海の見える理髪店

著者 :
  • 集英社
3.42
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本棚登録 : 2491
レビュー : 411
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716535

作品紹介・あらすじ

両親の離婚をきっかけに家出し、海を目指す少女の切ない冒険。交通事故で急逝した娘の代役として若作りをして成人式へ出席しようと奮闘する父と母。喪失から始まる、大人のための“泣ける"物語6編。

感想・レビュー・書評

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  • 【直木賞】受賞、おめでとうございます。

    せつなくほろ苦い人生の可笑しみが心にしみる短編集でした。

    そういえばちいさい頃は、弟と一緒に床屋さんだった…。
    剃刀をベルトのようなものでシュッ、シュッっとやってみたかったこととか、
    暖かい白いクリームや、顔をそられた後のつるりとしたほっぺとか、
    懐かしく思い出しました。

    特に好きなのは#遠くから来た手紙
    夫が仕事ばっかり、と腹を立て実家に帰った主人公に届いた謎のメール…。
    戦時中、どれほど願っても、ともに生きられなかった人がいる。
    添い遂げたくてもかなわなかった人がいる。
    孫娘を心配し、現代人の贅沢な悩みや不満を叱ってくれたメッセージ。
    いつもそばにいてくれる人を、もっと大切にしよう。
    そう思わせてくれました。

    そして5年前、15歳の一人娘を事故で亡くしてから、
    時間が止まってしまっている両親を描いた#成人式。
    母親が娘の代わりに振袖を着て成人式へ出席して、それを応援する同級生たち。
    自分たちが悲しみ続けることを娘は望んでいない。
    笑っていてくれることが嬉しいはず。
    そう思えるようになった両親。
    これにはうるっと…。もう弱いです。

    なんかね、じんわりとこみ上げてくるものがあります…。
    誰でも取り返しのつかないことへの後悔はあって、
    それを抱えて生きているものなんだなぁと…。

    家族だからこそ、難しいこともあるかもしれないけれど、
    「ありがとう」と「ごめんなさい」を…。
    伝えられるうちに…。

    • けいたんさん
      こんにちは(^-^)/

      直木賞の作品早速読んだんだね〜♪
      本屋さんで見たらあと1冊で迷ったけど今回は買わなかったよ。
      今すぐには...
      こんにちは(^-^)/

      直木賞の作品早速読んだんだね〜♪
      本屋さんで見たらあと1冊で迷ったけど今回は買わなかったよ。
      今すぐには読めないと思うので。
      でも、うさちゃん、☆五つだから気になるわ。
      2016/07/22
    • 杜のうさこさん
      けいちゃん、こんばんは~^^
      コメントありがと~~!うれしかったよ!

      このところ、慌ただしくてなかなか遊びに行けなくて、ごめんね~
      ...
      けいちゃん、こんばんは~^^
      コメントありがと~~!うれしかったよ!

      このところ、慌ただしくてなかなか遊びに行けなくて、ごめんね~
      「いいね!」のとなりに「ごめん!」も欲しいわ。

      直木賞そうなの、早速。と言いたいところなんだけど実はたまたま(笑)
      荻原さん、ずっと好きで新作が出ると買ってたの。
      いつもならそのまま長い間、積読山に埋もれさせてしまうことが多いんだけど、
      この表紙が夏らしい雰囲気で、私もけいちゃんみたいに季節感あふれる本を読もう!って。
      やっと読み終えて感想書こうかな~と思っていたら、
      なんと直木賞の候補作品だった。
      そのことも発表の当日に知るという(笑)
      そしてその直後に受賞されて!
      世情にうといにもほどがあるよね。ホント!

