スキマワラシ

著者 :
  • 集英社
3.24
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本棚登録 : 1555
レビュー : 157
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716894

作品紹介・あらすじ

白いワンピースに、麦わら帽子。
廃ビルに現れる都市伝説の“少女"とは?

古道具店を営む兄と、ときおり古い物に秘められた“記憶"が見える弟。
ある日、ふたりはビルの解体現場で目撃された少女の噂を耳にする。
再開発予定の地方都市を舞台にした、ファンタジックミステリー。

【著者略歴】
恩田陸(おんだ・りく)
一九六四年、宮城県生まれ。九二年に『六番目の小夜子』でデビュー。二〇〇五年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞と本屋大賞、〇六年『ユージニア』で日本推理作家協会賞、〇七年『中庭の出来事』で山本周五郎賞、一七年『蜜蜂と遠雷』で直木賞と二度目の本屋大賞をそれぞれ受賞。近著に『祝祭と予感』『歩道橋シネマ』『ドミノin上海』など。

感想・レビュー・書評

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  • 僕の名前は「サンタ」といい「散多」と書きます。
    僕には歳の離れた兄がいて「太郎」といいます。
    昔から僕は女のきょうだいがいなかったかと尋ねられることがありました。
    僕は小学校六年生の春休みに両親をトンネル内の交通事故で亡くしています。
    僕の両親は建築家でしたが、兄は工務店を営み、古道具には目がありません。
    僕は兄だけが知っている、二人の間で「アレ」と呼ばれる特殊能力を持っています。
    僕と兄はそれぞれ、白いワンピースに空色の胴乱を提げ、三つ編みの髪に麦わら帽子の姿をした、女の子を見ていて「スキマワラシ」と呼んでいます。
    スキマワラシは「ハナちゃんなの?」と訊くので、「違うよ」と答えています。
    「スキマワラシ」とは一体何なのかを巡るファンタジーです。
    そして僕の特殊能力である「アレ」。
    その二つを中心に物語は進みます。
    そして二人の前に現れた謎の女性アーティストのDAIGO。
    僕と兄はDAIGOこと醍醐覇南子(だいごはなこ)は自分たちの血縁者ではないのかと思います。

    そしてとうとう「スキマワラシ」が現れますが…。
    僕の遭遇した出来事は「名前の謎も解けたし、本当によかったね」と思いましたが謎解きはページ数の多い割合にちょっとあっけなく物足りない気がしました。

  • 思った以上に分厚い本で驚いたが、予想に反して読みやすかった。

    古道具屋を営む兄・太郎と、兄の店の一角でバーを営む弟・散多と、解体現場に現れる『スキマワラシ』なる少女の話。
    季節に関係なくノースリーブの白いワンピースに麦わら帽子を被った姿の『スキマワラシ』はどこからともなく現れていつの間にか消えている。
    幽霊なのか何かの幻影なのか。

    引き出しから『スキマワラシ』のものであろう手が出てきたり、散多のある能力(本人は『アレ』と呼ぶ)によって見える光景やそこに引き込まれそうになる場面など、時折ゾッとする場面もあるものの、『スキマワラシ』には悪意も敵意も無いのでホラーではなくちょっと不思議で奇妙な話という雰囲気。

    物語の本筋としては、『スキマワラシ』が太郎・散多兄弟とどういう関係なのか、そして散多が幼い頃に亡くなった両親の事情に何か関わりがあるのかということかと思って読んでいた。
    『スキマワラシ』と兄弟の関係については序盤で予想が付くものの、話はなかなか核心に辿り着かない。
    兄弟それそれぞれの能力や性格、これまでのエピソードに日常、仕事の話がユルユルと綴られる中に時折『スキマワラシ』の存在やちょっと不思議な話が挿入される。
    だがそのエピソードはなかなか楽しく読めるので途中で飽きることはなかった。

    しかし終盤登場する女性アーティストがこれまで思い込んでいた路線を大きく変えていく。
    『スキマワラシ』ではなくて、この彼女がそうなのか?
    と。

    読み終えるとスッキリしない。
    結局『スキマワラシ』は何だったのか、何を伝えたかったのか。
    両親は何故『散多』という変わった名前を付けたのかという理由も無限ループでよく分からない。
    ジローとナットは同じ?

    結局のところ、何だかよく分からないけれどちょっと不思議で奇妙な話というところに落ち着く話だったようだ。
    散多が自分の名前に対する抵抗感というか劣等感というか、そういう後ろ向きな部分が取れたのは良かったが。新しい出会いがあったものの、兄弟のユルユルな日常は変わりそうにない。
    それにしても『纐纈』なんて画数の多い名字は大変そう。

