- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087717037
作品紹介・あらすじ
香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。
元・書店員の一香がはじめた新しいアルバイトは、古い洋館の家事手伝い。
その洋館では、調香師の小川朔が、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る仕事をしていた。人並み外れた嗅覚を持つ朔のもとには、誰にも言えない秘密を抱えた女性や、失踪した娘の手がかりを求める親など、事情を抱えた依頼人が次々訪れる。一香は朔の近くにいるうちに、彼の天才であるがゆえの「孤独」に気づきはじめていた――。
「香り」にまつわる新たな知覚の扉が開く、ドラマティックな長編小説。
【著者略歴】
千早茜(ちはや・あかね)
1979年、北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。翌年、同作にて泉鏡花文学賞を受賞。13年『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞。同年に『あとかた』、14年に『男ともだち』でそれぞれ直木賞候補となる。その他の著書に『正しい女たち』『犬も食わない』(クリープハイプ・尾崎世界観との共著)『わるい食べもの』『神様の暇つぶし』『さんかく』など。
感想・レビュー・書評
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好きな香りは何と問われると何と答えるだろう。こだわりの香りは、私の生活にはない。季節に咲く花の香りが心地よく感じることはあるけれど。初めて手にする千早茜さんの作品であり、私の暮らしの中で進んで用いていない香りがタイトルに入っていて、逆に興味を膨らませながら読み始めた。
中心人物は、仕事に行けなくなり半年間家にいた25歳の若宮一香と調香師の小川朔。朔には、人の匂いで行動や生活、その素性までを正確に判断することができる特別な力があった。その設定に惹きつけられていった。2人に加えて、それぞれとつながりのある個性溢れる登場人物がその魅力を発揮しつつ2人にかかわっていく中で、自然と物語の世界に引き込まれていった。その中で、一香には書店員のさつきという友人が、朔には探偵の新城が、それぞれに寄り添い、2人の背景を鮮明にさせていく。どの登場人物たちも、今まで私が出会ったことのないような魅力的な人物たち。そのことがより一層、私の想像力を膨らませた。同時に、展開が予想できなく、わくわくしながら読み進めることになった。
決して明るい展開ではないのに、何故だろう、読むことが楽しかった。それは、作者が登場人物の個性を際立たせ、その魅力を丁寧に繊細に描いたからだろうか。その個性溢れる登場人物同士のやりとりは、思わず笑ってしまうところも多々あった。
朔と一香、2人の関係は、雇う側と雇われる側。調香師という私の知らない生業にも、作品の中の一香と同様に引き込まれていった。そのような中、背景にある一香の過去は重たく、そこからくる苦しさも感じた。それを、朔は分かっているのか、分かっていないのか、それは、ラストに向かって明らかになっていく。一香にとって、蓋をしていた過去のこと、それは兄のこと。兄妹という閉ざされた関係は、当事者にしか分からないこともたくさんあるだろう。それが、辛いものだとしたら、抱え込んで生きている人もいるだろう。そのことを聞いて欲しい相手に伝えることによって、楽にはなるのかもしれない。でも、一香と朔のように、相手のことを知ることが、その関係を終わらせることにもつながるかもしれない。ラストに向かって、切ない気持ちが募っていった。結末を予想できない状況に、ページを捲る手が止まらなくなっていた。そしてついにラストの場面。その場面では、ほっとなり温かい気持ちが湧き、ゆったりとその余韻で満たされていった。
初めての千早茜さんの作品を読了した。想像を掻き立てられる豊かな表現の香りの描写のほかに、イメージを喚起する季節に応じた風景の色、人物を表す色、そこにも作者のこだわりを感じた。この作品をきっかけに、千早茜さんの作品を読んでみたいという思いが膨らんだ。 -
あなたは、『ここしばらく身体を動かしていませんね?』といきなり言われ、それが事実だったとしたらどう思うでしょうか?
