塞王の楯

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717310

作品紹介・あらすじ

どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!

越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。
幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。
匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。

秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。
一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。

大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。

【プロフィール】
今村翔吾(いまむら・しょうご)
1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビューし、同作で第7回歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞を受賞。2018年「童神」(刊行時『童の神』に改題)で第10回角川春樹小説賞を受賞、同作は第160回直木賞候補となった。『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。2020年『じんかん』で第11回山田風太郎賞を受賞、第163回直木賞候補となった。2021年、「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第6回吉川英治文庫賞を受賞。他の文庫書き下ろしシリーズに「くらまし屋稼業」がある。

感想・レビュー・書評

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  • 自分にとって初の今村翔吾さんの作品。
    最近神保町に新しいスタイルの書店をオープンされたニュースを見て、執筆活動以外にも別に本に関する事業にも積極的に展開されている事を知った。
    まだ30代と若いのにそういった販売、流通の活動にも視先が届くとは素晴らしい感性の持ち主であろう。その行動力に凄く好感を持っている。
    今村さんの作品は色々と読んでみたいと思わされる作品が多く、まずはこちらの直木賞受賞作品から読んでみた。

    舞台は戦国時代末期の近江国(滋賀県)、大津城。天下分け目の関ヶ原の戦いの一部になるのであろうか。
    物語は石工職人と鉄砲職人とのプライドの攻防戦。凄い臨場感と緊張感で終盤の物語は圧巻。

    以前フジテレビで「ほこ×たて」という番組があったが、ズバリこの作品のことではないか。非常に面白かった。
    この作品が直木賞作品だと思わされるのが、混沌とした時代だからこそ石工も鍛冶屋も両者が平和の世を目指し腕を磨いているところ。
    太平の世を自分達の腕と技術で平定するという理念、ここがプライドのぶつかり合いになり凄く面白い。
    簡単にライバルという言葉では足らない、己らの意地と命と精神と使命の攻防戦がお見事だった。

    この作品を読んで、現代社会にも通ずる話だと感じた。
    その卓越した伝統技術を弟子にしっかりと受け継がせ、独り立ちさせている塞王。素晴らしいリーダーだ。
    自分も飲食店の店主、部下は何人もいるのに教えきれているのか?導いているのだろうか?
    なんとも言えないとしか言いようがない。

    そしてプライドの部分。ここまでのプライド持って仕事に取り組んでいないなと反省。今からまた気持ちだけでも前進していこうと決意を固めさせてもらった。

    最高だった。
    今後、何作か続けて今村さんの作品を読んでみたい。

    • fufufuyokoさん
      そんな風に思ってる店主の元で働く方たちは幸せ。また感想を楽しみにしてますね♪
      そんな風に思ってる店主の元で働く方たちは幸せ。また感想を楽しみにしてますね♪
      2024/05/18
  • 命をかけるということ、それはその状況に置かれたからこそわかること。何のためにことを起こし、成し遂げるのか、それも、時代が求めたこと。いずれにしても、そんな時がつながって今があり、その時に生きることの意味を感じ、生きたい。

  • 第166回直木賞受賞作。

    図書館で一度は借りようと予約を入れたら40人待ちで、購入しました。時代小説が好きな人が周りにいないので、次は、なるべく高値がつくうちにブックオフに持っていくので、帯からストーリーを引用させていただきます。


    「最強の盾」対「至高の矛」
    幼い頃、落城によって家族を失った石工の匡介(きょうすけ)。彼は「絶対に破られない石垣」を造れば、世から戦を無くせると考えていた。
    一方、戦で父を喪った鉄砲職人の彦一郎(げんくろう)は「どんな城も落とす砲」で人を殺し、その恐怖を天下に知らしめれば、戦をする者はいなくなると考えていた。
    秀吉が死に、戦乱の気配が近づく中、琵琶湖畔にある大津城の城主・京極高次は、匡介に石垣造りを頼む。攻め手の石田三成は、彦九郎に鉄砲造りを依頼した。
    大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、信念をかけた職人の対決が幕を開ける。