  • 結構面白かった。帯が残念、都市伝説的キワな話をエクスペクトして読むと少々がっかりすると思う。ミステリの一種なんだとは思う、ホラー成分ゼロの優しい不思議なホワホワ感。違能力者が出てくるが、そんなに突拍子がないということもない。なんとも静かというか、するっと読める読了感悪くない爽やかな物語だった。
    いちばん印象に残るのは、やはり兄の太郎の引手コレクターぶり。
    P189
    「兄は半分開いている襖の前に、飛びつかんばかりにしてひざまずいたのである。
     これ、この引手。こんなもの、初めて見た。
     声の上ずっている兄の視線の先を覗き込む。
     一見、楕円形をしているその引手が何の模様を表してるのかよく分からなかった。がなり古くて、色が黒ずんでいたせいもあるし、部屋が暗かったせいもある。
     これ、聴診器だよ。聴診器を象った引手だ。」
    ものすごくヴィジュアル的で非常に興奮する箇所。
    あとは、OPで兄太郎が弟散多のことを「弟」と呼ぶというエピソード。私自身、兄に「妹」とずっと呼ばれていたので、なぜそんなにピックアップされるのか、不思議に感じる。とはいえ、考えたら日本語の親族呼称は一番年齢が若い人を基準にするから、一番下だけが名前呼びになるので”普通”ではあるだが、別に、弟とか妹と読んでもええんでは(家族数が少ない場合)。もちろん、こいとさん(ちゃん)とか、いとさん、でええ。
    あとは、個人的にものすごく気になったのが、この兄弟の姓「纐纈」。ネットがないところで読んでいたので、調べることもできず、まあとりあえずセオリー通り、絞結で読んで「こうけつ」(仮)で読み進んだが、初出でルビとかついてたんだろうか、見逃したんか。まあいいが、後でネトで調べたら「こうけつ」さんでほぼほぼ間違いないらしい。同漢字で「こうけち」さんも存在するらしい。
    タイルとか引手とかが気になりだした

  • 座敷童子の近現代版、スキマワラシ。
    古い建築物が取り壊される時に現れる。

    スキマワラシは、妖怪のようなおどろおどろしいのではない。夏の空と草原をイメージする爽やかさで描かれている。(本書の表紙の絵がとても良い)

    近現代の古い建物に住み着くスキマワラシは、妖怪?八百万の神?夏を想わせる麦わら帽子の白いワンピース姿で、カルピスのCMかよ!と思いましたが、顔が分からない怖さがアクセントになっている。なのに写メで撮れてしまうお茶目さ。

    主人公は兄と小道具屋を営むサンタというヘンテコな名前でモノから記憶を読み取れる摩訶不思議な能力の持ち主。この能力と人々との繋がりから、自分のあやふやな過去を紐解いていく。

    そしてもう一人のキーマン、サンタのお兄さん太郎。彼は、襖に付いてる金具(引手)を磨くのが趣味。ちょっと変わってるけど、自分の中に美を持つ人は、何か魅力的。

    物語は、スキマワラシの謎とサンタの過去が解明されることを軸として展開されるが、小噺が沢山盛り込まれていて、なかなかに長い。

    でも私が好きなものが沢山出てきて(古い喫茶店とチーズケーキ、温泉(銭湯)、落語、美術祭)、オモチャ箱のようで飽きずに読めました。

    一寸法師の小槌の話では、小槌の解釈について論じられる。振ると一寸法師が大きくなるのは、時間の早回しの演出の解釈は面白かった。

    サンタのモノの記憶を読み取る能力+スキマワラシの未知の能力?で時間を遡り亡くなった両親と言葉を交わす。そして自分の過去を知り、サンタの意味を知り、自身のアイデンティティを得る。

    スキマワラシの集めていた種は、先人の知恵で、それを覇南子に託したのは、戦後日本の強みであったスクラップアンドビルドだけじゃなく、古き良きものを活かしながら進化するリノベーションを実現できる人にスポットライトをあてたと解釈しました。

    スキマワラシの響きがなんか良い。

  • な、な、長かった。
    そのわりにふわっと終わった感じで、読後の余韻を味わえず、残念。
    好みが分かれる作品かもしれない。

  • <訪問>「スキマワラシ」を書いた 恩田陸(おんだ・りく)さん:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/462913?rct=s_books

    恩田陸の最新長編『スキマワラシ』、第一章を全文公開!①|集英社文芸・公式|note
    https://note.com/shueisha_bungei/n/n70be057e82ef

    『スキマワラシ』著者:恩田 陸|担当編集のテマエミソ新刊案内|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー
    http://renzaburo.jp/shinkan_list/temaemiso/200807_book01.html

    スキマワラシ/恩田 陸 | 集英社の本 公式
    https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-771689-4

  • 座敷童子とシックスセンスを組み合わせたような話で、
    のんびりした感のストーリー展開で楽しめた。

  • 初めて実物の本を見たときは、その厚さに驚いたが、どんどん読み進めることができた。
    ストーリー全体が独特な爽快感で包まれていて、少年少女がそのまま大人になったような世界観だった。

  • 久しぶりに「閉じない物語」を読んだ気がする。
    古道具店主の兄太郎と、古いものに触れることでそこにある「記憶」を見てしまう弟散多。静かな二人の生活に突然現れた季節外れの麦わら帽子をかぶった白いワンピースの少女。彼女は実在するのか、幻か、それとも。
    両親の死と家族の秘密。あちこちで目撃される不思議な少女の実態は?弟の不思議な力との関係は?
    弟による語りが心地よくて、不思議な世界にすっかり浸ってしまった。
    古道具と不思議な力。兄と弟が少しずつ秘密に近づいていく、というか、秘密の方が近づいてくる感じを一緒にに体験しているようで。もしかすると自分もそれを体験できるんじゃないか、とそんな気になってしまう。
    犬のジロー。いいね、ジローグッジョブ。一緒に散歩行きたい。

  • 長かったね~。でも、1日半くらいで読み終わりました。

    ファンタジーのような、それでいてミステリアスなような………。

    恩田陸さんの独特な世界を体験出来て、とても幸せなひとときでした!

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著者プロフィール

1992(平成4)年、日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞を、2006年『ユージニア』で日本推理作家協会賞を、2007年『中庭の出来事』で山本周五郎賞をそれぞれ受賞した。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木賞と第14回本屋大賞を受賞。

「2021年 『薔薇のなかの蛇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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