終の盟約

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 128
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716955

作品紹介・あらすじ

認知症になった親が
死を望んでいたら
あなたはどうしますか。

認知症の父の突然死。医師同士による、ある密約。
医師の兄と、弁護士の弟は、真相にたどり着けるのか。
楡周平史上、最大の問題作。
次に挑むテーマは“安楽死"


ある晩、内科医の輝彦は、妻・慶子の絶叫で跳ね起きた。父の久が慶子の入浴を覗いていたというのだ。久の部屋へ行くと、妻に似た裸婦と男女の性交が描かれたカンバスで埋め尽くされていた。久が認知症だと確信した輝彦は、久が残した事前指示書「認知症になったら専門の病院に入院させる。延命治療の類も一切拒否する」に従い、父の旧友が経営する病院に入院させることに。弁護士をしている弟の真也にも、事前指示書の存在を伝えた。父の長い介護生活を覚悟した輝彦だったが、ほどなくして久は突然死する。死因は心不全。しかし、あまりに急な久の死に、疑惑を抱く者もいて――。

【著者略歴】
楡周平(にれ・しゅうへい)
1957年、岩手県生まれ。米国系企業在職中の96年に書いた『Cの福音』がベストセラーとなり、翌年より作家業に専念する。ハードボイルド、ミステリーから時事問題を反映させた経済小説まで幅広く手がける。著書に「朝倉恭介」シリーズ、「有川崇」シリーズ、『再生巨流』『プラチナタウン』『修羅の宴』『レイク・クローバー』『象の墓場』『スリーパー』『ミッション建国』『砂の王宮』『ぷろぼの』『サリエルの命題』『鉄の楽園』等多数。

感想・レビュー・書評

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  • つい先日、安楽死が現実世界で起こりニュースを騒がせただけに、フィクションとはいえリアリティ抜群だった。哲学的な内容に傾きすぎず、小説として絶妙なバランスを保った作品。

  • 老い、認知症、死、残された家族、遺産、介護など。
    複雑に幾重にも絡み合っているとみるか、主題が絞り切れないとみるかは読者次第。
    自分は前者と感じた。
    ラストは思いがけぬ展開に。切なさが残った。

  • 尊厳死、命の終わり方を選ぶことは罪なのか?
    尊厳を失ってまで、延命する必要があるのか?
    この本では認知症からの精神の死をもって命を終えたいと願う医師が盟約により安楽死に至る。

    医師で経済的にも恵まれた兄、弁護士で人がよくお金な執着のない真也は妻昭恵に見放されそうになっても、最後まで人がいい。
    もし真也が盟約を遂行して亡くなったら昭恵はどんな思いをするのか…。
    兄家族も良識ある人たち、お金は大事だけど、命も大事だけど、生き方って大事だと思った。

  • すごい作品に出会ってしまった。ぼくの中では間違いなく本年度ベスト10に入るだろう。患者本人の意思とは無関係に行われる延命措置。そもそも意思の疎通が不可能な認知症。高齢化社会、増え続ける医療費、尊厳死……。人は誰のために、なんのために生きているのか? 避けられない事態になったとき、自らの死に方を選べないのか? 誰もが思っているのに言い出せないタブーを、見事な作品に仕上げた手腕に感服した。

  • この著者はいつも社会の大きな問題をみんな見て見ぬふりしている問題をテーマに書いてくれる。

  • 安楽死のお話。
    医者である父親が認知症になり、事前指示書により介護施設へ。
    そこで突然心不全で亡くなる。
    これからどれだけ長い介護が始まるか、不安に思ってた矢先に亡くなった。

    息子は2人。
    1人が医者で、1人は弁護士。弁護士は人権派で、弱者を助ける仕事が多く、収入が少ない。
    弁護士の奥さんは医者家族を妬み、お金の心配ばっかりするような人になる。
    結局認知症とかになってしまい、これ以上生きているのはキツいってなったときに、誰かが手を下す盟約が医者の中であり、それによって父は死んだ。