    以上、帯より引用。



    時代小説は苦手で、前半はなかなか読み進みませんでした。
    ところが551ページあるうち400ページをすぎたあたりからページをめくる手が止まらなくなりました。
    最後の大筒で彦九郎に大津常の匡介らが砲撃される場面は迫力がありました。

    「城が落ちるということは生殺与奪の権を敵に与えるということ。命を懸けて約定を取り付けても、それが守られなかった例もごまんとあります」
    戦はとても恐いと思いました。今のウクライナの人たちの心情が想われました。

    「彦九郎が問うたのは心である。この距離で大筒を放たれたことはあるまい。恐れが心を支配し、二度と立ち上がれないのではないか。それで決着がつくのだから、少なくともお前たちは死なずに済むのだから」
    これはプーチン政権の論理と同じではないかと思いました。とても恐いことだと思いました。

    武器を造ることを生業とした者たちも私たちと同じ日常生活を送っている一人の人間なのに。毎日何を考えながら武器を造っているのでしょうか。

    最後に、今の平和な日本に生まれて幸せだと思いました。外から攻撃されることはなきにしもあらずですが、少なくとも今は国内での争いはありませんから。

    • くるたんさん
      まことさん♪おはようございます♪

      今の世界情勢を絡めたさすがのレビューです。

      また読んだら刺さる部分がいっぱいありそう。あ、私もこれ購入...
      まことさん♪おはようございます♪

      今の世界情勢を絡めたさすがのレビューです。

      また読んだら刺さる部分がいっぱいありそう。あ、私もこれ購入しちゃいました¨̮♡
      2022/04/24
    • まことさん
      くるたんさん。おはようございます♪

      今、レビューにウクライナ情勢を書かれている方は本当に多いですよね。
      やっぱり書かずにはいられない...
      くるたんさん。おはようございます♪

      今、レビューにウクライナ情勢を書かれている方は本当に多いですよね。
      やっぱり書かずにはいられないですよね。
      この情勢が世界中に飛び火することがどうぞありませんように。
      ウクライナの人々が早く平穏な日常生活に戻れますようにという気持ちでいっぱいです。
      2022/04/24
  • 【読もうと思った理由】
    今村翔吾氏の作品は以前「童の神」で出会い、その熱い熱気と、言葉選びの巧みさに、一気にファンになってしまう。第166回直木賞受賞作でもあり、ずっと読もうと思っていた。

    【あらすじ】
    幼い頃、落城によって家族を喪った石工の匡介(キョウスケ)。彼は「絶対に破られない石垣」を造れば、世から戦を無くせると考えていた。一方、戦いで父を喪った鉄砲職人の彦九郎(ゲンクロウ)は、「どんな城も落とす砲」で人を殺し、その恐怖を天下に知らしめれば、戦いをする者はいなくなると考えていた。秀吉が死に、戦乱の気配が近づく中、琵琶湖畔にある大津城の城主・京極高次は、匡介に石垣造り遠頼む。攻め手の石田三成は、彦九郎に鉄砲作りを依頼した。大軍に囲まれ絶対絶命の大津城を舞台に、信念をかけた職人対決が幕を開ける。ぶつかり合う、矛盾した想い。答えは戦火の果てにー。

    【感想】
    以前読んだ「本の読み方(平野啓一郎著)」で、「物語の書き出しこだわらない小説家はいない」の文章を読んでから、読む小説ごとに書き出しには特に注意して読んでいた。本作の書き出しは、「男の嘆き、女の悲鳴が町中を覆っている。まるで町そのものが慟哭しているようであった。」から始まる。何度も推敲したのが伝わる言葉の流麗さに、導入部からすっかり心を持っていかれてしまった。