人は他人とのコミュニケーションを円滑にするために、言葉の内容以外にも色んな情報を同時に読み取ろうとします。顔に出る表情の細かな変化を追い、手足の些細な動きを追い、そして声の抑揚にも注意を払って相手の心の内を読み取ろうとします。オンラインでの会議の場も増えた昨今、直接に読み取りにくくなった相手の情報をどうやって代替していくか、人と人とのコミュニケーションにも大きな変化が余儀なくされようともしています。人には五感というものがあります。他者とのコミュニケーションをとっていく中で、私たちはそれらの力をフルに活かしてその場その場に向き合っていくことになります。しかし、オンラインでの会議が一般化する中においては、かつて当たり前にあった情報が完全に欠落してしまったものがあります。それが匂いや香りです。人は良くも悪くもそれぞれにその人ならではの匂いや香りをもっています。それが強く現れれば相手を不快にする場合もあるでしょう。しかし一方で身近な関係であればあるほどにその匂いや香りをその人のアイデンティティとして感じるようなこともあるとも思います。そんな一面から見た場合には、オンラインのコミニュケーションというものは相手の匂いや香りを感じる術もなく、全くの無臭な画面の中に相手を感じざるを得ません。普段から自分の体臭が気になっていたという人にとっては朗報かもしれません。しかし、五感の中の一つの情報を失った中でのコミュニケーションは、やがてどこかで直接に対面することになった場合には、オンラインで抱いていた印象が大きく変わっていく可能性だってあるかもしれません。
さて、ここにそんな匂いや香りに光を当てた物語があります。『僕は調香師です』と自己紹介する一人の男性が登場するその作品。それは、『ここしばらく身体を動かしていませんね?』と訊く調香師に『どうして、家に閉じこもっていたことがわかったんですか?』と訊き返す一人の女性の物語。そんな女性に『汗から、身体を動かしていない人特有の匂いがしました』と冷静に答える一人の調香師の物語。そして、それは『香りは永遠に記憶される』と語る調香師によって、一人の女性が記憶の中に眠る匂いや香りに気づきの瞬間を見る物語です。
『あと一歩で外。あと一歩で日陰から出る』と、『単身用アパートの狭い廊下で立ちつくして』しまったのは主人公の若宮一香(わかみや いちか)。『やっぱり部屋に戻ろう…この季節はまぶしすぎる』と思った時『あんた、大丈夫?』と大家さんに声をかけられた一香は、『あんた、ひさびさに顔見るね』とも言われ、ぎくっとします。『毎日、蔓薔薇の手入れを欠かさない』という大家が話すアパート住民の『噂話に相槌を打』っていたものの頃合いを見てその場を後にした一香は『仕事をしていないことはきっともうばれている』と思います。『昼下がりのスーパー』で買い物をするのに『財布の中を確認する』と、『六千円と小銭がちょっと』だけしかなく、『貯金の残高はもう二十万を切っている』と厳しくなってくる家計を思う一香。そんな時『地域の掲示板』に『アルバイト急募』の張り紙を見つけました。『家事手伝い、兼、事務、接客。経験不問。応相談』という不思議な内容がどこか気になり携帯で写真を撮った一香は家に着くと『働かなきゃ』とつぶやき、書かれている電話番号に電話をかけました。『じゃあ、簡単でいいので…』と履歴書をPDFで送るよう指示されるも『パソコンを持っていないので…』と答える一香は、『軽く舌打ち』を電話の向こうに聞きます。どうにか住所を聞き出し履歴書を郵送して数日後に電話がかかってきて面接へと進むことになった一香。指定された日に面接に赴こうと『紺色のワンピース』で家を出ると、『めずらしい格好してるねえ』と大家に話しかけられました。そして、『今朝咲いたばかりだ』といきなり薔薇を手渡され、『潰れないように肩掛け鞄』に入れて指定された住所へと向かいます。そこには、『生命のない建造物のはずなのに、巨大な未知の生き物がうずくまっているような威圧感』を感じさせる洋館が建っていました。『面接にきました』と建物に入った一香を迎えたのは新城という『二十代後半か三十代前半』の男でした。