ベーシックインカム

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 集英社 (2019年10月4日発売)
3.58
  • (25)
  • (77)
  • (67)
  • (10)
  • (5)
本棚登録 : 632
感想 : 83
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784087716795

作品紹介・あらすじ

遺伝子操作、AI、人間強化、VR、ベーシックインカム。
未来の技術・制度が実現したとき、人々の胸に宿るのは希望か絶望か。
美しい謎を織り込みながら、来たるべき未来を描いたSF本格ミステリ短編集。


日本語を学ぶため、幼稚園で働くエレナ。暴力をふるう男の子の、ある“言葉"が気になって――(「言の葉の子ら」 第70回推理作家協会賞短編部門ノミネート作)

豪雪地帯に取り残された家族。春が来て救出されるが、父親だけが奇妙な遺体となっていた。(「存在しないゼロ」)

妻が突然失踪した。夫は理由を探るため、妻がハマっていたVRの怪談の世界に飛び込む。(「もう一度、君と」)

視覚障害を持つ娘が、人工視覚手術の被験者に選ばれた。紫外線まで見えるようになった彼女が知る「真実」とは……(「目に見えない愛情」)

全国民に最低限の生活ができるお金を支給する政策・ベーシックインカム。お金目的の犯罪は減ると主張する教授の預金通帳が盗まれて――(「ベーシックインカム」)


【著者略歴】
井上真偽(いのうえ・まぎ)
神奈川県出身。東京大学卒業。
『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞してデビュー。
第2作『その可能性はすでに考えた』が、2016年度第16回本格ミステリ大賞の候補に選ばれる。
その続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』は、「2017本格ミステリ・ベスト10」の第1位となる。さらに「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい! 2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にもランクイン。2017年度第17回本格ミステリ大賞候補、「読者に勧める黄金の本格ミステリー」にも選ばれる。
同年、本作に収録されている「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。
2018年には『探偵が早すぎる』が滝藤賢一、広瀬アリス、水野美紀出演でドラマ化され話題となる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人工知能、遺伝子工学、人口現実感(VR)、人間強化(エンハンスメント)、ベイシックインカム、前4者は、それぞれが実現している世界でのそれ以前の世界から反転している状況の中での人間ドラマを描く。最後もやはりそれらに沿うような世界での話。最後のいわゆるどんでん返しは、そんな世界でありそうな、あるいはそうでないかもしれないもの。ちょっと考えさせられるが、そんなに深く追求しているほどでもない。それよりも、ミステリー仕立ての作者の手腕が際立つ。上手い、読ませる。

  • 図書館で本当にたまたま手に取った本。ベーシック・インカムを題材にどんなミステリーが描けるのか?という興味だったが、5篇中表題作はおまけのような書き下ろし作品で、他の4篇が本書の主題である近未来SFミステリーか。

    AI、遺伝子操作、VR、エンハンスメント、とテーマが並ぶ中で、最も考えさせられるのはエンハンスメント。(目に見えない愛情)

    マイケル・サンデルの「完全な人間を目指さなくてもよい理由 遺伝子操作とエンハンスメントの倫理」の中に出てくる、聾のレズビアンカップルが、(配偶子を厳選して)望んで聾の子をもうける話を思い出した。(操作の方向は逆方向だが。)

    他の著作も読んでみたいと思わせる筆力だった。

  • かなり前に読んだ「探偵が早すぎる」と同じ作者さんだと知って読んだ。

    変わった装丁でびっくり!
    5つの近未来を舞台にした作品だった。
    最後の一つで伏線が回収されてる(?)らしい。
    私にはよくわからなかったけど(꒦ິ⌑꒦ີ)

  • 日々進歩する技術革新により人間は便利なものを多く生み出しているが、逆に失くなったことで生体環境が変化し、人間にとって悪作用になる可能性もある。本書では生成AI、遺伝子工学、VR(仮想世界)、強化技術(視覚)の近未来に起こるべき事件事故を未来予測小説として取り上げている。特に注目したいのは生成AIによる自立性ロボットが最終的に「人間排除」する可能性は多くなると予測する。生成AIロボットが求める完全完璧社会は人間的な感情や思想は要らない社会を築くことになる。今後人間社会がロボットの判断に委ねる社会に変わりつつあり気付いた時には人間はペットにような存在で恐怖感を持つだろう。


  • AI、遺伝子組み換え、VR、人工視覚など、
    今現在の感覚で想像するといつか訪れるかも
    しれない夢の未来、それが当たり前にな状況で
    暮らしている人たちの生活風景。

    驚くほど便利に見える世の中でも、
    人の心の揺れや頑なさが、人間の普遍と変容の
    両方の側面を見せてくれてる。

    未来の一場面を垣間見せてくれる物語でした。

  • 2019年
    5編短編集

    日常と思わせて実は近未来の話
    読みやすかった

    真偽氏もあらゆる世界観を書ける人で、斜線堂氏と似たタイプだなと感じている
    今回のようなSFを読みたい

    ○「言の葉の子ら」
    日本語を学びに幼稚園で働くエレナ
    人気者で頼りにされていた

    冒頭の天気予報を読み違え、雨が降っていた
    エレナは「私の判断ミスだ」と心で思う
    これはミスリードだろう
    それともまだ細分化された天気のことはわからないのか