      感想もね、なんだか落ち着かない気分で、やっと書いたの。
      ☆はね、う~ん、正直に言ってしまうと少々ご祝儀(笑)
      もやっと消化不良の作品もあったりしたから、
      いつもなら4にしてたかも…。(エラそうに!笑)
      でも、ずっと長い間楽しませていただいた作家さんが、やっと受賞されるって嬉しいね。

      ナツイチが気になってて、早く本屋さんに行きたくて~。
      この週末は行けそうだから楽しみ♪
      何をチョイスしたか当てっこだね。(*^-^*)
      2016/07/22
  • 直木賞受賞作。
    家族をめぐる短編集です。

    表題作「海の見える理髪店」がよかったですね。
    海辺の町で小さな理髪店を開いている初老の主人公。
    その店に初めてやってきた青年、じつは、離婚して早くに生き別れた父親に会いに来たのです。
    気づいた父親でしたが‥

    「いつか来た道」
    不仲だった母親のアトリエを訪れる娘。
    「遠くから来た手紙」
    戦時中のような手紙が今届き‥?
    「空は今日もスカイ」
    ゴミ袋をかぶった男の子と出会って、一緒に行動する。
    ホームレスの男に助けられるが?
    「時のない時計」
    亡き父親の時計を修理してもらおうと‥
    「成人式」
    娘の成人式が近づき、振袖のダイレクトメールが届いた。
    両親は成人式に参加することにして、亡き娘の友だちも歓迎してくれることに。
    悲しいけれど、いい話でした。

    重いテーマが多いですが、しみじみと落ち着いた雰囲気で、さらっと読んじゃうこともできます。
    誰でも、一生のどこかでは出会うかもしれない、家族の問題や、どうしようもない別れ。
    切ないですね。

  • 家族を描いた短編集。
    表題の「海の見える理髪店」と「遠くから来た手紙」「成人式」が良かったかな。
    「時のない時計」も時計の修理を頼む側、受ける側、両方の人生が思い出される感じで良かったけど、最後の一言いらんやろ~って思った。
    「成人式」はウルッときちゃいますね。

  • この著者の作品は数点読んだことはあるが、どちらかと言うと軽めの作品が多かったように思う。今作は短編の6作であるが短篇であるだけに更に軽く感じられた、それとどの作品も悪くはないんだが将来に明るさを見つけられない作品ばかりで、重松清あたりが好きそうな作品が揃っている、なんであえてこの作品が直木賞なのか分からないが、これまでの仕事とあわせて一本と言うことであれば認めないわけではない。しかしもう少し明るい話が読みたいな。

  • 表題作『海の見える理髪店』を含む短編集。この表題作がいちばん良かった。
    どんな理由があって主人公はこの理髪店を訪ねたのかが、店主が髪を切りながら昔話をしていくなかで明らかになっていく。髪を切り終わり、主人公がもう帰るというところで、前髪の確認のためといって父である店主が息子にもう一度振り返ってもらうところが印象的だった。
    ただ、他の短編は正直うーんとなるところもあった。特に『空は今日もスカイ』は後味が悪く、帯から心温まる物語を想像して読むと少し裏切られたように感じる。
    表題作と最後の『成人式』はおすすめ。

  • 伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。
    もしも「あの時」に戻ることができたら…。
    母と娘、夫と妻、父と息子…家族の日々を描く六編の短編集。

    ・海の見える理髪店
    ・いつか来た道
    ・遠くから来た手紙
    ・空は今日もスカイ
    ・時のない時計
    ・成人式

    海野見える理髪店を舞台にした連作短編集を予想して読んだら違ってた。
    色んな家族の何気ない日常を描いた六編の短編集でした。
    「海の見える理髪店」と「成人式」が良かったなぁ♪
    「海の見える理髪店」は、海辺にある小さな理髪店。
    主人の腕にほれ込んだ大物俳優や政財界の名士が通い詰めた伝説の床屋。
    ある事情からその店に最初で最後の予約を入れた僕と店主の特別な時間が始まる…。
    「成人式」は、5年前に中学生の娘が交通事故で急逝。
    悲嘆にくれる日々を過ごしてたきた夫婦が娘に代わり、
    成人式に替え玉出席しようと奮闘する…。