『仕事内容はこの家の掃除とか雑用で…』と話をしていると『ソリフロール』という声と共に一人の男が現れました。『鞄の中にクリムゾンスカイが一輪ありますね。水を吸わせてあげましょう』と言われ薔薇を取り出して男に手渡すも『どうして薔薇があることがわかったのか』と、不思議に思う一香にその男は『小川朔です』と名乗ります。そして、新城に代わって話し出した男は、一香のファンデーションのメーカーを言い当てるなど匂いに関する話を続けます。『僕は調香師です』と自身の職業を告げたその男は、『ここで働く条件のひとつは噓をつかないことです』と言い切ります。そして面接を終えた一香は、そんな洋館で働くことを少し躊躇するも、『そこまで嗅覚が優れているとしたら、どんな世界を彼は生きているのだろう』と小川朔という人物への興味が勝ち、働くことを決めました。そして、そんな一香が『ずっと朔さんの香りに守られていた』と、洋館で働く日々を通じて、記憶の奥底に眠っていた過去と対峙することになる物語が描かれていきます。
「小説すばる」連載時に「朔の香り」だった書名を単行本化にあたって「透明な夜の香り」と改題したこの作品。なんとも独特な世界観に彩られています。そんな独特な世界観を形作る三つの要素を挙げてみたいと思います。
まずは、柔らかくひらがなで表現されていく”擬音語・擬態語”の数々です。特に第2章の〈Floral Note〉には、次から次へと文章の中にこんな言葉が登場します。
・敷石をこつこつと鳴らして洋館へと向かう
・若い葉をぷちぷちと摘む
・赤い花びらがはらはらと落ちていく
“擬音語・擬態語”は日常会話というよりも、小説の中の文章表現として数多く登場します。それは、その文字の上の小説世界に音をつけるような効果を果たしてもいきます。”敷石を鳴らして…”と表現するのと『敷石をこつこつと鳴らして』と表現するのでは随分と受ける印象が異なります。後者の方が圧倒的にその場の情景が目に浮かんできます。しかし、
・かたそうな黒髪をがしがしと搔く
・さりさりと小さな音をたてて
・底からふつりふつりと気泡がたつ
という表現になってくると『ふつりふつり』ってどんな音だろう?と、情景がピンと来なくて、逆に不思議な印象を受けもします。これらの表現は、一香が働く洋館の中の日常風景の描写に用いられているものですが、これらの表現によって、読者が朔の暮らす洋館に興味を掻き立てられるのは間違いありません。また、そんな謎の館の静謐な空気感、こんな些細な音が意識されるほどに静けさに包まれた世界をそこに感じさせもします。こんな風に数多く集中的に用いられた”擬音語・擬態語”の数々によって、まるで聴覚が刺激されるかのようにも感じさせてくれます。そして、それは読者の意識を、より後者の”香り”へと向けていくことに繋がっていくようにも思いました。
二つ目は”色”です。この作品の表紙は黒基調で、見方によっては少しホラーの世界を感じさせるものです。そこに感じる”色”は、まさしく”黒”です。しかし、作品を読み進めると読者に次から次へと鮮やかな色彩が襲ってきます。それは、強いインパクトで迫ってくる冒頭の一文からしてそうです。
『花の色がつよい。鮮やかな赤が目を刺して、足が止まる』、というその内容に続くのは『光や色のまぶしさに目がくらむ』という一香の感覚です。そして、そんな一香を次々に襲うが如く”色”を強調した表現が頻出しながら物語は展開します。
・太陽に照らされた梢の花は黄金色だけど、布に落ちた花は可愛いオレンジ色に変わる
・目を遣ると、菜園の向こうの空が濃いピンク色だった。上空はまだ青を残し、雲は薄紫で、まるで夢の景色のようだ
・光あふれる庭を眺める。太陽へと伸びるみずみずしい緑、新緑の中の白、黄、紫、オレンジ、ピンク、薄桃、青
といったように黒基調のシックな表紙からは想像だにできない”色”の洪水が読者を襲います。そして、そんな描写の中で読者の心を掴むのは調香師である小川朔の人物描写に使われる”色”です。
・灰色がかった目が私を見つめている