    今村翔吾氏は、以前見たインタビュー記事で、『「面白い」の幅って、とても広いですよね。エンターテインメント的にワクワクする面白さ、知識を生み出す面白さ、自分の思考と向き合う面白さとか、多様な面白さを包括したものを書きたいと思っています。執筆しているときのイメージは、お香の調合に近いかもしれません。常にいろいろな面白さのパーセンテージを維持しながらずっと走り続けるみたいな感じですね。エンタメに寄せすぎていたら、一旦思考する方に行って、主人公は何を学んだのか、などに短くてもいいから触れてみる。』と語っていた。

    流石である。エンタメ的に面白いだけでなく、多様性を持った「面白さ」にこだわっているからこそ、ここまで作品に没入出来るのかと納得し、腑に落ちた。550ページに渡る大作にも関わらず、最後まで作品に没入できた。デビュー5年目の今作で直木賞受賞も納得だ。その理由は、言葉選びの巧みさが終始一貫して素晴らしいことと、主人公・匡介を始めとした登場人物達が、各々の躍動感がありありと伝わってくる人物描写の上手さ。さらに、今まで読んできた作家の方より、登場人物への感情移入度がより深く出来るのが、多くの方に支持されている理由だと思った。今後も今村翔吾氏の作品は、間違いなく読み続けると思う。
    素晴らしい作家と出会えたと感じれるこの読後感が、読書を続けていて最も良かったと感じられる瞬間だ。

    【一番熱くなったシーン】
    この物語での裏の主人公は玲次だと思う。
    寝ずに味方のために、大津城に石を運ぶ際、自分には愛する妻子がおり、且つその男児は生まれつき腕が曲がって生まれた子。自分がここで死ねば、残された家族はきっと困ることは目に見えて分かっている。そうなれば、自らの家族を守れなかったことにもなるだろう。だが今、もしここから逃げ出してしまえば、皆が大好きでいてくれる自分では無くなってしまう。これから幾多の苦難に直面するだろう息子に、胸を張って励ますことが出来なくなる。「塞王を支える…これがおっ父の仕事だ」このシーンは本書で最も胸が熱くなったシーンだ。瞳に熱いものが潤んでくる。

    【本作品から受け取ったメッセージ】
    人間どんな絶望的な状況に陥ったとしても、決して諦めず、信念を貫き通せば、状況は打開できると体感できた。なので現実の生活でも、どんな逆境にあっても自分で一度決めたことは、決して諦めないで貫き通そうと思った。

    【雑感】
    今村翔吾氏の作品は、何せ日常では使わない漢字のオンパレードだ。文章を噛み締めて読もうとすると、本と辞書を数え切れないほど何度も往復する。ただポジティブに考えれば、今村翔吾氏の作品を読めば読むほど、語彙力が知らぬ間に上がっていくメリットもあるんだと感じられた。

  • 2021年下期直木賞受賞作品

    今村翔吾作品は初読みだ。いや〜しびれた!

    城好き、石垣好きにはたまらん小説だ。
    そういえば城好き、いや石垣好きが芸能人にも確かいたよな、タモリや高橋英樹だったっけ。この作品をぜひ薦めたい(笑

    まず作中の一人称が、矛さん楯さんともに「己(おのれ)」であることになんとなく作者のこだわりを感じた。

    今風に言えば、あらゆる国が防衛力強化を図り、勢力均衡を実現しもって平和な世をつくることを目指す穴太衆飛田屋と新種の兵器を開発生産させることにより抑止力効果を発揮し戦争のない世をつくろうとする国友衆との激突を描いた作品。

    穴太衆の乱世最強の楯と国友衆の至高の矛、どちらが勝つのかは読んでみてのお楽しみだ。

    それにしても京極高次の魅力的な人柄がこの作品に豊かな彩りを与えているのは確かだ。あくまで個人の見解だがまるで三国志の劉備玄徳的な人に感じた。

    歴史好きのみならず広くオススメしたい一冊だ。

    最後に予言を一つ…数年後に映画化される、間違いない!
    というか映画化されること想定して書かれている気もしないではない。
    気が早いが映画を見るのが今から楽しみだ。

  • 盾(石垣)対矛(鉄砲)の攻防。
    全ては戦いを終わらすため ー

    第166回直木賞受賞作。
    米澤穂信さんの「黒牢城」とお城ものW受賞だった。
    (ちなみにこの回は「同志少女よ、敵を撃て」がノミネートされている!)

