コンジュジ

著者 :
  • 集英社
3.47
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  • (11)
  • (2)
本棚登録 : 472
感想 : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717426

作品紹介・あらすじ

【第44回すばる文学賞受賞作】
【第164回芥川賞候補作】

二度も手首を切った父、我が子の誕生日に家を出て行った母。
小学生のせれなは、独り、あまりに過酷な現実を生きている。
寄る辺ない絶望のなか、忘れもしない1993年9月2日未明、彼女の人生に舞い降りたのは、伝説のロックスター・リアン。
その美しい人は、せれなの生きる理由のすべてとなって……
一人の少女による自らの救済を描く、圧巻のデビュー作。

【川上未映子氏、絶賛!】
とんでもない才能。
サバイブの果てに辿り着く、こんなに悲しく美しいラストシーンをわたしは他に知らない。
深く、胸を打たれた。
この小説が見せてくれたもの、ずっとわたしの宝物です。

【著者略歴】
木崎みつ子(きざき・みつこ)
1990年大阪府生まれ。
大学を卒業し、現在は校正業に携わる。
本作で第44回すばる文学賞を受賞。

感想・レビュー・書評

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  • フォローさせてもらっている、つづきさんの感想を見て読んでみました。

    せれなが父親の性的虐待から必死で生き残っていく話。

    こんなに読むのが悲しくて辛い本はなかった。読み進めれば進むほど辛い。
    現実が厳しすぎるのでリアンとの幻想に避難して、必死で心を守っていたのに、その幻想が解けていき父親が死んでからも苦しむせれな。
    父親からの性的虐待が子供に及ぼす影響が破壊的である事を思い知った。

    • つづきさん
      わ!嬉しいです☺️
      せれなの生きる現実、とにかく厳しいですよね。厳しければ厳しいほど、明るい筆致やリアンとの幻想の楽しさとの対比がより際立っ...
      わ!嬉しいです☺️
      せれなの生きる現実、とにかく厳しいですよね。厳しければ厳しいほど、明るい筆致やリアンとの幻想の楽しさとの対比がより際立って……苦しい小説でしたね。
      レビュー読んでくださってありがとうございます。
      2021/03/06
    • raindropsさん
      つづきさん、こんにちわ。
      コメントありがとうございます。

      つづきさんのレビューでも「辛そうな話だなぁ」と思っていたのですが、想像以上でした...
      つづきさん、こんにちわ。
      コメントありがとうございます。

      つづきさんのレビューでも「辛そうな話だなぁ」と思っていたのですが、想像以上でした。

      みなさんのレビューを読ませていただいて、読みたい本がいっぱい出来ました。
      感想を話し合えることもできるし、幸せですね。
      2021/03/06
  • 芥川賞候補作。推し燃ゆより、正直面白かった。構成とか、ストーリー性もあって読みやすく、のめり込んだ。

    次回作も是非とも読んでみたい。
    読めて良かった。

  • 選考委員・川上未映子さん大絶賛のすばる文学賞受賞作&芥川賞候補作。
    自殺未遂を繰り返す父親と、男と消えた母親の代わりにやってきた父親の恋人のベラさんに育てられるセレナが、救いのない日常の中で出会い恋に落ちたのは故ロックスターのリアンだった。

    父親から性的虐待を受けるという残虐さを描きながらもどこかコミカルな表現には、現実を見まいと逃避する女の子の必死かつ健気な悲しさを感じさせられるよう。
    耐えがたい時間とセレナ自身は、現実も妄想もぐちゃぐちゃに混ざって融合する。セレナにとってひたすらにリアンを愛することが自己救済のための唯一の手段なのだと思うと苦しさで胸がつぶれる思いがした。どんな在り方であれ、どうかその光が闇にのまれてしまうことのないようにと願う。

  • 「性被害の問題に関心を持つきっかけに…」 木崎みつ子の力作『コンジュジ』 | ananニュース – マガジンハウス
    https://ananweb.jp/news/339456/

    木崎みつ子さん「コンジュジ」インタビュー 性虐待、書けなかった4年間|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14165095

    木崎みつ子さん、すばる文学賞のデビュー作刊行 性被害からの救済『コンジュジ』 - 毎日新聞
    https://mainichi.jp/articles/20210213/ddf/012/040/006000c

    コンジュジ | 集英社 文芸ステーション
    https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/conjuge/

  • 悲しい、ずっと悲しい。
    せれなとリアンの恋も、裏側にあったせれなの現実も、サバイブしたせれなのこれからの人生も、何を思っても苦しい。
    最後に待つ、瞼に浮かぶエンドはこれ以上なく美しい光景なのにどうしてこんなに悲しいのか、わたしはまだ自分の言葉で噛み砕くことができない。

    なぜ悲しいのかな、とずっと考えていたけれど、母が家を出て行ってからずっと、それは敵である父親に一度ブチ切れたときでさえ、そしてそこからサバイブしてからさえ、せれなは自分の人生を「耐えて」いたからなのだと思う。
    彼女の中で何も終わらないまま進んでいく彼女の人生が無責任にも悲しかったんだ。