彼の目は必ず『灰色』という”色”で形容されます。あなたは『灰色』の目というものがどういうものか想像できるでしょうか。これについては『どこを見ているかわからない目』という表現が意味するところのようですが、それを『灰色』という表現で表すのは非常に独特です。また、
・紺色を思わせる声の主
と、彼の声は必ず『紺色』という”色”で形容されます。『灰色』の目はまだどことなく理解できだとしても、『紺色』の声というのはすぐにはピンときません。『落ち着いた紺色』、『深い紺色』、そして『紺色の穏やかな声音』というように使われるその表現。これが人物のしかも読者が決して聞くことのできない”声”であるという点が不思議感を深めます。そう、この作品はそんな風に一香のことを『灰色』の目で見つめながら、『紺色』の声で、”香り”について語る朔というなんともミステリアスな雰囲気に包まれた人物に、一香だけでなく、読者も魅かれ囚われていく物語、これがこの作品の不思議な世界観の中心にあるのだと思いました。
そして、三つ目は、この作品で一番の魅力になってくる”香り”です。『私自身、嗅覚が鋭いほうなんです』と語る千早茜さん。そんな千早さんは『梅雨の時期は乗客の体臭が気になって、バスに乗れないくらい』嗅覚が鋭く、『いいことはあまりなくて、食べものの匂いにも敏感で、外食がしにくかった』ともおっしゃいます。視覚、聴覚、味覚、触覚、そして嗅覚という人の五感が感じとる感覚というものは人によって千差万別です。そんな中でも他の四つの感覚はそれを避ける術がありますが、嗅覚だけは、ヒトが呼吸をする限りそれを感じないようにすることはできません。また、この世のあらゆるものには何かしらの匂いや香りがあります。そんな匂いや香りに向き合う職業が調香師です。この作品に登場する調香師の小川朔は、その能力に特に秀でているという設定のため、読者はさまざまな匂いや香りをこの作品から感じることになります。一香も驚くことになる『アスパラガスを食べると尿が臭くなるという人がいるんだ』と言う朔の説明。『良い香りだと書いている海外の作家もいるけれど、卵や腐った玉葱のような異臭を感じる人がいる』というその内容には、えっ?という思いを抱かざるを得ません。その匂いを感じられない人に対して『アスパラガス嗅覚障害なんていう言葉もある』というその”香り”の世界。読み進めれば進めるほどにさまざまな匂いや香りが取り上げられていくこの作品。いつかしら読んでいる単行本からさまざまな匂いや香りが漂ってくるように錯覚しだした自分がそこにいるのを感じました。そんな作品で取り上げられる匂いや香りの世界について『香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される』と語る朔。そんな『香り』と共に過去の記憶が自分の中に閉じ込められていると説明する朔。この世の全てのものに何らかの匂いや香りがあるとしたら、そして、それが永遠に記憶されているのだとしたら、そんな匂いや香りを嗅ぐことは過去の記憶を呼びさます一つの起点にもなっていきます。『この香りで思いだしたんだよ』と言われた一香の姿が描かれるこの作品。匂いや香りというものが持つ奥深さとその神秘性にすっかり囚われてしまいました。
『記憶にはその匂いにまつわる思い出もふくまれています』とおっしゃる千早さん。私たちが日々生きる中では、その瞬間、瞬間の無意識な呼吸活動の中で、無限と言ってもいいほどの匂いや香りと接することが避けられません。そんな匂いや香りと共に仕舞われる記憶たち。そして、『そのひきだしとなる香りに再び出会う』時に仕舞われた記憶が蘇る、そんな様が描かれたこの作品。文字だけの単行本の中から、音が聞こえ、色が浮かび上がり、そしてさまざまな香りが漂ってくるのを感じたこの作品。千早さんの圧倒的な筆の力によって、本来感じないはずの聴覚と嗅覚が刺激されるという、なんとも不思議な体験をさせていただいた、そんな作品でした。 -
ほとんど一気読みでした。
皆さん、本書を高評価されていますが、ホントに最高の物語じゃないですか???
