櫓太鼓がきこえる

  • 集英社 (2021年2月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784087717440

作品紹介・あらすじ

第33回小説すばる新人賞受賞作

選考委員を唸らせた、知られざる角界の裏方「呼出」に光を当てる、新しい相撲小説!

17歳の篤は高校を中退し、親との関係が悪化する中、先の見えない毎日を過ごしていたが、相撲ファンの叔父の勧めで相撲部屋に呼出見習いとして入門することに。関取はいないし弟子も少ない弱小の朝霧部屋で力士たちと暮らし、稽古と本場所を繰り返す日々が始まる。部屋違いの呼出である直之さんは、篤と年は同じながら角界入りは2年早い兄弟子で、声のよさと愛らしい顔立ちで人気があり、すでにファンもついていた。面倒見もよく助言をくれたり相談にのってくれたりするありがたい存在だ。しかし篤は本番で四股名を呼び間違える失態を演じるなど、しくじってばかり……。一方、年の近い先輩呼出の光太郎からは嫌がらせを受け続けていたが、ある日、直之さんのファンだと思っていた女性から、篤を応援していると告げられる。そんな日々を過ごす篤は、兄弟子力士たちの焦りや葛藤を間近に感じながら、「呼出」という仕事に就いた自分の在り方を見つめ直していく。

【著者略歴】
鈴村ふみ(すずむら・ふみ)
1995年、鳥取県生まれ。境港市在住。立命館大学文学部卒業。本作で第33回小説すばる新人賞を受賞。

みんなの感想まとめ

主人公は、両親との関係に悩む17歳の少年で、相撲の呼出見習いとして新たな道を歩み始めます。相撲界の裏方である「呼出」という職業に焦点を当て、力士たちと共に過ごす中で、彼は成長と苦悩を経験します。作品は...

感想・レビュー・書評

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  • 大相撲の裏方と言っても良い「呼出」となった十七歳の少年・篤の成長を描いた作品。
    第33回少年すばる新人賞受賞作らしい、青春物。

    教育熱心な両親の思いと裏腹に勉強が苦手で高校を中退してしまった篤。親子関係も拗れていたところを相撲好きな叔父の勧めで呼出として<朝霧部屋>に入門。物語はそれから四ヶ月後の秋場所から次の年の名古屋場所までの一年が綴られる。

    <朝霧部屋>は部屋頭が幕下十五枚目前後、力士は6人という小さな部屋。親方も最高位が小結でそれも一場所だけ(思い出三役というらしい)の地味な経歴。
    しかしこじんまりした部屋だけに力士たちや師匠との関係は良好。時にぶつかりあったり叱られることはあっても引きずることはない。
    親子関係が拗れ、家にいる場所がなかった篤にとっては唯一の居場所だ。

    物語の一つは呼出としての成長。
    家にいたくなかったから、勉強したくなかったからという安易な理由で呼出になった篤は元々相撲に興味はなかったため、何もかもが知らないことで毎日が勉強。
    年齢は同じだが中卒で呼出になった兄弟子・直之は若手ながら声も良く可愛らしい外見もあってファンもいる。
    一方で篤は呼出もたどたどしいどころか、呼び出す力士の名前を間違えるという絶対にしてはいけないミスまで犯してしまう。
    そんな篤がどうやって前向きな気持で呼出という仕事と向き合っていくようになるのか。

    もう一つは<朝霧部屋>の力士たちそれぞれの物語。
    部屋頭の力士のスランプや別の力士の怪我による休場、ちゃんこ番と力士との両立、そして新たな旅立ち。
    それぞれの相撲に対する思いや頑張りがある。
    そして彼らを見守り、それぞれの個性に合わせて指導する師匠や女将さんの姿が良かった。関取が多数いる賑やかな大部屋はそれで華やかさがあるかもしれないが、少なくとも篤は<朝霧部屋>に入ってよかったと思う。

    あと一つは篤と両親との関係。
    最悪だった関係が篤の呼出という仕事を通して両者にどういう変化を与えるのか。そこには叔父の仲介も大切だった。叔父なくしては両親との関係は好転しなかっただろう。

    意地悪な先輩呼出・光太郎は別として、他のキャラクターは良い人ばかり。でも仕事には厳しくて、みんなそれぞれ悩みも抱えていた。
    最後はちょっと出来すぎ感もあるが、爽やかな青春物としては良いか。