    それを怪しいと思った弁護士の奥さんが、友人の看護師に相談をしジャーナリストから調査されてしまい、盟約がなくなってしまった。

    弁護士は若年性アルツハイマーになってしまい、医者の兄にお願いして、どうしようもなくなったら殺してもらう約束をさせられるところで終わり。

    本人は生きたくもない、家族は殺してしまいたくない、そんな介護ってきっと腐るほどある。
    でも、日本は安楽死が認められてないからそれをお互いひたすら耐えるしかない。
    施設に入れるにしてもお金もめっちゃかかる。

    でも安楽死をアリにしたら、人を殺さなきゃいけない医者がでてきて、それも辛い。
    でもほんとに訳わかんなくなっちゃったらどうしようってなるよねー。
    難しい。
    延命治療ってほんとに必要なのか。
    長生きってそんなに素敵なことなのか。
    色々考えさせられるお話だった。
    透析とか胃瘻とかも延命治療だって聞いて、確かにそうだよなって思った。
    生きるってなんだろ。

  • 考えさせられる作品でした。
    認知症…どうあるべきなのでしょう。
    むずかしい難題のヒントになる作品に思う。
    最後はあまりにも切なすぎた。

  • 安楽死や尊厳死をテーマにした小説はよく見かける。強制的に生かす延命治療を止めれば、苦しむ患者を自然な死に導くことができるが、家族は愛する人の命を断ち切る辛さを覚える。このような場面に直面した家族は心の葛藤に苛まれ、そこにドラマが生まれる。医療のあり方、倫理観を世に問う意義もある。
    この小説は認知症になった医者が残した事前指示書を尊重した後輩の医者が死の手助けをするというもの。
    認知症は治療を中断しても死につながらない。「認知症になったら一刻も早く人生観を終わらせたい」という願いを叶えるには強制的に死を迎えさせるしかないわけで、それは殺人である。
    だが、医者たちの間で死生観を共にしたある盟約が結ばれていた。 
    何もわからなくなるだけでなく人格すら変わってしまう恐怖感、介護する家族の肉体的、精神的負担を考えると、認知症になった際は早くこの世から去りたいという気持ちになるが、それを叶えられるのは医者しかいない。
    この発想は、他の同様作品と差別化できる点であり、新鮮味があった。
    患者に重い負担がかかる人工透析の中断事件から派生して透析の儲けの大きさに言及したり、著名人や各分野で実績を残した人を教壇に立たせ結果的に日々、学究の徒を目指して取り組んでいる人が准教授どころか常勤講師にさえなれない大学の存在意義を問うなど、社会の様々な問題点をを散りばめたところは相変わらずこの著者らしく、面目躍如という感がある。
    読んでいて、気の抜けるところはほとんどなく、しんどいが、考えさせられる要所満載の作品で大いに満足できた。

  • 安楽死・尊厳死。長寿ではなく、長命政策の限界。介護問題。現代社会の歪みをえぐり出した作品。誰もがわかってはいるが、あえて避けてきた問題を真正面から問題提起している。読み終わっても、いろいろ考えさせられることが多い。深い余韻を残す佳作!

  • 是非読んで欲しい一冊

    • Ponchoさん
      考えさせられた一冊。人の尊厳とは?
      是非読んで欲しい!
      考えさせられた一冊。人の尊厳とは?
      是非読んで欲しい!
      2020/03/21
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著者プロフィール

1957年生まれ。米国系企業に勤務中の96年、30万部を超えるベストセラーになった『Cの福音』で衝撃のデビューを飾る。翌年から作家業に専念、日本の地方創生の在り方を描き、政財界に多大な影響を及ぼした『プラチナタウン』をはじめ、経済小説、法廷ミステリーなど、綿密な取材に基づく作品で読者を魅了し続ける。著書に『介護退職』『和僑』『国士』(以上、祥伝社刊)『終の盟約』他多数。本書は引退が視野に入り出した外食チェーンの社長が、かつての恩人への義理と自社の後進への責任の狭間に悩み、新たな打開策を見出す極上のエンターテインメントである。

「2020年 『食王』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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