読みながら、すぐにでも連続ドラマにしてくれー!と思ってしまいました。はっきりした起承転結、いくつかのエピソード、後半になるにつれ明らかになってくる謎、深くなる人間関係‥‥
主人公の一香と、謎の調香師・朔はもちろんのこと、脇を固める朔の幼なじみの新城、朔の住む屋敷の庭師の源さん、一香をいつも気にかけてくれる友だち・さつき、皆、キャラが立っていて、いつか絶対ドラマ化されるであろうと期待です!
物語は蔓薔薇の咲き乱れる初夏から始まり、ジトジトとした梅雨、頭上からわんわんと降りそそぐ蝉の声、金木犀の黄金色のシャワー、ストーブと羊毛の匂い、そして一人の春を過ごし、また蔓薔薇の季節を迎える。蔓薔薇の最終回。もう完璧。
執着と愛着の違いは何か?‥‥もう、そんなこと考えてる時点で好きってことだよー
あー、早くドラマ見たいw
続編も早く読みたいw
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1Qさん、こんばんは♪
私も図書館順番待ちです( ̄∀ ̄)ニヤリ
ん〜〜〜早く読みたいですね〜〜〜1Qさん、こんばんは♪
私も図書館順番待ちです( ̄∀ ̄)ニヤリ
ん〜〜〜早く読みたいですね〜〜〜2023/06/24 -
こっとんさん、こんばんは(*^^*)
この空気感がたまらなく好きでした〜!
ほんと最高でしたよね♡♡
味覚に臭覚に、.五感を刺激されました
...こっとんさん、こんばんは(*^^*)
この空気感がたまらなく好きでした〜!
ほんと最高でしたよね♡♡
味覚に臭覚に、.五感を刺激されました
ドラマ化されるなら朔は誰だろう??
色々想像するのも楽しい〜\♡︎/
続編も良かったですよ〜(≧∇≦)2023/06/24 -
mihiroさん、こんばんは♪
この作品のファンの方、多いですよね〜
読んでみて納得です!
続編もう読まれてるのですよね。羨ましー
ドラマ化...mihiroさん、こんばんは♪
この作品のファンの方、多いですよね〜
読んでみて納得です!
続編もう読まれてるのですよね。羨ましー
ドラマ化はもちろん、ぜひともシリーズ化してほしい作品です!2023/06/24
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先週、娘がどこからか新型コロナウイルスを持ち帰り、完全隔離をしていたのだが、食事を運んだ時なのか?何処かで私も感染してしまった(^◇^;)
4日間、高熱と頭痛が続き、その後も絶不調。
とても読書をする気にならなかった。
ということで久々の読書。
元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始める。
そこでは調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。どんな香りでも作り出せる朔のもとには、風変わりな依頼が次々と届けられる。
味覚と嗅覚をコロナでやられた私が、鋭い嗅覚の持ち主の本を読んでいる(笑)
今の私は、庭に咲くラベンダーの強い香りですら、全く一ミリも感じないというのに(^◇^;)
何とも不思議な感覚だ。
とても読みやすい本だった。
朔のような嗅覚を持ち合わせていたら、便利なのか?不便なのか?
やっぱり不便だろうなぁ。。。
しかし朔には不思議と優しい雰囲気を感じる。
小説自体も優しい雰囲気で、多分続編があるのだろうな。。。
それもぜひ読んでみたいと思う(^^)-
bmakiさん、こんばんは
はじめてコメントさせていただきます。
フォローや、いいねしていただいていて、ありがとうございます。
コロナ、...bmakiさん、こんばんは
はじめてコメントさせていただきます。
フォローや、いいねしていただいていて、ありがとうございます。
コロナ、ほんとに辛かったですよね。
今日は、体調いかがでしょうか…?
