもう遅いんです」

    「いや、マルチって言っちゃうと胡散臭く聞こえるんだけど、それはマスコミが勝手にレッテル貼りして印象操作してるだけで、ウルトリアっていうちゃんとした世界的な大会社の会員だから、実際は」

    「もう決めたんだよ、俺は。これで行くっていう覚悟を。誰がどう思うかなんて、どうだっていい。気にしないし、問題じゃない。そのせいで、俺から離れるような奴は離れてくれていい」

    「結局、サラリーマン的な働き方って、労働力という形で時間をお金に換えているだけなので、定年という縛りがある以上、生涯賃金って増えっこないんですよ。給料あげたくても、そう簡単にあがらないですよね。
    それどころか残業代減らされたり、ボーナスがなくなったりすることも場合によってはある」

    「まあ、昔よりは商品もまともになってきてるのかもしれないし、ネットワークビジネスなんて知らない世代も出てきてるから、大きなグループ作れるのかもしれないけど。でも、俺はもういいな。
    あれやって……かなり人間関係ぎくしゃくしたし、実際、何人か友達もなくしたしな」

    「いい、コピービジネスなの、ネットワークビジネスって。アップを真似て、自分の分身をどんどんつくる。難しいことしようとしちゃ駄目、下の人が真似できないから。

    サラリーマンの生涯賃金って、昔は三億とかって言われてたんですけど、今は一部の大企業をのぞいて大体2億ぐらいしかありません。
    ところが、老後の資金に必要なのは、仮に65歳で定年を迎えて80歳まで生きるとして
    これだけかかると言われています。→4000万円。

    「昔は、そこら辺のしょうもないマットとか布団とかべらぼうな値段で売りつけるってのが当たり前のようにあったけど、今は、会員が無理なく継続的にビジネスができるように、商品なんかも単価の高い耐久消費財じゃなくて、健康食品とか化粧品とか、日用消費財でやるってのがセオリーになってきたりすんのよ。
    現にここ十年ぐらい、生活センターの苦情件数も半減している」
    →これは確かに実感する。
    かつて青木雄二氏の漫画ナニワ金融道でタイヤを売るマルチ商法を取り上げていた。(時代設定はバブル崩壊後)
    そういったものから最近見るのは確かに健康食品、化粧品の類だ。
    ただそれでも人間関係を現金化する商売という本質は変わっていないと感じる。

  • 実際に勧誘されたことがあるから、内容が入ってき易かった。やはりのめり込むべきでない商売であることは明白だ!

  • 2月-4。3.0点。
    ネットワークビジネス。ま、ネズミ講。
    大手の子会社に勤める主人公。大学時代の友人が切羽詰まり、勧誘される。当初は断るが、自身の会社もリストラ始まり、入会。

    リアル。ありそうな話だし、主人公の決断も「えっ」というよりは「まぁ、そうだよね」かな。
    250頁程度なので、一気読みできます。

  • 六本木で同級生にサルサを教えて貰った。初めての事を覚えるのは楽しいでしょうと。その後、バーカウンターで勧められたのが、この小説がテーマにしているような、マルチ商法。とても製品が良いから、是非使って欲しい。会って欲しい人がいる。勿論、行かず。そして、この友人との関係は疎遠になった。これは私自身の個人的体験だが、このような話は案外身近にある。あの時、行っていたらどうなっただろうか。答えは、この小説の中にあった。

    レーシックでも娯楽施設でも、お友達紹介のようなキャンペーンをする事がある。勧誘する自らにもキャッシュバックがある。それとマルチの違いは、二次的な権利化があるか無いか。客を営業マンとして使おうという思想は、ある面では合理的である。こうしたマルチ商法は、ねずみ講とは違い合法であるにもかかわらず、世の中からは敬遠されがちである。詐欺性、一方的な強引さ、上位会員の利益吸い上げ、などなど。

    世の中には、形態を変えたマルチまがいな商法は多い。子供にマルチ商法の怖さを教えておかないと、知らずに組み込まれる恐れがある。肌感覚として経験するためにも、この小説は有効である。

  • お金が絡むことに何かがあれば、「騙された」ってことになるけど、一時でも、メンタル助けられてたら一概に、騙された、でくくってはいけないのかも。

  • 1/419

  • 人間関係、同級生、社内、家族、生まれ育った地元、色々あり、それぞれに人生を過ごして行かなければならない。
    生きるためには、コストがかかり、現代の資本主義社会では、何らかの形で、金儲けしなければならない。
    学校を出て、寄らば大樹の陰でのサラリーマン生活。
    グローバル化した現代では、高度成長時代の経済環境にはない。
    ネットワークビジネス、といっても根本はねずみ講だ。
    きちんとしたエビデンスによる販売では、普通の利益。
    結局、人が人を騙すということに手を染めてしまう。
    現代社会において、どこにでもあるような人間関係。
    清く正しく、まっすぐに生きることは難しいことなのでしょうか?

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著者プロフィール

1983年、京都市生まれ。神奈川県在住。慶應義塾大学環境情報学部卒業。2012年「狭小邸宅」で第36回すばる文学賞を受賞しデビュー。著書に『狭小邸宅』『ニューカルマ』、近刊に『カトク 過重労働撲滅特別対策班』がある。

「2018年 『サーラレーオ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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