悪い姉

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717259

作品紹介・あらすじ

「平穏な生活のために、姉を殺すことにしました」

三月生まれの倉石麻友と、四月生まれの姉・凛。
ふたりは生まれの近い年子のため、同学年として同じ高校に入学した。高校二年生になった春、麻友は姉を殺す計画を立てる。姉は誰もが振り返るような美少女だが、実は意地悪で残酷。幼いころからいじめなどの問題行動を繰り返していた。
ずっと「毒姉」との決別を夢想しては敗れてきた妹の、試行錯誤の行方は?
そして、妹自身が抱え続ける罪とは――。
思い込みから解き放たれ、自由へと向かう物語。

【著者略歴】
渡辺 優(わたなべ・ゆう)
1987年宮城県生まれ。大学卒業後、仕事のかたわら小説を執筆。2015年に「ラメルノエリキサ」で第28回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。著書に『自由なサメと人間たちの夢』、『アイドル 地下にうごめく星』がある。

感想・レビュー・書評

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  • うん、悪い姉だった。
    悪いというか、こういう人をサイコパスと言うのでは?

    姉の邪悪さはもちろん、それに気づいても当たり障りのない対応しかできない母親と、気づかない振りをする父親が嫌だった。
    あと、姉のことを打ち明けようとした麻友に、家族の悪口は言わない方がいいよ、なーんてぬるい発言をしてしまうヨシくんね。麻友の恋心が一瞬で醒めるわけだけど、まあ私からしたら当然だな。家族に問題を抱える人は、ヨシくんみたいな人とは分かり合えない。

    年子の妹が高校卒業を機に姉や両親と距離をとろうと終わるけど、そうはいかなそう...

  • ここまで性格の悪い姉、いる?
    もはや性格っていうよりも病気レベルで人格が悪い。

    そんな姉に子供の頃から振り回されて育った主人公。姉を殺したくて殺したくて何回も姉を殺す夢を見るくらい。
    しかも同学年だってのが余計に辛いよなぁ。

    ラストはすごく現実的な折り合いの付け方。
    主人公にはこれから幸せになってほしい。

  • 一気に読めた。
    妄想の中で姉を殺そうとするシーンは、今度こそ現実か?と毎回ハラハラしてしまった。

    高校2年生の麻友は、幼い頃から毒姉、凛に数々の残虐な仕打ちをされてきた。家でも学校でも常に姉に怯えた生活に嫌気がさして、殺意を認めるように。
    殺したいくらい大嫌いでも、家族だから簡単に離れられない…そんな葛藤の中で、実は姉のことが好きだという気持ちに気付き、姉から自由になるために一歩踏み出していく。

  • 悪い姉といっても性格が悪いぐらいかな?と思って手に取ったら、万引きをするようなしっかりと悪い姉だった。

    こんなに悪い姉ではないけれど実際に姉がいる身としては、下っ端根性が染み付いてしまっている主人公・麻友に色々と共感できたので兄姉がいる人の方が楽しめるかも。

    共感できたからこそ麻友が最後に見た夢に少し寂しい気持ちにさせられました。

  • 「平穏な生活のために、姉を殺すことにしました」

    帯からスリリングなサスペンスを想像していたが蓋を開ければ毒姉に悩まされ続けて来た妹の心情を淡々と綴った家族小説だった。

    姉の倉石凜は4月生まれ、妹の麻友は3月生まれ、年子で生まれクラスは違えど同学年として同じ高校に通っている。
    綺麗で頭脳明晰、運動神経も良い姉の凜だが幼い頃から邪悪で残酷な面を持っていた。

    姉に忖度しながら麻友に芽生える殺意。

    ドキドキしながら読み進めるも大きな展開もどんでん返しもなく全体を通して平坦な印象が残った。

    姉妹の両親に不甲斐なさを感じた読後。

  • イヤミスになるのか?
    毒姉と妹のやりとりがしんどくて、もっと嫌なことがあるのか、ハラハラしながら読んだ。
    本当に殺しちゃう?
    家族とは家族だからこそ悩ましい存在で、みんながみんな仲良しとは限らず、周りからは分からない関係があるものだと思う。
    けど、この姉は無理!

  • 本当に悪い姉だった。性格も素行も悪い。
    女子高生の思考がテンポの良い文章で自分の中にスルスル入ってきて読みやすかった。

  • 初渡辺優作品。ドロドロの人間関係が面白い。

  • 美人で頭が良くまわりにいつも取り巻きがいるような、でも性格が最悪に悪い年子の姉を殺してやろうと決意し、毎日そのことを考えている平凡な女子高生の妹の話。

    姉の底意地の悪さにふりまわされて嫌な思いばかりしてきて殺そうと決意したわりには、なんだか強い意思は感じられず。結局流されたり言いたいことを言えなかったり、殺すなんてとてもとても。現実的に高校生なんてこんなもんなんだろうけど、この中途半端さに読んでいてイライラする。主人公がちっとも好きになれない。

  • 序盤のヨシくんとのくだりで思い込みの激しい主人公で、姉のこともバイアスかけてるだけで姉自体はそんなでもないんじゃないかなーなんて甘っちょろいことを考えていた自分を殴りたい。姉ヤバすぎる。いじめ暴力万引きなんでもあり。主人公の「世界にとってネガティブな存在」って表現うますぎる。

    だけど世界にとってネガティブな存在であり絶対的な強者だと思っていた姉が、クラスでは普通にまっとうな人から疎まれ孤立しかけていて、別に主人公が思っているほどの存在感があるわけじゃないと気づくところ、おとなになった瞬間って感じだなぁ。あと殺人事件の半数は家族間で起きてるって情報を得て、姉に対して殺意を抱いてる自分は格別に悪い存在ではないと知ったところ。
    自分が思っているほど自分は重要な存在ではないし、自分の環境も特別なものではないんだよね。

    どうしようもなかったはずの愛憎が、真正面から対話を試みても言葉が通じないんだ伝わらないんだと実感した瞬間すっと昇華されたのはヨシくんへの恋心と一緒でうまいなーと思った。
    実家脱出問題は、大学の合否こそ書かれていなかったけどまああんだけ落ち着いて試験受けられたのとラスト一人暮らしっぽかったのでうまいこと逃げられたんだと解釈した。

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著者プロフィール

1981年静岡県生まれ。天理大学人間学部宗教学科講師。東京大学文学部卒業,東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了,博士(文学)。2011-2013年,フランス政府給費留学生としてパリ・イエズス会神学部(Centre Sèvres),社会科学高等研究院(EHESS)に留学。2014年4月より現職。専門は宗教学,とくに近世西欧神秘主義研究,現代神学・教学研究。訳書に,『キリスト教の歴史 ―― 現代をよりよく理解するために』(共訳,藤原書店,2010年),論文に「もうひとつのエクスタシー ―― 「神秘主義」再考のために」(『ロザリウム・ミュスティクム:女性神秘思想研究』第1号,2013年),「教祖の身体 ―― 中山みき考」(『共生学』第10号,2015年)など。

「2016年 『ジャン=ジョゼフ・スュラン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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