    どの家族も、どのお話も穏やかでどこかにありそうなお話。
    大切な人の喪失…喪失を受け入れ前に進もうとしていた。
    最初の海の見える理髪店で、こんなお喋りな店主嫌だなぁって思ってたら、
    あぁ…やられたってガツンと心に響いた。
    間の4編は良いお話なんだけど、少し物足りなさを感じてた。
    でも最後の成人式でまた、あぁ…やられたって思った。
    心が温かくなったり、涙が零れたり、哀しいのにほっこり笑ったり、
    本当に様々な感情が湧いて来た。
    家族の形は時の流れによって変わっていく。
    家族って儚いものなのですね…。
    家族というかけがえのないものを改めて大切にしたいって思った。
    今を大切にしなきゃ!これからを大切にしなきゃ!
    心にじんわり染み入りました。

    • 杜のうさこさん
      しのさん、はじめまして。杜のうさこです。

      いつも、いいね!をありがとうございます!
      私もしのさんのレビュー、いつも楽しみに読ませてい...
      しのさん、はじめまして。杜のうさこです。

      いつも、いいね!をありがとうございます!
      私もしのさんのレビュー、いつも楽しみに読ませていただいてます。
      感動したり、ん??ってなるところが似ているような気がして、
      すごく嬉しかったりします♪

      私もこんなおしゃべりな理容師さん、いやだわ~って思ってました。(笑)
      そして、同じくガツン!
      ミステリーでも必ずひっかかります。
      まさに作者の思うツボです。(笑)

      そして、#成人式、よかったですよね~。
      切なくて、温かくて泣けました。

      薬丸岳さんの新作、読まれたんですね。
      実は今日仕入れてきたんですよ。
      しのさんのレビューもあわせて、早く読みたいんですが、
      期限のある図書館本に追われて、積読山はなかなか低くなりません。

      はじめましてなのに、なれなれしくお話してしまってごめんなさい。

      これからもどうぞよろしくお願いします!
      2016/08/21
    • しのさん
      (*'▽'*)わぁ♪杜のうさこさん はじめまして (*´ー`*)
      コメントありがとうございますヾ(*´Ο`*)/
      とっても嬉しいです♪...
      (*'▽'*)わぁ♪杜のうさこさん はじめまして (*´ー`*)
      コメントありがとうございますヾ(*´Ο`*)/
      とっても嬉しいです♪

      こちらこそ、いつもイイネ(人''▽`)ありがとう☆
      とっても嬉しいく感じていました(*'-'*)エヘヘ
      私も、いつも杜のうさこさんのレビューを楽しみに拝見してました♪
      感動したり、んって思ったりする所が一緒だっていうのは感性が似てるのかなって嬉しいです〃(*o´∪`)o〃

      うわ~やっぱり、最初こんなにお喋りな店主嫌だなぁって思ったんだね。
      でもガツンとやられちゃいましたしたよね。
      (*¨)(*・・)(¨*)(・・*)ウンウン 成人式は切ないくて泣けちゃうのに、笑っちゃったりとっても素敵なお話でしたね♪

      オオーw(*゚o゚*)w薬丸さんの新刊本買ったのですね~凄い!
      でも、買った本が積んだままになってしまって読めないの凄く良くわかります。
      私は、BOOKOFF大好きでついつい買い込んで溜めちゃってるんだけど、図書館本を優先して読んでると…なかなか読めず何年も積んでる様な状態です
      2016/08/22

  • 何かしら心にちょっとした引っかかりを持った人たちの短編集
    その人達の全ての事柄が解決するわけでなく、ほんのちょっとだけ一歩踏み出せる進展がある、些細な日常の一つだけど、それがあったからちょっと前向いて歩いていける、そんな6つの物語
    なんでこの結末でお話が終わっちゃうのーともっと続きが読みたくなる短編集ばかりだけど、それがまた変に作られた物語ではなく、ありふれた日常に思えるし、本当に些細なことが人生を変えるきっかけにもなるんだなと思えた。