以前に…
夫が一度と、実家の父親も感染したことがあります。
そのたびに私は濃厚接触者になり、気をつけながら介護したり、父親の入院の手続きなどしたりしました。
何とか私の場合は大丈夫でしたが、それだけでも大変だったです…
どうぞ…引き続きお大事にしてくださいね。
2023/06/16 -
かなさん
コメントありがとうございます。
娘さんも罹患されたのですね(ToT)
しかも離れていらっしゃると心配ですよね(ToT)
...かなさん
コメントありがとうございます。
娘さんも罹患されたのですね(ToT)
しかも離れていらっしゃると心配ですよね(ToT)
5類になっても、パワーは凄いですよね。
これがコロナなのか!!と罹患して初めて恐ろしさを知りました(^◇^;)
赤い月の香りですね!
ありがとうございます!
積読が今6冊くらいあるので、それが終わったらまた読んでみたいと思います(^^)2023/06/17 -
チーニャ、ピーナッツが好きさん
いつもありがとうございます(^^)
先々週の金曜に発症して既に二週間が経過しているのに、まだ咳が...チーニャ、ピーナッツが好きさん
いつもありがとうございます(^^)
先々週の金曜に発症して既に二週間が経過しているのに、まだ咳が酷く、味覚も嗅覚もおかしいままです。
咳は先週より酷いかもしれません。。。
一体どーなっているんでしょう??
濃厚接触者で罹患されないのは、凄く注意が必要で、神経使われたのではないかと思います。
私も気をつけていたのですが、油断があったのか、ちょうど免疫力が低下していたからなのか。。。
体調不完全の間はおとなしくしていようとおもいます(^_^;)
ありがとうございました。2023/06/17
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面白かった!この本をレビューしてくださったフォロワーさんに感謝です。
静かで落ち着いた物語です。タイトルの通り寝る前の一人時間にゆっくり読みたいです。
この物語は天才「調香師」朔(さく)とその館で働くことになった一香(いちか)の再生の物語です。再生の過程が明らかになるにつれ「人ってそういう面があるよね。」と共感しながら読みました。
現代の化学では6000種類もの香料がありその組み合わせで『理論上はどんな匂いでも再現できる。』そうです。また『香りは永遠に記憶される。』ともあります。確かに林の土の匂い、春風の匂い、アスファルトの匂いなど四季折々や人生のある場面が匂いで蘇ることがあります。
朔は匂いからその人の感情や健康状態、生活の様子まで読み取ることができます。犬も他の犬のマーキングから犬種や大きさ、健康状態まで分かるとあります。匂いについてこんなに考えたことはありませんでした。現時点では酷暑の中欠かせないデオドラントスプレーの爽やかな香りを作ってくれた人に感謝しようと思います(笑)
また、登場人物一人ひとりのキャラが立っています。様々な背景を持った依頼者との物語のなかで朔が不倫や執着、あるいは嘘などを看破して謎が氷解していきます。スッキリしますし、この作品の醍醐味です。人間の心の奥底を匂いで言い当てるなんてなんとも面白いです。
依頼人の心を掘り下げながら、朔と一香の心の中も掘り下げられていく。その過程が人間の奥深さを感じさせすごいと思います。
この作品を読んでまだまだ知らない世界が広がっていることに気づかされました。
思うに一香の兄はアスペルガー症候群で適応障害を起こしていた。それにより、一香は心に重い壁を造ってしまった。また、朔は嗅覚が突出してる分、他の感覚がどこか欠けている感じがします。この二人が互いにうまく補いって行けたらと思いました。
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ちゃたさん、おはようございます♪
読まれましたね~(≧∀≦)
面白かったですよね!
私もこの作品のおかげで今まで知らなかった新しい世界に触れ...ちゃたさん、おはようございます♪
読まれましたね~(≧∀≦)
面白かったですよね!