    せれなには怒りも悲しみも最早無いように思われて、ただ自分の半生を安全な場所から文章で追いかけているわたしに「なぜ」と問いかけている気がした。
    なぜ私はここにいて、なぜあなたはそこで私を見ているのか。
    応答できないまま、せれなは一人で行ってしまう。信じられないほど悲しくて美しい結末に。


    とにかく帯で川上未映子が絶賛していたように、エンドが破滅的に美しい小説だというのは間違いない。

  • 胸が痛い…。
    柔らかな文章で綴られた、とても痛ましい傷のこと。
    結末が読み終えても心でじくじく疼いている。
    次の作品も読みたい。

  •  川上未映子がツイートで絶賛してたから読みました。帯にも書かれていたとおりラストシーンが胸を打ち、読後2日経ってもまだ棺のなかに横たわるリアンとその隣に滑り込んでいくせれなの悲しくも美しい真っ白な光みたいな場面が頭の片隅にずっとある。父からの性的虐待が扱われているのは知って読んだし描写はことごとく胸くそ悪かったけどこのラストシーンのおかげで「どんな話?」と聞かれても「光」とか言っちゃいそう。
     読みながら思い返したのはビリーミリガンで、別人格に変わるごとく憧れの亡きロックスター・リアンの恋人という自分を召喚して主人公は被虐待をサバイブしていったのだなと読んだ。とくに性行為を強要されている場面でせれなはリアンと輝かしい時間を過ごしていたことが終盤で明かされ、とあるレビューではあれは説明しすぎとかあったがわたしはあの説明がなかったら妄想デート場面が被虐待時間の暗喩だと気づかなかった……クソ死ねみたいな悪態モノローグが雑に感じたのと、その終盤の説明的な部分が芥川賞の選考でダメ出しくらったところなのかなと個人的には思ってるけどどうなんだろう。また追って知りたい。
     野間文の候補になったようなので結果楽しみです。上記の点は気になったしそもそも主人公が被虐待とか摂食障害みたいな話好きじゃないしとりわけ光る文章表現も見当たらなかったしカタカナワールド苦手だけどラストシーンで足先から頭までひたにたに感動したので読んでよかった。木崎みつ子さん、なんでこの話書いたのか知りたいし次回作も読みます。追います。
     上から目線レビューになってしまった。

     追記。
     木崎さんは性的虐待の問題に関心をもってほしいという問題意識をもって書かれたらしいです。頭が下がります。
     ひとつ、終盤で初めて父に迫られたとき驚きのあまり顔が引き攣った、あれが笑ったように見えて合意に思われたのではないか、嫌だと言わなかったことが……という箇所が衝撃だったことを思い出した。自分のせいだと思っている。父の死後もなお虐待の要因が自分にあると思っている苦しみが、ほんとうに、読んでいて伝わってきた。苦しかったです。

  • 性的虐待〈性被害〉という深刻で根深い問題を、安定した筆致で読みやすく、ユーモアを見失わずに書き切った著者はすごいと思います。

    主人公は夢の中のような妄想世界で憧れの人やその兄と対話することで、自分自身を見つめ直し、確かな一歩を踏み出したのだと思いました。

    随所にスターの伝記本の内容が記載されていて、全部で30ページ程ありますが、この短さでザ・カップスのリアンの生涯と3人のメンバーのバックボーン、バンドの結成から崩壊に至るまで記すのは凄技だと思います。インタビュー映像の描写も写実的で伝わりやすい。

    あとAVの設定やテレビのグラビアタレントの発言への違和感などもそれとなく書かれていて、ちょっとだけ胸がスカッとしました。

  • くそ野郎が出てくる小説読むと小説に入り込んでぶち殺したくなってきますが、この本に出てくる父親も乗り込んで行って殺害してやりたくなります。
    この本の凄い所は読んでいるこちらがTHE CUPSという70年代のロックバンドを居たと脳が判断してしまいそうな位の書き込みです。僕がたまたま70年代ロックマニアであった事もありますが、このバンドの曲聞いてみたいなと思いました。
    こういう言う場合って有名バンドのエピソードに寄せるので、ビートルズだったりストーンズだったりモデルいそうなんですが、モデルが思いつかない上になんかこういうバンド居そうなエピソードなんですよね。それが非常に良い。
    バンドのイメージとしては、音的にはビートルズ、フロントマンのリアンの風貌はジャパンのデヴィットシルビアンかクーラシェイカーのクリスピアンミルズって感じです。年代がビートルズというよりかはクイーンなのかなって思ったけど、さすがに風貌がちがうしもうちょっとガレージっぽいバンドな気がした。

    父親の性的虐待で心に傷を負った主人公が、自分を保つ為に作り上げたイマジナリーフレンドが、既に亡くなっているバンドのフロントマンという痛ましい話です。
    非常に胸糞悪いですが、自分の心に作り上げた桃源郷で生きる姿の悲しい美しさに胸打たれます。

  • 必死に幸せな幻想を思い抱くことで現実逃避するせれな。最後まで読み終えるのが辛かった。作中とはいえ大人の無関心さに怒りと違和感を覚えた。

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