    エレナは暴力を振る男の子の会話から、家庭内のある事情がわかる
    揉め事にも一役買いそうだ
    エレナの正体はいかに…

  • 『アリアドネの声』以来、2冊目の井上真偽さん。

    遺伝子操作、AI、人間強化、VR、ベーシックインカムなど、近未来に実現可能とされる、あるいはすでに実用化されつつある技術をテーマとした、5つのSFミステリ短編集です。

    どのお話も、私たちが想像できるくらいちょっと先の近未来を舞台としたお話で、その近未来感にわくわくしてしまいます。ミステリとしても、あまり多くは語れませんが、何度も騙されました。

    ちなみにベーシックインカムってなんだろうと思っていたら、「国民一人一人に、最低限の生活ができるレベルのお金を一律無条件に給付する、という社会保障制度」なんだそうです。

    いやぁ、井上真偽さん、さすが東大卒なだけあって頭の良い方だなぁと感じました。どれもなかなかおもしろかったので、他の著作も、ドラマ化もされた『探偵が早すぎる』とかも気になりますね。

  • 良質な短編集。従来の作者の小説よりも感情の機微などの表現が素敵で小説がうまいなぁと感じる。惜しむらくは装丁。でかでかとSFミステリを標榜し、書店員のお勧めと粗筋が書いており下品に感じる。読んだときの驚きが少し半減するから文庫化の際には変えてほしい。恐らく理系分野出身ではないかという作者からの未来への期待の優しいメッセージを感じる。

    言の葉の子ら、、、幼稚園の園児のちょっとした発言から隠された真実が分かるという、正統派の日常の謎。せっかくの大仕掛けがSFミステリとバレていることで台無しに。

    存在しないゼロ、、、豪雪地帯に取り残された家族、父親だけが片腕のない死体。哲学的で法月さんみたいでよい。ただこれもSFのくくりを知らないほうが楽しめる。

    もう一度、君と、、、VR怪談に没入する妻が突然失踪する話。これはすごい好きでした。真相までの期待感もあり、最終的にホロリとする良い話。

    目に見えない愛情、、、盲目の娘が人工視覚手術を受けることになり、そこで見える真実とは。これ多重解決型バカミスでよいです。温かみのあるいい話なんだけど、仮説でちょっと笑ってしまった。

    ベーシックインカム、、、研究所の盗難事件。これ、ベーシックインカムが事件に直接は関係していないのです。なぜこれを全体のタイトルにしたのだろう。正統派密室盗難物。登場人物が前の4作を書いたメタ設定かと思いきや、、、全体の伏線回収がなかなかよい。

  • AIが活躍する近未来、人間は果たして幸福なのか?著者なりの仮説をミステリー仕立てで楽しめました。
    技術がいくら発達しても、暮らす主役が、完璧ではない人間だからこそ、いろんなドラマが生まれるのでしょう。
    「もう一度、君と」「ベーシックインカム」が好みでした。

  • SFミステリ短篇集。
    遺伝子操作、AI、VRなどが今より進歩して普及した近未来の設定で、技術の進歩とそれに向き合う人間の心情が描かれている。この著者にしてはケレンがないが、面白かった。でも未来はちょっと怖い。

  • 5つのSFミステリー短編集。どの作品も、現在すでに生み出されている最新技術が発達し、普及した10年くらい先の未来が舞台。そして、どんでん返しがラストに待ちかまえる本格的ミステリーの王道。さらに、最初の4つの短編を効果的に使った書き下ろしの第5話で締める。これぞエンターテイメント小説集だ。

    本書で取り上げられる人工知能や仮想現実など最新のテクノロジーは間違いなく社会を豊かにする。その一方で、感情や不器用さを持つ人間はそれに対応できるのかと、心配になる。技術と一緒に進化する人間がこれからは求められるのだ。

    進化できない人はベーシックインカムをもらって満足しているしかない。

  • 「言の葉の子ら」でガツンと洗礼を受ける。日本推理作家協会賞の候補作なのも頷けるすばらしい出来栄え。「存在しないゼロ」で出てきた「今の大人には解決方法が分からない、こんがらかった難しい問題は、もう子どもの世代に託すしかない」という意見は、劇場版『G-レコ I』のインタビューで富野由悠季監督も言ってた。それはそうと、もうちょっとミステリっぽいタイトルのほうが良かったんじゃないかなぁ。