    最近不祥事が多い大相撲の世界(表面化してきたのが最近というだけのことかも知れないが)。
    だが篤や<朝霧部屋>の力士たちのように真剣に相撲やその仕事と向き合い、頑張っている人たちもたくさんいるはず。
    どうかファンをガッカリさせるようなことなく、熱くて面白い相撲を見せて欲しい。もちろん行事さんや呼出さん方にも注目している。

  • 北上次郎のこれが面白極上本だ!
    「櫓太鼓がきこえる」鈴村ふみ著|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/289099

    一人一人にそれぞれの物語がある。それをじっくり描きたかった。『櫓太鼓がきこえる』刊行記念スペシャル対談(市川沙椰×鈴村ふみ) | 集英社 文芸ステーション
    https://www.bungei.shueisha.co.jp/interview/131411/

    櫓太鼓がきこえる | 集英社 文芸ステーション
    https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/yaguradaiko/

    櫓太鼓がきこえる/鈴村 ふみ | 集英社の本 公式
    https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-771744-0

  • おもしろかった!

    各界の新人呼出の話。相撲界の話なのに関取がほとんど出てこない。そこに妙にリアルを感じた。自分なりの目標を見つけてもがきながら頑張っている姿が素晴らしい。素敵な小説。

    大相撲を生で見に行きたくなってきたな。

  • 両親との確執から高校を中退し、相撲の呼出として働き始めた少年を主人公にした物語です。
    呼出というニッチな業種を取り上げ、相撲の世界をバックヤードから描きます。しかも相撲取りを含めて登場人物のほとんどがTVにも映らぬ序二段あたり。新しい視点で知らないことも沢山出て来てなかなか面白い。
    少年が主人公ですから当たり前に成長物語。ただ、主人公がどうにもネガティブ思考。それが周りの支えでようやく最後にポジティブになるところで終わります。いわば成長の第一段階。ポジティブな主人公が困難や逆境に負けず何事かを成し遂げて行く様な爽快な物語ではなく、どこかまどろっこしい。
    作家さんも新人さんのようです。それらしい拙さも感じられ、こちらも第一段階かな。まだまだ成長の余地が沢山ありそうです。

  • 篤は、両親の勉強に対する重圧に耐えきれなくなり、高校を中退。そんな時、叔父に勧められて、相撲の呼出見習いとして働くことになった。ただ実家を出たかっただけなので、仕事は苦悩する日々。そんな状況でも、先輩の呼出や力士たちと会うことで、己の精神が段々と成長していく。


    相撲を影で支えている「呼出」という職種は、なんとなくしか聞いたことがなかったのですが、仕事の内容は、知らなかったことだらけでした。

    「呼出」という仕事は、その名の通り、力士が土俵入りするときに力士の名前を言うのですが、格付けごとに人が変わります。

    他にも
    ・「呼出」は相撲協会に所属ではなく、〇〇部屋ごとに所属している。
    ・名前を言うだけでなく、土俵を作ったり、「部屋」での雑用を行ったり、観客を入場する時に太鼓を叩いたりするなど多方面で活躍している。

    などなど知らないことだらけでした。

    第33回小説すばる新人賞受賞作ということで、全体的に瑞々しい青春を感じさせるような雰囲気がありました。仕事に対する葛藤や恋の予感?、両親との距離感など篤の心理描写をメインに描かれていました。

    〇〇部屋所属ということで、そこに所属する力士の姿も描かれています。横綱や大関といった大物ではなく、比較的下のポジションにいる力士達です。その人達が、上へ行こうにもなかなか勝てず、色々苦悩しています。

    篤自身もただ名前を叫ぶだけでなく、どう言ったら心に響くのか。呼出という仕事に段々と向き合っていきます。

    読了後に動画サイトで「呼出」の方の発声を拝見しましたが、格上げするごとに場内に響く声や立ち振る舞いが違っていて、驚きでした。
    また、「呼出」にもイケメンとして注目されている方がいて、知らなかった一面が多くありました。

    約1年間、様々な「場所」を通して、篤は段々と経験することで、成長していきます。その姿は凛としていて、最終的にはエールを送りたくなりました。

    相撲界の縁の下の力持ちとして活躍している「呼出」。
    裏側がしっかりと支えているからこそ、表舞台が活きていることを感じました。
    この作品を通して、今後注目してみたくなりました。

  • 一言で言うと、めちゃくちゃ勇気をもらった。

    普段、自分と登場人物を重ねることは滅多にないが、本作の主人公、篤はどうしても自分と重ねずにはいられなかった。
    取り柄がない、自信がない、何をやっても不器用な自分が好きになれず、こんなパッとしない人生嫌だなと、最近感じることが多くなってきた。その原因は周りと比べてることにあるのだということは分かっているのだが、篤と私には似たところがあるなぁ、他人として見れないなぁと、読みはじめて早々親近感を抱いた。