私もこの作品のおかげで今まで知らなかった新しい世界に触れることができました。
やっぱり読書って楽しいですよね(о´∀`о)
ただ今、続編の「赤い月の香り」を読み始めたところです。こちらも面白いですよー♪2023/08/14 -
こっとんさん、おはようございます。これ、ドラマ化したらかなり面白いと思います。
それぞれのキャラの輪郭がハッキリしていますよね。
続編がある...こっとんさん、おはようございます。これ、ドラマ化したらかなり面白いと思います。
それぞれのキャラの輪郭がハッキリしていますよね。
続編があるなんて嬉しすぎます。ありがとうございます!こちらも是非読ませていただきます!2023/08/14
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1.感想
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不思議な雰囲気にのまれる感じでした。
たまに登場する新城が「唯一の現実」と感じるような、そんな非現実的な空間の中に入り込むような感じでした。
ほんと、不思議な世界観でした。
主人公、一香の心の声が、毎回、意識を違うところに飛ばし、「はっ」、として戻ってくることの繰り返しが、とても多かったです。
目に見えないものを、見に見えるように表現している、そんな風に感じました。目に見えるものと、目に見えないもの、どちらが大切なのか、なんてことを、昔、考えていたことを思い出しました。また、いろいろなことへの意識を広げるきっかけになるような、そんな感覚を抱きました。
たくさんのふしぎで、「名前のちから」を読んだ時に感じたことが、ふと、よみがえりました。名前がないものは、存在しないか、一括りにされる。匂いも、いい、臭い、甘い、刺激臭、加齢臭、いろいろありますけど、知らない臭いの名前は、山ほどあるんでしょうね。
「人は記憶を選択することはできないのだろうか」ということばごあって、ほんとだよな〜、と考えちゃいました。
毎週のように、恥ずかしい行動を繰り返す日々の私は、ほんと、それを思い出して、「うわっ」、と叫んでしまうことが多く、そんな記憶を忘れたいと思う日々です( ; ; )
良い作品でした。最後もよかった。
次回作に一香は登場しなさそうなのが残念。
◇◆━━━━━━━━━━━━
2.あらすじ
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兄との関係に深い傷を持つ一香。どん底の生活を送る中で、バイトとして、朔と、新城と出会う。
2人との出会いが一香をどん底から救い出していく。
◇◆━━━━━━━━━━━━
3.主な登場人物
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若宮一香 いちか
小川朔 鼻がいい、天才、調香師
新城
源次郎 庭師
さつきちゃん 友達
【客】
藤崎 20代後半に見える、美人、未亡人
ミツコ おばあちゃん、盲目
オリザ フランス人とのハーフ、モデル、女優
美結 みゆ、大学の事務員
木場 警察官
仁奈-
Manideさん、こんばんは!
この作品、私すごく好きです(^-^)
読みながら、「香り」と「色彩」を感じられたのは
この作品が初めて...Manideさん、こんばんは!
この作品、私すごく好きです(^-^)
読みながら、「香り」と「色彩」を感じられたのは
この作品が初めてだったので、衝撃を覚えました。
で、この作品に登場した一香さん、
次作の「赤い月の香り」でも登場しますよ。
ぜひ、手にとって読んでみてくださいね!2023/05/23 -
かなさん、こんにちわ。
コメントありごとうございます。
香り感じました(^^)
普段、そんなに香りを意識した生活してないですけど、数日は香...かなさん、こんにちわ。
コメントありごとうございます。
香り感じました(^^)
普段、そんなに香りを意識した生活してないですけど、数日は香りへの意識が高まってると思います。
続編にも一香さん登場するんですね〜
楽しみで〜す。2023/05/23
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以前、ブクログスタッフレビューで紹介され、気になっていたので読んでみました。
香りがテーマになっているのは知っていたけど、色彩についてもとても色鮮やかで、目に見えるようでした。それと対比するように、物静かで、時間がゆっくり流れている感じがとても心地よい。あと、出てくる料理がいちいち美味しそう。
一香と朔の距離感がゆっくり近づくにつれ、お互いの過去を知っていく… 2人の関係性の変化と、相変わらずな新城。最初から最後まで新城は呼び捨てにされていたし。笑
「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される」らしい。忘れたくないことは、何かの香りと一緒に覚えておくと良いのかも。
どうやら続編が出ているようなので、今度読んでみよう。 -
初めての作家さんでした
不思議な世界観の物語で
ぐっとその世界へ引き込まれました
調香師という普段馴染みのない仕事をしている朔の元で、家政婦のような仕事をすることになった一香。
仕事の内容や、やりとりもとても面白かったです(^^)
あとは魅力的な登場人物が多く
映像化しても良さそうですね(^^)
朔と新城は誰かなーっと
俳優さんを当てはめながら読んでしまいました(^^)
一香の過去、朔の孤独、新城との絆
読み進めていくたびに
彼らのことを知り、好きになっていく自分がいました
続編も出てるので
読むのが楽しみです(^^)-
2023/08/06
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しずくさん
コメントありがとうございます!