    海の見える理髪店 名手と言われる理髪店に訪れたある若者とその店長の会話形式で物語がすすむ。基本的に店長の昔話を聞く流れだけど、その文書のやり取りも素敵だし、さいごにわかる二人の関係性もまた素敵
    成人式 娘をなくした夫婦がまた前を向いて歩くために起こした行動とは、自分たちの殻をやぶり今のままじゃいけないと思った時のきっかけずくり

    この二つのお話は特に面白かった!
    よくある6つの話が最後に混じり合う、なんてこともなく、それぞれの話がまったく違う方向性で進めらる。
    それでも読み終わって、あ、なんか人生ってこんなもんだよなって思えちゃう
    さらっと読め、後味が悪くない、そんな本でした!

  • 表題作を含む短編集。
    家族がテーマだと思う。
    人は結婚で家族になり、子供として家族に生まれる。
    そこを出て、あるいは戻り、失ったり捨てたり…
    しかし、たしかに家族であったという事実は消えないのだ。
    心の中にどんな思いがあろうとも。

    『海の見える理髪店』
    海辺の小さな町にある、時代遅れの洋風作りの理髪店。
    いつもは美容院で髪を整える若者が、ネットで予約して訪ねてくる。
    渋い声の俳優さんに朗読してほしい。

    『いつか来た道』
    芸術家で口うるさい母親に、否定され、支配されてきた。
    その呪縛から開放されるとき。
    母を許した、と読むべきだろうか。
    あの日の自分に、もういいのよ、と母の代わりに赦しをあたえたと読むべきだろうか。

    『遠くから来た手紙』
    ほほえましい家出。
    杏色の髪で、部屋はキティちゃんでいっぱい…な、若い義妹(弟の嫁)ががんばって農家の主婦してるのがけっこう良い。
    おじいちゃんとおばあちゃんも、昔は恋人。

    『空は今日もスカイ』
    佐藤茜、小学校三年生。
    冒険家になりたい。
    神社で出会った、透明人間になりたい森島くんと海を見に行く。
    ささやかな逃避行の末の、茜の決意。

    『時のない時計』
    壊れた時計が語る、知らなかった父親像。
    やはり父だ、と思った次の瞬間に、蛙の子は蛙…と思わなかったか。

    『成人式』
    悲劇からの、突飛な思いつきにびっくり。
    友人たちが良い。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    ★、3か4かで、ずいぶん迷いました。
    悪くはないですが、大きな賞をもらうほどでは…
    他にも書いている人がいましたが、「直木賞」では誰にでも読みやすいことが重要ということなのですかね。

  • 抑えが利いた人間ドラマで結構好き。

    短編はあまり好きじゃないんだけど、
    直木賞ってことで読んでみました。

    タイトルの「海の見える理髪店」は、
    理髪店自体に秘密やこだわりでもあるのか?
    と思って読み進めると実は人間ドラマでした!ってオチなんだけど、いい意味で予想外の展開でした。

    よくよく振り返ってみると、筋書きや展開は平凡なんですが、謎の店主の語り口、冷静な若い男性客、こだわりのある海沿いの理髪店がうまくマッチして、抑えの利いた何ともいい雰囲気の物語になってます。

    エンタメでストーリー展開で読ませるというより、
    人物や情景描写の力がある、読み心地のいい本って感じです。

    派手めの話が好きな人には薦めませんが、
    落ち着いた雰囲気の小説が好きな人におすすめです。

    「羊と鋼の森 」とか好きな人にいいかも。

  • 家族をテーマにした短編集。
    ちょっと暗い、と言うか私には重かったな。ちょっとだけど。
    世の中にはいくつになってもすっごく仲の良い親子もいるけど、親子であっても色々あるし。
    でももうちょっとカラッとした話が好き。

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著者プロフィール

1956年埼玉県生まれ。広告制作会社勤務を経て、コピーライターとして独立。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞、14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞、16年『海の見える理髪店』で直木賞を受賞。『砂の王国』『花のさくら通り』『ストロベリーライフ』『海馬の尻尾』『極小農園日記』など著作多数。

「2018年 『金魚姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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