    描かれている大津籠城は、派手さはないけど関ヶ原の戦いで東軍を勝利に導いた重要な戦い。
    戦国小説は普通、武士が主役だけど、この小説は職人同士の戦いを描く。
    ユニークだけど、とても重厚で読み応えのある560ページ。
    読書の喜びを堪能させていただきました。

    読み終えて、久々にお城に訪れてみたくなった。

  • 天下分け目の関ヶ原の戦いに連なる籠城戦といえば、かの真田昌幸親子が上田城に籠もり、後の二代将軍徳川秀忠を足止めした戦いがあまりに有名ですが、一方東軍の方でも関ヶ原へ向かう西軍を大津城にて足止めした籠城戦があり、その「大津城の戦い」に着想を得た物語が本作『塞王の楯』となります

    攻めるは西国無双との呼び声高き猛将立花宗茂と鉄砲鍛冶集団国友衆を率いる至高の矛『砲仙』彦九郎

    守るは有力者に連なる妻や妹のおかげで出世した蛍大名と揶揄され戦下手とされる京極高次と石垣作りの職人集団穴太衆飛田屋の頭で最強の楯『塞王』匡介

    そしてこの決戦に火蓋が切られるまでの盛り上げ方が抜群にうまいのよ!バーツグーン(腕を交差させながら)!

    共に泰平の世を目指すところは一緒でも、異なる道を歩む二人
    一方は誰にも破られない最強の楯をいたるところに築くことで
    一方はひとたび使えば甚大な被害をもたらす至高の矛をあまねく行き渡させることで(抑止力の考え方やね)

    そして勝負の結果は?
    泰平の世を実現させるために用意した今村翔吾さんの答えは?

    納得の結末に気持ちよかです

    それにしても、これ読んだらみんな京極高次大好きになっちゃうよな〜
    もちろん京極高次と妻であるお初の方をどんだけ好きになってもらうかってところがこの作品の最大の見せどころなんだけど
    この京極高次のキャラクターや信念みたいなんも最強の楯とはなんぞや、穴太衆の奥義とは、そして泰平の世に続く道とは、ってところに繋がっていくんよね

    京極高次の家臣団がちゃんと史実に沿ってたりする小技も見事で、そりゃあ直木賞でしょうよ
    これ受賞してなかったら審査員全員に卍固めしなきゃならんかったところよ、政界に卍固めよ
    ほんと良かったお互いそんなことにならなくて

    それではみなさんご唱和下さい!
    イーチ、ニー、サーン、ダァーッ!!(天まで届け)

    うん、我ながらすごい着地

    • ひまわりめろんさん
      みきっちさん
      こんばんは!

      なにやら共感頂いたみたいでありがとうございます
      そうですよね!やっぱ卍固め最強ですよね!燃える闘魂アントニ…え...
      みきっちさん
      こんばんは!

      なにやら共感頂いたみたいでありがとうございます
      そうですよね!やっぱ卍固め最強ですよね!燃える闘魂アントニ…え?そこじゃない?高次のほう?