しろがねの葉読まれたんですね(^^)
私はまだそこまで読めてないです(ー ー;)
でも赤い...しずくさん
コメントありがとうございます!
しろがねの葉読まれたんですね(^^)
私はまだそこまで読めてないです(ー ー;)
でも赤い月の香りは読みました!
こちらの方が私は好きでした(^^)2023/08/07 -
図書館に予約していた「しろがねの葉」が「赤い月の香り」より早く届いたのです。レビューを拝見して、「透明~」よりも面白そうで楽しみです。図書館に予約していた「しろがねの葉」が「赤い月の香り」より早く届いたのです。レビューを拝見して、「透明~」よりも面白そうで楽しみです。2023/08/07
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本を開くとそこには、様々な草木の匂いや爽やかなハーブの香りに満ちた世界が広がっている
文字を追いながら香りに包まれる不思議さ。
さらっと乾いた香りのしそうな白い衣服と透明感のある世界。
その中で印象的な色彩を持つもの。
独特の読書体験でした。
しかし人並み外れた嗅覚を持つ調香師の小川朔に、全てを見抜かれる感覚には恐怖を覚えました。
その人の体臭から、感情や体調が伝わってしまうのです。
特に嘘の臭いには敏感で、すぐにバレてしまいます。
読みながら感じたことは、私は自分の感情や嘘を人に知られるのが怖いのだな、ということ。
なんだか気持ちがザワザワしました。
そんな中でほっとするのは、朔の友人の新城。
どこか浮世離れした世界の中で、とても人間らしい現実味のある人物です。
登場人物の中で一番好きかも。
そしてラストは……
とても良かったです
未来を感じる余韻が素敵でした。-
Ꮇanideさんも、おはようございます〜♪
続編、図書館に入ったら読めると良いですねー!!!!
続編も、私は好きです。
(*^_^*)☆彡
Ꮇanideさんも、おはようございます〜♪
続編、図書館に入ったら読めると良いですねー!!!!
続編も、私は好きです。
(*^_^*)☆彡
2023/06/13 -
チーニャさん、おはようございます^_^
ホントに独特の世界観…
洋館と森の、この世とは思えない風景が目の前に広がるよね
普段飲まないハー...チーニャさん、おはようございます^_^
ホントに独特の世界観…
洋館と森の、この世とは思えない風景が目の前に広がるよね
普段飲まないハーブティーとか淹れてみたくなったり(笑)
続編も楽しみ♪
まだまだ先になりそうだけど(^_^;)2023/06/13 -
2023/06/13
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著者プロフィール
千早茜の作品






初めまして、村上マシュマロと申します。
この度、いいね!とフォローをして頂き、ありがとうございます。
ヤンジュさ...
初めまして、村上マシュマロと申します。
この度、いいね!とフォローをして頂き、ありがとうございます。
ヤンジュさんの感想を拝読させて頂きました。
私は、この著者「千早茜」さんを存じていなく、もちろんこの『透明な夜の香り』も知りませんでした。
ヤンジュさんの感想を拝読して、いつかは私も読了してみたいと思いました。私の本棚にも登録させて頂きたいと思います。
1冊の書籍を読むのがとてもスローですが、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。