    しかし本作を読み終え、篤の人生はパッとしないんてゆめゆめ思いもしなかった。篤の人生を体験してみて、結果に囚われ、成功ばかりが華やかな人生だと、そんな狭い考えの自分を救ってくれたような気分である。これまでの自分の人生を肯定されたようで、明日からまた自分なりに頑張ろうと思えた。希望が持てた。篤、ありがとう。あと、なんと言っても兄弟子たちが良い。自分が尊敬できる人が周りに
    いるだけで、幸せなことなのだと実感した。


    きっと、次に相撲をみたら呼出を意識してしまうだろう。

  • 今まで大相撲には全く興味がなかったが、読んでいる途中から相撲を見てみたいという気持ちが日に日に大きくなっていった。呼出という職業についても初めて知ることが出来た。
    呼出でも力士でも、才能がなくても頑張っている人が沢山いて励まされた。自分も頑張ろうと思えた。

  • 角界の話しであり、あまり馴染みのないテーマだったため、試しに読んでみようかといった感じてページをめくっていましたが、凄く感動しましたし、勇気付けられました。素晴らしい本に出会えて、喜びと感謝の気持ちで一杯です。

  • 相撲で、青春もの。想定外。自分の頭の中に、洋風のスポーツが、カッコいいようなイメージがあるが、決してそうではない。という事を認識させてくれた。想定外は、楽しい。

  • 短い説明文が続く部分があって、そこは読んでいて文章のリズムが切れる感じがして、私にはちょっとだけ読みづらかった。

    相撲を観ない私にとっては、判らない単語、事柄が登場する度、調べて「なるほどな」となることが多く、そこは楽しかった。
    YouTubeで土俵築の様子や呼出の呼び上げを観ましたが、迫力ありました。

    若い主人公にとっては、その境遇は大変な事態だったのだろうが、それを経験していくのが人生であり、大人になることでもあると思います。

    「呼出」というニッチなお仕事小説とジュブナイルを融合した作品で、読後には爽やかな気持ちになりました。また相撲を観に行きたくなりました。

    ぜひ中高生に読んでいただきたい。

  • 呼出になった少年が仕事を通じて成長していく物語。相撲の知識も得られるし、良い小説でした。

  • 相撲は好きで毎場所見ていますが、呼び出しに関心を持つことはありませんでしたが、今度は呼び出しにも注目したいと思いました。ストーリーのもう少し起伏があっても良いかなと思いました。

  • 弱小相撲部屋とか 呼出見習いとか 相撲で注目したことがなかったので 今後の楽しみ方が増えました
    三浦しをんさんとかで読んで見たいです

  • 「櫓太鼓」というワードに惹かれて手にした本。櫓太鼓はストーリーのキーワードではなかったが、最後に櫓を見上げるシーンで締めくくられる。
    相撲の世界を知らなくても、裏方の世界を知ることができるだろう。

    この本は、相撲の裏方「呼出」の若者の成長物語である。ドラマチックな展開というよりは、周りの人々との絡みで、成長の過程を丁寧描いている。
    ただ、話の展開がある程度予想通りであり、多少物足りなさを感じた。

  • 男高1。三人称。

  • 面白かった。
    周りの人達に支えられてながら、自分を見つめ直して成長していくところに、ジーンときました。
    相撲の呼出。その存在は知っていたけれど、中身はよく知らなかった。どんな仕事をしていて、どんな修業をして、というのを知ることができたこともよかった。

  • 相撲の取り組み時に「ひがぁしぃ~」などのアナウンスをする「呼出」の仕事にスポットを当てた小説。「おれ、よびだしになる」という絵本でこちらの職業についてはイメージがついていたので想像はしやすかった。

  • 淡々とお話しは進んでいくんだけど、読み終わった後は自分も何か頑張ってみたくなる。お相撲好きでなくても、もちろん面白いと思う。

  • お相撲の呼び出しの子のお話。
    生きがい、やる気って本当に大切だと思った。
    篤と家族が仲直り?してよかった。
    どんなことがあっても、親は子供を応援している!!

  • お相撲の世界は全くわからず読んだけど、面白かったーー。
    呼出という役割があるのも知らなかったし、新鮮だった。
    青春小説でもあり、お仕事小説でもあり読んでいて楽しかった。

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