      そうそう高次ですよ、分かってますよ
      わたくしのブク友みんみんさんがよく言うセリフなんですが、もう高次に関しては、これが史実でいいんじゃないでしょうかwこれこそがみんなが幸せになれる結論だと思います!
      2024/01/26
    • みきっちさん
      ひまわりめろんさん、こんばんは〜

      これ、直木賞取ってたんですね!
      卍固め回避の作品なわけですね。

      (*´□`)/ダァァーて言いましたよ...
      ひまわりめろんさん、こんばんは〜

      これ、直木賞取ってたんですね!
      卍固め回避の作品なわけですね。

      (*´□`)/ダァァーて言いましたよ、( ≖ᴗ≖​)そんなテンションになる結末。

      高次とは!これ!(これしか知らない)( ̄▽ ̄)

      今から成瀬ワールドに行ってきまーす!
      2024/01/26
    • ひまわりめろんさん
      新作のほうっすね
      レビュー楽しみにしてますよん

      わいもそのうち読みます!
      新作のほうっすね
      レビュー楽しみにしてますよん

      わいもそのうち読みます!
      2024/01/26
  • 手に汗を握る大津城の攻防が見所です。
    塞王の楯
    2021.10発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。2022.04.25~05.14読了。★★★★☆
    戦国時代の近江の石垣職人集団、穴太衆飛田組頭の飛田匡介(きょうすけ)の物語です。
    都(京都)に近い近江には、色んな職人の集団が発生しています。本書では、忍び集団として甲賀衆。石垣職人集団として穴太衆。鉄砲職人集団として国友衆を登場させて競わせます。

    石垣(城壁)造りの穴太衆の中で特に優れた力量を持つ飛田組を率いる源斎の跡継となった匡介は、越前の国で織田信長に攻め滅ぼされ行き場がなくなったところを源斎に助けられます。源斎は、匡介が石の声を聞こえる特殊な能力を持っているのに気が付き飛田組の次代を託します。匡介は、太平の世を作るための楯としての城を作ることを目指します。
    近江の鉄砲職人集団の国友村で国友三落の後継者となった彦九郎は、孤児となったところを三落にその才能を認められます。彦九郎は、太平の世を作るには、最強の矛としての鉄砲を作ることを目指します。
    この二人が、天下分け目の関ヶ原合戦を前にして、石田三成率いる西軍が近江の大津城の攻めます。彦九郎は、城を攻める西国無双の立花宗茂側に付き。匡介は、城を護る大津城主の京極高次側についての攻防が見ものでした。
    穴太衆の中で一番優れた石垣造りの職人を「塞王」といい。国友衆の中で一番優れた鉄砲職人を「砲仙」といいます。飛田匡介は、義父源斎の後を継ぎ塞王といわれ。国友彦九郎は、義父三落の後を継ぎ砲仙といわれます。

    【読後】
    字が小さくて本当は読むのを中止するつもりでしたが、どうしても読みたくて毎日少しずつ読んできました。このために約3週間かかりました。今まで今村翔吾さんの本を読んだ中で一番感動しています。そしてテーマが泰平を作り出す方法について矛(鉄砲)と楯(城壁)を取り上げ物語の中で、矛の国友彦九郎と楯の飛田匡介が理想をかけて話し合い。大津城で彦九郎の大砲と、大砲を阻む石垣を造る匡介のせめぎ合いが凄かったです。

    【直木賞、小説すばる】
    第166回直木賞受賞作品。
    小説すばる2019年8月号「塞王の楯」連載1回目~2020年12月号連載16回目までを読みました。2021年3月号~8月号までは、読んでいません。

  • 最強の矛と盾の戦いは引き分けとなったが、本当は人の心の矛盾こそが矛と盾の象徴でありそれを気づかせてくれるものという箇所が印象深く感じました。

  • 今村作品は幾つか読んでいたので、やっと直木賞受賞作に辿り着けた。
    調べて見ると、今回は歴史上の実話を元にしているようだが、どこまで本当なのだろうか。あんなに早く石垣を積める物だろうか、あの時代の大筒もそんなに連射できるだろうかと余計な心配をしてしまう。
    脇役の京極家の夫婦が微笑ましい。緊張が続く「矛」と「楯」の闘いに二人の描写がホッとする。蛍大名と馬鹿にされながらも、それを逆手にとって自虐ネタにして親近感を持たせる。部下や民百姓が慕うのも良くわかる。
    後味の良い終わり方だった。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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