  • ジャンルはSFミステリーとあるが、ミステリーが9割ほどで、SF要素は味付けにとどまっている。普段、ハードなSFを好んでいる読者にはSF要素が足りないと感じるかもしれない。トリックの種明かしのフェーズで、これから来たる新技術がもたらす社会の変動とそれに伴った人間の心情の変化が絡められている。短編集と見せかけた連作短編集でよくある、最後の短編でこれまでの短編を総まとめするという構造に見せかけて実はそうでは無いというのは、ひねりが効いていると感じた。ベーシックインカムの話はベーシックインカムに対する著者の主張が連なっていたが、トリックや、人物の動機にはあまり関係ないのでは?と思った。

  • もう一度、君とと、目に見えない愛情が良かった。じんわり暖かくなり気付くと涙が滲んでいる。
    もう一度、君とでは、妻の失踪から語られる妻との思い出が、実は死に際に主人公がみているVRの世界だったという話。死に際に過去に戻れる、私はそんな未来を夢見る。


    どの短編も、テクノロジーが発達した近未来での問題や希望が謎を通して描かれていて良作です。

  •  井上真偽さんの新刊は、これまでとはかなり毛色が異なる。SFミステリの短編集だという。ゴリゴリのSFはあまり得意ではないが、ミステリ作家・井上真偽の作品ならば、読んでみよう。

     全5編中、最初の4編は、それぞれ現代でも耳にするキーワードがテーマ。「言の葉の子ら」。日本語を学習中の保育士が、ある園児の異変を見抜いた。彼女にしかできない方法で。彼女の正体は漠然と予想はできたが、姿はかなり違っていた…。子供の方が順応しやすいのは、現代と同じか。

     「存在しないゼロ」。タイトルから内容は想像できまい。山間の豪雪地帯で起きた不可解な事件。背景には、未来世界ならではの理由があった。それは現代でも深刻な問題だが、このような技術の進歩は、人類にとって福音なのか否か。

     「もう一度、君と」。VR(Virtual Reality)という言葉が持て囃されたのはかなり前のことだが、技術は着実に進んでいる。いずれはここまで進むのだろうか。誰だって最初から自信などない。こればかりは、技術が解決してくれない。

     「目に見えない愛情」。人工視覚の実用化に目処が立ってきた世界。生まれつき目が見えない娘に、被験者になるチャンスが巡ってきた。何としても手術を受けさせたい。そのために、父はどうしたか。親心に現代も未来もない。

     最後にやや長い表題作「ベーシックインカム」。このキーワードは聞いたことがあるが、技術用語ではない。作家らしい男性と、恩師の教授の駆け引き。時代は現代のようでも未来のようでもあるが、本作中初めて本格ミステリらしい内容。

     推理そのものはアナログなのが、井上真偽らしい。注目すべきは動機だろう。AIによって多くの仕事がなくなると言われている。技術の進歩は、必ずしも幸福とは結び付かないかもしれない。しかし、流れを止めることはできない。

     環境保護を訴える機運も高まりつつある昨今。テクノロジーがもたらす未来に、夢や希望はあるか。でも、もはやスマホは手放せない。

  • 5つの完全実現可能な近未来の技術がこんな面白いSFミステリになるなんて!!
    おもしろい!おもしろいじゃないか!科学技術だのSFだのにあまり親しんでいないアタクシでも、めちゃくちゃ楽しんでしまったぞ。
    人工知能にニヤリとし、遺伝子工学にヒヤリとし、人工現実感にホッとし、人間強化にグッときて、ベーシックインカムにうならされる。
    理系全開なのに難しくない。まもなくやってくる近い未来に一番乗りした気分だ。

  • おもしろかった。
    読んでてしんどくなる話もありましたが、最終話ですっきりしました。
    ラスト数ページの展開が特におもしろかったです。

  • 普通のミステリーかとおもって読んでいると、先端技術を活用した思わぬ展開でひっくり返される話を集めたSFミステリー短編集。
    どの話も後半からガラッと感じが変わるので、意外性たっぷりです。

  • 読みやすいタイプのSFだった!
    ただ全部なんとなく叙述トリックかなってかんじはする...

  • AIや遺伝子操作、視覚障害の人工視覚など、未来を舞台にしたミステリー。豊かになることが希望だけなのか、どんなに豊かになっても、人間の根本的な絶望感や偏見、愛情は変わらないものなのかもしれない。想像力あふれる設定、本だからこそ騙されるミステリーが面白い。

全74件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

神奈川県出身。東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。
第2作『その可能性はすでに考えた』は、恩田陸氏、麻耶雄嵩氏、辻真先氏、評論家諸氏などから大絶賛を受ける。同作は、2016年度第16回本格ミステリ大賞候補に選ばれた他、各ミステリ・ランキングを席捲。
続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』でも「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位を獲得した他、「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい!  2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にランクイン。さらに2017年度第17回本格ミステリ大賞候補と「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選ばれる。
また同年「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補作に。
他の著書に『探偵が早すぎる』(講談社タイガ)がある。

「2018年 『恋と禁忌の述語論理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井上真偽の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×